FANTASY☆ADVENTURE   作:神爪 勇人

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フェアリーテイルってサブキャラたちも魅力的だよな。
もっとアニメ1期みたいなこういう日常回も増やして欲しいぜ。
2期でもちょいちょいあったけどさぁ・・・・・・。
またOADとか出ないかなぁ・・・・・・。
もしくはタルタロス篇が終わってからとか。
ワンピースやナルトやBLEACHがよくやってた、編の途中や間でオリスト挟むような感じで。
いや、タルタロス編みたいな長編の途中に挟んでほしくは無いけど、タルタロス編とフェアリーテイル再結集編の間とかでさぁ。


第64話 特別依頼。気になる彼に注意せよ!

本日晴天いい天気。

昨日の雨が嘘のような天気だ。

そしてこんな天気のいい日に俺はというと、ギルドでダラッとしていた。

 

「はぁ~、暇ぁ~~」

「仕事に行けばいいじゃない」

「だって、ナツがしばらく休むって言うんだもん」

「別にルーシィ1人でも、別の人と一緒に行ってもいいのに」

「別にチーム組んでるからってナツと行かなきゃいけない訳じゃねーんだぞ?」

 

ギルドのカウンターで突っ伏してるルーシィに、俺とミラが構う。

客もそんなにおらず、ミラものんびりしていて少し暇そうだ。

まぁ、かくいう俺も少し遅い朝飯で、ミラが出してくれたサンドイッチとコーヒーを口にしていてのんびりとしているのだが。

 

「ホント、仲良いのね。恋人同士みたい」

「違います!?」

「どぅえきてぇるぅ~」

「巻き舌風に言うな!」

 

ナツに恋愛感情があるのかどうかは分からんがな。

女に興味はあると思うが。

 

「でも、ナツはルーシィの事好きなのかもね」

「えぇぇぇ~~~?」

 

なんか嫌そうな声を上げて、チラッとナツに視線を向ける。

何かテーブルの上でプルーやハッピーと一緒にポーズを取りケツ振って震えていた。

・・・・・・何やってんだアレ?

皆もそれを見て笑ってる。

状況が全く理解出来ん。

 

「・・・・・そうだとしても、私はパスね」

「お似合いだと思うんだけどなぁ~」

「ミラ、お前、どこまで本気だ?」

 

コイツは冗談と本気の区別が付かない時あるからなぁ・・・・・。

 

「おいナツ! そろそろ仕事行かねぇと――――」

「お前は服を着ろ‼」

「―――――おわっ!?」

「炎を使い過ぎて、脳が灰になってしまったのではないか、ナツ!?」

「いいっていいって、偶には休暇も必要なんだよ。なぁハッピー?」

「あい! リフレッシュです~」

「でな! それからこうやって・・・・・・」

 

グレイがナツを急かし、エルザがナツとグレイを注意し、ナツとハッピーが躍っていた。

・・・・・・だからどういう状況なんだっての。

一瞬目を離した隙に何で違う事やってんだコイツは。

それを見たルーシィは再び、

 

「やっぱないわ・・・・・・」

「お似合いだと思うんだけどなぁ~」

「成程、つまりはルーシィもあんな感じだと・・・・・・」

「何でそうなるのよ!?」

 

いや、だってアレとお似合いって、そういう事になるだろ?

 

「逆にルーシィは好きな相手とかいねぇの?」

「私? いや、別に・・・・て、何でそんな話になってるのよ!?」

「何でって・・・・・何でだ?」

「さぁ? 何でだったかしら?」

「ハァ・・・・・・・」

 

首を傾げる俺とミラに、ルーシィがデカい溜め息を吐くのだった。

 

 

◆◆◆

 

 

翌日。

今日も仕事にもいかず、ギルドでダラァッとしている俺。

今日はホットケーキに紅茶だ。

相も変わらず定位置のカウンターでダラけていた。

まぁ先日まで大聖堂の修理だとか評議院からの依頼とかこなしてたんだから、こういう日が続いても良いよな?

 

「ナツ! いい加減にしろ‼ いつまで遊んでんだよ!?」

「何だとテメェ!? やんのかコラァッ‼」

「ファイトー‼」

 

何かハッピーの合図でナツとグレイが喧嘩しだした。

まぁ、いつもの事か。

元気なのは良いが、あんま物を壊さないでほしいわ。

だいたい直すの俺なんだからなぁ・・・・・・。

 

「・・・・・・ハァ、そろそろ止めるか」

 

俺は席から立ち上がって、2人の喧嘩を止めに入った。

 

「おーい、お前ら、その辺にしとけ」

「うるせぇ‼」

「止めんな‼」

「そろそろエルザがキレそうなんだが、それでも続けるってんなら止めんぞ?」

「喧嘩なんて良くねぇよなグレイ?」

「おうよ、人類皆ラブ&ピースだぜ」

「・・・・・・止めといてなんだが、変わり身早過ぎだろ」

「あい。いつもの事です」

 

やっぱ、この2人にはエルザの名前を出すのが効果的だな。

 

「は・・・ハクショーンッ‼」

「あ? 何だジジイ、風邪か?」

「うぅむ・・・・いや、何か鼻に入ってのぅ・・・・・・」

「なんだ、虫でも入ったのか?」

「むむぅ・・・・・・」

 

鼻を擦るジジイ。

まぁ、気候的に熱いからなぁ・・・・虫ぐらい出るだろう。

 

「おーい、祐一‼」

「あ? 何だ、エルフマン?」

 

コッチに来いと言わんばかりに呼ばれたので足を運ぶ。

 

「で、何だよ?」

「漢の勝負じゃい‼」

「何の話だよ」

「いや、今腕相撲で勝負してんだけどよぉ、みんな負けちまって・・・・・」

 

エルフマンの要領を得ない答えに、ナブが代弁する。

 

「漢の勝負・・・・・受けて立てぃ‼」

「ま、別に良いけどよ。暇だな、お前らも」

「今日は仕事する気が起きねぇんだよ」

「偶には仕事しない日があっても良いよな」

「リフレッシュ期間ってやつさ」

「いつもの事じゃね?」

 

マックスやジェット、ドロイ達が口々に何か言うが、働く日の方が少ないだろ、俺達。

まぁ、生活できる分稼いでたら充分なんだろうけどよ。

 

「よーし、腕相撲だったな。来いよ」

「漢ォッ‼」

 

テーブルに肘を置き、エルフマンと手を組む。

手を組む俺達の上に、マックスが更に手を乗せた。

合図をやってくれるみたいだ。

 

「そんじゃぁ・・・・・・・・ファイトッ‼」

「フンッ‼」

「うおっ!?」

 

勝負は一瞬で着いた。

俺の勝ちだった。

 

「瞬殺だったな・・・・・」

「当然だろ」

 

エルフマンは床に膝を付き「漢だ・・・・・」と落ち込んでいた。

いつもの事だが意味が分からん。

 

「おーい、祐一。こっちに来な」

「・・・・・・今度は何だ?」

 

カナに呼ばれて移動する。

 

「お前ら昼間から飲んでんのかよ」

「良いだろ別に」

「お前も飲めよ」

「どうせ暇だろ?」

 

カナとマカオとワカバに誘われて、ジョッキを持たされた。

やれやれだぜ。

 

「しゃあねぇな。付き合ってやるよ」

「お! そうこなくちゃね!」

「飲み比べでもするか‼」

 

ま、偶には昼からの酒も良いだろ。

グビッと、カナから注がれた酒を仰ぐ。

 

「祐一様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」

「あ?」

 

ジュビアの声が聴こえてきたと思ったら、何かが口の中に飛んできて酒と一緒に呑み込んでしまった。

・・・・・・なんだ、今の?

まぁ、いいか。

てか、また何か用なのか。

今日は良く呼ばれるな。

俺は一旦酒を置いて席を立つ。

 

「どうした、ジュビア?」

「え、と・・・・・・そのぉ・・・・・・・・」

 

何か顔が赤い。

いや、何時もか?

ただでさえ肌が白いから余計に赤く見える。

 

「熱でもあるのか?」

「ぅえ!? べ、別にそんな事は・・・・・・・!」

 

妙にオタオタするジュビア。

何か普段以上に挙動不審だぞ。

 

「あ、あのぅ、祐一様?」

「なんだ?」

「・・・・・その・・・・・・えと・・・・・・・・」

 

ジーっと見ると更に赤くなってモジモジしだすジュビア。

うん、マジで何だ?

俺何かしたっけ?

最近の事で心当たりが何も無く、首を傾げるしかない。

答えるまで待つか。

それぐらいは待てるよ俺。

 

「いっつも・・・・いつも自由気ままに空を飛びやがって‼」

「あい!?」

 

何か急に怒鳴り声が聞こえてきたから目を向けると、グレイが魚を食べてたハッピーに絡んでた。

・・・・・・ハッピーに絡んじゃうの? ナツじゃなくて?

珍し。

 

「俺は強ぇが空は飛べねぇ! お前は弱ぇが空は飛べる! だから実力は同じ‼ ハッピー‼ お前は俺のライバルだぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼‼」

「うぇぇえええええええっ!?」

 

・・・・・・・どういう状況だよ?

 

「何言ってんだグレイ?」

 

ウォーレンの疑問は尤もだ。

 

「俺と勝負しろハッピー!」

「ナツぅっ! 怖いよー‼ グレイが変だよぉっ‼‼」

 

ハッピーは「アレ? ナツは何処ぉ!?」と慌てて飛んで逃げ出した。

うん、気持ちは良く分かる。

 

「あ? どしたジュビア?」

「い、いえ・・・・・・・」

 

何か青い顔で狼狽えてるが。

あ、青い顔はいつもか。

全体的に青白いし。

何か瓶持って見つめてるけど、何かあったのか?

 

―――――バシィンッ‼

 

と、今度は何かを打ち付けるような音が。

 

「ワカバ! 先月幾ら稼いだ!?」

「ハッ! お前よりは多いと思うぜぇ‼」

「俺がテメェに負ける訳がねぇっ‼」

「お前にだけは絶対負けねぇ‼」

「俺達って、どういう関係だっけ!?」

「そりゃあ、ライバルに決まってんだろうがぁ・・・・・‼」

「「へっへっへっへっへっ・・・・・・・・‼」」

 

何かマカオとワカバがメンチ切り合いながら不敵に笑ってんだが・・・・・・。

 

「酒は飲んでも飲まれるな‼ おい酒! ワシは貴様にだけは負けんぞ‼ 貴様こそワシのライバルじゃあ‼‼」

 

ジジイが酒樽に挑戦状を叩きつけた。

意味が分からん!

 

「酒がライバルってどういうことっすか? マスター?」

「酒って人じゃないし、ライバルとかありえねーだろ・・・・・・」

 

マックスとウォーレンのツッコミは尤もだ。

 

「飲まれはせん! 飲まれはせんぞぉ‼」

 

ジジイは「勝負じゃあっ‼」と、ジョッキに注いだ果実酒を一気飲み。

とうとうボケたのか?

 

「そこの柱ぁっ‼ 何故いつも私の行く手を阻む!? 私はいつもここをすんなり通りたいと思っているのに! 何故だ!? 何故この私に勝負を挑む!? 私のライバルだとでもいうつもりか!!?」

 

何やってんのエルザ!?

お前が一番意味分かんねぇよ‼

柱がライバルってなんぜよ‼

 

「いや、柱がライバルって無いから。流石にそれは無いから」

「まだ酒は何となくわかるが、柱は無い、柱は」

「人柱とでもいうのなら分かるけどね」

「いや、それも違うから」

 

マックスとウォーレンのツッコミ位置が確立されてきたぞ。

そしてハッピーお前もツッコミか。

普段ボケてるくせに。

 

「エルザ! 久しぶりに昔みたいに勝負よ‼ 絶対に負けないんだから‼ エルザこそ、私の生涯をかけたライバルよ‼」

 

ミラ、お前もかぁっ!?

 

「おいリクエストボード! 何でいつも俺に仕事を寄越さねぇ‼ お前こそ俺のライバルだぁっ‼」

 

何かナブがリクエストボードにキレてるが、いや、リクエストボードがライバルって。

 

「「「仕事行かないだけだろ」」」

「仕事に行かないんじゃねぇ! 俺に合った仕事が見つからねぇんだよぉぉおおお‼」

 

寧ろお前に合った仕事って何だよ。

 

「宿敵の舞‼」

「・・・・・何やってんだ、ビジター?」

「ライバルとは・・・・・自分自身と見つけたり‼」

「そ、そうか・・・・・・・」

 

まぁ、1人で踊る分には被害は無いか。

いつも通りな気がする。

 

「ウィィィィイイイイイイイイイッ‼」

「どうしたリーダス!?」

「良い絵が浮かばない! このキャンバスがオレのライバル・・・・・・‼」

「お前も自分との闘いって奴か・・・・・・」

 

しかしここまで狂気的に絵を描くリーダスは視た事ねぇ!

 

「ビスカ・・・・・」

「アル・・・・・・」

「「君(あなた)こそ俺(私)のライバル‼」」

「いやお前らは闘っちゃダメだろ!?」

「「惚れた方の負けという・・・・・・」」

「知らねぇよ‼」

 

もう好きにしろお前らは。

 

「ちょっとぉ、どうなっちゃってるの!? ナツぅ何処ぉっ!?」

「勝負だ‼」

「ふぇ!?」

「ハッピー‼」

 

グレイは何故かハッピーに絡んでるし、どういう状況だ?

屋上に上っていく。

何する気だグレイの奴?

 

「見てやがれ! 俺は必ずお前より遠くまで飛ぶ‼」

「だから無理だってば‼」

「いいや、飛ぶ‼ ライバルのぉ! お前だけには‼ ぜってぇ負けねぇッ‼‼」

「ナツぅ! どこ行っちゃたんだよぉぉぉぉぉ‼」

 

跳ぶ気か? 跳び下りる気か!?

いや、飛ぶ気なのだろう。

・・・・・・・いや、無理じゃね?

 

「マスター‼ 飲み比べだよ! 一度アンタに挑もうと思ってたんだ‼」

「ワシのライバルはお前などではない! 正に酒その物‼」

「負けないよッ‼」

 

今度はカナが酒持ってジジイに絡み、飲み比べを始めやがった。

 

「3人と3人。例え人数が同じとて、実力まで同じだとは思わない事だ!」

「フェアリーテイルで3人組って言ったら、あたし達だけなんだからね! 勝負する!?」

 

雷神衆とシャドウ・ギアがガン付け合ってる。

フリードもレビィも何か目つきがヤベェぞ、完全に殺る気だ‼

 

「本物の漢は何処にもいないのかぁっ!? 俺のライバル! 出てこーいッ‼ 俺は悲しい‼ 猛烈に悲しいぞぉぉぉぉぉぉぉッ‼‼」

 

1人叫ぶエルフマンに、マックスとウォーレンが「うわーアイツ、ライバルいないって思ってたんだ・・・・・・」「どんだけ自信あんだよ・・・・・・」と感情の無い眼で眺めていた。

 

「数え終わったか、ライバル!?」

「当然! しかもライバルのお前より、早くな‼」

 

ワカバが「フッ・・・相変わらず詰めが甘いな」とニヒルに笑い、マカオが「こ、この野郎! 俺としたことが!?」と喚く。

 

「せーの!でいくぜ‼」

「来やがれ‼ 先月稼いだ金額はぁ・・・・・」

「「せーの・・・・・・占めて15万ジュエル‼」」

「「同じだとぅ!?」」

「「先々月で勝負じゃあぁぁぁぁぁぁぁっ‼」」

 

あ、コレ延々と続くパターンだ。

 

「我ら雷神衆とお前らシャドウ・ギア! どちらがフェアリーテイル最強の3人組か、決着をつけよう‼」

「私達の実力見て驚かないでよぉっ‼」

「お、己ぇぇぇぇぇぇぇ・・・・・・・‼」

「ホァアチャァァァアアアアアアアアア‼」

 

何かギニュー特戦隊みたいなポーズを取る雷神衆とシャドウ・ギア。

 

「「「ポーズ対決かよ・・・・・・」」」

 

ツッコミ役と化しているマックスとウォーレンと同時に俺もツッコんだ。

ま、まぁ実力はどう考えても雷神衆だけどな。

 

「まだまだぁ‼」と酒を仰ぐカナ。

「まだまだぁ‼」と更に飲むジジイ。

「漢は何処だぁぁぁぁぁぁぁ‼」とエルフマンが男泣き。

カオスだ・・・・・・。

 

「換装‼ 天輪の鎧‼‼」

 

エルザが柱に斬りかかった。

って、おいおいおい!?

 

「エルザ止めろって‼」

「折角新しくなったのに! 壊すんじゃねぇよ‼」

「そうだぜ、誰が直すと思ってんだ‼」

「「いや、そこの心配かよ!?」」

 

当たり前だろ!

何で俺が毎度毎度直さなきゃならねーんだ‼

 

「黙れ! コイツは常に私の前に立ちはだかるのだ‼ 直ぐに奥に行きたい時など特に腹が立つ‼ コイツを迂回しなければ奥に行けないのだ‼ 私の目の前に常に立ちはだかるこの柱こそ! 即ち私のライバル‼‼」

「いや、ちょっと避ければいいだけだから」

「どんだけ真っ直ぐ好きなんだよ・・・・・・」

「エルザってあんまり前見て歩いてないからね」

「違うだろ」

 

柱にキレるエルザを何とか宥めようとするマックスとウォーレンとハッピーが、突然ミラに殴り飛ばされた!?

ツッコミが死んだ‼

この人で無しぃぃぃぃぃ‼

 

「エルザ! 私と勝負しなさい! 貴方のライバルは此処よ‼」

「今私は! 生涯のライバルと向かい合っているのだ‼」

「いや、ただの柱だから・・・・ね?」

 

あ、マックス生きてた。

 

「くぅぅぅぅうううううう! 信じらんないぃぃぃぃいいいいいいいいいい‼」

 

エルザに無視され続けるミラが遂にキレた!

 

「サタンソウォォォォォォオオオオオオオオルッ‼‼‼」

「「「止めろって!?」」」

 

流石にマジ過ぎる!?

 

「換装‼ 煉獄の鎧‼‼‼」

「「「だから止めろって!?」」」

 

ガチ過ぎるわ‼

 

「やーまーねーこーポーン―――――」

「!?」

 

後ろから殺気が!?

 

「―――――パーンチッ‼‼」

「うぉ!?」

「「何でぇぇぇぇえええええ!?」」

 

咄嗟に屈んで避ける。

またマックスとウォーレンがミラに殴り飛ばされた。

南無。

てか、後書きコーナー的な場所でしか使わねぇようなパンチの癖してなんて破壊力だ!

 

「本物のぉ・・・漢ォォォオオオオオオオオオッ‼」

 

エルフマンがビーストソウルでミラに突っ込む。

 

「パーンチッ‼‼」

 

あ、簡単に殴り飛ばされた。

 

「だ、ダメだ・・・・・・」

「ギルドが、またぶっ壊れちまう・・・・・・」

 

柱に煉獄の剣を叩きつけまくるエルザに、辺り構わず拳を振り回すミラ。

かつてのライバル2人ががむしゃらに暴れまくる様は、何かもうホラーだぜ。

 

「グレイ無理だってばぁっ‼ 止めようよぉ‼」

 

屋上からまたハッピーの声が。

 

「ダメだ! 俺はライバルのお前を必ず超える‼ 行くぞ! 俺のライバル‼ ついて来い‼‼」

 

グレイは「ふぉぉぉぉおおおおおおおおおっ‼」とスパーキングしだした。

 

「うわぁっ! グレイ!?」

「うるぉぉおおおおおおおおおおおお‼‼‼ 燃えてきたぜぇぇぇぇえええええええ‼‼‼」

「うわ、ナツみたいになってるよ!?」

「俺は・・・・・・飛ぶ‼」

 

グレイは「ハァァアアアアアアア‼」と精神集中し、

 

「フッ‼」

 

飛んだ。

 

「うぉぉあああ!?」

 

ハッピーが慌てた声を出すが、飛んだというよりは跳んだだけだ。

 

「うぉおおおおおおおおおお‼」

 

ギルドの屋上から跳び下りて、そのまま外に向かって走り続け、

 

「俺はぁぁぁぁぁ・・・・・・・飛ぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ‼」

 

海に向かって加速する。

 

「とう‼」

 

そして跳んだ‼

 

「飛べ・・・・・・・俺‼」

 

勢いのまま宙を飛び・・・・・・・・ボチャンと海へ落ちた。

 

「グレェェェェェェエエエエエエエエイッ!?」

 

ハッピーの声が木霊する。

・・・・・まぁ、当然の結果だよな。

 

「おい、何だこの騒ぎは?」

「ガジル!」

 

仕事から戻って来たのか、ガジルがギルド内を見回しながら怪訝な顔をした。

 

「俺にも分からねぇ。何か急にみんなハッチャけやがった」

「なんだそりゃ」

 

俺が訊きたい。

 

「あ、あの、祐一様?」

「おう?」

 

そういやジュビアも様子がおかしいぞ。

コイツにも何か異変が?

 

「祐一様は・・・・何ともないんです?」

「あ? 俺?」

 

コクコクと頷くジュビアに、俺は自分の状態を確かめてみる。

・・・・・・・特に異常は見当たらない。

 

「特に何ともないが?」

「えぇぇぇぇ・・・・・?」

「・・・・・何でそんな残念そうなんだよ?」

 

俺の問いには答えず、ジュビアは「何故? 時間差? 量が足りないのかしら・・・・?」とか何かぶつくさ言ってる。

・・・・・もしかして、ジュビアが何かやった?

 

「おーい、祐一」

「あ?」

 

今度はナツが来た。

 

「ちょっと頼みがあんだけどよ」

「お前、この状況に対するツッコミは無しか?」

「あ?」

 

俺が指を差し、ナツはギルドを見渡す。

酒を飲むジジイとカナ、収入で張り合うマカオとワカバ、男泣きのエルフマン、柱にキレるエルザ、無差別に暴れるミラ、ポーズを決める雷神衆とシャドウ・ギア、ぶっ倒れてるマックスとウォーレン等々。

彼らを見渡して、

 

「? いつもと変わんねーだろ?」

「マジか?」

 

首を傾げるナツに俺は絶句し、ガジルは「イカれてるぜ」と吐き捨てる。

 

「あん? 何か文句でもあんのかよ鉄屑野郎!?」

「ああ? テメェの眼は節穴かって言ってんだよ!?」

「言ってねーだろんな言葉‼」

「言ってんだよボケッ‼」

 

ああ、コイツ等はいつも通りだな。

コイツ等の喧嘩を見るとほっこりする。

 

「祐一様ぁぁぁあああああっ‼‼」

「あ?」

 

ジュビアの叫び声に振り向くと、何か水滴の様なモノが飛んできて口に入る。

コレは・・・・・・さっき酒飲んでた時に入ってきたヤツ?

俺だけじゃない。

その飛んできた水滴はナツとガジルの口の中にも入り、飲み込んだ。

瞬間、

 

「この鉄屑野郎ォォォォオオオオオオオオッ‼」

「サラマンダァァァァァアアアアアアアアアアアッ‼」

「ドラゴンスレイヤーは俺一人で充分なんだよ‼」

「このギルドに竜は2頭もいらねぇっ‼」

「「テメェが俺のライバルだぁぁぁぁああああああああああああッ‼‼」」

 

2人の喧嘩がヒートアップする。

 

「・・・・・・・・ジュビア?」

「はい!?」

 

サッと後ろ手に何かを隠し、ダラダラと汗を流すジュビア。

 

「何を隠した?」

「いえ、何も」

「見せなさい」

「だから何も―――――――」

「見せろ」

「――――はい・・・・・・・」

 

ジュビアが隠した物を見せる。

それは、さっき持ってた瓶だった。

 

「なんだそれは?」

「コレは・・・・その・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・惚れ薬です」

「惚れ薬?」

 

コクリと頷くジュビア。

惚れ薬って・・・・・・・・・・・・・。

 

「・・・・・・それ、ホントに惚れ薬なのか?」

 

みんなの様子から見て惚れ薬ではないと思うんだが。

 

「・・・・・・・たぶん?」

 

いや、俺に聞くなよ。

 

「何処で手に入れたんだ?」

「・・・・・・路地裏にある怪しげな店で」

 

不良品じゃねぇのか?

 

「解除薬とかは?」

「・・・・・・・・・・・持ってません」

 

思わず頭を押さえる。

まぁ、薬だし、数時間で効果は切れるだろ。

たぶん。

 

「はぁ・・・・・取りあえず、この状況をどうにかして―――――」

 

その惚れ薬は没収しようかと考えていたら。

 

「祐一ぃぃぃぃいいいいいいい‼」

「あ?」

「お前は俺が倒ぉぉぉぉおおおおおおおおすッ‼」

 

ナツが急に俺に火竜の鉄拳で殴り掛かって来た!?

 

「何すんだよ!?」

 

身を捻って避ける。

だが、それだけで終わらない。

 

「妖精皇帝! この間の借りを返すぜぇぇぇぇぇぇ‼」

「漢として勝負ぅぅぅうううううう‼」

「俺達雷神衆のコンビネーションを見せてやる‼」

「シャドウ・ギアだって負けないよ‼」

「お前とは一度キッチリケリを付けたいと思っていた!」

「やーまーねーこーポーン‼」

「私の酒が飲めないって言うのかい!?」

「酒じゃあ! 酒を飲めぃっ‼」

「若いからって粋がってんじゃねぇぞ‼」

「ベテランの力、見せてやるぜぇぇぇぇぇ‼」

 

ガジルが、エルフマンが、雷神衆が、シャドウ・ギアが、エルザが、ミラが、カナが、ジジイが、マカオが、ワカバが一斉に俺に襲い掛かって来る。

 

「おい、ちょっ・・・・・・!?」

「「「「「「「「「「お前が俺(私)のライバルだぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああ‼‼‼‼‼」」」」」」」」」」

「いや待てやぁあっ!?」

 

多すぎるわ‼

魔法と物理の波状攻撃にギョッとする。

コイツ等マジで潰しに掛かって来てやがる‼

 

「えぇえい! やってやんよクソがッ‼」

 

見せてやるよ! 転生者の力をなぁっ‼

俺が持てる力を駆使して襲い掛かる皆を迎撃していると、

 

「えい!」

 

丁度【魔法無効化‐マジック・キャンセル‐】等の無効化系の力を解除した瞬間を狙って、ジュビアが俺の口に瓶を突っ込んだ!

 

「もひっ(おいっ)!?」

「もっと! 【無効化‐キャンセル‐】が掛かってない時にもっと飲ませれば‼」

「ゴボゴボゴボゴボッ!?」

 

喉奥まで瓶を突っ込められ、オマケに鼻も塞がれて、瓶の中に入ってある液体がドンドン俺の体内へ!?

か、身体が熱い!?

だ、ダメだ、意識が朦朧と――――――――

 

 

◆◆◆

 

 

「・・・・・・お、収まった?」

 

ギルドのみんなが襲い掛かり、隙が出来た時を狙ってジュビアは惚れ薬を祐一に無理やり飲ませた。

瓶に入ってある液体を全て飲ませ、祐一の顔色は赤、青、黄、緑と次々に変色して生き、身体がガクガクと激しい痙攣を起こす。

そしてピクリとも動かなくなった。

飲ませ過ぎてヤバい事になった?

冷や汗が滝の様に流れた瞬間、祐一の眼がクワッ‼と開かれる。

 

「ウォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ‼‼‼‼‼」

 

両の眼が万華鏡写輪眼と輪廻写輪眼に変化し、身体から凄まじいオーラが迸る‼

 

「惚れ薬が効いた!」

 

チャンスは今しかない‼

 

「祐一様! ジュビアは此処です‼」

 

ギョロっと、血走った祐一の危険な眼光が向けられた。

 

「ゆ、祐一様! い、いっそジュビアを押し倒してくれても――――――」

 

頬を朱に染め照れながら身を捩るジュビアに、祐一はビシィッ‼と指を突き付けた。

 

「そこの水平線‼」

「え!?」

 

いや、ジュビアでは無く、その遥か彼方後方にある海の向こうの水平線だった。

 

「テメェが俺のライバルだぁぁああああああああああああああああっ‼‼‼‼‼‼」

 

祐一は叫ぶと爆走し、ギルドの壁を打ち壊して突き進み、海の上を光の速さで駆け抜けていく。

・・・・・・・一瞬で、姿が見えなくなった。

 

「祐一様・・・・待って・・・・・・・・・!」

 

ジュビアの声は、当然祐一の耳に届く事は無かった・・・・・・・。

 

 

◆◆◆

 

 

数日後・・・・・・。

 

「アレ、そういえば祐一は?」

 

惚れ薬を飲んだ者は皆、記憶が抜け落ちていた。

一体何があったのか、首を傾げていたが、まぁ、別にいいかと、ギルドはいつもの日常に戻って行った。

そんな中、家でゆっくりしていてギルドで起きた騒動など知らないルーシィは、ここ数日姿が見当たらない者の所在をカウンターでミラに聞いた。

 

「さぁ? ここ数日見当たらなくて・・・・・・」

 

仕事に行ったのなら、自分かマスターが把握してるはずだが、そんなことも無い。

一体何処にいったのか?

 

「そういえばジュビアの姿も見えないかも」

「ジュビアはここ数日、怪しい魔法薬屋さんをあっちこっち訪ねてるみたいだけど」

「何やってんのよ・・・・・・」

 

ジュビアはまだ懲りておらず、惚れ薬を探しているのでした。

そして噂の男は何処で何をしているのかといえば・・・・・・。

 

 

◆◆◆

 

 

「・・・・・・つかよぉ」

 

ジュビアに何かを飲まされたとこまでは覚えているが、どうやってこんな所まで来たのか、何故ここに来たのかは全く記憶にない。

 

「何で俺はガルナ島に居んだよ・・・・・・・?」

「月の呪いです、ほが」

 

なんか悪魔に歓迎された。

 

 

.




こういうハッチャけた回が2期にも欲しいぜ。

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