エルザが復活し、ミストガンが参戦を決め込み、反撃を開始する。
つっても、俺とダブルドラゴンは相も変わらず出られないが。
今はエルザに任せて、俺達はこの場に待機。
エルザがエバーグリーンを倒せばみんなの石化が解けるし、石化が解ければレビィの力で術式が解ける。
だが、直ぐには解けず、術式を解読するのに時間が掛かる。
俺が自力で解くには時間が掛かるだろうが、レビィの知識と頭なら俺より圧倒的に早く解けるだろう。
レビィに解かせるために、術式の情報を少しでも読み取っとくか。
俺は目を写輪眼に変えて、術式を読み取る。
え、と確かー、ローグ文字の配列情報を読み取って、文字マテリアルに分解してー・・・・・・・なんだっけ? ギール文法に変換?
まぁ、いいや、取りあえず情報を全部紙にでも書き写しとくか。
「―――――あれ? 何これ?」
そして、石化が解けた。
「おおっ‼ 元に戻ったぁぁぁぁぁっ‼‼」
「ルーシィ‼」
「え? 何!?」
◆◆◆
「バトル・オブ・フェアリーテイル!?」
「ラクサスがそんな事を?」
石化して意識が無かった女性陣に、事のあらましを説明する。
「が、それも、もう終わりじゃ。お前達が石から戻ればラクサスのくだらん遊びに付き合う事もあるまい」
「でも・・・フリードの罠にかかって傷ついた皆は・・・・・・」
「そうよ‼ ラクサスを懲らしめないと示しがつかないわ‼‼」
ミラとビスカの主張に、ジジイは「わーっとるわい」と頷く。
「後でワシが最大級の仕置をする。ラクサスめ・・・・今回ばかりは只では済まさんぞ‼」
「ま、仕置は別にいいんだがよ」
俺は口を挟んで、
「レビィ、術式を解いてくれ」
取りあえず書き留めた紙を手渡した。
「え? 何、コレ?」
「術式の配列情報とか分かるだけ書いといたから。お前ならすぐ解けるだろ」
「何言っとるんじゃ。もう戦う必要は無いんじゃし、フリードに解かせればいいじゃろう」
「ラクサスがそう簡単に諦めるとは思えねぇ。まだ何か手を用意してると思うぜ」
『――――分かってんじゃねぇか』
喧しい音を発てながら、術式の情報ボードがギルド中に出現し、ラクサスの声が発せられた。
『聞こえるかジジイ、そしてギルドの雑魚共よ。ルールが1つ消えちまったからな・・・今から新しいルールを追加する。バトル・オブ・フェアリーテイルを続行する為に、俺は【神鳴殿】を起動させた。残り1時間10分。さぁ・・・俺達に勝てるかな? それともリタイアするか、マスター?』
高笑いと共に、術式の情報ボードが消失した。
「何を考えておるラクサス‼ 関係の無い者達まで巻き込m―――――」
「――――落ち着けよ、血圧上がるぞ」
憤慨するジジイを膝カックンで黙らせる。
「何をするかっ!?」
「だから落ち着けって」
「コレが落ち着いていられるかぁ‼ 神鳴殿じゃぞ!? アレがどういうモノか知っておるだろう‼」
「うん、知ってる。だから落ち着けって言ってんだよ、今の俺なら神鳴殿の影響を受けん」
「・・・・・どういうことじゃ?」
「ま、直接見た方が早ぇな」
◆◆◆
みんなと一緒に外に出る。
と言っても、術式で出られないから2階のテラスだが。
上空を見上げると、街を包囲するように幾多もの魔水晶が浮いていた。
その魔水晶は、どれも雷を発し帯電している。
「雷の【魔水晶‐ラクリマ‐】・・・・・・?」
「あんなものが・・・・・・」
「街中に浮かんでる・・・・・・」
「まさか神鳴殿て・・・・・・・」
「そ。雷の宮殿ってやつだ」
全部で300個はあるな。
「てか、アレが放電したらどうなっちゃう訳?」
「街中にあの数の分だけ落雷が起きるな」
「じゃあ早く壊さないと・・・・・!」
「いや、あの魔水晶は【生体リンク魔法】が掛けられてるから止めとけよ」
「【生体リンク魔法】?」
あの魔水晶は、攻撃してきた者と自分のダメージを連結させる魔法が掛けられている。
つまり、攻撃を与えればそのダメージがそのまま自分に返ってくる仕組みだ。
「じゃあ壊せないじゃない!?」
「ま、大丈夫だ。俺が壊す」
「大丈夫なのか?」
ジジイを始めとしたみんなから向けられる視線に、俺は一つ頷いた。
「ただ、今直ぐ壊しちまうとラクサスがまた何か手を打ってくるかもしれんからな。まずは術式を解除してからな」
取りあえず術式さえ何とかしちまえば、後は直接ラクサスをぶっ飛ばすだけだ。
後、ついでに雷神衆。
「て訳で、レビィ、解除頼むわ」
「文字魔法の一種だからね・・・何とかしてみるよ」
「大丈夫大丈夫、レビィなら出来るって」
レビィで解けなかったら誰にも解けねぇし。
「よーし! ここから出たらラクサスと勝負だ‼」
「悪いがナツ、今回は俺に譲ってもらうぜ」
「ああ!? 何でだよっ‼」
「前回何も出来なかったに等しいからな、いい加減暴れてぇんだよ、俺も」
偶には無双したい時もある。
「雷神衆もラクサスも、纏めて俺がぶっ飛ばす!」
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