「この街に、こんなに人がいたなんてねー」
「『大パレード‐ファンタジア‐』目当てに、他の街からも大勢来てるからな」
毎年の、この街の恒例行事・・・・収穫祭。
街の人は祭りの準備に忙しなく動いており、それは俺達フェアリーテイルも例外ではない。
俺達は夜にあるパレードに出て、其々に魔法を披露するのだ。
さて、今年はどんな魔法を披露しようか・・・・・・。
「大パレード! あたしも見たーい‼」
「お前、参加する側だぞ?」
祭り前でテンション上がってるルーシィに、苦笑しつつツッコむ。
まぁ、気持ちは分からんでもないしな。
ルーシィは「参加といえば・・・・・・そろそろミス・フェアリーテイルコンテスト始まっちゃう~~~‼」と、ギルドに突っ走って帰って行った。
ミス・フェアリーテイルコンテスト。
つまりはミスコンだ。
このミスコンも収穫祭のイベントに組み込まれており、当然客も来る。
俺もギルドの一員として、盛り上げていかなければ!
◆◆◆
・・・・・そう考えていた時期が、俺にもありました。
まぁ、知っていたが。
「よォ・・・フェアリーテイルの野郎共・・・・祭りはこれからだぜ」
「ラクサス‼」
「フリードにビッグスローも!?」
「雷神衆‼」
「ラクサス親衛隊だ‼」
突然ミスコンに乱入した、雷神衆の1人・・・エバーグリーンが、ミスコン参加者を全員石化させてしまったのだ。
そして、ステージの上にラクサスが雷神衆を連れて参上したのである。
「遊ぼうぜ、ジジィ」
「馬鹿な事は止さんか! こっちはファンタジアの準備も残っとるんじゃ! 今直ぐ皆を元に戻せ‼」
「ファンタジアは夜だよな。さぁて、何人が生き残れるかねぇ・・・・・・」
カッ‼と、ステージの頭上に雷が発生し、石化したルーシィに襲い掛かる。
その落雷はギリギリで外れて、ステージの床を壊しただけで済んだ。
ハナっから当てる気なんかねぇクセに・・・・・・。
「この女達は人質に頂く。ルールを破れば1人ずつ砕いて行くぞ。言ったろ、余興だと」
「冗談ですむ遊びと、そうはいかぬものがあるぞ、ラクサス」
「もちろん、俺は本気だよ」
ジジイのドスの利いた声も大した脅しにはならないようで、ラクサスは止める気は無い。
「ここらでフェアリーテイル最強は誰なのかをハッキリさせようじゃないか」
「――――っつう遊びだヨ」
フリードとビッグスローの発言に続き、ビッグスローのベイビー達が「あそびあそびー」と楽しそうに笑う。
・・・・・・地味に可愛いんだよな、アレ。
「ルールは簡単。最後に残った者が勝者・・・・・バトル・オブ・フェアリーテイル」
――――――――ガコォォォォォォオンッ‼
と、大きな音を立ててテーブルが宙へと吹っ飛ぶ。
視ると、
「いいんじゃねぇの? 分かりやすくて。燃えて来たぞ!」
拳を振り上げたナツがいた。
さっきまでエーテリオン食った影響でダウンしてたのに、ようやく調子が戻ったようだ。
「ナツ・・・・・・俺はお前のそういうノリのいいとこは嫌いじゃねえ――――」
「行くぞ‼」
言って、ナツはいきなり突っ込んだ。
「おーいナツ、お前昔ラクサスに瞬殺されたこと覚えてねーのか?」
俺の記憶がボケてなければ、確か去年ナツが喧嘩吹っ掛けて、1秒も持たずに瞬殺されたはずだ。
実力に圧倒的な差がある事を、この馬鹿は理解しているのだろうか?
「ガキの頃の話だ‼」
「いや、去年の話だよ」
「去年はガキだったんだ‼‼」
今もガキだろーが、瞬殺されんぞ。
「―――だが、そういう芸のねぇとこは好きじゃねぇ」
「オラァァァァァァァァァッ‼」
「落ち着けよ、ナツ」
――――――――ビリビリビリィッ‼
「びぎゃあああああああああああああっ‼‼」
あ、やっぱ瞬殺された。
少しは学習するという事を覚えてくれ。
「この子たちを元に戻したければ、私達を倒してごらんなさい」
「俺達は4人、そっちは100人近くいる。うっわぁ‼ こっちの方が不利だぜ、ぎゃははははっ‼‼」
何が不利だっつー話だ。
ラクサスは当然としても、この雷神衆の3人もギルド内でも上位の実力者。
今動ける此処に居るメンバーでこの三人に勝てると断言できるのは、俺とジジイ位だ。
互角に戦えるのがナツ、グレイ、ガジルで、次点でエルフマン。
大穴でアルザック、マックス、マカオ、ワカバ、ジェット、ドロイ、リーダス、ビジター、ナブ、ウォーレン、ラキか。
後の奴等では勝負にもならずに終わる可能性が高い。
「制限時間は3時間ね。それまでに私達を倒せないとこの子たち・・・・・・砂になっちゃうから」
「バトルフィールドはマグノリア全体。俺達を見つけたらバトル開始だ」
まぁ、俺が倒せばいいだけの話だが。
今回は身内での喧嘩だ。
そう深刻になるほどでもないだろう。
「バトル・オブ・フェアリーテイル・・・・・開始だ‼‼」
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