エルザを救出して早3日。
昨日までホテルで休養し、今日の朝、俺はジュビアを連れてフェアリーテイルへと戻ったのだ。
俺とジュビアの2人だけ。
というのも、未だにナツが寝っぱなしで起きる気配も無く、みんなも疲労が抜けていない為ルーシィ達はホテルに残り、ジュビアが「一刻も早くフェアリーテイルに入りたい‼」と言い出したから、仕方なしに彼女を連れて俺達だけ先に帰宅したのだ。
そして俺達は、修理っつか改装を終えた新しいギルドホームの門を潜った。
まぁ、改装完了したのは原作でもあった事だから特に驚くことは無かったが。
取りあえずジジイに、ジュビアの加入を認めさせ、俺は新しくなったカウンター席に座りながら酒を飲んでいた。
「あー・・・・なんかようやく一息って感じだな」
元々休養の為にアカネビーチに行ったはずなのに、結局バトってんだもんなぁ。
「大変だったみたいね」
カウンターテーブルに注文したつまみを置きながら、ミラが苦笑する。
早速つまみの串焼きを口で齧り付きながら、「大変なんてもんじゃねぇよ」と愚痴る。
「休むためにリゾート地に行ったのに、結局休む間無しで戦ったんだぜ? しかもまた死に掛けたし」
「あらあら」
てか、1回死んだしな!
ファントム戦みたく仮死状態じゃなく、ガチで死んだからな、死の点突かれて。
そーいや、俺どうやって生き返ったかまだ神様に聞いてねぇな。
まぁ、その内判るだろ、たぶん。
「でも良かったじゃない」
「あ? 何が?」
「ストレス解消になったでしょ?」
「何処がだよ?」
「だって祐一って暴れるの嫌いじゃないでしょ?」
「だからって死に掛けていいわけじゃねぇし! ストレスなんて解消しねぇよ寧ろ溜まるわっ‼」
いったいミラは俺の事をどう見てるのか、是非聞いてみたいもんだ。
いや、ロクな回答が帰ってこない気がするから止めた方が良いか。
「てか、俺今回あんま出番なかったしよぉ、一回殺された相手を追い払ったぐらいで、言うほど戦ってねぇからな」
ジャック・ザ・リッパーに一度殺されて、生き返った後追い払い、その後の憑依転生したらしきジェラールはナツがぶっ倒し、俺の出番は無し。
ただやり返しただけで、エルザ救出には特に貢献していない。
・・・・・・アレ? もしかして俺って役立たず?
「ミラー、俺を慰めてー」
「あらあら、うふふ」
立ち上がってカウンター越しに抱き着いてみるが、ヒラッと避けられた。
ちくしょー・・・・・・。
「おお、此処に居ったか。広くなると見つけにくいわい」
「ん?」
後ろから聞き覚えのある声・・・つか、ジジイの声だ。
振り返ると、ジジイがジュビアを連れて来た。
「おう、終わったのか?」
「はい!」
とてもいい笑顔と声でジュビアは答える。
ジジイにフェアリーテイル加入を認めさせ、その手続きをしていたのが終わったのだろう。
「マークもちゃんと付けてもらったのか?」
ギルドに入った魔導士は、身体の何処かに魔導士の紋様を刻む。
刻むと言っても、魔法のスタンプで押すだけだが、その紋様がギルドに入った証であり、簡易的な証明書でもある。
俺は右手の甲に妖精の紋様が赤色で刻まれている。
色も決められるしな、魔法って本当に便利だな。
「はい、ジュビア、此処に付けてもらいました!」
言って、服装も含めてイメチェンをしたジュビアは、その紋様を見せた。
―――――スカートを捲り上げた、その左の太腿に紋様が刻まれていた。
「どうですか、祐一様!?」
「ああ、良い太m―――――良いと思います」
「うむ。よい太腿じゃ」
頷く俺に、ジジイも頷いた。
ああ、その白すぎる素肌が眩しいぜ。
「祐一、マスター・・・・怒りますよ?」
「「すいましぇーん」」
カウンターから強烈なプレッシャーを放つミラに、俺達は取りあえず詫びを入れた。
あ、後ジジイの誘いで、ファントムのガジルが加入してました。
「おい! テキトー過ぎんだろっ!?」
「男の扱いなんてこんなもんだろ」
ギャーギャーと隣で鉄竜が喚くが、僕は悪くない。
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