FANTASY☆ADVENTURE   作:神爪 勇人

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2話連続投稿


第52話 憑依転生

 

 

エーテリオンが放たれ塔が崩れて、石で造られた楽園の塔が水晶の塔に変わった。

この水晶がエーテリオンを吸収したのだ。

上でナツとジェラールの魔力がぶつかっている。

既に戦闘中か。

もうこれ以上のイレギュラーは無いと思うが、一応急いで行っとくか。

 

◆◆◆

 

 

「――――――【七星剣‐グランシャリオ‐】‼‼」

 

7つの光柱が天から降り注ぎ、塔へと落ちる。

隕石にも相当する破壊力を持った魔法。

元はRAVEでジークハルトが使ってた魔法だがな、まぁ、前作からのサービスみたいなもんだろうが。

ようやく戦場に辿り着いた。

ナツが倒れている。

 

「おーい、死んでるか、ナツ?」

 

倒れているナツの元へ向かう俺に、ジェラールは手出しする様子は無い。

 

「手ぇ出す気無しか。随分余裕だな?」

「上田祐一か・・・・・死んだと思ったんだが、結構しぶといな」

「俺の数少ない取り柄だからな」

「ククク・・・・転生者というのは、どいつもこいつも軽口が得意なようだ」

「ああ?」

 

コイツ、転生者の存在を知ってんのか?

ジャック・ザ・リッパーを寄越した事から可能性はあるとは思ったが、誰が教えた?

ジャック・ザ・リッパーは常時『狂化』の状態で、意思の疎通は不可能、会話も出来ない。

ジャック・ザ・リッパーではない、他の誰かか?

 

「ジャック・ザ・リッパーをお前に寄越した奴から聞いたのか?」

「んー・・・・当たらずとも遠からずだな」

「ん?」

「よーく俺の気配を探ってみろよ」

 

言われて、俺はジェラールの気配を強く観察し、感じ取る。

 

「! お前、まさか・・・・・・!?」

「クククク・・・・そうだ!」

 

大袈裟に笑うジェラールから感じる気配。

コイツのこの気配、間違いない。

 

「・・・・・・・転生者」

「ああ、憑依転生ってやつだよ」

 

憑依転生・・・・・原作キャラの身体を乗っ取り転生する。

コイツはその転生者か。

 

「まぁ、実際はちょいと違うんだがな」

「あん?」

「いや、これ以上話してやる義理はないか」

 

まぁ、後は【解析‐アナリシス‐】で調べるしかないか。

 

「ナツ・ドラグニルと遊ぶのにも飽きて来たし、次はお前の相手をするとしよう」

 

ジェラールの魔力が大きく膨れ上がる。

流石は聖十大魔道の一角、その魔力量は伊達ではない。

俺が戦闘態勢を整えたその時、俺の足が掴まれた。

 

「ナツ?」

 

目をやると、ナツが俺の右足首を掴んでいた。

既に気絶寸前な癖して、俺の足首を掴む力は相当なモノだ。

 

「・・・・・・俺が、やる」

 

フラフラしながら立ち上がり、ナツはそう言った。

 

「アイツは・・・・・俺が、やる‼」

 

声は力強いが、その足はガクガクで、KO寸前のボクサー同然である。

 

「無理してねぇで寝てろよ、俺がやってやっから」

「ふざけんな・・・俺がやるんだよ!」

 

・・・・・・・まぁ、昔っから言い出したら効かない奴だしな。

俺は嘆息し、その場に座る。

 

「言っとくが、負けそうになったら乱入するからな」

「おう‼」

 

俺はナツが戦ってる間、奴を観察して情報を集めるとしようか。

 

「おいおい正気か!? ナツ・ドラグニル程度の奴が俺を倒せると思ってるのか?」

 

心底愉快そうに嘲笑の笑みを浮かべるジェラールに、

 

「案外勝てるかもしれねぇぞ」

 

俺は不敵に笑って言ってやった。

ジェラールはバカにするように肩を竦めているが、まぁ、そうだろうな。

原作を知っているなら、キャラの情報も把握してるもんだ。

情報を知っていれば勝率は高い。

勝つこともそう難しくは無いだろう。

だが、ナツ・ドラグニルはこの世界の主人公だ。

主人公力を持つ奴は、時に此方の予想を超えて来るものだ。

まぁ、それも絶対なものでは無いが、やってみる価値はあるだろう。

 

「勝って来いよ、ナツ」

 

ナツは駆け出し、ジェラールに襲い掛かった。

 

 

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