俺はめでたくフェアリーテイルに入ることになったのだが、ここで一つの誤算があった。
・・・・・マカオとワカバがめっちゃ若ぇ。
最初は誰だこいつらと思ったほどだ。
そして俺は、ギルドに置いてあった新聞から今がいつなのかを知った。
『X771年』
つまりは、原作開始の約13年前ということだ。
フェアリーテイルの主人公であるナツは勿論、グレイもエルザもいない。
古株のカナの姿も見当たらないが、多分近い内に入るのだろう。
ラクサスの姿もないし、俺の知ってる奴はマカロフを除けば、マカオとワカバとギルダーツくらいなんじゃないだろうか?
いや、ラクサスは10歳くらいのはずだから、探せばいるのか。
つーか、原作からこんなに離れた時間軸に転生してどうすんだコレ。
マカロフ「おーい、祐一」
あれこれ思考を逡巡していたが、爺さんに呼ばれたため思考を中断する。
「なんだ、爺さん」
マカロフ「いやなに、ギルドのマークをお前さんの身体の何処かに入れなきゃならんのでな。ホレ、何処に入れるんじゃ?」
フェアリーテイルのマークが彫られたスタンプを持って、爺さんが言った。
そういや、そんなのもあったな。
色も好きに選べるんだったな。
「んじゃ、ここにしてくれ」
俺は爺さんに右手の甲を差し出した。
そこに、ポンとスタンプを押す。
俺の右手の甲に、フェアリーテイルのギルドマークが現れる。
その色は、赤。
なんか、刺青みたいだな。
スタンプでポンだから手軽だけど。
マカロフ「で、じゃ。さっそくじゃが、仕事をやってみるかの?」
「・・・・そうだな、やってみるか」
俺は今、無一文だ。
何処かに住むにしても、金は必要だしな。
マカロフ「簡単な仕事で、誰かを付き添いに付けようと思うのじゃが・・・・」
「いや、大丈夫だ。一人で行ける」
言って、マカロフがその手に持っている依頼書を取る。
依頼の内容は・・・・迷子の猫の捜索。
・・・・・・まぁ、最初は軽めのやつがいいか。
俺は一人、ギルドを出て仕事に向かう。
◆◆◆
「・・・・・・簡単すぎたな」
街中で、迷子の猫をたまたま見つけて、そのままひっ捕らえた。
特典で得た力を試そうと思ったのだが、特にそんな必要もなく、ただ走っただけで捕まえられた。
ステータスがMAXのおかげか、凄い速いし息切れも起こさない。
試すほどの事をしてないな。
「・・・・・帰るか」
既に依頼者に猫を渡して、依頼金は貰ってる。
その額、5000J。
・・・・・まぁ、こんなものだろう。
もう用はないし、とっとと帰ろう。
俺がギルドへ歩を進めたその時、
女「あら? あらあらあらあらあらあら?」
「あ?」
不意に奇妙な声を此方に向ける奴が現れて、訝しげに視線を向けた。
そいつは、女だった。
見たことのない女だ。
この女がどこの誰かなんて知らない。
だが、俺はこの女が何なのか、その姿を視界に入れた瞬間理解した。
そしてそれは、どうやら向こうも同じようである。
女「あなた、転生者ね?」
「ご同類か」
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初の転生者と遭遇。