「火竜の翼撃‼」
「開け! 巨蟹宮の扉‼ キャンサー‼‼」
「ウォータースライサー‼」
「アイスメイク! ハンマー‼」
「かめはめ波ッ‼」
海中を抜けた先にある、楽園の塔の地下。
そこを出た俺達は、早速兵隊に見つかってしまい、蹴散らしながら塔の上へと登っていく。
「四角ぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ‼ 何処だぁぁぁぁぁぁあああああああああああっ‼‼」
「ちょっと‼ ここは敵の本陣なんだから、大声出さないの‼」
「下であれだけハデにやったんだ。今更コソコソしても仕方ねぇだろ」
グレイの言う通り、今更だ。
まぁ、だからといってナツの様にむやみやたらと騒ぐのもどうかと思うが。
「いたぞ! 侵入者だあぁぁっ‼」
こんな風に居場所が掴まれるからな。
武器を持った何人もの兵隊が、ゾロゾロと群がって来る。
「懲りねぇ奴等だな」
「ま、向こうさんはコレが仕事だからな」
下っ端の苦悩だな。
嫌々やってんのか、進んでやってんのかは知らねぇが。
襲い掛かって来る兵隊たちを迎撃しようとする俺達だったが、それは突然聞こえて来た悲鳴により中断される。
俺達に向かっていた兵隊たちが、悲鳴を上げながら何者かに切り飛ばされていた。
アレは・・・・・・
「エルザ‼」
「良かった‼ 無事だったんだね‼」
深紅の髪を靡かせて、探し人が自らやって来た。
「お・・・お前達が何故ここに・・・・・・・・」
「お前らを助けに来たに決まってんだろーが」
仲間の目の前で誘拐されて、黙っているような奴等だとじゃねーだろ。
「帰れ」
だが、そんな仲間の気持ちを、この風紀委員長(笑)は切って捨てた。
「此処はお前達の来る場所ではない」
「いや、いいからそういうシリアスな感じの」
「お前もバッサリだな・・・・・・」
グレイの呆れた目が向けられた。
いや、だって普段天然と腕力で事を進めんのに、シリアスパートに入られても・・・・・・。
「ハッピーも捕まってんだ‼ このまま戻る訳にはいかねぇ‼」
「ハッピーが? まさかミリアーナ・・・・・・」
「そいつは何処だ!?」
「分からない・・・この塔の何処かにはいると思うが・・・・・・・・」
「よし分かった‼‼」
「何が分かったんだよ!?」
グレイのツッコミは尤もだと思うわ。
「ハッピーが待ってるって事だ‼」
言ってナツは爆走する。
後はハッピーを回収するだけなんだが・・・・・まぁ、それだけでは終わらないんだよな。
「俺も行くわ、ナツ一人だとな・・・・・・不安だ」
「敵の本拠地だもんね」
「いや、何か壊してギルドに請求されるんじゃねぇかなぁと」
「心配するとこそこなの!?」
これ以上仕事を増やされたら堪ったもんじゃねぇ。
だから此処は・・・・・・・
「敵を徹底的にぶち殺し」
まぁ、後でエーテリオンを落とされるから此処は完全に消滅してしまうのだが。
でも今そんな事、みんなに説明出来ねぇしなぁ・・・・・・どうしよ、原作通り成る様に成るか?
兎に角、俺はナツを追う事にした。
・・・・・・ファントムもそうだが、今まで行くところに転生者がいたからな。
今の所気配は感じないんだが・・・・・・・。
「・・・・・・なーんか、嫌な予感がすんだよな」
心臓の辺りの胸が疼く。
得体の知れない生物の腹の中にでも突っ込んで行く気分だ。
原作通りに進めばいいが・・・・・・・
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