FANTASY☆ADVENTURE   作:神爪 勇人

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第43話 連れ去らわれたエルザ

 

 

「エルザは何処だ?」

 

ターバンの様に布を頭に巻き、顎に鉄製の防具の様なモノを張り付けている大男が、俺達を見下ろしながらそう言った。

つか、ホントデケェな。

俺よりも頭3つ、4つ位上だぞ。

 

「何処だ?」

「誰なんだテメェ・・・・・」

「つか、無視してんなよ」

 

腕を掴まれてるのにも関わらず、不遜な態度で問いを繰り返す大男。

どうやら相当神経が太いようだ。

確かエルザの昔の仲間の・・・・・シモンだったか、コイツ。

ドリルとか使うんだろうか?

いや、中の人的にはナツなんだろうが。

まぁ、どうでもいいことだが。

 

「グレイ、ジュビア、お前らエルザのとこに行け。コイツの相手は俺がやる」

 

シモンの言葉から、エルザが目的というのは察せられる。

直ぐに理解した2人はエルザの元へ向かおうと足を動かそうとするのと同時に、「ん?」とシモンは首を傾げた。

 

「もう見つかっただと? ほう・・・そうか」

 

頭に指を付けて何者かと話している。

この動作は知っている。

フェアリーテイルでもウォーレンが使っている魔法『念話‐テレパシー‐』だ。

仲間と会話しているのだ。

 

「じゃあ・・・片付けていいんだな?」

 

シモンがジロリと俺をにらんだ瞬間、景色が暗転する。

カジノ内が突然暗闇に包まれた。

 

「え!?」

「な・・・なんだコレは!!?」

 

ジュビアとグレイの驚愕の声が聴こえた。

停電、ではない。

コレは魔法だ。

 

「闇の系譜の魔法――――闇刹那」

 

瞬間、俺が掴んでいるはずの腕が、スッと消えた。

 

「なに?」

 

振り払われたのではない、急に消えたのだ。

何が起きた?

つか、何で見えない?

鮫島篤が持つ『超五感』を得た俺の目は、電磁波すら視界に捉える。

暗闇だって問題無く見渡せる。

にも拘らず見えない。

明かりがどうこうじゃなくて、魔法による力だからか?

 

「あ?」

 

徐々に視界が晴れる。

景色が明るくなってきた。

 

「!?」

「光が戻りました‼」

 

グレイとジュビアの姿がハッキリと見える。

だが、それだけだ。

 

「おい、アイツはどうした!?」

 

俺が掴んでいた筈だから聞いて来たのだろうが、グレイのその問いには答えられない。

 

「分からん。急に消えやがった」

「消えた?」

「ああ」

 

力づくで振り払ったのではなく、不意に消えたのだ。

どうやら他にも何かしらの魔法が使える様だな。

 

「ナツー‼ グレーイ‼」

「ルーシィも来たか」

 

2人を呼ぶ声が徐々に近づいて来て、見慣れた金髪が視界に入って来た。

 

「あ、グレイ! と、ユウイチと・・・・ファントムの!?」

 

俺等を見つけた瞬間、仲間を見つけた安堵の顔と、何でここに的な疑問の顔と、ありえない奴がいた驚愕の顔と、コロコロ変わるルーシィ百面相。

 

「説明は後だ。ナツとエルザは?」

「ナツは分かんない。エルザは・・・・・・」

「ナツはあっちに埋まってる。エルザは海だ」

 

グレイとルーシィの疑問に俺が答えた。

 

「分かるの?」

「エルザの気配と、俺等を襲った奴の気配を感じる。既に船で海の上だ」

「じゃあ、とっとと追わねぇとな」

「まず何処かから船を調達しねぇと・・・・・・」

 

俺だけなら飛んで行けるが、みんなはそういう訳にもいかねぇし。

 

「とにかく海へ出るぞ。港なんてねぇから船があるかどうか分からねぇが、海水浴場があんならゴムボートくらいあるだろ」

「ゴムボートで海渡る気かよ・・・・・・」

「仕方ねぇだろ、贅沢言ってられるか」

「って! ナツは!? 埋まってるんでしょ、掘り起こさないと!」

「大丈夫だろ」

「ほっときゃその内来るって」

「そんな薄情な・・・・・」

 

ルーシィが先行く俺とグレイを呼び止めるが、俺達は構わず外へ進む。

後ろからジュビアが付いて来て、ルーシィは少しためらった後結局付いて来た。

瞬間、カジノから1つの火柱が上がり、「痛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ‼‼」というナツの叫びが聴こえて来た。

そして「逃がすかあの四角野郎ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ‼‼」と爆走し、俺等を追い越して行った。

 

「な? 大丈夫だったろ?」

「私の心配を返して欲しいわ・・・・・・・」

 

グッタリとするルーシィだが、そんな事で疲れてたら身が持たねぇぞ、この先。

 

 

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