なんかとんでもない事があったが、それは記憶から消し去ることにした。
いや、消えたわけじゃないが、もうさっさと忘れたい。
まずは自己紹介をして、素性を確認する。
この爺さんの名は、マカロフ・ドレアー。
その名を聞いた瞬間、俺はここがどんな世界なのか悟った。
『FAIRY TAIL』
それが俺が今いる世界だ。
・・・・・そうか、フェアリーテイルに来たか。
ファンタジー全開な世界で、魔法が主体の世界だ。
あの神様が言った通り、もし俺が特典で魔法無効化を得ていたら、この世界で俺にダメージを与える手段など物理攻撃しか無くなってしまう。
完全にチートだ。
いや、まぁ、幻想殺しも充分チートなんだろうが・・・・・。
マカロフ「それで、お前さんは誰じゃ?」
「・・・・・祐一。上田祐一だ。あ、祐一が名前な」
俺の返事にマカロフは「珍しい名前じゃのー」と、顎鬚を掻きながら言った。
マカロフ「東の大陸から来たのかね?」
「ま、そんなところだ」
異世界から来ました、などとは言えず適当にごまかす。
まぁ、日本を極東の地と言うし、嘘は言ってないだろう。
・・・・・この世界の東とは何の関係もないが。
しかし、マカロフと出会ったのは好都合だ。
「マカロフと言えば、フェアリーテイルのギルドマスターだよな? 聖十大魔導の一人の」
マカロフ「おう、よく知っとるの」
「有名だからな」
白々しく思われない程度の演技。
事前知識があるのは嘘ではないし、変には思われないだろう。
「じつはフェアリーテイルに入りたいんだが・・・・」
マカロフ「よいぞ」
「早いなっ!?」
少しは説得が必要かと考えたが、どうやらそんな必要はなかったらしい。
まぁ、手間が省けて助かるが。
「じゃあ、行くかのー」と歩き出すマカロフの後に、俺も付いていく。
「そーいや、爺さんは何でこんな森にいんだ?」
自分の事を完全に無視した質問だったが、マカロフは特に疑問に思わなかったようだ。
マカロフ「定例会の帰りじゃよ。近道でここを通ってたんじゃ」
定例会ってのは、アレか。
地方のギルドマスター同士が会って話をするやつだ。
それでこんなところを通ってるという事は、少なくともまだ原作は始まってはいないようだ。
原作からどれくらい前なのかは知らないが。
・・・・今、何年か聞いた方がいいか?
いや、聞かなくてもフェアリーテイルに着けば大体分かるか。
◆◆◆
3時間程だろうか。
ようやく森を抜け歩き続け、マグノリアという街に到着する。
マカロフ「着いたぞ」
そして、俺は妖精たちがいる、このギルドにやって来たのだ。
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