FANTASY☆ADVENTURE   作:神爪 勇人

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第30話 15分!

 

 

 

空を飛ぶ俺の視界の先に存在する、ファントムの移動要塞?的なギルドホーム。

海の上を歩いてくるとか馬鹿じゃねぇのマジで。

その移動要塞の前面にあるのは、一つの巨大砲台。

魔導集束砲:ジュピター。

その魔導砲の銃口に、膨大な量の魔力が集束されていく。

アレが放たれたら辺り一帯吹き飛ぶだろう。

そんなモノが俺達のギルドに向けられているんだ。

冗談じゃねぇぜ。

その魔導砲が放たれようとしている時、その一撃を受け止めようとしている者がいた。

エルザだ。

換装し、金剛の鎧を身に纏ってジュピターの砲撃を受けようとしている。

確かにアレならジュピターの砲撃を受け止められるだろう。

原作でも受け切ってたしな。

けど、それをやってしまえば、エルザは重傷を負う。

・・・・・まぁ、それでも戦い続けて立っていられるんだからホントぶっ飛んでるな。

だが、態々それを眺めてやる気は無い。

その砲撃をどうにかする手段があるのなら、やるに越したことはないからな。

ドゴオォォォォッ‼と、ジュピターが放たれた。

俺は最大スピードで空を飛び、砲撃を受け止めようとしているエルザの前に躍り出た。

 

 

エルザ「祐一!?」

 

 

驚く声が後ろから聞こえたが、答えてやる時間は無い。

ジュピターの砲撃がもう眼前まで来ていた。

俺のやる事は一つ。

その砲撃を、俺は右手で受け止める。

『幻想殺し‐イマジン・ブレイカー‐』

俺の持つ特典の一つ。

その能力は、あらゆる異能の力を打ち消す。

それは魔力によって放たれるジュピターも例外ではない。

だが、こういった魔力が放出され続ける類の攻撃は、打ち消せる訳じゃない。

打ち消した先に更に魔力が放たれ続けるからだ。

だから俺は右手でそのジュピターを正面から受け止める事はせず、やや下側から受け止めて、

 

 

祐一「ウラアァッ‼」

 

 

斜め上へと受け流した。

よし、上手くいったな。

受け流したジュピターの砲撃はそのまま上へと昇って行き・・・・

 

――――――ギルドの屋根を吹っ飛ばした。

 

 

祐一「・・・・・・・・・」

 

「「「・・・・・・・・・・・・・」」」

 

 

き、気まずい!

カッコつけて出て来たのに、ギルドを護ろうとしといて一部とはいえギルドを壊してしまうとは!

 

 

祐一「・・・・す、すまん」

 

 

取りあえず謝っとこう。

 

 

「お、おう・・・!」

「ま、まぁ、気にすんなよ・・・!」

「そ、そうだぜ。お前が来てくれなきゃギルドが跡形も無く消し飛んでたかもしれねぇしな・・・!」

 

 

ギルドの皆のその優しさが胸に突き刺さるぜ・・・。

 

 

「まぁ、お前が出しゃばらなきゃエルザが防ぎ切ったかもしれねぇけどな」

 

祐一「よーしお前ちょっと面貸せや」 

 

 

俺が少しばかり気にしてる事を・・・!

 

 

ナツ「祐一! お前大丈夫なのか!?」

 

祐一「おう。ま、アレくらい平気平気」

 

 

皆が駆け寄って来た。

どうやら心配をかけたようだな・・・。

 

 

グレイ「お前、良く生きてたな」

 

祐一「んだよ、大袈裟だな」

 

エルフマン「いやお前、心臓止まってたんだぞ!?」

 

祐一「止まったんなら動かせばいい」

 

エルフマン「普通は出来ねぇよ!?」

 

カナ「てか、アンタ心臓止まるどころか内臓が色々腹からはみ出てたんだよ?」

 

祐一「・・・・マジ?」

 

 

俺の疑問に、皆は頷いた。

 

 

レッド「でも傷口が塞がり始めたから大急ぎで内臓を腹の中に押し込んだんだ!」

 

エルザ「適当に押し込んだんだが大丈夫だったか?」

 

祐一「おい止めろよ、何か腹が変な気分になってくるだろうが・・・」

 

 

大丈夫かよ俺の内臓。

それもちゃんと回復してんだろうな・・・?

 

 

『生きていたのか・・・妖精皇帝』

 

祐一「あん?」

 

 

何処からか声が聴こえて来た。

ファントムのギルドからか・・・拡声器か?

 

 

『敵を前に会話とは随分と余裕を見せてくれるじゃねぇか』

 

 

確か、ファントムのマスター・・・ジョゼだったか?

俺やジジイと同じ、聖十大魔道の一角の。

 

 

ジョゼ『選べ』

 

祐一「ああ?」

 

ジョゼ『ここでくたばるか・・・ルーシィ・ハートフィリアを渡すか』

 

 

ああ、そうか。

ルーシィの親父がファントムに依頼してるんだっけか?

まぁ、ファントムの私怨もあるんだろうが。

ジョゼのその言葉に皆が「ふざけるな!」とか「仲間を売るギルドがどこにある!?」とか言い返す。

 

 

エルザ「仲間を売るくらいなら死んだ方がマシだ‼」

 

ナツ「俺達の答えは何があっても変わらねぇっ‼ お前らをぶっ潰してやる‼」

 

祐一「ま、そういう訳だ幽鬼の。一昨日出直してこい」

 

 

フェアリーテイルに仲間を売るやつなんて、一人も居やしねぇんだからよ。

 

 

ジョゼ『ならば更に特大のジュピターを食らわせてやる‼ 装填までの15分! 恐怖の中で足掻け‼‼』

 

祐一「何回撃っても俺が防ぎ切ってやるよぉ・・・!」

 

 

右手じゃなくても最悪神威で飛ばせばいい。

そう考えていたところに、ファントムのギルドから次々と何かが出て来た。

人・・・いや、違う。

あれは『幽兵‐シェイド‐』。

人間じゃなく、ジョゼが魔法で造り出した幽鬼の兵士。

 

 

ジョゼ『地獄を見ろフェアリーテイル、貴様らに残された選択肢は二つだけだ。我が兵に殺されるか、ジュピターで死ぬかだ』

 

 

・・・・ちょっと面倒だな。

流石に何百という幽兵を相手にしながらジュピターを止めるのは、少し骨だ。

 

 

カナ「ジュピターをなんとかしないとね・・・」

 

祐一「守りを考えると、最低人数で行くべきか」

 

ナツ「俺がぶっ壊してくる‼ 15分だろ? やってやる‼」

 

祐一「ナツだけに行かせる訳にもな。グレイ、エルザ、エルフマンも行くぞ」

 

グレイ「おう!」

 

エルフマン「おっしゃあぁぁぁっ!」

 

エルザ「ああ!」

 

祐一「守りはレッド、カナ、ロキを中心にして固めろ」

 

 

指示を終えた後、俺は両手で印を結ぶ。

両手の人差し指と中指で十字を作る印。

 

 

祐一「影分身の術‼」

 

 

ボンッ!と、俺の横に一体の分身体が出現した。

 

 

祐一「分身体を一体置いておく、ジュピターが撃たれたらコイツで止めるわ」

 

 

分身体の俺は「任せろ」と頷いた。

 

――――俺等に喧嘩を売った事を後悔させてやるぜ、ファントム!

 

 

 

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