FANTASY☆ADVENTURE   作:神爪 勇人

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第28話 敗北!?

 

 

 

 

鉄炎剣が篤の頭上に迫る。

あの悪魔の能力が何なのかは知らないが、沈めてしまえばどうでもいい。

腕を振り下ろし、鉄炎剣が篤の頭を切り裂こうとした寸前、悪魔が動いた。

そのグルメ細胞の悪魔の真っ黒な腕が俺の鉄炎剣に触れた瞬間、俺の鉄炎剣の刀身の半分がゴッソリと消失した。

 

 

祐一「なんd―――――」

 

 

―――だと?という言葉を発するよりも、篤の動きの方が速かった。

篤の右拳が俺の腹に飛んで来る。

マズい、竜の鱗じゃ防ぎきれねぇ、ベクトルの壁を――――

 

 

篤「60連ナイフビートネイルガン‼」

 

 

―――――ズドオォォンッ‼

 

 

祐一「がふぁぁあっ!?」

 

 

篤の腕が俺の腹を貫通した。

否、衝撃はまだ俺の体内を攻撃している。

ナイフの刃に、60連のネイルガンを乗せて、更には音の振動波を纏った一撃。

俺の身体を内側から破壊していく。

 

 

祐一「がぐぉっ、げぼぉっ・・・・」

 

 

衝撃がようやく収まったが、いかん腹に穴が空いたままだ。

口や腹から血が滝のように溢れ出てきやがる。

エリザベスの説明で学習したアイツの再生能力が働くが、ダメージがデカくて瞬時には完治出来ない。

 

 

篤「お前のさっきの反射ってやつ、どうやら他の能力を使ってる間は発動出来ないみてぇだな」

 

 

その通り。

ベクトル操作は他の能力と併用して使う事が出来ない。

使う時は他の能力をオフにしなければ発動出来ないのだ。

ただ飛ぶだけの『翼‐エーラ‐』くらいなら使えるが、他の魔法との併用は昔っから出来ない。

それを直ぐに見抜かれたか。

あー、くそ、これなら神威ですり抜けた方が良かったか?

アレはアレで使い方を誤ったら詰むから乱発はしたくないんだが・・・・。

 

 

祐一「ここまでダメージを受けるとはな・・・・」

 

 

怪我すんのなんざいつ以来だろうな・・・リサーナが消えた時以来か。

まぁ、今はいい。

今はこの状況を何とかしねぇとな。

腹の穴は塞がったが、傷はまだまだ癒えていない。

最強の盾は無理だ。

再生能力と盾の精製を同時に行う事が不可能なのは原作でもやってるしな。

ベクトル変換で戦えばコイツの大半の攻撃から身を護る事は出来るんだろうが、あのグルメ細胞の悪魔の攻撃は・・・・たぶん反射出来ない。

アレが何なのか、理解できないからだ。

分かるのは、食欲の塊という事だけ。

俺の鉄炎剣も刀身の半分がゴッソリと消えたが、アレは食われたのだ。

篤の悪魔に・・・・。

一旦神威で身を隠すか?

いや、俺以外でコイツを止められる奴がいるとも思えねぇ。

転生者の相手は転生者だ。

まだ皆ファントム相手に報復を続けている。

確かこの後、原作の流れならジジイがやられるハズだ。

誘拐されるハズのルーシィがこの場にいて既に原作の流れから少しばかり外れているが、そのくらいで流れが変わるとも思えん。

早々にケリを付けたいが・・・・。

 

 

篤「まだ喧嘩の途中だぜ、気ぃ抜いてんなよ‼」

 

 

篤が一足飛びで間合いを詰める。

 

 

篤「ツインネイルガン‼」

 

 

覇気を纏った左右のパンチが繰り出される。

ベクトル・・・いや、コイツの身体から具現化している悪魔が、篤自身の攻撃と連携して動いていて、ベクトル操作なんてモノを使った瞬間、篤の腕は弾けても悪魔に食われかねん。

神威も・・・コイツの野生の勘を『完成』で身に付けたせいか、嫌な予感がヒシヒシと伝わってくる。

おそらくだが、あの悪魔は空間すらも食らいかねない。

すり抜けたところを食い千切られる様な予感が拭えない。

避けるしかない。

『写輪眼』+『憤怒の最強の眼』+『神足‐ハイスピード‐』+『怠慢の超スピード』+『音速移動』‼

超絶的な動体視力と回避スピードで、篤の攻撃と、グルメ細胞の悪魔の身体に触れないように、俺は攻撃を全て回避する。

そして、

 

 

祐一「『色欲の最強の矛』+『ナイフネイルガン』‼」

 

 

反撃する。

右手の五指を槍のように鋭く尖らせ、ナイフネイルガンを篤の腹にお見舞いする。

さっきの仕返しだ。

ズドォンッ‼と、俺の一撃が篤の腹に決まり、奴の左腹部を貫いた。

効いたか!?

そう思ったのも束の間、奴はニヤリと笑みを浮かべ、

 

 

篤「レッグ釘キック‼」

 

 

―――――ズガガガガガンッ‼

 

 

祐一「がっ・・・・」

 

 

俺の顎に、篤の左足の蹴り上げが極まり、俺は宙へ蹴り飛ばされた。

ヤバ・・・脳が揺さぶられて、意識が・・・・・・。

俺は薄れる意識を奮い立たせ、腹に魔力を溜める。

そして最大の一撃を放とうと、魔力を口から吐き出した。

 

 

祐一「鉄炎竜の咆哮‼」

 

 

――――――ゴオオオオオオォォォォォォォォォォォッ‼

 

下方向にいる篤へ向けて、咆哮を放つ。

だが、

 

 

篤「レッグ50連ナイフ‼」

 

 

――――――ズバアァァァッ‼

 

 

祐一「マジ、か・・・・!?」

 

 

俺の鉄の刃と炎熱を放つ咆哮が、奴の蹴りで真っ二つに切り裂かれた。

驚く暇も与えてくれそうになく、篤は跳び上がり接近して来る。

 

 

篤「ツインネイルガン‼」

 

――――――ギャォォァアアッ‼

 

篤「60連ナイフネイルガン‼」

 

――――――ズドォォオンッ‼

 

篤「70連フォーク釘パンチ‼」

 

――――――ズドオォォォォォォオオンッ‼

 

 

祐一「ぐ・・ぅ・おぇあ・・・・・!?」

 

 

篤の連続攻撃。

痛みと出血で視界が霞む。

いや、視界だけじゃなく、意識が・・・・・―――――――――――――――――

 

 

◆◆◆

 

 

 

エルザ「祐一!?」

 

 

一番その異常事態に早く気付いたのは、エルザだった。

ジョゼを殺しに行くと最上階へ向かったマスター・マカロフが魔力が感じられない状態で落下して来た矢先、祐一が吹っ飛んできたのだ。

その姿は、見るからに瀕死の重傷だ。

 

 

ナツ「じっちゃん!?」

 

レッド「祐一!?」

 

 

フェアリーテイルに動揺が走る。

どちらもフェアリーテイル最強の戦力であり、大陸に10人しかいない聖十大魔道の一角だ。

その二人が既に戦闘不能に陥ったのだ。

 

 

「いけるぞ‼ これで奴等の戦力は半減だ‼」

 

「今だ、ぶっ潰せぇぇぇぇぇぇぇ‼」

 

 

ファントムの魔導士達の雄叫びが響き、妖精達を一気に刈り取らんと攻め立てる。

 

 

エルザ(いかん! 戦力だけではない・・・士気の低下の方が深刻だ)

 

 

逆にファントムの士気は上がりに上がっている。

このままの戦闘行為は命に関わる。

 

 

エルザ「撤退だぁぁぁぁぁ‼ 全員ギルドへ戻れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼‼」

 

 

この日、フェアリーテイルはファントムロードに敗北した。

 

 

 

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