「ポイズンドレッシング‼」
祐一「うおっ!?」
掛け声と共に、上から紫色の液体の雫が降りかかって来た。
咄嗟に後ろへ飛び退く。
避けた俺の足下にその雫が落ちてきて、床をジュワァァッ・・・と溶かし始めた。
毒かコレ!
つーか、この技ってもしかしてアレか?
先日のフライングフォークやジェットボイス。
そこから考えられる技なんて、アレしかねぇ。
「よお、初めましてって言っとこうか」
攻撃が降り注がれた元である上・・・つまりは天井から声が聴こえてきて目を向ける。
そこには、赤毛の短髪で、逆立った髪型に、ツリ目の赤目。
更には黒い革ジャンの下に赤いTシャツ、紺のダメージジーパンを履いた、なんとも個性全開な見た目をした不良君が立っていた。
つーか、やっぱりそうか。
祐一「転生者か、お前」
篤「鮫島 篤だ。夜露死苦!」
祐一「上田祐一だ。つーか、いつの時代の挨拶だ・・・」
やはり転生者か。
そして能力は確定した訳じゃないが、たぶんトリコの能力。
フライングフォークにジェットボイス、そしてポイズンドレッシング。
あの作品の四天王の技だ。
この分だと髪の毛を伸ばしてフライ返しとかやってきそうだぜ。
祐一「一応聞いとくぜ。お前の神様特典・・・トリコの能力か?」
篤「いや、少し違うな」
俺の質問に、篤は隠す気はないのかベラベラと語り出す。
篤「俺があの神様って奴から貰った特典は『覇気の力』『超人的な五感』『グルメ細胞』『食義』『野生の勘』『猿武』の6つだ」
『覇気の力』。
これは武装色・見聞色・覇王色、三つの覇気の力を扱う能力。
ワンピースに登場する力だ。
『超人的な五感』は、おそらくそのままなんだろう。
いや、トリコの能力を扱っている所を見ると、四天王の其々の特徴を再現出来るのか?
ココの電磁波すら捉える視覚。
警察犬以上に強力なトリコ嗅覚。
髪を自在に操るサニーの触覚。
数十キロ離れた音を聞き分けるゼブラ聴覚。
そして50メートルプールに落とした、一滴の果汁の味を把握するG7の味覚。
直接的な攻撃力などは無いが、これらの能力を一人の人物が使えるとなるとかなり厄介だな。
次に『グルメ細胞』。
トリコに出て来る能力の代表と言ってもいい能力。
上手い物を食べれば食べるほどパワーアップする細胞で、長寿や再生能力などの力もあり、食のエネルギーを自在に操る。
四天王の能力もコレで再現していると視るべきか。
もしかしたら一龍とか三虎の能力まで使えるとかほざくんじゃないだろうな・・・。
そして『食義』。
これもまたトリコ内で出て来る能力。
いや、能力というよりは技術と言った方が良いのか?
食べることに礼儀と感謝を極める事によって会得する技法。
それは精神面であり、技術面に生かされる。
全ての力を無駄なく使え、エネルギーの消費を大幅に抑え、更に技の威力やスピード正確さは数倍のも増す。
食義を極めた者は、食没という奥儀を会得できる。
ほぼ無尽蔵に食のエネルギーを貯蔵する能力だ。
わざわざ特典に使ったってことは、当然それも使えると考えようか。
『野生の勘』。
たぶん説明不要なんだろう。
生物が本能的の持つ直感でいいはず。
最後に『猿武』。
コレは確か全細胞の思考を一致させ、自在にコントロールする技術だったはず。
身体に掛かる負荷を受け流す事を基本に、全細胞を一点に集中させて繰り出す攻撃が奥儀だったような気がする。
モンキーダンスとか別名があったような気がするが、全部は把握してないんだよなぁ俺・・・。
祐一「つーか、随分気前よく話してくれるんだな。普通相手に手の内を晒す様なことはしないのがセオリーだと思うが?」
篤「分かってねぇな。喧嘩ってのは自分の全てをぶつけに行くもんだろーが! 能力を知られようがどうだろうが関係ねぇんだよ! 真っ向勝負が基本だぜ‼」
祐一「暑苦しい奴だな。つーか、お前が自分の特典語ったからって俺も語るとは限らんぞ?」
篤「いいんだよ、コレは俺の流儀だ。喋る気がねぇんなら、無理に喋る事はねぇ」
祐一「そーかい」
どうにも暑苦しいというかなんというか・・・・喧嘩人だな。
バトル馬鹿ってのとはちょっと違うっつーか・・・・うん、ただの喧嘩馬鹿だな。
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