フィオーレ王国。
北東、オークの街。
この街に、ファントムロードのギルドホームがある。
マグノリアから歩いて4時間といった所か。
それだけの距離を、俺達は黙々と歩いて来た。
言葉は不要。
今、この場で使う言葉など、誰も何も持ち合わせていない。
そんなことに無駄な体力を使うぐらいなら、奴らにぶつければいい。
もう既に朝だ。
日は完全に昇っている。
もう大体の人は起きている頃だろう。
ここオークの街に入ってから、人の姿がチラホラと見える。
働き始めている人もいる。
だが、そんことはどうでもいい。
用があるのは、あそこだけ。
俺の視界に見えて来る、この街の魔導士ギルド。
幽鬼の支配者・・・ファントムロードのギルドホーム。
視界だけじゃない、音も聞こえてくる。
耳障りな、騒がしい音。
匂いも漂ってくる。
この朝っぱらから、強烈な酒の匂いが辺りに充満している。
こんな時間から飲んでいるのか。
俺達の家をぶっ壊しといて、いい度胸してやがる。
そんなファントムのギルドホームに近づくと、ナツが急に駆け出した。
その拳に滅竜の炎を宿し、ファントムギルドの扉を力一杯に殴り飛ばした!
爆ぜる扉。
爆音と炎熱で周囲が焼ける。
人の呻き声の様なモノが中から聞こえてきたが、まぁ、どうでもいい。
どうせファントムの一員だろう。
これから潰す連中の一人だ。
此処で潰すか後で潰すかの違いしかない。
ナツがファントムギルドに一番乗りし、続いて俺達が乗り込む。
マカロフ「フェアリーテイルじゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼‼‼」
自らの身を明かし、カチコミの目的なぞ語るまで無い事を分からせてやる。
俺達が誰だか分かっても尚、俺達が此処を襲撃しに来た理由が分からないとかほざく様なら、もう何も言わずに潰してやろう。
だが、流石にそんな奴は一人もいなかったようだ。
虚を突かれたが、ファントム側も直ぐに目の色を変え、俺達を睨み、攻撃して来ようとするが、
ナツ「おおおおあああああ・・・・らああぁぁぁぁぁっ‼‼」
火竜の翼撃‼
両腕から放たれるナツの炎の翼が、続けてファントムの魔導士を薙ぎ払っていく。
ナツ「誰でもいい‼ かかってこいやあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼‼‼」
フェアリーテイル1の特攻野郎の叫びを合図に、ギルド同士の戦争が始まった!
祐一「俺も行くぜ・・・・!」
特に誰かを標的としている訳じゃない。
だから、辺り一面をぶっ飛ばす一撃を放ってやる。
祐一「モード・・・鉄炎竜‼」
完成でコピーした、滅竜魔法。
ナツの火の滅竜魔法と、ガジルの鉄の滅竜魔法。
その二つの力を合わせて生み出した、新形態!
全身の皮膚を鉄で覆い、口や目は赤く輝き火が溢れ出る。
ただ鉄で身体を固めただけじゃない。
更に熱を発して、俺の身に触れたモノを火傷させる。
鉄の身体だからな、炎熱が篭れば熱いじゃ済まされない。
祐一「鉄炎竜のぉ・・・咆ぉぉぉぉぉぉぉ哮ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ‼‼‼」
ゴオオォォッ‼と、俺の口から鉄と炎のブレスが吐き出される。
鉄の刃に炎の熱が灯り、赤い炎熱の刃となって触れたモノを切り刻み、焼いていく!
俺の眼前に広がる全てを吹き飛ばす。
それに続いて、皆が暴れ出す。
ナツ「火竜の翼撃‼」
グレイ「アイスメイク! 氷雪砲‐アイス・キャノン‐‼」
エルフマン「ビーストアーム! リザードマン‼」
カナ「カードマジック! 爆炎‼」
マカロフ「ジョゼエエェェェェェェェェッ‼ 出て来んかああぁぁぁぁぁっ‼‼」
エルザ「何処だ! ガジルとエレメント4は何処にいる!?」
俺も辺りを見回してみるが、姿は見えない。
あの赤毛の男もだ。
ま、それも気にはなるが、俺が今一番気にしてるのは・・・・
ルーシィ「開け! 金牛宮の扉‼ タウロス‼」
タウロス「MOオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォッ‼‼」
俺の直ぐ近くで、星霊を召喚して暴れているルーシィだ。
ボロボロにされたレビィの敵を討ちたい為に来たのは分かるのだが、確かこれは原作にはなかった展開だ。
ルーシィは一人病院に残り、病院から出てしばらくしたところ、ファントムの魔導士に捕獲されてしまうはずだった。
この場に一緒にいるという事は、その展開にはならないのか?
まぁ、何にせよ、目を離さない方がいいか。
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鉄炎竜のイメージは、ガジルの鉄影竜の影部分を炎にした感じですかね。