FANTASY☆ADVENTURE   作:神爪 勇人

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第18話 上田祐一&レッドVSエリザベス・マスタング

 

 

 

黒髪のセミロングに、ツリ目の黒目。

その容姿は視たことがない。

おそらく初対面だ。

何かのキャラということもないだろう。

だが、マスタングという名の名字。

そして、エリザベスと名乗る彼女のその出で立ち。

それは非常に見覚えがあった。

 

 

祐一「もしかしなくても、ロイ・マスタング?」

 

 

鋼の錬金術師という作品に登場するキャラの格好を、この女はしていた。

そう、焔の錬金術師ロイ・マスタングが装備していた軍服に、錬成陣が描かれた発火布の手袋。

そして、腰の左右に差してある二本の軍用サーベル。

まんま、アメトリス軍の恰好であった。

 

 

祐一「なんつーか・・・転生する世界を間違えてねーか?」

 

エリザ「うっさい! 私だって本当はハガレンの世界に行きたかったのよっ‼」

 

 

地団駄を踏みながら、エリザは憤慨している。

 

 

エリザ「あんのクソジジイ・・・人をミスで事故死させてしまったお詫びに好きな世界に転生させてやるって言っておいてぇ・・・いや、別にフェアリーテイルの世界も嫌いじゃないけどさぁ・・・リオンとか超好きだし!」

 

 

どうやらこのエリザを転生させた神様はお爺さんのようだ。

俺は女神だったが、性格に難がありそうなのは共通している。

どうやら神様というのは酷くいい加減らしい。

愚痴りながら、顔を顰めたり赤らめたりしているエリザに俺は嘆息する。

 

 

祐一「リオンなぁ・・・俺も別に嫌いじゃないが、俺的にはグレイの方が好感持てるかな」

 

 

脱ぎ癖を除けば、フェアリーテイル内では珍しく常識人だ。

まぁ、その脱ぎ癖が致命的なのだが。

俺のその呟きに、エリザはクワッ‼と目を見開いた。

 

 

エリザ「はぁ? グレイの何処がいいのよ? リオンとは比べ物にならないわ‼」

 

祐一「そうか?」

 

 

ま、人の好みは其々だ。

別にその価値観にどうこう言う気はない。

 

 

エリザ「グレイなんてただの露出狂じゃない‼」

 

祐一「いやリオンと何が違うんだその辺・・・」

 

 

アイツも露出魔だぞ?

ワリと脱ぐぞ?

まぁ、このガルナ島では精々マントを脱ぐくらいだが。

 

 

エリザ「・・・リオンを悪く言うのは許さない!」

 

 

ゴォッ‼と、エリザの闘気が膨れ上がった。

やる気満々だな。

つーか、自分はグレイを悪く言っといて自分は悪く言われるの嫌なのかよ、自分勝手な・・・。

なんて呆れていると、エリザは唐突に両手の掌をパンッ!と合わせた。

その様を視たとき、俺は「え?」と思わず間抜けな声を出してしまった。

両手を合わせた後、エリザは勢いよく掌を地面に付く。

すると突如地面が隆起し、岩石の槍に変化した地面が襲い掛かってくる!

 

 

祐一「瞬間錬成ッ⁉ 避けろレッド‼」

 

レッド「お、おう⁉」

 

 

バッと其々左右に跳んで回避する。

今のは錬金術!

どうやら見た目だけでなく、能力もハガレンのモノらしい。

 

 

レッド「おい、今の何だ? 魔法か!?」

 

祐一「・・・まぁ、似たようなモンか」

 

 

魔法でも同じような事をすることは出来るし。

 

 

レッド「地面を操る魔法なのか?」

 

祐一「いや、アレは万物を操る能力だ」

 

 

魔法みたいに、無から火や水を出現させることは出来ないが、そこに存在しているモノを自在に操ることが出来る。

まぁ、その物質の情報や知識が無ければ錬金術は使えなかったと思うが、その辺は神様パワーだろう。

とにかく、奴はエドやアルが使っていたあの瞬間錬成が使えるようだ(終盤でロイも使えるようになったが)。

能力っつーか、神様特典はアレだけか?

マスタングの装備と、錬金術と、瞬間錬成。

まだ他にもあるのか?

 

 

祐一「・・・考えてても仕方ないな。レッド、左から攻めろ。俺は右から行く」

 

レッド「分かった!」

 

 

レッドは戦闘モードシフトし、身体を大きくした。

格闘戦を主体にする形態であり、本来ならこの姿こそが本当の姿なのだろう。

エドラスとアースランドじゃ魔力の違いなのか、この姿をそんなに長く維持することが出来ないようだが。

左からレッドはその大きな爪を、俺は右から換装魔法で取り出した剣でエリザに切りかかる。

――――――バキンッ‼

・・・金属が砕ける音が耳に届く。

いや、音だけでなくその様を視た。

両腕を黒くしたエリザの腕が、俺の剣を砕き、レッドの爪を弾いたのだ。

 

 

祐一「・・・グリードの炭素硬化」

 

 

面倒な能力を持つこの女に、俺は自分のチート能力を棚に上げて舌打ちした。

 

 

 

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