エバルーを近くにある評議院支部に連行した後、俺は『舞空術』で空を飛んで帰る。
小林太郎こと孫悟空の能力だが、どうやら『翼‐エーラ‐』よりこっちの方が燃費が良いらしく、力の消耗が少ない。
これからはこっちを使うか。
更にスピードを上げるなら、『舞空術』に『翼‐エーラ‐』を加えればいいし、『翼‐エーラ‐』の能力は無駄にならずに済みそうだ。
さて、後はカービィの家で本の秘密をルーシィがドヤ顔で語る現場でも観て、この仕事は終わりだな。
「おーい!」
「げ」
と思ったのだが、会いたくもない奴の声が聞こえ振り返ってみると、孫悟空が手を振りながら飛んできた。
しばらく眠ったままのはずなのに、もう目が覚めたのかよ。
戦いの続きか?
こっちはもうエバルーをぶっ倒した後だから、もう戦う理由はないのだが。
「なんかようか?」
眼を写輪眼に変化させて、警戒しつつ用件を聞く。
悟空「いやー、おめぇ強ぇな! オラ、ビックリしたぞ!」
俺の警戒心に気づいていないのか、悟空の表情はヘラヘラしている。
気づいたうえでやってるとしたら大した役者だ。
・・・まぁ、おそらく素なんだろうが。
「神様特典で能力を得てる奴は、だいたい強いと思うがな。俺が特別強いわけじゃねーよ」
悟空「そういうもんか?」
「・・・で、結局何の用なんだ? リベンジか? お前の雇主はもう捕まっちまったんだから、俺としてはお前と戦う理由はないんだが」
悟空「おお、それもいいかと思ったんだけどな。修行してもっと強くなってからにするぞ」
「そうかい・・・で?」
中々話が進まない。
悟空「それでよ、おめぇはどうやって強くなったんだ? 神様の力だけじゃねぇだろ?」
「ああ。ま、そりゃ力を使いこなせるように練習はしたな。ギルドで仕事をやってれば、嫌でも経験値は上がるし」
悟空「ギルドか・・・・」
何か考え込むポーズを取る悟空だが、どこかのギルドに入るつもりか?
「ま、お前もどこかのギルドに入って、仕事で金稼ぎつつ修行すりゃいいんじゃねーか?」
悟空「そうだなぁ・・・そうすっか!」
やはりギルドに入るつもりだったのか、あまり考え込まずに直ぐに決めたようだ。
・・・・どこのギルドに入るのかは知らんが。
◆◆◆
俺の家は、マグノリアにあるギルドから歩いて20分の距離にある、比較的大きな一軒家だ。
S級やSS級のクエストばかりやってたら金は貯まる一方で、家を買うのにたいして時間はかからなかった。
最初は安いアパートを借りてたが、やはり一軒家だな。
とはいえ、俺にとっては『仮の家』なんだが・・・。
なぜ急に俺の家の話になっているのかというと、今俺が家にいるからだ。
「・・・・やっと帰ってこれたな」
悟空と別れてカービィの家に向かったのだが、どうやらアイツらは先に帰ってしまったようだ。
・・・大方、ナツが待てなかったんだろうな。
薄情なやつだ。
だからマグノリアにある自分の家まで飛んで帰ってきたのだ。
多分俺の方が早く帰ってきてる。
アイツら、確か帰りは徒歩のはずだし。
「まだ契約は切れずか・・・」
エバルーから奪った金色の鍵を取り出して眺めてみる。
・・・漫画の鍵の形はシンプルだが、アニメは結構細かく作られてんだよな。
因みに鍵はアニメ使用だ。
まぁ、明後日には切れるだろ、たぶん。
明日にはエルザが帰って来て、明後日には『鉄の森‐アイゼンヴァルド‐』と一戦やらかすはずだからな。
「日記書いたら、今日はもう寝るか・・・」
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