ナツ「祐一の知り合いか?」
「知り合いっつーか・・・・えええぇぇぇぇぇぇぇ?」
完全に他作品キャラだよ。
マガジンキャラですらないよ。
勝てんのかコレ?
戦わなきゃいけない流れなのかコレ?
だって孫悟空だぜ? スーパーなサイヤ人だぜコレ?
本気だしゃ星すらぶっ壊すような奴の相手しなきゃなんないのコレ!?
・・・・いや、待てよ。
普通に考えてドラゴンボールのキャラがこの世界に入るはずがない。
それに、この気配・・・・
「・・・・同類か?」
コイツからは俺やルーチェと同じく、転生者の気配がする。
悟空「ん~・・・なんか変な感じがすっぞ。おめぇ、もしかしてオラと同じか?」
「当たりか」
神様特典の力か。
姿だけを孫悟空にしているのか、それとも存在そのものが孫悟空になったのか。
態々姿だけを変える意味もあんま無いような気するし、能力も孫悟空のものなのだろう。
・・・・勝てるかなぁ、俺?
ルーシィ「祐一、ナツ! 少し時間を頂戴‼ この本には何か秘密があるみたいなの‼」
言ってルーシィは部屋から飛び出した。
おそらく下水道へ向かったのだろう。
そこで本を読んでエバルーと戦うはずだ。
逃げたルーシィを追って、エバルーは床を土潜の魔法で抜けて行った。
ナツ「ハッピー、ルーシィを追ってくれ」
ハッピー「相手は三人だよ! オイラも加勢する‼」
「いや、ここは俺とナツで充分だ。ルーシィの援護に向ってやれ」
南狼弟「あ? テメェ、ママに言いつけんぞ‼」
南狼兄「落ち着け、クールダウンだ」
・・・そういえばこいつらのママ・・つーか、南の狼のギルドマスターってどんなやつなんだろうな。
ま、どうでもいいけど。
「ナツ、俺は橙色の道着を着た男と戦う。あの兄弟はお前に任せていいか?」
ナツ「おう! 任せとけ‼」
ルーシィを追ったハッピーを見送って、悟空を見据える。
「ここじゃ狭すぎるな。外に移動してぇんだが、構わねーか?」
悟空「おお、いいぞ」
軽いな。
俺は背中から『翼‐エーラ‐』を生やし、部屋の窓から外へと飛び立つ。
悟空も宙へ浮いて、俺の後を付いて来た。
『舞空術』
少年漫画界の、空を飛ぶ術の代名詞だ。
やっぱ姿だけでなく、能力も孫悟空のモノのようだ。
◆◆◆
屋敷から少しばかり離れた場所へ移動して、地に降り立つ俺と悟空。
当たりは草原で、近くには何もない。
ここなら派手に暴れても大丈夫だろう。
悟空「そんじゃあ、やるか! オラわっくわくしてきたぞ‼」
さっそくファイティングポーズを取る悟空。
だが、戦う前に聞きたいことがある。
「なぁ、アンタ名前は?」
悟空「孫悟空だ!」
「いや、本名別にあるだろ? 転生する前の」
悟空「小林太郎だ。わっくわくすんぞ!」
「いやワクワクしてこねーよ、そんな名前」
まぁ、それはたいした問題じゃない。
「神様特典なに選んだ?」
悟空「『孫悟空になる能力』だぞ。一つしか選べなかったから、悩まずに決められた」
「一つか」
つーか、やっぱ悟空の能力そのものか。
悟空「それより、早くやろうぜ!」
構える悟空に、俺も徒手空拳の構えを取るが・・・・・
・・・・・やべぇ、勝てる気がしねぇんだけど。
悟空「いくぞっ‼」
悟空が一瞬で間合いを詰めて、俺の目の前に現れた。
「チッ」
俺は両の眼を写輪眼へ変えて、悟空の動きを見切る。
悟空の筋肉の動き一つ一つが、コイツの動きの先を読み取る。
未来視にも等しい眼、この目があればそうそう遅れは取らない。
繰り出される拳と蹴りを、全て紙一重で見切って避ける。
そして一瞬の隙をついて、俺は右掌にチャクラを集中させる。
「螺旋丸‼」
右掌に集めた、台風のように吹き荒れるチャクラの塊を、悟空の腹目掛けて押しつける。
乱回転させたチャクラを己の手の中に圧縮、球状にして放つ術。
一切の印を不要とし、チャクラを持つ者なら誰でも会得できる忍術。
無論、修得は容易ではないが。
悟空「ぐあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
凄まじい勢いで回転しながら吹っ飛ぶ悟空。
遥か後方まで吹っ飛び、大岩に激突し、岩を粉砕する。
粉塵が舞い上がり、俺の目でもいまいちよく見えない。
螺旋丸をまともに喰らったが、はたして倒しただろうか。
・・・いや、螺旋丸で悟空がダウンする姿が思い浮かばない。
悟空「かぁ・・・めぇ・・・・」
「ホラやっぱり!」
悟空「はぁ・・・めぇ・・・・」
粉塵が晴れて、その姿が露わになる。
そこには、悟空があのポーズで立っていた。
そう、有名なあのポーズである。
悟空「波あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼」
そして御決まりのモーションで、気功波を放つ!
やってくると思ったけど、やっぱやってきやがったよ有名なやつを‼
「やれるか・・・?」
俺は迫り来る『かめはめ波』を、右手で受け止める。
『幻想殺し‐イマジンブレイカー‐』
あらゆる異能を打ち消す力。
それは『気』の塊である『かめはめ波』も例外ではない。
「うぉらぁっ‼」
『かめはめ波』を打消し、俺は悟空と同じモーションを取った。
それはたった今、悟空が放った技と同じ。
「かめはめ波あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼」
悟空「うおっ!?」
一瞬驚いた声を上げた悟空。
たった今『完成』でコピーした自分の技を真似されれば、そりゃ驚きもするだろう。
俺の放ったかめはめ波を、悟空は両手で受け止める。
たぶん、たいしたダメージは与えられない。
俺は別にコイツに勝つのが目的ではない。
イレギュラーがあの場にいたら、何が起きるか分からないから屋敷から離した。
後は仕事を完遂するだけだが、コイツを倒すのは時間がかかる。
なら、戦わずに終わらせるしかない。
俺は自分が放ったかめはめ波の下を、体勢を低くしながら駆け出し、悟空へ接近する。
そして、悟空がかめはめ波を耐え終わった瞬間、俺は悟空の両肩を掴んで動きを封じた。
悟空「!?」
「悪いな」
抵抗しようとする悟空の瞳を、俺の写輪眼が捉える。
「しばらくの間、眠っててくれ」
ガクンと、悟空が膝から崩れ落ちた。
倒れる。
悟空はピクリとも動かない。
別に死んだわけじゃない。
写輪眼で幻術をかけて、ただ眠らせただけだ。
肉体は強くても、幻術は耐性がないらしい。
螺旋丸を喰らった腹の部分は、服が破けて肌も傷ついているが、致命傷には程遠い。
やっぱ戦って倒すのは時間がかかるようだ。
「さて、と」
この孫悟空以外にも、何かしらイレギュラーが居たりしなけりゃ、もうそろそろナツとルーシィも戦いが終わってるはずだ。
◆◆◆
屋敷へ飛んで戻った俺は、丁度本を依頼人の元へ届けようとしているナツ達を発見する。
「おーい、お前ら」
ルーシィ「あ、祐一」
ナツ「おう、終わったのか?」
「ああ、寝かしてきた」
倒してはいない。
「で、それをカービィさんに届けんのか?」
ハッピー「そだよ」
「そうか」
・・・じゃあ丁度いいか。
「んじゃ、お前らはそれを届けてきてくれ」
ナツ「あ? 祐一は来ないのか?」
「エバルーの奴を評議員に突き出してくる。色々後ろ暗い事やってたみたいだからな。先行っててくれ」
ナツ「そっか。じゃあ、先に行ってるぞ」
手を振って、俺は屋敷に入り込んだ。
◆◆◆
エバルーを評議会に突き出す。
それは別に嘘じゃないが、はっきり言ってただの建前だ。
二つほど、やりたいことがあるのだ。
コイツが裏でやった数々の事業とやら、内容は全く知らないが評議員に任せれば自然に暴かれるだろう。
そうなると、当然爵位は剥奪されるはず。
我輩は終わりとか言ってたし。
公爵といえば、王家に連なる者、またはそれに匹敵す大貴族だ。
・・・だったら相当溜めこんでいるはずだ。
国や評議会がここの土地を調べる前に、エバルーが所有している財産を盗ませてもらおう。
え、何? 犯罪?
証拠が残らなければばれることはない。
ばれなければ犯罪じゃないのさ。
宝物庫に足を運んだ俺は、その部屋にある宝を全て回収する。
『神威』
写輪眼を万華鏡写輪眼へと変えて、この瞳術を発動させる。
あらゆるものを異空間転移させる時空間術。
その異空間へは俺の持つ万華鏡写輪眼でしか行き来することは出来ず、まず誰にも回収した宝物を見つけることは出来ないだろう。
俺がいた痕跡を見つけても、肝心の宝が無いんじゃ捕えることは不可能だし。
屋敷にある使えそうなモノを全て神威で吸い込んだ後、今度は下水道でノビてるエバルーの元へ移動する。
実は一番の目的はコッチだ。
この世界に来て原作を追うにつれてやりたいこと。
俺は気絶しているエバルーが持っている金色の鍵を奪い取る。
それは、星霊バルゴを召喚する魔法の鍵。
エバルーが捕まれば、バルゴの契約は解除されるらしい。
今はまだ契約中だが、評議会に突き出せば契約は解ける筈。
その後、俺が契約を結ぶつもりだ。
原作が崩れるだろうが・・・まぁ、たぶん何とかなるだろう。
財宝と鍵を回収した俺は、エバルーを連れて(荷物のように持って)魔法評議院へ飛んだ。
.
はい、金の鍵をゲット。
祐一がバルゴと契約しちゃったらルーシィがどうなってしまうのか。
全く考えていません。