俺がこの世界に来て、早13年。
今俺は、ナツとハッピーと一緒にハルジオンという街にいる。
ようやく原作開始。
何をするのかというと、ボラとかいう雑魚をぶっ倒して、ルーシィをギルドに入れるのだ。
だからさっさと街へ行きたいのだが、
「おいナツ、いい加減起きろ」
ナツ「はぁ・・はぁ・・・うぷ・・・・・・」
駅のホームで、列車酔いで潰れてるナツを介抱していた。
ドラゴンスレイヤーが乗り物に弱いのは知ってるが、もうちょいどうにかならんのか?
・・・そーいや、俺ナツとラクサスの滅竜魔法コピーしたけど、乗り物酔いにはならねぇな。
コピーだから関係ないのか、それともスティングの言う本物のドラゴンスレイヤーとやらに、俺がまだ成っていないのか。
まぁなんにせよ、今はいいや。
「取りあえず、引き摺って行くか」
レッド「祐一、容赦ねーな」
ハッピー「あい。いつものことです」
ハッピーと一緒にいる赤い体毛の猫。
名は、レッド。
6年前拾った卵から孵ったエクシード。
まだエドラスの話には入ってないから、猫という事にしてるが。
声はなんかアレだ、某電気鼠や某トナカイによく似ている。
「まず街で賑やかな場所に行こう」
ハッピー「そこにサラマンダーがいるのかな?」
「いや、だから街中にドラゴンなんているわけねーだろ」
レッド「そうなのか!?」
「・・・もういいわ」
原作だと確か、街の中でサラマンダーと名乗るボラがいて、そこでルーシィと出くわすんだっけか。
で、ルーシィに飯奢ってもらって、別れた後ルーシィがボラの船上パーティに誘われて、誘拐されそうになるんだったな。
そしてナツが船に突入して、ルーシィがアクエリアスという星霊を呼んで船を岸へ押し戻し、なんやかんやあって暴れたナツがボラをぶっ倒す。
・・・・・うん、なんかそこまでやんの怠いな。
つーか、ボラをさっさととっ捕まえてルーシィをフェアリーテイルに誘えばいいんじゃね?
元々ルーシィはフェアリーテイルに入りたがってる訳だし、説得は容易だろう。
「いつまで寝てんだよ、まだ乗り物酔い続いてんのか?」
ナツ「・・・・腹減った」
「空腹かよ、ならテメェで歩けや」
ナツ「腹減って動けねぇんだよ」
ハッピー「オイラ達、お金ないもんね」
「あーあー、もう飯くらい奢ってやっから歩けよ」
ナツ「マジでかっ!?」
マフラーを引っ張ってる俺の手を振り切って、ガバッとナツは起き上がった。
・・・・元気じゃねぇかコノヤロー。
レッド「復活早いなっ!?」
ハッピー「ねぇねぇ、魚食べてもいい!?」
「・・・良いから、とっとと行くぞ。お前のイグニール探しを手伝ってやってるんだから、ちゃんと自分で情報収集しろ」
・・・・ま、こんなところにイグニールはいない。
つーか、確かナツの身体の中にいるはずだから、どうやっても見つけることは出来ないんだが。
ナツ「火竜―サラマンダー―ってのはイグニールの事だろ? この街にいるってギルドの奴が言ってた」
「普通街中にドラゴンなんて出ねーから、どう考えてもガセネタだろ」
まぁ、原作通りだから別に文句はねぇが。
とかなんとかやって歩いていると、目の前に人だかりがあって、サラマンダーがどうとか黄色い声を上げてる女共が群がっていた。
ナツ「ホラ‼ 噂をすればなんたらってやつだ‼」
ハッピー「あい‼」
もう完全復活したのか、ナツはハッピーと一緒に人だかりの中に紛れて行った。
さて、ルーシィは近くにいるのか?
・・・いた。
何か目をハートに輝かせてフラフラしてる。
あー、ボラの魔法にかかってんのか。
さっさと解いてやるとするか。
「おい、その辺にしとけ!」
少し大きな声を上げて、自称サラマンダーに呼びかける。
サラマンダー(笑)は「ん?」と、振り返ってこっちを視た。
ナツ「イグニール‼‼」
同時に、ナツがボラの前に姿を現した。
・・・つーか、どこから出てきてんだお前は。
火の中水の中あの娘のスカートの中から出てきてんのかコノヤロー。
ナツ「・・・・誰だお前?」
ボラ「おや、僕の事を知らないのか? サラマンダーという名は、結構有名だと思ってたんだけどな」
何やら気取った格好でキメてるボラに、言ってやる。
「へぇ? どこのサラマンダーなんだ?」
ボラ「フッフッフッ・・・フェアリーテイルさ、聞いたことあるだろう? 僕がフェアリーテイルのサラマンダーさ」
ニヒルに笑うボラの声に、ナツはピクリと反応した。
ナツ「フェアリーテイル? お前、フェアリーテイルの魔導士なのか?」
ボラ「そうだよ」
ナツ「その面よぉく見せろ」
ボラ「・・・・・・?」
首を傾げながら、ボラはナツに近づいて行く。
瞬間、
ナツ「俺はフェアリーテイルのナツだ‼ お前なんか見たことねぇよ‼」
ボラ「ぶふぉっ!?」
思いっきりぶん殴られた。
地に倒れてのた打ち回るボラは、どうにか視線をナツに向けることが出来た。
そこで目に入ったのは、ナツの右肩にあるギルドマーク。
それはフェアリーテイルの紋章。
そこのギルドに所属していることの証である。
「そーいうことだ。悪戯が過ぎたな、自称サラマンダー? いや、紅天―プロミネンス―のボラ」
ボラ「な、何故その名を!?」
俺もフェアリーテイルの一員だと、右手にあるギルドの紋章を見せつけてやる。
ボラの顔が引き攣った。
まぁ、フェアリーテイルの魔導士と嘯いて、その本人達が目の前にいるのだから無理もないが。
レッド「ボラって確か、タイタンノーズってギルドから追放されたって奴か?」
ハッピー「魔法で盗みを繰り返して追放されたんだよね」
ボラ「ぬぅっ!?」
素性が完全にばれてしまい、周囲にいた女達の視線が、好感のあるモノから侮蔑のモノへと変わっていく。
そんなことにも気づかないボラは、
ボラ「ゴチャゴチャうるせぇガキ共だ‼」
逆切れして、紅天の二つ名通りの炎を俺とナツ目掛けて放った。
無駄なことを・・・・。
炎が主食のナツと、その能力をコピーした俺がそんな炎でダメージを受ける訳がない。
案の定、その炎を全てナツが吸い込んでしまう。
その出来事に驚愕するボラと、周りにいる奴ら。
ボラ「な、なんだお前は!?」
「んだぁ? サラマンダーって名乗っておきながら、本人の顔を知らねぇのか?」
ボラ「ま、まさか・・・・!?」
「ナツが・・・コイツがサラマンダーだ」
ボラ「んま・・・ちょ・・・ふぁ・・・・?」
「どこの国の言語だそれは」
グルリと肩を回して、歩を進める。
「で、俺もフェアリーテイルの魔導士なんだが・・・聞いたことないか?『妖精皇帝―フェアリーカイザー―』の名を」
ボラ「フェアリーカイザーだと!?」
それは、俺がこの13年間依頼をこなしていたら、いつの間にか付いた二つ名だ。
ボラ「フェアリーテイル最強の男・・・妖精皇帝・・・・!?」
ありとあらゆる魔法を使いこなし、圧倒的な力で全てを叩き潰す。
戦う相手と全く同じ魔法を使い、相手を叩きのめすその様に戦慄を覚えた闇ギルドの魔導士がこの二つ名を付けたとかなんとか。
「さて、妖精に喧嘩売ったんだ。ただで済むとは思ってねぇよな?」
ボラ「ひぃっ!?」
「ボッコボコにしてやんよ・・・・ナツが‼」
レッド「ナツなのかよ!?」
ナツ「任せとけ‼」
ハッピー「了承しちゃったよ!?」
ナツ「くたばりやがれええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ‼」
ボラ「ぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?」
断末魔の悲鳴を上げても殴る事を止めないナツ。
俺に止めてやる気はない。
今のうちにルーシィ誘っとくか?
「おーい、そこの金髪」
ルーシィ「え・・・わ、私?」
「そう、お前」
本当は名前どころか諸々の素性すら把握しているのだが、そんなことは顔に出さず、勧誘を続ける。
「お前、魔導士だろ。フェアリーテイルに入らないか?」
ルーシィ「・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
一瞬の静寂。
ルーシィ「えええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
突然の勧誘に驚愕の声を叫ぶルーシィだが、その声はナツがボコボコにしてるボラの断末魔に掻き消された。
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なんかもう、色々とショートカット