「ようやく見つけたぜ」
天狼島の森の中。
ソイツの気配を追って、俺は【瞬間移動‐ダイレクトライン‐】で転移した。
今、目の前にいる男。
ソイツが目的の人物だ。
「黒魔導士・・・ゼレフ」
この島で気配を感じて探していたのだが、今発するゼレフの気配に、俺は首を傾げた。
・・・・・・気のせいだったか?
以前戦った憑依転生者のような気配を感じたのだが、今ゼレフからは転生者の気配を感じない。
もしコイツがただの原作キャラなら、今後どう話が進むのか分からない。
俺が知ってるのは第2部までだからな。
下手に今手を出すとどう転ぶか分からないし、転生者じゃないのなら今は見逃した方がいいのかもしれないが・・・・・・。
そんな事を考えていたら、ゼレフが口を開く。
「やあ、久しぶりだね」
「・・・・・・なんだと?」
久しぶり?
いや、俺はゼレフに会った事などないはずだが・・・・・・。
「初めまして・・・じゃねぇのか?」
「え?・・・・・・ああ、そうか。まだ僕とは会っていないんだね」
「・・・・・・・・・・・・」
もしかして、そういう事なのか?
今の言動から察するに、今後俺はゼレフと出会う事になる。
だが、ゼレフの口ぶりから察するに、当に会っているはずだ。
つまり・・・・・・
「いつかは分からねぇが、俺は過去に飛んでお前に会うと?」
「ああ、そうだよ」
「・・・・・・そういうのって言っちまって良いのか?」
大抵未来に影響する事は言わない方がいいというのは定番だが。
「君から特に口止めはされてなかったし、たぶん・・・今、僕達のこの出会いは確定事項なんじゃないかな――――――」
成程、既に俺が過去に飛ぶことは決まってるらしい。
どういった手段で過去に飛ぶのかは知らないが・・・・・・。
「――――――まぁ、もしかしたら過去には飛べず、此処で終わるのかもしれないけどね」
「・・・・・・は?」
どういう意味だ?と、俺が口を開く瞬間、ゼレフは眼前に居た。
いったい何時、何処から取り出したのか、その左手には片刃の黒い大剣を振り下ろそうとしていた。
驚く暇もなく、俺は反射的に防御態勢を取る。
【一方通行‐アクセラレータ‐】で反射する?
いや、あの剣がどんな武器か分からない以上、ベクトルの壁だけでは不安だと俺の勘が告げている。
防御技を重ね掛けする。
【武装色の覇気】+【強欲の最強の盾】+【フォークアーマー】+【サウンドアーマー】+【ポイズンアーマー】+【悪竜の血鎧‐アーマー・オブ・ファブニール‐】+【十二の試練‐ゴッドハンド‐】+【威装・須佐能乎】+【――――――斬ッ‼‼‼
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
防ごうとした、俺の左腕に大剣の刃が切り込み肩ごと斬り飛ばされた。
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