「あー、邪魔クセェッ‼」
空から降ってくる雑魚を蹴散らしていたら少し時間が掛かった。
後はアイツの後を追うだけなんだが・・・・・・。
「横槍入れられるのも面倒だしな・・・・・・」
相手が相手だ。
俺が相手をしている最中に、誰かの介入はさせたくない。
「まずは『悪魔の心臓‐グリモアハート‐』を潰すか」
奴が厄介な能力とか持ってたら嫌だし、外堀から潰す。
・・・・・・いや、意味が違うか?
ま、良い。
とにかく悪魔の心臓から潰していく。
奴の相手はそれからだ。
俺は【瞬間移動‐ダイレクトライン‐】で近くにいる奴から狩っていくことにした。
◆◆◆
「竜神の煌炎‼」
「ぐぁぁああああああああああああっ!?」
最初に狩るのは此処だ。
ナツがザンクロウを、神の力が合わさった滅竜魔法を放って撃破する。
だが、まだザンクロウは動けたはずだ。
死ぬかどうかは分からんが、少なくとも動けなくはさせてもらう。
宙へふっ飛ばされるザンクロウを、
「螺旋連丸‼」
両手の螺旋丸で追い打ちする。
地面に叩きつけ、ザンクロウが気絶したのを確認。
「祐一!? お前、何処から来た!?」
「何処でもいいだろ。んなことより・・・・・・」
倒れているジジイの問いを無視して右腕で荷物の様に抱え、更に倒れかけるナツを逆の腕で抱える。
白眼で見つけたウェンディの元へ、2人を運ぶ。
「ウェンディ、2人の治療を頼む」
「え・・・ナツさん‼ マスター‼」
重症の2人を見て、血相を変えて駆け寄るウェンディだが、躓いて転んでしまった。
躓くほどに疲労困憊の状態だったが、ウェンディに任すしかない。
一緒にいたエクシード組に2人を預け、俺は次の標的を探す。
「ちょっと待ちなさい! アンタだって治癒魔法使えるんでしょ!?」
この場から去ろうとする俺に、シャルルの怒声が飛ぶ。
「ウェンディは、もう魔力が限界なの! アンタも治癒魔法が使えるんなら、アンタが治しなさい!」
「悪いが断る。魔力を温存したい」
「はぁっ!?」
ブチ切れるシャルルをウェンディが窘めるが、非難するようなエクシード組の視線が俺に突き刺さる。
「祐一よ、傷ついた仲間を助けないで魔力を温存して・・・・・・どうする気だ?」
比較的冷静でいるリリーが、皆の疑問を代表するように問いかけてくる。
それに俺は「決まってんだろ」と返した。
「『悪魔の心臓‐グリモアハート‐』をぶっ潰すんだよ」
「お前1人でやる気か?」
「一応そのつもりだ」
断言する俺にハッピーが「そんな無茶だよ!」と叫ぶが、直ぐに「あれ、でも祐一とエルザなら何か出来そうな気が・・・・・・」と首を捻った。
うん、エルザならやってくれそうな気がするのは俺も同感だ。
「ま、グリモアハートもそうなんだが、それよりもヤバいかもしれん奴が今この島にいるからな。グリモアハートを潰した後そいつとやり合うためにも、なるべく力を温存したい」
「そのヤバい奴というのは・・・・・・ゼレフなのか?」
リリーの言葉に、頷いて肯定する。
そういや、ゼレフの事聞いてたんだな。
「ナツとジジイを完治させろとは言わない。深い傷だけ塞いでくれればいい。それくらいの魔力なら残ってるだろう?」
「・・・・・・はい、大丈夫です!」
「ちょっとウェンディ‼」
力強く頷くウェンディだが、シャルルは否定的だ。
だが、治せるのがウェンディしかいないのだから、彼女に任せるしかない。
レビィにも治せると思うが、ガジルの事で手一杯だろうしな。
「あっと、その前に」
ナツのマフラーを右手で触れて、邪気を祓っとく。
【幻想殺し‐イマジンブレイカー‐】を使うだけだから、魔力は消費しない。
これで治癒は問題なく出来る筈だ。
「んじゃ、コイツ等は任せるぞ」
俺は再び【瞬間移動‐ダイレクトライン‐】で、次の標的を狩りに行く。
.