FANTASY☆ADVENTURE   作:神爪 勇人

126 / 130
3話連続更新


第112話 煉獄狩り

「あー、邪魔クセェッ‼」

 

空から降ってくる雑魚を蹴散らしていたら少し時間が掛かった。

後はアイツの後を追うだけなんだが・・・・・・。

 

「横槍入れられるのも面倒だしな・・・・・・」

 

相手が相手だ。

俺が相手をしている最中に、誰かの介入はさせたくない。

 

「まずは『悪魔の心臓‐グリモアハート‐』を潰すか」

 

奴が厄介な能力とか持ってたら嫌だし、外堀から潰す。

・・・・・・いや、意味が違うか?

ま、良い。

とにかく悪魔の心臓から潰していく。

奴の相手はそれからだ。

俺は【瞬間移動‐ダイレクトライン‐】で近くにいる奴から狩っていくことにした。

 

 

◆◆◆

 

 

「竜神の煌炎‼」

「ぐぁぁああああああああああああっ!?」

 

最初に狩るのは此処だ。

ナツがザンクロウを、神の力が合わさった滅竜魔法を放って撃破する。

だが、まだザンクロウは動けたはずだ。

死ぬかどうかは分からんが、少なくとも動けなくはさせてもらう。

宙へふっ飛ばされるザンクロウを、

 

「螺旋連丸‼」

 

両手の螺旋丸で追い打ちする。

地面に叩きつけ、ザンクロウが気絶したのを確認。

 

「祐一!? お前、何処から来た!?」

「何処でもいいだろ。んなことより・・・・・・」

 

倒れているジジイの問いを無視して右腕で荷物の様に抱え、更に倒れかけるナツを逆の腕で抱える。

白眼で見つけたウェンディの元へ、2人を運ぶ。

 

「ウェンディ、2人の治療を頼む」

「え・・・ナツさん‼ マスター‼」

 

重症の2人を見て、血相を変えて駆け寄るウェンディだが、躓いて転んでしまった。

躓くほどに疲労困憊の状態だったが、ウェンディに任すしかない。

一緒にいたエクシード組に2人を預け、俺は次の標的を探す。

 

「ちょっと待ちなさい! アンタだって治癒魔法使えるんでしょ!?」

 

この場から去ろうとする俺に、シャルルの怒声が飛ぶ。

 

「ウェンディは、もう魔力が限界なの! アンタも治癒魔法が使えるんなら、アンタが治しなさい!」

「悪いが断る。魔力を温存したい」

「はぁっ!?」

 

ブチ切れるシャルルをウェンディが窘めるが、非難するようなエクシード組の視線が俺に突き刺さる。

 

「祐一よ、傷ついた仲間を助けないで魔力を温存して・・・・・・どうする気だ?」

 

比較的冷静でいるリリーが、皆の疑問を代表するように問いかけてくる。

それに俺は「決まってんだろ」と返した。

 

「『悪魔の心臓‐グリモアハート‐』をぶっ潰すんだよ」

「お前1人でやる気か?」

「一応そのつもりだ」

 

断言する俺にハッピーが「そんな無茶だよ!」と叫ぶが、直ぐに「あれ、でも祐一とエルザなら何か出来そうな気が・・・・・・」と首を捻った。

うん、エルザならやってくれそうな気がするのは俺も同感だ。

 

「ま、グリモアハートもそうなんだが、それよりもヤバいかもしれん奴が今この島にいるからな。グリモアハートを潰した後そいつとやり合うためにも、なるべく力を温存したい」

「そのヤバい奴というのは・・・・・・ゼレフなのか?」

 

リリーの言葉に、頷いて肯定する。

そういや、ゼレフの事聞いてたんだな。

 

「ナツとジジイを完治させろとは言わない。深い傷だけ塞いでくれればいい。それくらいの魔力なら残ってるだろう?」

「・・・・・・はい、大丈夫です!」

「ちょっとウェンディ‼」

 

力強く頷くウェンディだが、シャルルは否定的だ。

だが、治せるのがウェンディしかいないのだから、彼女に任せるしかない。

レビィにも治せると思うが、ガジルの事で手一杯だろうしな。

 

「あっと、その前に」

 

ナツのマフラーを右手で触れて、邪気を祓っとく。

【幻想殺し‐イマジンブレイカー‐】を使うだけだから、魔力は消費しない。

これで治癒は問題なく出来る筈だ。

 

「んじゃ、コイツ等は任せるぞ」

 

俺は再び【瞬間移動‐ダイレクトライン‐】で、次の標的を狩りに行く。

 

.


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。