さて、いよいよ第1部最終章の天狼島編だ。
もうこの章ではボスキャラをどうするか連載開始時点で決めてたから早く出したい。
第106話 S級魔導士昇格試験‼
「・・・・・・という訳なのよミラさん‼ カナってば理由も言わないし‼‼」
カウンター席で憤慨しているルーシィに、ミラは「大丈夫」と返す。
毎年この時期になると言い出すからな。
カナがギルドを辞めるって。
ま、言うだけ言って、結局辞めないのだが。
理由は知ってるが、コレは外野がどうこう言うもんじゃないしな。
「凄い騒ぎですね・・・・・・」
「お?」
何時の間にか俺の横の席で、クリスがコーヒーを飲んでいた。
てか、ブラックか。
意外と渋いな。
「あ、キナナ。俺にもコーヒーくれ」
「はいキナ~」
ミラがルーシィと話し中だから、近くを通ったキナナに注文する。
「毎年この時期になると、いつもこんなんだ」
「何があるんですか?」
クリスはギルドを慌ただしく動く皆を視る。
「仕事仕事ォ‼」
「あいさー‼」
「ちょっと! 仕事ならあたしも・・・・・・」
「悪い‼ この時期は1人で行くんだ‼」
「ただいまぁ‼」
「おかえり! グレイ、服は?」
「それどころじゃねぇ‼ 次の仕事だ‼」
「姉ちゃん! 俺はこの仕事行って来る‼」
「仕事仕事‼」
「うおおおおっ‼」
「おいテメェそれは俺が先に」
「知るかよ‼」
「どけよテメェ‼」
「「チームシャドウ・ギアはこの時期解散だぁ‼」」
みんなリクエストボードに貼られたクエストの依頼書を持って、ミラに持って行く。
この時期ミラも忙しいな。
まぁ、リリーと剣を撃ち合ってるエルザとか、みんなの様子を絵に描いてるリーダスとか、ベイビー達と戯れるビッグスローとか、普段と変わらずマイペースな奴もいるが。
「ま、明日になればわかるさ」
首を傾げるクリス。
明日ジジイから発表があるからな。
それを楽しみにしてるがいいさ。
「お待たせキナ~」
「おう」
持ってきてくれたホットコーヒーを啜り、一息吐く。
明日の発表から1週間後、それが分かれ目だからな。
・・・・・・リサーナの時とかを考えると、原作通りに進むとは思えん。
警戒はしとくべきか。
◆◆◆
そして翌日。
今日この時、フェアリーテイルのメンバーのほぼ全員が集っていた。
そして今日、ジジイから重大な発表がある。
「マスター‼」
「待ってました~‼」
「早く発表してくれー‼」
「今年は誰が選ばれるんだー!?」
騒ぐギルドメンバーに、俺と同じく壇に立つエルザとギルダーツが静粛の声を出す。
場が静まり、ジジイは一つ咳払いをして、発表した。
「フェアリーテイル古くからのしきたりにより、これより―――S級魔導士昇格試験、出場者を発表する‼」
皆のテンションが一気に上がり、歓声が沸き上がる。
事情を知らない初めてのルーシィ達は驚愕の声を上げてたが。
「今年の試験会場は、天狼島。我がギルドの聖地じゃ。各々の力・心・魂・・・・・・ワシはこの一年見極めて来た。参加者は8名!」
そして、試験に参加するメンバーが選抜された。
ナツ・ドラグニル
グレイ・フルバスター
ジュビア・ロクサー
エルフマン・ストラウス
カナ・アルベローナ
フリード・ジャスティーン
レビィ・マクガーデン
メスト・グライダー
参加が決まった奴等は一部を除いてはしゃぎ、また落選した奴は落ち込んだ。
みんなこの試験に選ばれたいから、ここ最近仕事をこなし、アピールしていたのだ。
「今回はこの中から、合格者を1名だけとする。試験は一週間後。各自、体調を整えておけい」
「んじゃ、今回の試験のルールを説明すんぞ」
俺は一歩前に出て、参加者にルールを説明する。
「選抜された8人は、準備期間の一週間以内にパートナーを1人決めてくれ」
今回は2人1組のチーム戦。
仲間との絆も試されるのだ。
「パートナー選択のルールは2つ。1つ、フェアリーテイルのメンバーである事。2つ、S級魔導士、並びにギルドマスターはパートナーに出来ない」
つまりマカロフ、エルザ、ミラ、ギルダーツ、俺とはチームを組めないという事だ。
「試験の詳細は当日、天狼島に着いてから説明する。ま、例年の通り今回もジジイを除く俺等S級魔導士が、試験参加者の道を塞ぐ」
「「「えええええええ~~~~~っ‼」」」と不満な声が上がる。
ギルダーツが「ブー垂れるな」と言えば、ナツのテンションがMAXに。
何でテンション上がるんだろうな?
普通さがるだろ。
俺の説明が終わり、最後にジジイが締める。
「選出された8名とそのパートナーは、一週間後にハルジオン港に集合じゃ。以上‼‼」
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