ブレスの奔流に呑まれ、イケメンは消失した。
「イケメンは死すべし」
「いや、死んでないっすよ!」
「!?」
防いだ様子も、避けた様子も無かったにも拘らず、ブレスの中から声が聴こえて来た。
その声に、ダメージを受けた様子は全くない。
ブレスの波が徐々に渦巻き、それらが流れて上空へと飛んで行く。
渦の中心には、イケメンがいた。
渦が逆回転し、ブレスを全て自分の外側へと流している。
何の能力だ・・・・・・?
「いやぁ、おたく強いっすわマジ。コレは俺も本気で行かないと、ね」
イケメンが目を伏せ、数瞬後に目を開く。
すると、目からバチッと一筋の光の様なモノが放たれた。
「いくっすよ‼」
イケメンが消えた。
「いや、後‼」
俺の背後に現れたイケメンを、分身体が反応し迎え撃つ。
「邪魔ぁっ‼」
イケメンの手から光が放たれる。
「波動拳‼」
拳から放たれた光弾。
だが、そんなモノ効きはしない。
分身体が弾こうとするが、
「オオオオォォォォォォッ‼」
突如、イケメンから黒いオーラが!?
「フン‼」
イケメンが腕を振るうと、それに合わせて光弾が曲がり、分身体が反応出来ない絶対死角から攻撃する。
分身体が1体消滅した。
「まだまだぁ‼」
再び手から光を発する。
だが、今度はサイズがダンチだ!
「108式波動拳‼」
黒いオーラを纏った極大な光弾が、縦横無尽に動き回り分身体を屠っていく。
「チィッ! 訳の分からん技を‼」
分身体を其々別れて行動させ、全方位から再び攻撃させる。
「「「火竜の―――――」」」
「「「鉄竜の―――――」」」
「「「雷竜の―――――」」」
「「「毒竜の―――――」」」
「「「天竜の―――――」」」
「「「「「―――――咆哮ォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオッ‼‼‼‼」」」」」
さっきよりも分身体の数は少ないが、それでも充分驚異的な数のブレス。
今度こそコレで・・・・・・
「ハァァァァァァ・・・・・・・」
するとまた、イケメンを中心に渦のような力場が発生する。
またブレスを流そうとするのか・・・・・・いや、コレは。
「さっきと逆?」
さっきの渦は外側に回転していたが、今度は普通の渦。
つまりイケメン自身に流れるような渦が発生していた。
アレだと狙うまでも無く、ブレスが直撃する。
いったい何考えて・・・・・・
「ん?」
イケメンの身体からオーラが溢れて来る。
何だ? 何をしようと・・・・・・
「・・・・・・―――――――――」
イケメンの全身を覆っていたオーラが、その右腕一本に集束される。
何かコレ、どっかで観たことある様な・・・・・・?
ブレスが渦に呑まれてイケメンの元へと収束し、流れていき、
「ハァッ‼」
流れて来たブレスの奔流を、オーラを纏った右腕で殴りつけた。
瞬間、
「うおっ!?」
ブレスの力が倍化し、拡散して跳ね返って来た。
俺は反射的に避けたが、分身体の大半が今ので消えてしまった。
そして、俺の【解析‐アナリシス‐】がイケメンの解析が終わり、その力が明らかになった。
コレは・・・・・・――――――
NAME:阿部 浩一郎
CLASS:転生者
属性:中立・中庸
性別:男
年齢:18歳
身長:189㎝
体重:61㎏
武装:刀・銃
ステータス
筋力:■■■■■A
耐久:■■■■■A
敏捷:■■■■■A
魔力:■■■■■A
幸運:■■■■■A
能力:■■■■■A
神様転生の特典
『超人的な身体能力』
そのままの意味。
『六幻』
白木造りの日本刀のイノセンス。
『天性の戦闘勘』
そのままの意味。
『断罪者‐ジャッジメント‐』
圧倒的な威力を誇る、銃タイプのイノセンス。
『ゾーン強制開放』
自分のポテンシャルを100%発揮出来る状態―――ゾーンに自分の意思で自在に入れる。
『視線誘導‐ミスディレクション‐』
相手の視界から外れ、意識からも外れる。
対象から認識されづらくなる。
『騎士は徒手にて死せず‐ナイト・オブ・オーナー‐』
手にした武器に自らの宝具として属性を与え、駆使する。
どんな武器、兵器であろうとも手にした時点で自身の支配下に置かれる。
『縮地』
瞬間移動術。宙を蹴り、空中でも移動できる。
『無我の境地』
我が心、既に空なり、空なるが故に無。経験した術技を再現する。
自分の才能に適性の無いモノまでは再現出来ない。
無我の奥にある3つの扉を開けることも出来る。
『五感剥奪‐イップス‐』
相手の五感を不能にする。
『風林火山陰雷』
疾きこと風の如く、静かなる事林の如く、侵略すること火の如く、動かざること山の如く、知り難き陰の如く、動くこと雷帝の如しの6つのスタイル、6つの技を使う。
『猛獣のオーラ』
内に秘めた野獣性を開放する。
野性を縛る理性は要らねぇ的な。
『眼力‐インサイト‐』
相手の弱点を見極める。
そこから派生して【氷の世界】や【阿部王国】も使える。
『幻有夢現』
有るはずの無い動きを追わせる。
『スーパースイートスポット』
力を一点に集中させて光を発する異次元の力。
『精神の暗殺者‐メンタルアサシン‐』
一睨みするだけで、相手に精神的重圧を与える。
『鏡像』
相手の技や能力を跳ね返す。
『同調‐シンクロ‐』
相棒を信頼し、パートナーの動きや思考、息遣いまでもが手に取るように分かる。
パートナーもシンクロを使えると、連携の精度が格段に増す。
『阿部の領域‐テリトリー‐』
自身が前に居る時、後ろにいる仲間に指示を出す。
周囲の空間を把握し、戦場を支配する。
『阿部ゾーン』
相手の攻撃を自身に誘導する。
『阿部ファントム』
相手の攻撃を自身から外す。
『波動拳』
渾身の力を持って相手に闘気を放つ。
108式まである。
『黒いオーラ』
遠距離攻撃を途中で曲げる。
『カウンター』
相手や周囲の環境を利用して攻撃する返し技。
燕返し・羆落とし・白鯨・蜉蝣包み・鳳凰返し・麒麟落とし・白龍・百腕巨人の門番・星花火。
『心の瞳‐クローズドアイ‐』
心の眼で視る。
『分身ステップ』
残像を生み出す。
『スネイク』
カーブを描く闘気を放つ。
『レーザービーム』
超速の闘気を放つ。
『幻影‐イリュージョン‐』
あらゆる人物に成りきる。
『悪魔‐デビル‐化』
全身の血を沸騰させて身体能力の限界を超える。
『スポット』
相手の腕を麻痺させる。
『ブラックホール』
空間を削って相手の攻撃を止める。
『舞空術』
空を飛ぶ。
etc....
「――――いや多すぎるわ‼」
堪らず叫ぶ。
何だこの転生特典の数は!?
1つ1つはそこまで強力じゃないが、この数は多すぎる。
てか、
「なんかテニス技多すぎね!? お前来る世界間違ってんだろ‼」
「いやー、俺もそう思うっす。何かコレ、スポーツの世界で使う技とか神様に言われたんすけど・・・・・」
「何でそんなもん選んだ!?」
「いや、だから神様が決めたんすよ。『特典何が良い?』って聞いて来たから、『何でもいいから兎に角沢山』って」
「何でも過ぎだし、沢山過ぎだろ‼」
「『沢山にするのはいいけど、そこまで強力じゃないよ』と聞かされてたんすけど、意外といけるもんっすね」
この世界ではな。
アースランドで生きていけるかどうかは凄まじく微妙だが。
「まぁ、俺としてはスポーツの世界に行ってこの力で女子にキャーキャー言われたかったっすね。今でもワリとキャーキャー言われるッスけど」
・・・・・・・・イッラァァっと来るな。
「そうか、そんなにスポーツの世界へいきたかったか」
「勿論っす! 俺って普通にイケメンだからこんな力無くてもキャーキャー言われるけど、やっぱ力は有った方が良いっすね‼」
「OK、なら俺がお前を『テニプリ』なり『黒バス』なり『ハイキュー』なりに行かせてやるよ」
「マジで!? そんなこと出来るんすか!?」
「ああ」
俺は腕ごと肩をグルグル回す。
「方法は簡単、俺がお前を殴り殺す」
「・・・・・・ゑ?」
「運が良ければ、次はお望みのスポーツ世界に行けるかもな」
「え、いや、それはちょっと・・・・・・」
「いやいや遠慮するな。行かせてやるって言ってんだから、とっとと逝けやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼‼‼」
「『いく』の言葉になんか不穏な響きがあるんすけどおおぉぉぉーっ!?」
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