ブルーミストラル編やろうかとも考えたけど、アレって絡ませる要素があまりない為、本編には基本絡まないけど、そういう事がありましたよ的な感じで行きます。
「・・・・・・何やってんの、お前?」
少しばかり顔を引き攣らせながら、俺は地面にのた打ち回るガジルにそう聞いた。
此処は路地裏。
普通はこんな所を通ったりはしないんだが、俺は仕事の依頼で此処に居る。
迷子になった猫の捜索という、まぁ低ランクのクエストだ。
というのも、みんながクエストを取ってしまいあまり残ってなかったというのもあるが、能力の実験に低ランクで近場でこなせるクエストの方が良いと思ったからだが。
クリスから【完成】させた【5つの鎖】の能力に慣れておこうと【導く薬指の鎖‐ダウジングチェーン‐】で猫を捜索していたのだ。
そしてその猫は、今無事に捕獲したところなのだが、何故かガジルが顔を押さえて地面をのた打ち回っていたのだ。
・・・・・・マジで何してんだコイツ?
「・・・・・・う、うるせぇよ」
なんかノロノロと立ち上がる。
フラフラしてんぞ、マジに大丈夫か?
「て、その顔の傷は・・・・・・」
猫に引っ掛かれたような傷がガジルの顔にある。
いや、ようなではなく、実際猫に引っ掛かれたのだろう。
「なんだ、お前も猫探しか?」
「・・・・・・も、ってお前も?」
「ああ、クエストだ」
「そうかよ」
なんかガン付けられた上に舌打ちまでされたんだが・・・・・・。
「治そうか、その傷?」
「うっせぇっ‼」
ガジルは怒りながら何処かへ去って行った。
・・・・・・何なんだ?
◆◆◆
「雨強くなってきたな・・・・・・」
まぁ、【ベクトル操作】で雨を反射してるから濡れはしないんだが。
猫を依頼人の所へ渡した帰り道、ギルドへ向かう道でそいつを見かけた。
「ジェr―――じゃねぇな、ミストガン、何やってんだ?」
「・・・・・・祐一か」
膝をついて何かキツそうだ。
「魔法の使い過ぎか?」
見た感じ身体に外傷はない。
休めば自然と回復するだろうが・・・・・・。
「もしかして、アニマでマグノリアが呑まれようとしてんのか?」
「分かるのか!?」
「まぁな」
このタイミングでミストガンが此処に居るって事は、そうなんだろう。
眼を写輪眼に変えて、空を見る。
雲が渦を巻き、その渦の中心部に、ここら一帯の魔力が流されている。
「って、呑気に観察してる場合じゃねぇな」
嵐が吹き荒れ、全てを呑み込まんと渦へ吸い寄せられる。
街の建物が粒子に分解され、そのまま渦へと呑まれていく。
このままでは俺も吸い込まれ―――――――
「―――――あり?」
・・・・・・吸い込まれない?
風で多少身体が引っ張られる感じはあるが、耐えられない程じゃない。
いったい何故?
・・・・・・転生者だからか?
特殊な存在だから免れ―――――いや、
「【幻想殺し‐イマジンブレイカー‐】か?」
コッチの世界・・・アースランドのモノを魔力に分解し、吸い込む。
この世界を構成しているモノには、大なり小なり魔力がある。
アニマは魔力のあるモノを吸い込むはずだから、魔力の無いモノは吸い込めない。
この右手の力で逃れてるのか?
どっちか分からねぇが、とにかく俺が吸い込まれる事は無いらしい。
吹き荒れる嵐が徐々に納まり、風が止む頃、マグノリアの街は完全に消滅した。
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