ギルドに戻った俺達は、事の詳細を皆に説明する。
と言っても、先に戻っているルーシィ達が既に説明しており、俺から新しく説明する事は特に無かったりするのだが、グレイから話を聴くことは必要だ。
「おい、グレイ。起きてんだろ?」
「・・・・・・・・・」
エルフマンに殴り飛ばされて気絶していたグレイが、目を開けて起き上がる。
「何をすればいいか説明いるか?」
「じーさんのとこに連れてくんだろ」
「ああ。グズグズしてる暇はないからな、ジジイに説明して来い」
俺は顎で、グレイを連れて行くようにアルザックとビスカに指示を出す。
「付いて来いよ」
「変な気を起こさないよう、見張ってるからね」
銃を手にし、いつでも撃てる体勢を保ちながら、2人はグレイをジジイの所へ連れて行った。
まぁ、一応裏切り行為だからな、仕方のない対応だ。
「さて、と。後はアレを如何にかしないとな」
視線をやる先には此方へと近づく巨大な影。
ドラゴノイド。
もうマグノリアに侵入しようとしている。
「どうやって止めるの?」
「動力源はナツの魔力なんだから、ナツをあのデカブツから引き摺りだしゃいいだろ」
「簡単に言うけど、そう簡単に出来るの?」
ルーシィの疑問も尤もだが、まぁ、何とかなるダロ。
「ぶん殴って吐かせるとか」
「食べられた訳じゃ無いから無理だと思うよ」と、ハッピーが否定する。
「あの如何にもドラゴノイドの核っぽいモノをぶっ壊すとか」
「アレどう見てもナツがいるわよね。ナツごと倒しかねないわよ」と、ルーシィが却下する。
「じゃあ頭部のコクピットっぽい場所を潰すとか」
「確かに操作しているやつを倒せば動きは止まるんでしょうけど、制御盤を壊したら暴走する危険があるんじゃないの? 囚われたナツを外に出せなくなるかもしれないし・・・・・・」と、シャルルが意見を出す。
ふむ。
「首と翼と足と尻尾ぶった切ってダルマにして身動き取れなくしてから助けるとか」
「「「「「それだ‼」」」」」
「「グロいッ!?」」
「猟奇的ですね・・・・・・」
俺の案に大半の人が同意してくれたが、ルーシィとウェンディとクリスはドン引きしていた。
うーん、良い案だと思ったんだが。
「けどそれぐらいしか選択肢無くね?」
「・・・・・まぁ、確かに」
「よーし、皆の力でナツを助け出そう‼」
「「「「「あいさー‼」」」」」
ハッピーの言葉に気合充分に答える皆だったが、「待つんじゃ!」とジジイに止められた。
視ると、ジジイがギルドのテラスで仁王立ちしている。
「マスター!」
「フェアリーテイルはマグノリアの街と共に生きるギルドじゃ。今は街の崩壊を食い止めるのが先決!」
「え、アレを攻撃するんですか!?」
「中にはナツがいるんだよ!?」
「フェアリーテイルのマスターとして全員に命ずる! 手段は問わない、ドラゴノイドを食い止めろ‼」
避難の声を上げるルーシィとハッピーに有無を言わさない眼力で、ジジイはそう宣告した。
「なぁに、アイツなら大丈夫じゃ。頑丈な身体しとるからの‼」
丈夫さが取り柄みたいなものだからな。
◆◆◆
「ブラストブリット‼」
「スティンガーシュート‼」
「マジックカード! 爆炎‼」
「ウォータースライサー‼」
「サンドスピアー‼」
街に侵入して来たドラゴノイドを食い止める為、みんなの魔法が炸裂する。
「ドラゴノイドの破壊が最優先。それがマスターの決定打というのか。ナツの事は?」
「頑丈だから大丈夫だって」
「・・・・・・そうか」
合流したエルザにジジイの指示を伝える。
エルザはジジイの命令に従うが、それでも本人の意思を聞きたいのか、ドラゴノイドに囚われているナツに問いかける。
「ナツ。マスターの命に従い、我々は全力でドラゴノイドを止める。その前に、お前の意思を確かめたい‼」
「声を聞かせろ‼」と叫ぶエルザに『ああ、聞かせてやんよ』とナツが返答する。
喋ることは出来るらしい。
『いいか、耳の穴かっぽじってよく聞きやがれ!』
ナツの意思は――――――
『―――――コイツを、俺ごとぶっ壊せ‼』
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