FANTASY☆ADVENTURE   作:神爪 勇人

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第88話 怪獣大決戦?

夜空の月に照らされて、その姿を顕わにするグレイ。

 

「グレイ! 貴様が本当にフェアリーテイルを裏切ったというなら、訳があるはずだ‼」

 

エルザの叫びに、グレイは「ねーよ、そんなもん」とそっけなく返す。

いや、絶対あるだろ。

 

『はいはいはーい。こうして私の研究の成果が実を結んで、ドラゴノイドが完成したって訳。お前達はソレを祝福すればいいんじゃなぁい?』

「おめでとー」

『ありがとーう‼』

「祝福してる場合!?」

 

ルーシィのツッコミが炸裂した。

いやー、だってめでたい事は祝うべきよ?

 

「この声がダフネとかいう奴か。速やかにナツを返せ‼」

『それは出来ない相談ね。このドラゴノイドが、ナツ・ドラグニルの魔力を吸い取って動いてるって、知ってんでしょ?(モグモグ)』

 

コイツなんか食べながら喋ってやがんな・・・・・・。

何かを咀嚼する音が聴こえてくる。

 

『その魔力を吸い尽すまで、ナツ・ドラグニルは返してあげなーい』

「魔導士にとって、魔力とは命にも等しいモノ・・・・・・」

「ナツを返しなさいよ‼」

「ねぇ、どうしよう、このままじゃ・・・・・・」

「祐一、どうにかならないの!?」

「あのドラゴンをぶっ潰していいなら、どうにでもなるけど・・・・・・」

 

ナツが体内で暴れてるのか、ナツの魔力の流れが激しい。

だが、効果は無く、ただ魔力を吸われているだけの様だ。

 

「邪魔するつもりならやってみろよ。もっとも、お前ら如きの力じゃ、チャージ完了のまで持たねぇだろうがな」

 

なんて、黒い笑みを見せるグレイ。

 

「・・・・・なぁ、もうイラッときたからやっちゃっていい?」

「ダメだ」

 

さっさと須佐能乎なり尾獣化なりで決めたいんだが・・・・・・。

 

「ドラゴンマニアが高じて、人工的にドラゴンを造り出そうとしている危ない魔導士がいるって聞いたことあるけど・・・・・・」

「それがアナタなの!?」

『その失礼な噂はこう変わるわね。天才科学者ダフネが、人工的にドラゴンを造る事に成功したってね!』

 

そしてダフネは、これまでに至った経緯を話す。

まず、人工ドラゴンの卵の孵化に成功した事から始まった。

ダフネが住んでいた町、オトナシの町でデータ収集していたのだが、ダフネを含む町の住人達は皆【隠匿魔法‐‐ヒドゥン】という魔法が使え、その姿を透明化して隠すことが出来る。

住民を対象に攻撃することが出来なくなり、データ収集が出来なくなったダフネは、腹いせに隠匿魔法が解けなく成る様にしたのだ。

そして隠匿魔法を感知できない不完全なドラゴン達・・・つまりは人工ドラゴン第1号達も処分したのだとか。

その町には本当は別の名前があったのだが、この事件以降オトナシの町と言われるようになったそうな。

・・・・・そーいや、昔ナツがドラゴンの卵を沢山見つけたとか騒いでたな。

その卵か?

 

『その後も研究を続けた私は、ついに気づいたの。ドラゴノイドを動かすには、ドラゴンスレイヤーの力がいるってね』

 

ああ、それでナツを狙ったわけな。

まぁ、最近入ったばっかのガジルとかウェンディとかの情報は無かったようだが。

後、滅竜魔法を隠していたラクサスとか。

 

『ハイハイハイ。ナツ・ドラグニル! サラマンダーよ‼ 命を賭して働くがいいわ! この私と、私の野望の為に、燃え尽きろォォォオオオオオオオッ‼‼』

 

ドラゴノイドの胴体に埋められている大きなラクリマが光り出す。

ナツの魔力が吸われている様だ。

そしてドラゴノイドが動き出す。

 

「こんなもん造って、お前は何がしたいんだ? 世界征服的なアレか?」

『ハイハイハイ。私の野望、それは究極のドラゴノイドを完成させる事よ! コレもまだ試作品に過ぎないの。まずは現段階での能力を、テストテスト‼』

 

ドラゴノイドがまるで地団駄を踏むが如く、その場で足を荒々しく踏みつける。

 

「つか、ウッゼェ‼」

「迷惑! 物凄く迷惑なやつ‼」

「オイラ知ってるよ! こーいうのマッドサイエンティストって言うんだ‼」

「なんとかして止めねば。しかし・・・・・・!」

「中にナツさんがいるんじゃ、迂闊に手出しできません!」

「そう? 別にいいんじゃない?」

「シャルル!」

「俺も同意見なんだが」

「祐一さんまで!?」

 

だってナツだし、ちょっとやそっと無茶したって大丈夫だろ。

 

「このまま暴れられんのも面倒だし、取りあえずドラゴノイドの動きを止めるぞ!」

「どうやって!?」

「こうやってだ‼」

 

――――――須佐能乎‼

 

「完成体須佐能乎‼」

 

普段は収縮し、鎧を纏う様にしか使わない須佐能乎だが、相手がビッグサイズならこちらも大きくなって相手をするだけだ。

てか、元々はこういう術だし。

 

「デカぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

なんか足下から叫び声が聞こえる。

あ、ルーシィ達は見んの初めて何だっけ?

・・・・・・まぁ、いいや。

山をも越える巨大な鎧武者のような出で立ちの須佐能乎が、ドラゴノイドを押さえに掛かる。

何かもう大怪獣決戦っぽいな、絵面が。

 

「あ?」

 

何か足下にちょろちょろと・・・・・・魔導四輪車が走って来た。

乗っているのはマカオ、ワカバ、エルフマンの3人。

何だ? 増援か?

 

「おーい祐一‼」

「ああ?」

 

マカオが俺の名を呼んだ。

 

「何だよ?」

「そのデカブツの処分はグレイの話を聴いてからだ! 今は倒すな‼」

「はあ!?」

 

俺の不満気な声に、ワカバが「マスター命令だ‼」と叫んだ。

・・・・・メンドクセェな。

 

「チッ」

 

ドラゴノイドを押さえつけていた手を離し、後ろに跳んで距離を取る。

瞬間、ドラゴノイドは翼を広げて飛び上がった。

そして飛び立ったドラゴノイドが向かう先は、マグノリアの方角だ。

俺は須佐能乎を解除して、地面に降り立つ。

 

「どうするよ?」

「・・・・・・ルーシィ達はギルドに戻って、皆に出動を要請してくれ。皆でマグノリアの街を護るんだ!」

「でも、そしたら・・・・・・!」

「あのドラゴノイドは、私が止める‼」

「・・・・・分かった。行くよ、ハッピー‼」

「あいさー‼」

 

ルーシィとウェンディは、それぞれハッピーとシャルルに抱えられて空を飛び、マグノリアへと向かって行った。

 

「私達は車で向かうぞ!」

「「「「あいさー‼」」」」

 

俺を含む男4人が返事をする。

エルザの指示なせいか、有無を言わさない感じだ。

エルフマンがグレイを殴って気絶させて担ぎ上げ、車に乗り込み、ドラゴノイドを追跡する。

乗り込むといっても、エルザは車体の上に乗っているが。

マカオがアクセル全開で車を飛ばし、ドラゴノイドに追いつく。

 

「グレイの事、頼んだぞ!」

「あいさー‼」

「そっちもナツを頼んだぜー‼」

「漢として‼」

「任せろ‼」

 

ドラゴノイドに跳び乗ろうとするエルザに、俺は車の窓から顔を出して呼び止める。

 

「マジで俺はいかなくていいのか?」

「ああ。お前の魔法だと、ナツごとドラゴノイドを落としかねないからな」

 

いや、お前よりは手加減できると思うけど、俺。

だがまぁ、エルザが言い出したら聞かない性格なのはよく知っている為、何も言えなくなるのだが。

 

「じゃ、そっちは任せたぞ」

「ああ‼」

 

エルザはドラゴノイドに斬りかかった。

 

 

◆◆◆

 

 

ドラゴノイドを護る様に、無数の竜人・・・リザードマンがエルザに立ち塞がるが、まぁアイツなら大丈夫だろ。

問題はこっちにも、そのリザードマンが来ている。

車を攻撃されて、俺達は外へと飛び出した。

 

「なんじゃあ、いったい!?」

「みんな無事か!?」

「なんとかな!」

「コッチにも敵が来たようだぜ」

 

敵は3体のリザードマン。

見た目はマカオ、ワカバ、エルフマンの3人とよく似ている。

 

「例のトカゲ野郎か」

「グレイを取り返しに来たってか?」

「取り返しっつーか、始末しにだろ」

「漢なら、撃退するのみ!」

「おもしれぇ‼」

「一暴れすっか‼」

「いや、その必要無しだ」

 

やる気満々な所悪いけど。

 

「風遁螺旋手裏剣‼」

 

螺旋丸に風の性質変化と仙人チャクラを込めて投げつける。

巨大な風の刃が、リザードマンを一刀両断する。

リザードマンは灰となって消えていった。

 

「「「・・・・・・・・」」」

「よし行くぞ!」

「「「お、おう・・・・・・」」」

 

出番が無くなって若干落ち込む3人。

まぁ、きっといつかまた出番があるさ。

 

 

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