ジョジョの奇妙な学園 ~stardust stratos~   作:エア_

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さぁ、最近感想文を見るのが堪らなく楽しみなエアです。

それではどうぞ


第六話~忍ぶ悪。過ぎる平和

承太郎がやらかしてから次の日。この娘もやらかしていた。

 

「てめぇ、何すんだよ!」

 

「認めない。私は貴様を認めはしない」

 

そう、ラウラ=ボーデヴィッヒである。彼女が転校して先ず行ったことと言えば、一夏の頬を裏手でビンタ。であった。あの承太郎でさえも目を見開き、その光景を見続けていた。しかし、当の本人、今回の被害者である織斑一夏も目をパチクリさせていた、

 

そう、言うなれば・・・・・・。

 

あ、ありのまま、今起こったことを話すぜ! [転校生が来たかと思えば俺の首が90度左に弾き回された] な・・・何を言ってるのかわからねーと思うが俺も何をされたのかわからなかった・・・。頭が(物理的に)どうにかなりそうだった・・・。催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ。もっと恐ろしいもの(軍隊仕込み)の片鱗を味わったぜ(物理的に)

 

といった感じだろうか。一夏の頭をビンタの二文字がぐるぐる回っていた。そして考えた。誰だこいつ、と。そう、この今の光景について一夏はみに覚えがなく、いきなり知らない女から打ん殴られたのだ。誰だって怒る。承太郎ならキレる。オラオラする。絶対する。

 

(・・・・・・何やってんだ。ラウラのヤローは)

 

承太郎は内心彼女を咎めながら、教室を出るために踵を返す。そう、今日も一時間目からISの合同訓練なのだ。

 

「おい織斑。てめぇも呆けてねぇでさっさと来な」

 

「な、おい空条! 歩ける!! 俺だって一人で歩ける!」

 

教室を出る途中、承太郎は一夏の首襟をつかみ、シャルルと共に更衣室へと向かった。また面倒事が起こるのはごめんだと、承太郎は思いながら、急ぎ足でアリーナの更衣室へと向かう。一夏を引き摺りながら、承太郎はラウラについて考えていた。何故あのようなことをしたのかを思い出していたのだ。その為か、ラウラと会話をする事無く出て行ってしまった。

 

それがいけなかったのかもしれない。

 

その後ろ姿を、ラウラは最後まで見続けていた。それは執拗に見続けていた。目は見開かれ、今にも人を殺しそうな顔までしている。

 

「じ、承太郎殿・・・・・・何故貴方まで」

 

その顔は、大切なものを奪われたような表情をしている。

 

それもそうだろう。彼女にとって承太郎は大切な存在だったのだ。それを昨日初めて会ったであろう人間に、それも自分が敵対するような人間に声をかけ、自分に声をかけてくれないのだ。そうして悟ってしまうかのように、

 

自分の大切(じょうたろう)を取られた。ラウラはそう感じた。

 

千冬の戦績に泥を塗り、あまつさえ自分の大切な人を奪われたのだ。

 

彼女の心を闇が巣くう。醜く巣くう。負の螺旋が彼女を包むかのように。

 

(憎い・・・・・・織斑一夏が、憎いッ!)

 

ラウラの心に完全な負の感情が生まれ育った。

 

 

 

 

所変わって、ここは更衣室。承太郎達が着替える男子更衣室で、承太郎と一夏は向かい合っていた。

 

「つまりなんだ? あのラウラって奴は千冬姉の記録に泥を塗った俺を許せないってわけなのか?」

 

「あぁ・・・・・・。時折、お前のことは千冬からよく聞いていた。女関係でよくトラぶってたってな。しかも、本人は何故そうなったのか理解できてないってよ」

 

それを聴くと、一夏は何故知っていると言いたげな顔をしていた。それは仕方がないことだ。何故なら情報源は彼の実姉である千冬なのだから。

 

「千冬姉ぇ、それを人に言うかぁ? ったく、まぁそうだな。何でか俺の周りでなんか起こってそれに巻き込まれて、何故か俺の責任になっちまってさぁ。本当、辛いっつうか、理由も教えてくれないしよ」

 

一夏は淡々と自分のことを語った。時間の許す限り、彼は愚痴をこぼした。途中からシャルルは苦笑いになり、時折変な汗をかいた。そう、内容が不憫なのだ。それでいて、彼が自分に対しての好意に気がつかないという朴念仁さに呆れるほどだった。つまりは本当に不憫な内容だったのだ。

 

「そ、それは、一夏もい―――」

 

「分かるぜ。お前の言いたい事がよぉッ!」

 

しかし、承太郎は違った。一夏の肩に手を置き、彼は何度も頷く。それはもう無駄に頷く。こんなに話に食いつく彼の姿なんて生まれてから十五年間誰も見たことがない。そう、彼は始めて共感できる存在を見つけたのだ。

 

「おぉ! 分かったくれるか空条ッ!!」

 

「あぁ分かるぜ。これでもかってぇくらいにな! 中学の頃なんざ、よく周りの女が喧しくてよ。気がついたら先公に呼ばれる始末。しかも、何でか不良に絡まれて喧嘩を売られる。俺の場合はしかたねぇから応戦すりゃあ、不良のレッテルを貼られ、ついに堪忍袋の緒が切れて周りの女共にウルセェと言えばさらに叫ばれて。どうすりゃあいいか頭を悩ませていたぜ」

 

「う、うぉおおおおおおおおおおおおおおおッ!! こ、こんなところに悩みを分かち合える人間がいたなんて! しかも境遇まで似てるなんて!!」

 

一夏は承太郎と言う存在を目にし、涙を流した。そう、同じ不幸の星の下に生まれたんだろうと言いたいくらいに悲しい悩みをもつ存在。とうとう見つけた同じ苦しみを持つクラスメイト・・・・・・否、ソウルメイトを。

 

「俺のことは一夏って呼んでくれ!」

 

「あぁ! 俺のことは承太郎でもジョジョでもいい。好きに呼んでくれ」

 

双方、がっしりと握手を交わす。シャルルはそのよく分からない光景に、未だ半笑いするしかなかった。とは言え二人の友情が生まれ、そして強固に変わってゆく。そのことはシャルルにも分かった。そう、嬉しそうだったのだ。

 

(僕も・・・・・・悩みを打ち明けられる人が・・・・・・欲しい、かな)

 

すこし寂しそうな表情をするシャルルだったが、すぐに元通りの笑顔に戻すと、二人に早く行こうと急かし始めた。二人は返答をすると、アリーナへと向かった。勿論一夏はスーツに着替え、承太郎はいつもの学ラン・・・・・・のように見えたが、その姿は黒。そう、承太郎が以前着ていた黒の学ランだった。

 

「そういやその学ランは」

 

「本来行くはずだった高校のだ。様になってるっつうから母親から貰った。俺も結構気に入っていてな。闘いの時くらいは着てやらねぇとな。折角買ってもらったもんだしよ」

 

「うん、とっても似合ってるよ、ジョジョ」

 

シャルルが人懐っこい笑顔で承太郎の学ランを褒めた。この場合は学ランと言うより、その学ランを着こなせている承太郎のスタイルのよさを褒めていると言えよう。満更でもないのか、帽子で表情を隠しながらサンキュー。と小さく返事をした。その行動が何とも言えないギャップで、シャルルの心を打ち抜いた。そう、これが世間でよく聞く、【ギャップ萌え】と言うシロモノだったのだ。

 

シャルルが衝天している間にアリーナについた。そこには昨日と同じように千冬をはじめとする学生達のスーツ姿が見られた。

 

「遅いぞ、三人とも。遅刻はしていないが早く始めるに越したことはないんだ・・・・・・ん? 空条、その学ランはどうした」

 

「あぁ、流石にあのまま合同練習すりゃ汗臭ぇからな。せめて変えようと思って前の学ランにしたんだよ」

 

「ほぅ、まぁそっちの方が私は見慣れているからな。中々様になっているし問題ないだろう」

 

ニヤリッと口の端を吊り上げながら千冬は茶化すように言った。すると承太郎は小さく舌打ちしながら目をそらし、帽子をさらに深く被る。その光景にシャルルは再び、千冬は数ヶ月ぶりにギャップを感じていた。

 

(流石は承太郎だ。からかい甲斐がある)

 

何を隠そう、千冬はドイツにいる間、承太郎をからかう事を生きがいにしていたも同然だったのだ。まさかここに承太郎をからかえる存在がいるとは思ってみないだろう。

 

(なんだろう、この感情は。これがジャパニーズ=モエなんだね? 承太郎)

 

二人とも、末期患者だった。

 

「んんっ、それではIS合同訓練を行う。昨日の闘いでは決着がつかなかった鳳、オルコット。もう一度だけチャンスをやる。相手は空条じゃないがな」

 

千冬が話を変えるためにそう言うと、鈴達は首を傾げた。いったい誰なのか見当もつかなかいのだ。

 

「えっと、一夏とかですか?」

 

「そんなに弱い者苛めがしたいのか? 鳳」

 

「ひっでぇ! 仮にも教師か!」

 

「ならいったい、もしかしてデュノアさんでしょうか?」

 

「スルーですか? ねぇ皆さん俺をスルーですか?」

 

一夏は最後まで無視され、承太郎たちに慰められた。

 

その間、千冬はまぁ見ていろ。と答えた。すると、何処からともなく悲鳴が聞こえてきた。それはよく筆記学などで教卓によく上がっている我等が副担任。

 

「どいてくださいぃいいいいいいいい」

 

山田真耶副担任その人以外いなかった。皆はすぐに脇に逃げるが、承太郎は逃げなかった。それどころか両手をポケットに入れ、真耶を見据えていた。しかもその行動をする途中、流れるように一夏とシャルルを脇に逃がすこともしていた。流石は頭の回転が速い不良。

 

「お、おい承太郎ッ!? ミンチになんぞ!!」

 

「安心しな一夏。俺はそんなに軟じゃあねぇッ!!」

 

承太郎はそう言うと、左手をポケットから出し、帽子のふちをなぞる。それは妙に様になっていて、見るものが息を呑むほどだ。

 

「スター・プラチナッ!」

 

掛け声と共に承太郎のIS、スター・プラチナが現れる。そして、その両腕が真耶の乗るラファールリヴァイブを上手くつかんだ。突然の衝撃が襲うかと思われたがそこは承太郎。上手く減速させ、地表につくころには完全に停止させていた。途中、ISが減速と共に反重力機も停止し危なかったが、承太郎が真耶を抱き寄せ、最悪ぶつかる事も想定した行動をすでに取っていた。

 

「・・・・・・怪我、ねぇか? 山田先生よぉ」

 

「あの、えっと、あ、ああありがとうございます。空条君」

 

顔の整った男らしい承太郎の顔が間近にある。真耶は助けられたこともあるのか、顔が真っ赤に染まった。

 

「礼なんていらねぇ。ここでアリーナに衝突でもすりゃあ整地するのに手間取るだろうが」

 

「あ、大事なのそっちなんですね?」

 

何を言ってやがるんだ? と言った表情で承太郎は真耶をおろす。スター・プラチナも承太郎の中に戻り待機状態になった。

 

「さて、生徒の前で恥をかかずにすんだ山田君。さっさと始めよう」

 

「ひっ、す、すみません織斑先生」

 

千冬はため息と共に真耶に指示を出す。そして、真耶VS鈴&セシリアの戦いが10分ほど行われた。勝ったのは勿論、先生の威厳を保った真耶だった。描写にならなかったのは作者が悪い起訴。

 

「さて、これから歩行及び格闘運動を行う。専用機持ち一人を含めた7グループに別れ、専用機持ちをリーダーとし実習をする。勿論、空条。お前も専用機持ちにカウントしているからな。いくらスター・プラチナが装甲型じゃないからといっても専用機と変わりはない」

 

「・・・・・・わかった」

 

「よし、では別れろ」

 

千冬の言葉が終わると同時に、女生徒達の殆どが一夏やシャルルのもとへと走っていった。まさに群がるハイエナの如く、そう、男と言う貴重な存在とお近づきになりたいからだ。承太郎は初っ端が効いたかと高を括り静かにしていようと思ったのだが、数人が歩み寄ってきた。そう、例のミスター天然、布仏本音。通称のほほんさんら仲良しグループである。

 

「・・・・・・なんでだ」

 

「ジョニキ~。教えて~」

 

「俺はキャッチャーじゃあねぇぞ?」

 

本音を除く仲良しグループは初っ端の怒号で警戒をしていたが、本音の頼みでいっしょについてきたのだ。確かに口は悪いが技術は確実なのだから、仕方ないと来たに過ぎなかった。

 

「何をしとるか馬鹿もん。出席番号順に並べ。勿論リーダーも出席番号順だ。もたつく様ならIS歩行訓練ではなく生身の歩行訓練を延々とやらせるぞ」

 

千冬がそう言うと、女生徒達は一瞬でそれぞれの専用機持ちのもとに着いた。承太郎は五月蝿くなければそれでいいと、呆れた顔を見せる。やはり女生徒からは不評だったのか、

 

「あ~ぁ。織斑君とかがよかった」

 

「デュノア君のところ、楽しそうだなぁ」

 

などと聞こえてくる。しかし、そこは流石といえる承太郎。完全に無視を決め込んでいた。もう上の空だ。女生徒など視界にすら入っていない。そう、ただ一つ。面倒くさいからと言う理由でだ。

 

「では、それぞれのグループには一台ずつISを支給します。ラファールが3台。打鉄が4台ありますので、早い者勝ちですよ~」

 

「・・・・・・ここは小学校の給食か?」

 

真耶の言葉に呆れながらも、承太郎は適当にISを探し、生身で持ち上げた。ISとは機械の塊だから生身で持つなど殆ど不可能にも近い。ましてやスラスターによる半重力常態ですらない。そんな鉄の塊を、承太郎は片手で持ち上げた。見た目屈強な体付きだとは思ったがこれ程とは誰も思わないだろう。しかし、当の本人は

 

「・・・・・・タバコ」

 

禁煙一日にしてニコチンを求めていた。その片手で持ち上げているそれは女生徒から完全にドン引きされていた。

 

 

 

 

「そこで止まれ。足の軸がずれてると倒れるぜ?」

 

「わ、わかってるわよ」

 

「わかってねぇから言ってやってんだがな」

 

「くっ、るっさいわね!」

 

承太郎の斑は予想よりも出来ない生徒が多かった。そう、歩くこと一つままならない生徒もいるのだ。承太郎は最初親身に手伝おうと思ったが、邪魔するなと言われたため、こうやって野次るだけにしているのだった。

 

「時間だ。さっさと変わりな」

 

「ぐっ、もう少し待ってよ」

 

「それなら放課後借りるんだな。時間ってぇのは有限なんだぜ? 一人の為に割けるかよ」

 

ストレートど真ん中の正論に女生徒は渋々降りた。愚痴口と文句を言っていたが承太郎には関係なかった。

 

すると、問題が起こった。そう、こういった待機状態にならないISを停止させる時は本来、膝をついた状態にして降りるのだが、先ほどの生徒はそれをせずに降りた。つまり今は立っている状態。普通の生徒じゃあ届かない高さだった・・・・・・まぁ、承太郎にはちょうど良い高さなのはご愛嬌ともいえる

 

「・・・・・・おいおい」

 

「ふぬふぬ。こりは大変だねぇ」

 

「次は布仏か。どうする?」

 

「ここはオリムー同様抱え上げてくれると嬉しいなぁ」

 

本音視線の先には女生徒を担いでいる一夏の姿があった。そんな要望に承太郎は仕方ないと了承し、本音をスター・プラチナで抱える。そしてそのままISのコックピッドに下ろした。しかし、抱えられている本音からはブーイングが。

 

「ぶ~ぶ~。ここはジョニキがお姫様抱っこするべきでしょ」

 

「IS持ち上げて疲れた」

 

「嘘乙」

 

「・・・・・・手をポケットから出すのが面倒だからだ」

 

「うっは。面倒くさがりすぎぃ~」

 

本音はそう言いながら、ISを起動する。ちなみに打鉄なのであるが、この打鉄、足の部分に殆どのパーツが存在しており、ラファールと違い比較的に上半身に対しての装備はないに等しいシロモノだった。だからなのだろう。歩くのは案外難しい。

 

だからなのでもある。初心者に乗せるようなものではない。

 

だがここで、承太郎の野次作戦が功を成すのだ。わざと野次を飛ばし、無理矢理体に重い足を動かす為のコツを実につけさせる。そうする事で打鉄での試合の時に誰よりも早く移動を行えるのだ。これは頭のいい承太郎だからこそ至った考えだった。

 

「どうした布仏。足が覚束ないぜ? まるで酒飲んだおっさんみてぇじゃあねぇか」

 

「うぐぐっ、的確な例だと言っておこう」

 

本音は無理矢理体を激しく動かしながら歩く。無理が祟ったのか次の瞬間。

 

「あ、あわわわっ!?」

 

案の定こけそうになる。

 

「(言い過ぎたか?)ちっ、スター・プラチナッ!!」

 

承太郎の掛け声と共に再びスター・プラチナが現れ打鉄を支えた。承太郎は本音の安否を確認するために近づいた。本音はえへへと笑いながら失敗したと謝った。

 

「ごめんねぇジョニキ~」

 

「別に謝らなくていい。それよりも怪我してねぇかが問題だ」

 

「うにゅ、じいさんや迷惑かけるねぇ」

 

しょぼんとなったかと思えば突然、本音が目を光らせながらそんなことを言ってくる。そう、お決まりのあれを言ってくれと言わんばかりに。しかし、承太郎がそれをいう訳がない。スター・プラチナで座らせると続きをしろと本音に言った。本音は残念だとすこし落ち込んだが、すぐにもとの彼女に戻り打鉄の重さに耐えるために再び歩き出した。承太郎はその姿に関心を持った。

 

そう、布仏本音は基本ダラダラしているといった印象を承太郎自身が持っていたのだ。話し方や行動からもそう考えてしまうのは仕方がないが、こうやって真面目にするのだと思っても見なかったのだ。

 

「ぐぬぬっ、重い、重いぞぅ」

 

そんな真面目な本音をみたのか、承太郎は近づき、

 

「手ぇだしな。先導してやる」

 

と、声をかけるのであった。本音は嬉しそうにその手を握り、ゆっくりと歩く。その間、承太郎はスター・プラチナを起動し、打鉄のホバーを起動させていた。

 

すると、だんだんと足が軽くなってゆくのが本音には分かった。そう、皆が苦しんでいたのはだいたいこれの所為なのである。

 

従来のISは重い。それはそうだ。鉄製のその機体は人間ではたやすく動かすなどほぼ不可能な重量となっているのだ。それを可能にするために作られたのが、ホバーシステムである。これは空を飛ぶためにも使われるが、なんといっても走ったりジャンプしたりする時に必要な装置なのである。この装置を起動しなければそれはただの使えない鎧と変わらないものになる。まぁ、専用機には別に上半身を起こし、体幹を真っ直ぐにし、上半身についている装備を空中に持ち上げる反重力装置が付いており、それによっても幾分か還元される。しかし、今乗っているのは打鉄。手にしか装甲がないそれに、そんなもん必要ないのだった。

 

それを遠目でみていた千冬は気がついたかと言わんばかりに腕を組み口の端を吊り上げる。それはもう嬉しそうに吊り上げている。しかし、その笑い方は端から見れば悪巧みを考えているようにしか見えない表情だった。これこそ、カッコいい女性のサガなのかもしれない。

 

 

 

 

「ほぅ、この女。いい負の感情じゃあないか。これは良い駒になる」

 

IS学園からわずか数百メートルはなれた場所、ちょうどモノレールの駅に男はいた。潮風に当たり、なんとも磯臭いなどと感じながらも、その海の匂いを懐かしむように嗅ぐ。

 

その姿はあまりにも魅力的で、逆に人には見えない存在だった。

 

テーマカラーを考えるのだとすれば間違いなく黄色。

 

黄色を基点とした服で、膝関節の所には緑色のハートマークのサポーターが付いている。

 

内側に来ている黒のアンダーシャツによってうえの黄色のジャケットがとても映えている。額にはこれまたハートマークの緑色のヘアバンドをつけている。

 

一見道化師のような格好にも伺えるが、纏っている空気が格段と違った。

 

そう、道化師が皆に笑いを提供するのに対し、この男は皆に恐怖と絶望を提供するような空気を纏っている。

 

「クククッ、良い、実に良い。この女を手にいれ、ジョースター家を根絶やしてやろう。クククッ、素晴らしいことじゃあないか」

 

男は笑う。不気味に、そして魅力的に。悪者のように、世界を滅ぼす悪のように。

 

時は刻む、この瞬間を、この男の存在を刻む。

 

だがしかし、次の瞬間には、その時計の針でさえも、彼を刻むことは出来はしなかった。

 

 

 




さて、最後に出てきたのはいったい誰なんでしょうか(笑)

さぁ、ラウラやらなんやらがヘンタイなことになってますねぇ。じゃなかったタイヘンだ。

承太郎の性格、定まってますかねぇ?

もし定まってないのならそれは、楯無さんの所為と言う事で起訴。

一夏とはもうソウルメイト。素晴らしいぞ承太郎!

では、また次回の話で ノシ

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