Qカヲ「!? まさか、君は綾波タイプだと言うのか……だが、姿かたちが違いすぎる」
中二カヲ「おいてめぇ、何カガリのこと見つめてんだ!!」
Qカヲ「まさか、この世界は本筋の世界から派生した分岐世界、俗に言うパラレルワールドなのか」
中二カヲ「何時までも見つめてんじゃねぇ、ぶち殺すぞ!!」
カガリ「キャラが変わってる、変わってる」
Qカヲ「分かったよ、煩いな。というか、君は彼女の何なんだい?」
中二カヲ「え、そんなの、あれだよ、カガリの彼氏に決まっているだろ!!」
Qカヲ「は!?」
カガリ「恥ずかしいな。けど、最初言葉を詰まらせたのは何故だ、まさか今まで認識していなかったのか?」
Qカヲ「そんな……君も……僕ならば、彼を第一に……考えるはず……この世界は一体どうして」
中二カヲ「大体、僕と君の本質が同じだとしても思考のすべてがシンジ君に結びつくとどうして思うわけ。言っておくけど、崖に落ちそうなシンジ君とカガリが居たら、僕は絶対カガリを選ぶよ!」
カガリ「いや、使徒なんだから二人とも助けろよ。余裕だろ」
中二カヲ「それに、シンジ君とカガリなら、絶対カガリの方をぺろぺろしたい!!」
Qカヲ「な!? 僕は断然シンジ君をプルプルしたい!!」
カガリ「ああ、こいつら両方とも駄目な奴らだったんだな、片方は彼氏なのに」
遠い目をしたカガリは無性に泣きたくなった。
続く?
始まります。
そもそも、死海文書は残し手が数多いるように複数存在する。その内容は往々にして似たり寄ったりではあるが、その残し手の特色から僅かな差異が見られることもあるのだ。それを我々は外典と呼んでいる。
ネルフが所持する死海文書、その外典には始まりのサイコドライバー、ナシムと呼ばれる存在が記されていた。それは遥か昔、持って産れたその特異な能力から人造神を作り出し、自らがその乗り手となって災厄と呼ばれる宇宙の危機から黒き月の民を生き残らせたとある。すべては母なるこの地球を守りたいという想いからの行動だったらしい。
そして、ゼーレが所持する死海文書の外典には別のサイコドライバーの存在が記されていた。始まりのサイコドライバー、ゲベル。ナシムと同じく人造神を作り出すも、ナシムとは違い己が神の座へと至り、自身を神と同種になる事で災厄から黒き月の民を守り、導こうとした存在だった。しかし、そんなゲベルを二体の始祖の子たる黒き月と白き月は許さなかった。神に至るとは即ち二つの種族の祖をその身に取り込むことを意味する。
反発していた二つの種族はこの時初めてにして最後の共闘を示す。祖を守ろうとする本能からくる白き月、自分たちと同じ存在が神になることに我慢ならなかった黒き月、厄災の降りかかる際に行われたこの戦いはゲベルの敗北で終わりを告げたようだ。その後、ゲベルがどうなったかは記されていないが、外典の最後にはこう記されていた。
二つの民とその祖を酷く恨んだゲベルは決して諦める事をしない。仮に後世にこの書が残るならばゲベルに関するすべてに危惧するべきであろう。あれは厄災との戦いに置いて、二つの祖とその子孫を取り込むすべを確立する事に成功していたのだから。
トップシークレット ある秘密結社のトップを拷問した末に語られたもの。
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ネルフ本部、第一発令所にて部隊と応戦していたミサトたちは部隊の撤退により各部の被害状況を確認しながら事態の収拾に奮闘していた。そんな中、外で戦う彼らの状況をモニター越しで見守っていたマコトがその変化に気づき、コウゾウを始めその場にいたミサトたちに報告をする。
そこに映し出される状況に皆声を出さず驚愕する。ただ、いち早く我に返ったコウゾウが深く思考したのち、何かに思い至ったのか、驚愕していたマヤに命令して、とある情報を調べさせた。マヤが端末を操作して表示された情報を元にモニターに映し出される事象と照らし合わせるとコウゾウが僅かに息を呑んだ。
「当たって欲しくない事は往々にして当たってしまうものだな」
「そんな、十五年前のセカンドインパクトに状況が似ている」
諦めにも似た呟きをコウゾウが告げれば、マヤの悲鳴のような報告を聞いたミサトたちがそのデータを凝視する。
データを見る限り、アンチATフィールドの数値が凄い速さで降下していた。このままではすぐにでもマイナスに転じるだろう。もう一つのモニターには上空を舞う4号機、その周りに集う量産型は抜けたコア部分からS2機関を解放し始める様が映し出されていた。どうやら量産型のコア部分とS2機関は別々に設置されていたようだ。
「残念ながら似ているようで、少し違う。これはもうサードインパクトという言葉を使うのはおこがましい事態だ」
「どういうことです?」
「それを君が聞くかね、葛城三佐。君は加持監察官により情報を貰い、自らも独自に調べていただろう」
「!?」
「今更、それを咎めるつもりは無い。しかし、君なら今のこの事象の矛盾に気づくのではないかね?」
ミサトは歯噛みしながらモニターを睨み思考するとリョウジにより知らされたゼーレのシナリオを思い出した。
「リリスの覚醒が未だに成されていない」
その言葉を聞いてコウゾウは不適に笑ってみせる。
「その通りだ、詳しく言えばリリス覚醒によるガブの開放が今も成されていないのにも関わらず、いや、それは仕方が無い、何しろアダムベースたる4号機を媒介に死と再生の儀式が行われようとしているのだ、これでは正常な状態でもリリスは覚醒しない。では、この場合に儀式が進めば我々の魂はどこへ向かうのだろうか」
「ガブという受け皿が無ければただ、垂れ流しになるだけ」
世界が赤い海に支配される様が頭に映し出され、呟いたミサトや想像してしまったマコトたちが身震いする。
「それか、ゼーレがお膳立てした儀式を乗っ取った元凶が我々人の魂を取り込もうとするかだな。私としてはそちらの方が的確な気がするよ。どちらにしろ、我々この地に住む人々にとっては終わりを意味するだろう」
その時、警報が鳴り響いた。モニターを確認していたマヤが報告する。
「量産型のATフィールドが反転……そんな!! 量産型から不可思議な意識体を確認、パターン予測できません。その意識体が自我境界線を突破して4号機を侵食し始めました。このままでは4号機パイロットの自我が乗っ取られてしまいます」
映像には何時の間にか白が特徴の量産型がドス黒く染まり元々の姿など見る影も無くなった姿が映し出されていた。そしてその直後の精神汚染、コウゾウが難しい顔で唸る。
元々はゼーレが量産型を動かすため取り入れたアダム式のダミープラグに死と再生の儀式プログラムを組み込みこんでいたそれを理論上死んだはずの量産型を何らかの力で操り発動させたのだろう。後はゼーレが辿るはずの儀式を遂行するだけで良い。ただ、この儀式には難点がある。パイロットの意志の問題だ。パイロットが儀式の遂行を望まなければ最終的な発動は成されない。
しかし、と思考から戻りコウゾウは口を開いた。
「なるほど、自我を乗っ取ることでこの儀式の最終的な決定権を持つパイロットを操るつもりか。これで難なく最後の儀式を発動できるというものだ」
仮にこれがリリスを模した初号機によるものならその決定権はやはり碇シンジになるだろう。今のシンジならば、肉体を開放させ魂をガブに封印させようと思わないだろうが、かつてのひ弱だった少年だったならば、ゼーレ、はたまた父親の補完計画が発動していたかもしれない。
再び警報が本部に響き渡ると同時にモニターには地を這うエヴァ初号機と弐号機がその背に翼を羽ばたかせ儀式の最中の4号機たちのもとに近づいていく映像が映しだされた。
当然、驚愕の表情を浮かべる職員たち、しかし、コウゾウだけは僅かに微笑を浮かべた。
「今更、我々人は魂の座に帰ることを望まぬか。そしてそれはユイ君やキョウコ君の願いでもある…碇、私たちは仮に正常の状態で儀式が発動されても失敗するかもしれないぞ。お前の息子はお前が思った以上に強くなった……む!? 来るか」
警報と共に司令本部が地震のように揺れ響く。慌てふためく所員にコウゾウは声を上げた。
「狼狽えるな、儀式の始動を告げる衝撃波だ。本部のアブソーバーを最大にすれば耐えられる!」
普段、物静かなコウゾウの叱咤に所員は落ち着きを見せる。しかし、状況は益々悪い方向に向かっていた。
上空で四方に佇む量産型、その中央に鎮座する4号機、儀式の発動を意味する生命の木を描く光りの法陣、死海文書に描かれた再生の始まりを告げる福音、けれどそれは今を生きる人間にとっては終わりを示す死に神の鎌とも言える。
「ここまではサードインパクトの予定調和に過ぎないか、しかし、還る先が開かぬ限り最後に待つのは果たして……」
先ほど地上から飛び立った二機が四号機の鎮座する上空に辿り着いた。
初号機と弐号機は示し合わせたかのように移動を開始、4号機を中心に左右へと分かれると量産型と同じようにS2機関を解放させた。
「なるほど、碇の息子たちも考えてくれる」
コウゾウの呟きから来る予想通り、自身を赤い光りに纏わせると巨大なATフィールドを発生させ、光りの文様の中央に位置する4号機に向けてぶつけ始めた。
「初号機及び弐号機、今までに無い強力なATフィールドを発現、アンチATフィールドの発生源たる4号機に向けて照射し始めました。これにより、数値のマイナス化が減速、我々人類の時間的余裕が出来ましたよ!」
マコトが数値を見ながら喜びの声を上げる。しかし、そこにコウゾウが冷静に言葉を挟む。
「しかし、相手は4号機を含めた10、こちらは2、減速させても失速は無理か。まして、プラスに転じるなど奇跡に等しい。MAGIに確率を調べさせて更なる絶望を抱きたくは無いものだ」
「ですが、我々にはまだこの星の守護の要、ロンドベルが存在します」
「葛城三佐、もっともな意見だがそれは難しいだろう。あの老人たちが彼らを野放しにするはずがない。未だに彼らが現れないのが良い証拠だ」
皮肉な言い回しでコウゾウが述べた時、また警報が鳴り響いた。
「今度は何事だ?」
何度も鳴り響く警報にやれやれと首を振りながらコウゾウが問えば、第二新東京市周辺を監視していたシゲルが報告する。
「東京湾周辺に突如現れた三体の飛行物体が物凄い速さでこちらに向かっている模様。この速度で行けば数秒後に4号機がいる上空に到達します」
ミサトたちが上空を映すモニターを凝視した。
そこに映し出される今までに無い異型のアンノウン兵器にコウゾウは目を見開いた。そして小さく呟く。
「まさかこの星の正統なる守護者、その眷属が現れたか。やはりこの事態をナシムは見過ごせなかったようだな。……碇、我々はもしかしたら外典にある彼女すらも敵に回したかもしれんぞ」
モニターに映し出される。鳥を模したような機体、魚を模したような機体、獅子を模したような機体が、初号機、弐号機、そしてこの事態の根源たる4号機を器用に避けて量産型に攻撃を開始する様が映し出されていた。
正体不明の三機、そのうちの鳥型が自在に宙を舞いながら確実性をもって一体の量産型を跡形も無く消滅させた。そのすぐ後に獅子のような機体が稲光を発生させて一体の量産型に突撃、その凄まじい威力に量産型は跡形も無く消え去った。残りの魚型の機体は強力な光りの筋を撃ち出して一体の量産型を細切れにしていく。形を保てなくなったのか量産型は爆散して消滅した。
九体のうち三体が完全に消滅した事でマイナスを示していく数値が更に減速するとマコトたちが喜びの声を上げた。
「アンノウンは私たちの味方の様ね」
変わって複雑な表情で呟くのはミサトだった。彼女の場合、参謀という立場上、そして心理的に素直な喜びを見出せないのだろう。下手すればすべての量産型を破壊した後、自分たちに危害を加えるかもしれないという懸念を抱いてしまうのは彼女が若くして参謀という立場になれた先見の明を持つ一種の才能だ。そしてそれは大いに有り得る事をコウゾウは知っている。
あれはこの星の守護者ではあるが酷く融通が利かないのだ。弊害となるものは例え守護すべき存在でも容易く消滅させようとする残虐性を持ち合わせている。
「それこそ、神話に語られる神のような存在だ」
皆に聞こえないよう呟きながら次々と量産型を消滅させていく様を見つめた。
時間にして数分、全ての量産型を消滅させたアンノウンは役目を終えたかのように移動を開始、その姿はモニターから消えた。
「どうやら、その対象にならなかったようだ……が、楽観は出来まい。私の予想では今も封印された本体の守護に戻ったと見るのが妥当だな」
コウゾウは映し出される数値を見据えた。マイナスに転じていた数値は少しずつではあるが、プラスに向かっていた。それでもまだ、十分儀式の発動可能なマイナスを示している。
そしてそれ即ち、
「最後は碇が連れて来たあの娘の選択に託されるのか」
次回 Air/とある独りボッチの話を君に
次回もサービス、サービス……ギャグが殆ど無い…だと!? 次回こそは、きっとあるはず。