主水(もんど)が突く!   作:寅好き

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第97話

「ひあああぁぁぁああぁ!!」

タカナの叫び声が響き、振り上げられたナリカワの剣が陽光を受け輝いた刹那、大きな黒い影が上空を横切り、甲高い金属音が辺りにこだまする。

 その結果、余裕の笑みを浮かべ、愉悦に満ちていたナリカワの表情が一瞬にして不愉快なものに一転する。

「お前は何者だ?」

怒気を孕んだ声で、タカナの命を奪うべく振るった剣を受け止めた乱入者に問う。

邪魔をされたことに怒り、殺気をまきちらしながら。

「お初にお目にかかります。あなた様に殺されたチョウリの娘スピアと申します」

「す、スピアさん!?」

「はい」

すっとんきょうな声を上げる師匠のタカナに、一瞬愛らしい笑顔を向けると、ナリカワに向き直り剣を押さえていたアダユスの刃をナリカワに向け、剣を押さえている柄を引き僅かに傾ける。

 鍔迫り合い状態だったナリカワの剣がアダユスの柄を滑り体勢が崩れると同時に、スピアはアダユスの刃をナリカワの首の背後に回し、首を落とすべく引き寄せる。

ナリカワは崩れる体勢を踏みとどめ、即座に身を屈め刃をかわす。

頭部スレスレをアダユスの刃が通過する。

しかし、その対応も折り込み済みのため、スピアは左足を一歩下げそれを起点として刃を反転させながら身を翻し放つ。 

ナリカワは、そのスピアの二撃目の追撃の薙ぎ払いさえも間一髪ながらバックステップを踏み避けきった。

 アダユスはナリカワを捕らえることなく振りきられ、その鎌圧は木々を激しくざわつかせた。

「ヤバかったな。あとコンマ何秒遅れてたら首と胴が分断されてたな」

スピアから大分距離を取ったナリカワは忌々しげに呟いた。

現れたのが女性だったため、無意識に手を抜いたのかいや、たとえ力が劣るものでも殺すまで気を抜くことはないのでそれはない。

このように僅かなやり取りの中で、たとえ僅かでさえも命の危機に陥ったことに、自分は強いと少なからず自負していたナリカワは、この事実に苛立ちをおさえきれなかったのだ。

「スピアさんなぜここに………というか体は大丈夫なのですか?」

命を刈られる危機を目の当たりにしたためか、タカナは腰を抜かした状態でスピアに這いより尋ねる。

 その姿は情けなくもあるが、発せられた言葉や向けてくる視線からはまるで親のようでもあり、兄のようでもあり、また姉のような気遣いや優しさを感じ取れたことにより、スピアの心も一時の緊張を解かれ、そこから来る余裕から満面の笑顔を浮かべた。

「ありがとうございます。しっかり休みましたので大丈夫です。ここに来た理由ですが、タカナ様が遺言書のような手紙を置いていったからです。あのような手紙を受けとれば誰でも心配しますよ。ナイトレイドも大変な時なのですが、ナジェンダさんは快く私が行くことを了承してくださいました。感謝しています。それに……」

スピアは陽光を受け輝く銀髪を靡かせ向き直ると、表情を一転させナリカワに鋭い視線を飛ばす。

「父の導きだと思います。まさか本当の仇に会えるとは……」

シュラは討ち取ることは出来なかった、しかし本当の父親の仇がここに現れ、さらに討ち取る機会を得ることが出来たのは父の導きではないかと。

 スピアは、スッと息を吐くとアダユスを一振りし、流れのまま刃を背後に回し脇構えをとる。

(女のくせしてとんでもない力だな。それとあの黒い喪服のような着物姿……帝都で流れていた噂の『舞姫』か面白い)

情報通のナリカワだからこそ、思い出した目の前の存在。

先ほどの危機を覚えた事実とその正体から、一段と気を入れ剣を構える。 

「話ぶりから言わせるとナイトレイドの一員のようだな。ナイトレイドのメンバー一名と革命軍幹部一名、オネスト様への土産としては十分だ!」

ナリカワは遠巻きにスピアの周囲を円を描くように歩き始める。

一定の間合いを空ける、それはアダユスの間合いに入らないため。

一撃でも受ければそれで勝負が決するだろうということは、先ほどの攻撃で明確だったためだ。

しかしながら、脇構えのため間合いが測れない、故に必要以上に間合いをとっていた。

「タカナ様私に任せてください。シュラの時のような失敗はしませんので」

「ええ、その冷静さがあれば安心です。それでもピンチになったら介入しますからね」

「はい」

タカナの言葉に勇気付けられながらかつ、仇を討つという強い意志からスピアは、徐々に間合いを詰めるべく、歩を進める。

 しかし、ナリカワは詰めると同じだけ後ずさる。

(ナリカワは私が脇構えをすることによりまだ間合いを測りかねている。ならば虚実を交えて攻めるのみ!)

間合いを見極めるまでナリカワは守りに徹するとスピアは読む。

そしてそれまでは攻撃はせずに守勢に留める。

ならば、間合いを見極め攻勢に出るまでにその守りを掻い潜り戦いを決めることを決意し、スピアは後退りで距離を取られることのないように、地面を蹴り加速しナリカワに向かった。

 スピアは間合いを若干詰めた所で脇構えのままアダユスを右後方に大きく振りかぶる。

(まさかこれほどの間合いでも届くとは)

ナリカワはさらに距離を取るべくバックステップをしつつ、用心として剣をアダユスが来るであろう右側に縦に構えた。

(予想通り!)

スピアは渾身の力を込めて地を蹴る。

蹴られた地は抉れ、スピアは爆発的な加速を得てナリカワとの間合いを詰め、守りがない左側を狙うべく、反転しアダユスで薙いだ。

(謀られた!)

右後方に大きく振りかぶれば誰もが右に攻撃が来ると判断し、守りを固める。

その当然の反射をスピアは利用したのだ。

 がら空きのナリカワの左半身にアダユスの刃が襲い掛かり腕をはねた。

しかし、ナリカワも幾度も修羅場を乗り越えてきた男のため、アダユスの刃が体を薙ぐ前に倒れこむように身を翻し辛うじて避けきった。

「やってくれる」

失った左腕がそんざ存在していた部分からの流血を一瞥したのち、ナリカワは忌々しげにスピアを睨み付ける。

しかし、左腕を失い怒りに捕らわれていながらも、その実ナリカワは冷静にものを考えていた。

(左腕は失ったが、間合いは見切れた。次に攻めいってきたときが最後になる)

ナリカワは懐から紐を取り出すと器用に口と右手を使い左腕の切断面から少し上に巻き付け、流血を止めた。

 ナリカワは、そのまま立ち上がると先ほどとはうってかわってスピアとの間合いを詰める。

 しかし、それもギリギリアダユスが届かない位置。

その意図に気づかないのか、さらにはナリカワは怒りに捕らわれ突っ込んできたと判断したのだろうスピアは、決めにかかる。

「ダメですスピアさん!」

タカナは傷口からの流血を止めたナリカワを見て、冷静さを失っていないことに気づき、スピアの攻めに危機を抱く。

だが、そのタカナの言葉も届かない。

スピアはアダユスを真っ正直にナリカワに降り下ろした。

 アダユスはナリカワの鼻先を掠め地に突き刺さる。

「馬鹿め懐に入られた時点でお前は死地に至る!」

リーチが長く、重量級の武器であればあるほど懐に入られたらその時点で勝負は決する。

 ナリカワは剣をスピアの心臓を目掛けて突きだした。

「戦いは二手三手先を見据えてするものです。そしてあなたの読み負けです」

スピアは口許に笑みを湛え自分の心臓に向けて放たれた剣の横腹に手を当てて起動をずらした。

「なに!!」

剣はスピアにかすることすらなくスピアの脇を通りすぎ地面に突き刺さる。

 ナリカワの背後を取ったスピアは、アダユスの刃をナリカワの首にかけ、たわわに実った稲穂を刈るかの如くナリカワの首と命を刈り取った。

「仇は討ちましたお父さん……」

地に落ちた仇のナリカワの頭部を見ながらスピアは感慨深く呟いた。

その瞳には光ものがあった。

「見事ですスピアさん。私との修練を覚えていたのですね」

「はい」

戦いを見届けて歩みより問い掛けるタカナに肯定を告げるスピア。

頭に浮かぶはあの修練の日々。

ーーーーー

「スピアさん。あなたに学んで欲しいのは間合い深くにまで入られた時の戦い方です。スピアさんも分かっていると思いますが、アダユスなどの長柄の武器の弱点は懐に間合いを詰められ懐に入られた場合です。それを逆に自分のものに出来れば怖いものはなくなります」

「そうですが………」

半信半疑のスピア。

たしかに、タカナの言っていることは理解できるし、承知の事実であるが、果たしてそれを覆すことが出来るのかと考えた場合、それが出来るとは到底思えなかったからだ。

「あなたも一度見ているはずですよ」

「えっ?」

「では実践しましょう。アダユスで私に攻撃してきてください」

疑問符を浮かべるスピアを見てタカナはため息をつくと、無謀とも思える指示を出す。

「いいのですか」

「構いません。全力できてください。それでなくてはわかりませんからね。それと借り物のタツミさん私の後ろに」

「借り物って……」

修練の助っ人として連れてきたタツミを後ろにおく。

つまりタツミを守る対称としておいたのだ。

「それでは」

スピアはすでのタカナのことを信頼していたので、指示に従いアダユスを振りかぶり降り下ろした。

 大鎌の帝具アダユスは唸りを上げてタカナに襲いかかる。

後ろに控えているタツミは焦るが、タカナは慌てる素振りも見せず腕を上げなにかをすると、アダユスの軌道がそれ、アダユスはなにもない地面に突き刺さり、それにつられるようにスピアは前傾姿勢になり、頭を差し出した状況となる。

「なにがあったんだ!?」

驚愕するタツミと茫然とするスピアに、タカナは微笑みかける。

「スピアさんは帝都で私と逃げるときにまたはずです」

「思い出しました」

帝都を逃げ出した時に追っ手として現れた近衛兵を片付けた戦いだった。

 武器自らが意志を持ったようにタカナを避け、使い手は自ずと首を差し出す。

「これを習得してもらいます。原理は簡単です。今回アダユスは上から下への力の流れがあった。それをまともに受けると力ない私は勿論、タツミさんですらもインクルシオを使わなければキツいと思います。しかし、下への力は強くとも、横からの力には弱い。故に軽く横から力を加え軌道を反らしたのです。さらに言えば、軌道を反らし、さらに自分の意図する位置に誘導することが出きれば怖いものはなくなります」

ーーーーーー

 以前の修練の一部である。

 それを体得しており、さらにはナリカワの動きを読みきっていたからこその勝利であった。

「タカナ様ああぁぁぁ!」

「レチェリィさんも来たようなので本部に帰りましょうか」

取り乱したレチェリィの声にタカナは苦笑いを浮かべると、スピアに声をかけた。

「はい」

スピアは地に転がるナリカワの首を取るとタカナに続いて行った。

(革命軍の問題は片付けました。後顧の憂いなく存分にしてくれて構いませんよナジェンダ)

晴れ渡った空に語りかけるように心の中で呟いていた。

◇◆◇◆◇◆

 既にアカメはナイトレイドに帰り、日が沈み夜の帳が降りた頃合いであった。

「出来たぞ八丁堀」

「ありがとよ」

政から研ぎ直された刀を受け取り、白刃を眺めた主水は頷き礼を言う。

全く問題ないと。

「これでこの先も仕事を続けられるぞ」

「ああ、そうだな……」

仕事を辞めた政と未だ続けている自分。

どこで道を違えたのか。

なんとなく疑問に思ったが、考えてもしょうがないことなので軽く頭をふり切り換えた。

「またな政」

「ああ、また来いよ」

主水が戸に手を掛けた時だった。

「政…さ……ん……」

弱々しく消え入りそうな声と共に倒れこむような音が。

「今の声は!」

政は主水を押し退け外に出る。

政の脳裏に今までに見てきた悲劇の数々が甦る。

そうはならないでくれと、祈るがこの世界でも叶うことはなかった。

「アニーちゃん!!」

背中から大量の血液を流し、すでに虫の息となっているアニーの姿がそこにあった。

(たしか、政に野菜を運んでくれていたあの娘か………もう長くはねぇな……)

傍目から見ても助かることはない、いやここまでこのケガでこれたほうが不思議なほどの容態であり、目も当てられない状態である。

「どうしたんだアニーちゃん」

「政…さ……ん…。実は……」

生きていることが不思議な状態でアニーは語った。

今このような状態に到った経緯を。

◇◆◇◆◇◆

「お父さーん。マサさんに野菜を上げてき………あれ、珍しいお客さんかな」

アニーが政の所から戻ると玄関先でなにやら自分の父と客が揉めている所に出くわす。

 客の一人はでっぷりと肥え、脂ぎった顔で金持ってますよと体で表すような生理的に受け付けない人物。

 もう一人は隣でヘコヘコしているまるで太鼓持ちのような、弱きをくじき強きを助く。ということをあからさまにしそうな人物である。

「そこをどうにか」

「そう言われても私はこの土地を譲ることはありませんので」

「これだけの金額ででもですか」

「ええ、金額ではありませんので。お帰りを」

普段の優しい父からは考えられない剣幕で丁寧な言葉遣いではあるが、客を追い返す父の姿にアニーは何があったのか知りたくなるが、果たして話しかけてもいいのかと思案していると。

「おお、アニー。マサさんの所から帰ったのか」

「うん……お客さん?」

「ああ、この土地を欲しがっているようでな。追い返したが」

アニーを見て機嫌が直ったようだった父の顔が途端な曇ったことからも相当腹に据えかねたことが垣間見られたのでその話を続けることはなかった。

ーーーーー

 揺れる馬車の中で先ほどの男二人が話していた。

「ご主人様はなぜあのような土地に執着するのですか」

平伏するような態勢で裕福そうな男に尋ねる男。

「あの土地はより多くの金と今より更に上のお偉方との橋渡しをしてくれるのですよ。ある計画の概略が書かれた極秘飼料を手に入れてな。どうにかならんものか」

「そう言えば………」

悪い顔をして男は主人に耳打ちした。

「それはいい。行き先をかえろ」

男達を乗せた馬車は帝都のある大棚に向かった。

ーーーーー

 とある金貸しの前で先ほどの馬車が停車していた。

「その借財書を買い取ろうと言っているのだよ」

「ですが、あの農家の人は一度も滞納をしたことがない人ですので」

困ったように説明する金貸しの主人。

男が思いついたのはあの土地の農家が、去年の不作のために税を納めるために借金をしているということだったのだ。

「そうですか。これほどの店をたった一人の客のために失うことになろうとはねぇ」

「!!」

店を見回しながら物騒なことを言う男。

しかし、それは金貸しの主人を震撼させた。

 目の前にいる男ヂアーゲは幅広い商いを行っており、表の世界でも、裏の世界でも幅を利かせた人物であり、この金貸しを潰すことなど雑作もないことであることを。

「す、すぐにお持ちいたします」

焦り転がりながら店の奥に下がっていく金貸しの主人を見てヂアーゲは最初からそうすればよかったのものをと不機嫌そうに呟いた。

 それはヂアーゲを怒らせたことによる避けることの出来ない結末『死の宣告』であったのだ。

 一枚の借財書を手にし馬車に乗り込んだヂアーゲは馬車の外で待っていた男に告げた。

「この金貸しを消せ」と。

 ヂアーゲは高笑いを残して、一度店に戻り準備を整え、店のがらの悪い男達を連れて再度農家に向かった。

ーーーーー

「またあんたらか。何度来てもーー」

「この借用書の借金を返してもらいにきたんですよ」

「汚いやつだ。いますぐ返してやるよ」

既に借金を返すための金は出来ていたので、アニーの父は苛立たしげに金を取りに行き、金を叩きつけた。

 しかし、ヂアーゲはそれを受けとることもせず唾を吐き捨てた。

「こんなはした金受け取れるか!この借金には十一利息がついて三倍近くになってるんだよ。払えるわけないよな。差し押さえさせてもらうぞ。やれお前たち!」

「へい」

待ってましたとばかりに各々得物を持った男達が家の中になだれ込み、家を破壊し、家族を外へ追い出した。

「それでも人間か!」

怒りに満ちた表情でアニーの父は横に立て掛けてある斧を掴みヂアーゲに襲い掛かった。

「うおぉぉぉ!」

「ヂアーゲ様」

腰を抜かし今にも殺されそうになった所に斧を降り下ろそうとしたアニーの父の後ろから現れた男が、家を破壊していたその金槌を降り下ろした。

「がはっ」

頭を割られ倒れたアニーの父親を踏みつけたヂアーゲは疲れたような表情で男達に命令を出す。

「こうなってしまったらしょうがない。土地の権利書を手に入れたら家族全てを殺して。家に火をかけろ。必要なのは土地だけだからな」

ヂアーゲの命令がとんでから間をおかずして家の外からは悲鳴や叫び声が響き、家から上がる業火がうっすらと暗くなった闇夜を照らし出した。

 アニーの家族はほぼ息絶えていたが、アニーは生きており政の所に向かったのだった。

◆◇◆◇◆◇

「なんて野郎だ」

怒りを瞳に浮かべた政を潤んだ瞳で見つめていたアニーは、震える言葉で最後の言葉を紡いだ。

「マサさん…は………しあわせに…なっ…てね…」

政は血に濡れたアニーの手を握りしめたのち、アニーの瞳を下ろし手を組み合わせそこに寝かせると、鬼の形相で家の中に入り、一本の手槍を持ち出した。

「どこに行くつもりだ政」

「そんなの決まってるだろ!!」

「おめえは忘れたのか。仕事人は私怨で殺しをたらそれはただの殺人にしかならねぇ。それにな、秀は言ったんだろもう血で手を汚すなと。それにアニーは遺言でしあわせになれと言っただろ。おめえはもう裏の世界に戻る必要はねぇんだ。全て俺達にナイトレイドに任せるだけでな」

うつむいたまま、ふらふらとした足取りで家の中に戻った政は、再度何かを手に戻ってくると、主水に手渡した。

「俺が以前アニーの父親の農具を直した際に受け取った金だ。これで……」

「ああ」

主水は金を受け取ると袖にしまい、山を降り帝都に帰還した。

ーーーーー

「大金を得ることも出来たし、今後オネスト大臣にも謁見出来るようになったし言うことないな」

片手で溢れるほどの金を掴み、片手で酒を煽りながら笑い声を響かせるヂアーゲ。

すでに、土地の権利書を金にかえ、その際にオネスト大臣との謁見の段取りもつけ御満悦の中、店の中から断末魔がいくつも上がる。

「煩いぞ。何をしている…………うわっ!!」

フラフラと扉により開けた所でヂアーゲは腰を抜かした。

目の前にマフラーで口許を隠した男、主水が立っていたからだ。

「な、何者だ」

「俺がパイプ役になってやるよ……………閻魔様とのな」

主水は血に濡れた刀でヂアーゲの心臓を一突きし、ヂアーゲの命を穿った。

「こりゃあなんだ?」

刀から血を払い、去ろうとした主水の目に一つの書類が目に止まり、主水は手に取ると顔色を変えた。

「ナイトレイド殲滅計画概略…………タツミとシュラとの人質交換に託つけた殲滅計画か………いいもんが手に入った」

仕事人は仕事に行った先で何かを取得することは許されてはいないが、仲間の命がかかっているこの状況では、そのようなことに構っていることは出来ないので、その書類を懐に納めその場をあとにした。

 




 次回はそのまま原作通りタツミ攻防戦に行くか、オリジナルのセリューの話に進むか迷っている所です。

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