サムライアート・オンライン   作:龍拳

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第6話 ゴリラの学名はゴリラ・ゴリラ・ゴリラ

前回ヅラを半殺しにしそうになった俺だったが、キリトに止められなんとか落ち着いた。

「たく…… ヅラ、お前ボス攻略は来なくていいからな。お前来たらなんか世界観壊されそうだし」

 

「何を言う。俺ならドロー2でセンチネル三体はいけるぞ」

 

「UNOから離れろぉ!」

 

俺がツッコンでいるとキリトが宥める。

 

「まあまあ、それよりも銀さん、ちょっと協力してほしいクエストがあるんだけど」

「クエスト?」

 

俺が聞くとサチが赤い宝石の様な物を出す。

照明に当たると反射し赤い光が灯る。

いかにもゲームっぽいアイテムだな。

 

「これはたまたま隠しクエストでてに入れたアイテムなんだけど、これを使うと隠しボスと戦えるらしいんです」

 

「隠しボスって、そんなのあんのか?」

 

「うん。私もβテストの時も別のクエストではあるけど隠しボスとは戦ったよ」

 

キリトは興奮気味に言う。本当バトルになると目の色が変わるよなコイツ。

「んで、その隠しボスを倒すつもりなのかお前ら」

 

「はい、狙いはボスを倒して手に入るアイテムです。俺達月夜の黒猫団は経験値、キリトにはボスを倒して手に入るレアアイテムの装備です」

 

「そして、メガドライブも手に入れるぞ銀時」

 

「手に入れねえし、ねーよそんなの!」

 

「銀さん」

キリトが俺の前に立ち真剣な眼差しで見つめてくる。

 

「私と…… 一緒に戦ってくれる?」

 

はぁー、そんなもん……

 

「決まってんだろ。やるぞ一緒に」

 

キリトは一瞬固まったが、顔の色が普通の肌色から一気に赤へと変わり、

「あ、ありがとう!」

 

と言って逃げてしまった。

いや、なんで?

その後これを見たサチ達はよくやったとキリトに言っていたらしい。

 

 

隠しボス攻略は一週間後となった。

月夜の黒猫団とのドンチャン騒ぎを終えた俺は街灯が頼りの暗い町の中、ベンチに座る情報屋から隠しボスの情報を聞いていた。

「で、聞きたいことってのはなんだイ?」

 

フードを着こんで話すのは、男みたいな口調で喋る女、アルゴ。

情報屋で鼠のアルゴと呼ばれている。

 

「今度隠しボスと戦うことになってな。ソイツの戦い方とか知ってたら教えてくれ」

 

「…… そりゃまァ、この層の隠しボスのことなら知ってル。けど君…… 金持ってるのカ」

 

アルゴがフードごしに睨んでくる。相変わらずこえーな。

 

「いや、ほら金は…… あれだよ昔のよしみで」

 

「じゃあーなァー」

 

アルゴはそう言うと去っていった。

 

「いや、ちょっと待ってェェ!!頼む! ツケで! ツケでお願いします!」

 

こっちは恥も外聞も捨てて足にしがみついてんだぞ!

少しは頼みを聞いてくれ!

 

「はぁーしょうがないネ。ギー君には昔助けられたこともあるし、今回だけだゾ」

 

「あーすまねぇ」

 

「じゃあネ、まずはボスの名前だけど……」

 

相変わらず凄い情報力だ。

キリトでも知らないことをコイツは知っている。

コイツと日常会話をしているだけで100コル分のネタが盗まれるとか言われているが、あながち間違いじゃないだろう。

だがまぁ、コイツの正体を知ったら納得できるだろうな。コイツのあり得ないほどの情報収拾能力を。

鼠のアルゴ、その正体はあの変態ストーカードM女と同じ忍者。つってもお庭番衆とかじゃない、抜け忍だが。

攘夷戦争時代に他の忍から逃げてる所を俺が助けたわけだ。

まさかこのSAOにいるとは驚きだったがな。

アルゴいわく例えゲームといえどどんな情報も知りたいからプレイしたらしい。

ちなみに年齢は……全くの謎だ。どんなに金を積まれてもそれだけは教えてくれないらしい。

 

「まぁ、ある程度は教えたヨ。ちゃんと金は払えヨ」

 

「わーってるよ、ちゃんと今度払うから。あ、そういやヅラもいるって知ってたか?」

 

「勿論知ってるヨ。でもオレッちヅラはバカ杉以上に苦手だからな。会おうとは思わなイ」

 

バカ杉…… アルゴは高杉の事がとんでもなく嫌いだ。昔から理由は知らないが高杉のことを本当に嫌っている。

紅桜の件も知っていたらしいく、余計に嫌いになったらしい。

 

「ギー君だけだヨ、オイラが心を開くのは」

 

「心ぉ? お前がか? 金払わなきゃ、何も教えねーくせによく言うぜ」

 

「…… 普通、こんな事言われたら気づくだろーガ」

 

「何がだ?」

 

俺が聞くと、アルゴはさっさとその場から離れ背を向けたまま、

 

「金払わなきゃ教えないネ。バーカ」

 

と言って暗闇の中を消えていった。

 

 

一週間後。

俺達は隠しボスがいるという第三層、朝露の森というフイールドを歩いていた。

「おい、まだかよ隠しボスは」

 

「うーん、ここら辺だと思ったんですけど…… どこだったかな……」

 

ケイタが汗を浮かべながら言っているが、大丈夫かよ。

俺が心配しているとサチが叫んだ。

 

「うわっ! ゴリラ型のモンスターが出た!」

 

見ると霧がかかってよく見えないが木の間に影が見えた。

確かになんかいんな。

 

「サチ下がって! でやあァァァ!!」

 

キリトが影に向かって剣を振りかざした。

「ちょっ、ちょっと待って!」

 

「えっ、と、止めた!? いや、それよりもゴリラが喋った!?」

 

真剣白刀取りでキリトの剣を止めたのはゴリラ…… いや、コイツは……!

 

「俺、ゴリラじゃないから!」

 

「真撰組の近藤おォォォォ!?」

 

また、知りあいかよォォォォ!!!




次回で隠しボスを倒します。 お楽しみください。
感想お待ちしております。

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