サムライアート・オンライン   作:龍拳

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早速続きを更新しました。
どうぞ。


第2話 デスゲームだと? 俺の人生は元々デスゲームみたいなもんだ! ナメんなよ!

光に包まれた俺達は、最初にログインした町、始まりの町の広場にいた。

どういうことだ? 強制的に場所を移されたのか?

周りを見ると他にも大勢のプレイヤー達がいる。

いったいどうなってんだ……

キリトにクラインも困惑しちまってるし。

おい、なんか変だぞ! 上だ!

 

群衆の中の誰かがそう叫んだ。

言われた通り上を見ると上空が赤い変なロゴに埋め尽くされていく。

そしてそこからまるで血のようにドロリとしたものが流れてきた。

 

「うぉぉ!? 何あれ、 なんか、ドロドロしてんだけど!?」

 

俺以外の奴等も全員驚いている。まあ、そりゃそうだろ。

ドロドロしたやつは空中で固まっていき人の形になった。

 

「なんだありゃ? なんかドラクエで見たことあるんすけど」

姿を現したのは顔がないフードを被った巨人だった。

これがなんなのか俺にはさっぱりだったが、キリトがその疑問に答えてくれるように言った。

 

「あれはGM、ゲームマスターだ」

「ゲームマスター、あれがか?」

 

俺がGMのいる上空を再び見るといきなり語りだしやがった。

 

『プレイヤーの諸君。ようこそ私の世界へ』

 

私の…… 世界だと。まさかコイツは……

 

『私は茅場昌彦。このSAOの世界の創造主でありこの世界を唯一操作できるものだ』

 

おいおい、まじか! コイツがジーさんの言っていた開発者!

茅場の言葉に俺以外の勿論、キリトにクライン、その他のプレイヤー達が驚きどよめく。

 

『プレイヤー諸君はもうお気づきであろうがメニューからは既にログアウトボタンが抹消されている。しかしそれはこのゲームの不具合ではない。繰り返す。これは不具合ではない。これこそがソードアート・オンライン本来の仕様である』

 

仕様だと、何言ってやがるんだ。

「この世界からの自発的ログアウトは不可能となった。もし外部の人間の手によりナーブギアが外されるようなことがあれば、ナーブギアの信号素子が発する高出マイクロウェーブが諸君らの脳を破壊し、生命活動を停止させる」

 

んな!?

 

ど、どういうことだよ! 嘘だろ! ふざけんな! セレモニーか、なんかか? ありえねぇ……

 

周りから次々に悲痛の叫び、疑念の声、怒声が上がる。

 

『しかし残念なことに忠告を無視しナーブギアを無理矢理外した友人や家族によって死んでしまった者達が地球だけで113人、他同盟惑星の天人プレイヤーは238人死亡している』

 

「な、378人も死んだのかよ!」

 

「銀さん、351人だ」

 

キリトに訂正された。いや、俺わかってたけどね! ちょっと言い間違えただけだからね!

 

『ちなみにこの事は既にあらゆるメデイアによって報道されている。このことから諸君らのナーブギアが外されることはないだろう。なので君達は安心して攻略に励むことができる』

 

攻略? まさかこのゲームをか?

 

『この世界を出る絶対条件はアインクラッド第百層まで攻略することだ。ただし、注意してほしいことがある。現時点においてあらゆる蘇生方法は存在しない。諸君らのライフポイントがゼロになったとき、諸君らの脳はナーブギアによって破壊される』

 

俺は黙って聞いていたが、横でキリトが青ざめた顔で叫ぶ。

 

「百層だと!? そんなの無理に決まってるβテストの時だって二ヶ月で六層まで行けなかったのよ…… あ、いや行けなかったんだぞ!」

 

βテスト? なんだかよくわからねーがキリトの言う通り無理のある話だ。

『諸君らにあるプレゼントがある。アイテムレージを確認してくれ』

 

…… 仕方ねぇ、今はテメェに従ってやる。

アイテム一覧に表示されていたもの、それは手鏡だった。

手鏡だと、こんなのどうしろってんだ。

手鏡を出して覗きこんでみると俺の身体が光りに包まれていく。

んだこりゃ!? また強制移動か?

俺はそう思ったが違った。

目を開けるとーー

 

「…… なんもおきねー」

 

えー、なにこれ…… とんだ肩透かしだろー。

「なあ、キリト。なんかあったか…… って、えええ!?」

 

え!? 嘘どういうこと!? さっきまで俺の横にいたはずのキリトが消えて黒髪の可愛らしい女がいる!

 

「ぎ、銀さん! そのこれは…… !」

 

え? 俺のこと知ってるってことはやっぱりキリトォ!?

「おいおい! なんか皆、本当の姿に戻っちまってるぞ!…… ってあれ銀さんは変わんねーのか…… いや、まてその女の子はまさか……!」

 

いきなりどっかの野武士みたいな奴がきた。

え? もしかして攘夷戦争で一緒に戦いました?

「クラインだよ! いや、それよりももっと重要なのはキリト!」

クラインに大声で呼ばれキリト? はビクッと体を震わせる。

 

「お、お前、女だったのか!」

 

「…… うん。ゴメン騙して……」

 

キリトは涙目で俺達を見つめてくる。

ちょっ! そんな目で見られたらなんか凄い心がいたたまれないんですけど!

 

「いや、んなことは別にいい。それよりも今はあのフザケタGM野郎だろ」

 

俺は茅場を指差す。

すると茅場はこの光景を見て満足しやがったのか最後の一言を言ってきやがった。

「これにてチュートリアルは終了となる。ではプレイヤーの諸君。攻略に励んでくれたまえ」

 

チッ! どうせなんにも出来ねーことは俺にもわかる。

けどこのまま黙ってられるかっつーの!

 

「おい、こら茅場ぁ!」

 

『ムっ』

 

よし、反応しやがった。

 

「テメェ、さっきから中二くさいことペラペラ述べてなんのつもりだコラァ! 青春真っ盛り高校生気取りかこの野郎!」

 

茅場は俺の言葉に反応せずしばらく黙っている素振りを見せると、

 

「銀髪、天然パーマ、死んだ魚の様な目……」

 

と呟いた。

 

 

「ってコラァァ!! テンメェ、なに返事したと思ったらいきなり人のコンプレックスを並べてきてんの!! いっとくけどな、俺は三次元には超人気なんだからな! 毎回アンケート一位取ってんだぞコラァァ!!」

 

「なに訳のわからないこと言ってんだよ、落ち着けよ銀さん!」

 

クラインの野郎が俺をおさえてくる。

 

「離せ、野武士顔! 俺はアイツを絶対殺す!」

 

「誰が野武士顔だ!」

 

『フ、フハハハ!!』

 

あん? いきなり笑いだしやがったぞ茅場の野郎。

 

『私を殺したいか銀髪侍。ならば第百層に来るがいい。そうすれば私と会える。では諸君さらばだ』

 

それだけ言うと今度こそ茅場は消えた。

ん? なんか今の茅場の言葉に変な違和感が…… なんだ?

俺がおかしな感覚にとらわれている間に広場は静寂に包まれていた。

だがそんな静寂も一瞬で壊れた。

 

ふざけるなよ! 約束があるんだ! こんなのあり得ないだろ! 本当に俺達をこの世界に閉じ込める気か! こんなことして地球と天人との関係に亀裂が生じたらどうするつもりだ! 帰してくれよ!

 

大勢のやつらが必死になって叫ぶが茅場はもう来ない。

茅場の野郎、本気みたいだな。

チッ、ジーさんの嫌な予感が的中しちまった!

こんなことならちゃんと調べておくべきだったか? いや、例え調べたとしても俺に何かがわかるのか?

俺が考え込んでいるとキリトが俺の手を掴んできた。

 

「き、来て、銀さん!」

 

なんか妙に顔が赤かったが今はそんな事を気にしてる場合じゃねえな。

俺はクラインと共にキリトについていった。

喧騒が響く中を俺達は裏路地にまで走っていった。

裏路地につくとキリトが俺達二人を見て、

 

「これから私は、次の村に向かう。この世界で生き残るには自身を強化するしかないの! 私ならモンスターと出会わずに安全に次の村へと行けるルートを知っている! だから…… だから私と一緒に来て!」

 

キリト……

キリトの顔は必死だった。

この世界を生き残る覚悟を決めた目で俺達を見つめてくる。

俺が答える前にクラインが答える。

「ワリィキリト…… 俺はお前とは一緒には行けねぇ。広場には俺の仲間がいるんだ。俺はそいつらを見捨てられねぇ。だから俺の事は気にせず行ってくれ」

 

「そう…… わかった。でも…… 銀さんは?」

 

「…… 俺も行けねぇ。実はもう少しこの町を調べておきてぇんだ。それに俺はもう充分戦えるし。だからお前は自分の事だけを気にしてくれ」

「…… ! うん、確かにクラインはともかく銀さんは強いもんね」

 

「俺はともかくってどういうこと!?」

 

「ああ…… ワリーな」

 

「ううん! 謝ることない! 生きていたら…… 必ず…… 必ず、また会おう!」

 

「あぁ、たりめーだ」

 

「お、俺も仲間達と強くなって生き残る! だからキリト! お前も頑張れよ!」

 

クラインの野郎、野武士顔のくせに言うじゃねーか。

「うん!」

 

キリトは前をむき走りだそうとした。

けどこのまま行かせるのも男として…… な。

 

「おい、キリト」

 

「ん?」

 

「なんで男の格好してたのか知らねーが…… お前、かなり可愛いじゃねーか。いい線行ってるぜ」

 

「なっ、か、可愛いって!」

 

キリトは顔を赤くしながら手をブンブン振り回す。

危な!

クラインなんか俺の後ろで笑ってるし。

キリトは息をハアーっとはき落ち着いたのか、

 

「私も…… そ、そういう銀さんの死んだ魚の様な目、嫌いじゃないよ!」

 

と言うと今度こそ走っていった。

頑張れよ…… キリト……

 

「じゃあ、銀さん、俺も行くよ仲間が待ってから」

 

「そうか…… じゃあな野武…… クライン」

 

「別にいいけど最後まで俺の事、野武士顔って言うのな」

 

俺はクラインとも別れ、町の中を探りまわる。

さて、最初にログインされたこの町を調べりゃなにか掴めるか? それともジーさんがなんとかしてくれるか……

 

「とにかく動かねーことには何も始まらねえ」

 

俺は歩く、走る、この世界を生き残るため、また新八、神楽、最高のバカ共に会うために!

 

 




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