俺はゆりから預かったポスターを持って学習棟へ向かった。
そして学習棟に入った俺が見たものは、そこらじゅうの壁に貼られた大量の告知ポスターだった。
「な、なんじゃこりゃ、すでに大量に貼られてるじゃねぇかよ。
一人じゃなくて数人こっちに来たんじゃないのか?」
俺は周囲を見渡しながら学習棟の中へと入って行くと、奥の方から「ユイです!」っという声が聞こえ、ガルデモの事も聞こえてきた。
「もしかして今の声の主が、今ポスターを貼ってるっていう陽動班の奴かな?」
俺は声の聞こえた方へ向かい、自販機のすぐ近くにある掲示板コーナーでユイと思われる人物と音無が話を、…いや、むしろ一方的に岩沢について語られ続けている音無の姿を見つけた。
「何やってんだ音無」
「ああ月斑!ちょうどいいところに」
助かった!という様な顔をこちらへ向けってきたので俺は
「音無、ナンパも程々にな」
俺は音無に背を向け片腕を振りながら立ち去ろうとしてやった。
「ちょっとまて誤解だ!ナンパじゃない!」
「えぇ~、あんな情熱的に『今からお茶でもどうだい?』って誘ってくれたのはなんだったんですか!」
ピンク髪の少女も悪ノリで話に参加してきた。
「お前まで何言ってるんだ!さっさと仕事に戻れ!」
「あ、そうでした!ではこれで!」
そういうと俺が来た方向とは逆の方へ歩き始めた。
俺と音無をそれを黙って見送った。
「って、見送っちゃ駄目じゃねぇか!ちょっと待ったピンク頭!」
「ピンク頭!?」
ピンク頭と言われた少女は驚き足を止めた。
「えっと、一人でポスター貼ってる陽動班ってお前の事か?えっと名前は」
「ユイです!え~月斑先輩…で、あってましたか?」
「俺の事知ってるのか?」
「はい、いつもでかい斧を持って歩いてる先輩から『あいつは俺よりも弱い雑魚だ!』って言ってましたから」
「あの野郎そんなことを言ってんのか」
俺が苛立つと同時に音無も
「俺には『ヤツは災厄をもたらすから注意しろ』だってさ」
「なるほど、今度斬っとくか
あと、俺はあいつに負けた事ないからな!デマに騙されんなよ」
「それは大丈夫です誰も信じてませんから、だって戦線一のアホですし」
ユイは野田の事をアホと言い切りやがった、しかも嘘だと思われていたと
「…それはそれで可哀相だな」
「可哀相というより、哀れだな」
俺は野田の事を哀れに思っていたが、それを吹き飛ばすほどの言葉がかけられた。
「それに月斑先輩は今陽動班ですごく話題になってますから」
「なに?」
「新入りのくせにガルデモのそばに居られるなんて生意気だ!とか、いつか死ですら生温い罰を与えてやるとか色々と」
俺はそれを聞いた瞬間青ざめた
「おい大丈夫か?月斑」
「…あ、あぁ、今ものすごく身の危険を感じただけだから大丈夫だ」
音無は俺の青ざめた表情のせいか、顔が引きつっていた。
「ふぅ、それよりもだ。俺はリーダーに言い渡された仕事で、ポスター貼りの手伝いに来たんだ」
「そうだったんですか、なら第三棟の方をお願いします。まだ貼っていないので、私は第二棟の方に行きますね」
そう言うとユイは走って行ってしまった。
「じゃあ、俺も行くな」
「おう、またな」
音無もどこかへ行ってしまったので、俺はポスターを貼りに第三棟へと向かった。
この時俺は、ポスターを貼り終えゆりのところへ報告へ行った時にとんでもない事を頼まれるとは思いもしなかった。
はい、ユイ登場回でした!
燕「俺は身の危険を感じた回だったな」
入「音無さんも久しぶりの登場でしたね」
燕「原作主人公なのにこの扱い、良いのか?」
だって私、そんなに音無好きじゃないですし
燕「うわ、作者の爆弾発言」
入「なんで好きじゃないんですか?」
いやキャラとしては好きなんだけど、入れ込むほど好きになれないというかなんというか
燕「うまく説明できないのは分かった」
まぁその話は良いじゃないですか
入「そういえば今回もゲストなしですね」
ユイを出してもよかったんですけど、ユイをゲストで迎えるなら球技大会かなと思ったもので
燕「確かにこのシーンだけでゲストとして呼ぶのは物足りない感があるな」
入「あはは、えっと次回は作戦開始でしたよね」
そうなりますね、本来ならガルデモと燕君の話も書きたかったんですけど
ゆりの頼まれごとのネタバレにもなってしまいそうだったので
燕「今回のラストに出てきたヤツか、ホントにするのか?」
はい、やってもらいます
燕「はぁ~」
入「まぁまぁそんなに落ち込まなくても、それより今回のあとがきはこの辺で終わりませんか?」
そうですね、いつもよりちょっとだけ長くなってしまいましたし
入「それでは皆様!」
『また次回もお楽しみに!』