Angel Beats! 星屑の記憶   作:刻焔

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第13話 恐怖のトラップ祭り!

――――ギルド連絡通路 B3――――

 

ゆりを先頭に戦線メンバーが警戒しながら進んでいく

 

――――一応俺も銃を構えてはいるが、正直当てれる自信がないな

 

沈黙したままここまで来たが、その沈黙を音無が破った。

 

「そういや、どんなトラップがあるんだよ」

 

「いろんなのがあるぜぇ、楽しみにしてな」

 

その質問に日向が答えた。

 

――――楽しみにって、この警戒は何のためだよ。まぁ気を紛らわせるためなら良いけどな

 

燕は音無と日向の会話に耳を傾けつつ、銃はしっかり構えていた。

 

「なぁ、この辺りにはトラップは無いのか?」

 

「う~ん、なにかあったような気がするんだけど」

 

燕の質問に大山が不吉な返答をしてきた。

 

「おいちょっと待て、なんだそn――「まずい、来るぞ!」――っ!!」

 

突然の椎名の言葉により、全員が後ろを振り向く

その瞬間地響きが起こり天井が崩れ、巨大な鉄球が落ちてきた。

 

「走れっ!!」

 

その言葉がなければ戦線メンバーは未だ硬直して動けなかっただろう

全員鉄球を背に走り始めるが、このままではいずれ押し潰されてしまうと思っていた時

先行していた椎名が退路を見つけたらしく、こちらに呼びかけている。

 

次々と戦線メンバーがその退路の中へ逃げ込んでいくが、最後尾にいた俺・音無・日向・高松の四人はまだ通路に残されていた。

 

――――このままだと退路に着く前に押し潰される。ここは一か八か!

 

燕は左の壁際へ両手両足を伸ばした状態で倒れこんだ。

その直後、目論見通りに鉄球と壁の僅かな隙間で助かることができた。

 

「うわああああぁぁぁぁぁ」

 

前方の方で高松の叫び声が聞こえてきたが、おそらくはやられたのだろう

 

「高松君以外は無事みたいね」

 

ゆりの言葉を聞いて少し後ろを見てみると、音無の上に日向が覆い被さり倒れていた。

どうやら俺は日向と同じことを考えていたらしい。

 

「いいのかよ、助けなくて」

 

「死ぬ訳じゃない、ほっといても自力で抜け出して地上に戻るさ」

 

日向が音無に覆い被さったままそんな会話をしているのを見て燕は

 

「お前らコレなのか?」

 

『違ぇよ!!』

 

――――全力で否定されてしまった。つか息ピッタリだなオイ

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――――ギルド連絡通路 B6――――

 

「なんだか急に場違いなところに着いたな」

 

今までの通路とは違い、未来的な通路に来ていた。

通路内は下から赤いライトで照らされており、トラップのような雰囲気を漂わせていた。

 

「開く?」

 

「もち無理だぜ」

 

ゆりの質問に藤巻が即答する。

 

「おい藤巻、無理なら誰かにかわれ」

 

燕がそういった直後通路の後ろが閉鎖され、この通路に閉じ込められてしまった。

 

「あぁ!?しまった忘れてたよ。ここは閉じ込められるトラップだった!!」

 

閉じ込められた瞬間、大山がこのトラップの存在を思い出したようだった。

 

「そんな大事な事忘れるなよぉ!!」

 

大山の言葉に音無がツッコミを入れる。

 

――――もっと早く思い出してくれれば回避できたものを

 

燕が呆れ果てていると、通路内の明かりが天井の蛍光灯に切り替わった。

 

「ここからヤバイのが来るわよ!しゃがんで!」

 

ゆりの言葉に従い、全員がその場にしゃがむ

その瞬間、何かが壁にある溝を走って行った。

 

何かが通り過ぎた後、椎名は煙玉を投げた。

 

「この密閉された空間でそんなもの投げるんじゃねぇよ!ってなんだあれ」

 

燕が見たものは先程壁を走って行った物から出ている赤いセンサーだった。

 

「当たるとどうなんの?あれ…」

 

「最高の切れ味で胴体を真っ二つにしてくれるぜ」

 

「洒落にならねぇ…」

 

音無の問いに日向が答え、燕は苦笑いする。

 

「第二射来るぞ!!」

 

藤巻の声と共に赤いセンサーが一本追加され、再び壁を走り始めた。

 

「どうすればいいんだよ!?」

 

「くぐるのよ!」

 

ゆりの言葉に全員が上げていた頭を下げ、回避に成功する。

 

「第三射来るぞ!!」

 

「第三射何だっけ!?」

 

「Xだ!」

 

再び藤巻が報告する。

第三射の赤いセンサーはXの形状で、横一文字の時に比べ範囲も広そうだった。

 

「あんなのどうしろってんだよ!」

 

音無が情けない叫びをあげるが「それぞれ何とかして!」っと投げやりな答えが返ってきた。

 

次々とメンバーが避けていき、燕も飛び越えて避けることに成功する。

がしかし

 

「うぐぉぉおおお!!」

 

最後尾にいた松下五段は避けきれず、センサーの餌食になってしまった。

 

「開いたぞ、急げ!!」

 

閉じられていた扉が開くと同時に、全員が雪崩の様に一斉に飛び出した。

 

「はぁ、無事に脱出できたか」

 

燕はため息をつき後ろを振り返ると、大山が思いっきり吐いていた。

 

「…大山の奴どうしたんだ?」

 

「今度の犠牲は松下くんかぁ」

 

「あ、なるほど」

 

――――松下の断末魔と今の大山の状況、バラバラになった死体を見たんだろうな

 

燕は自分で解釈し納得する。

犠牲を出しつつもこのまま進軍するようだった。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――――ギルド連絡通路 B8――――

 

センサートラップから移動した先に、長い梯子があった。

今までは坂道や階段が多かったのだが、梯子は入口以外では初めてのケースだった。

 

全員梯子を降り切り警戒しながら進んでいると、上から小石が落ちてきた。

気になり上を見上げると、天井が落ち始めていた。

 

「トラップが発動してるわ!」

 

「しまった忘れてたよ!ここは天井が落ちてくるトラップだったぁ!!」

 

「だからそんな大事な事忘れるなよぉおお」

 

もうだめだと思ったが、何かにぶつかる音がしただけで潰された感じはしなかった。

恐る恐る目を開けると、TKが体を張って天井を支えていた。

 

『TKッ!!!』

 

その光景に全員が叫ぶ、叫ばずにはいられなかった。

 

「Hurry up!今なら間に合う! Oh…飛んでいって抱きしめてやれェ……」

 

「ありがとう」

「じゃあな」

「達者でな」

 

ゆり・藤巻・日向の三人は呆れるほどの返答だけで先へ進んでいった。

 

「……Sorry」

「……悪い、助かった」

 

俺と音無は謝った後で天井トラップから脱出した。

 

「犠牲を無駄にしないようにね。行くわよ」

 

――――まだまだ先は長そうだ。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――――ギルド連絡通路 B9――――

 

日向とゆりが先行して通路の確認に出る。それを確認して、残りのメンバーが通路へと出るが

 

「どうした?」

 

突然立ち止まり地面を見ていたゆりに日向が声をかけた。

 

「何か――っ!!」

 

何かに気が付いたゆりだったが、時はすでに遅く

次々と床が抜け落ちていった。

 

「しまったぁ!忘れてたよここはぁぁぁ……」

 

「だ、だから!忘れるなよぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

言い切る前に大山は奈落へと落ちていき、律儀にも音無がツッコミを入れた。

 

「ぐあぁ、肩が外れっ…ちまう!!」

 

「うぅ…!重すぎて…持たないっ!!」

 

今燕達が置かれている状況は

残った足場に椎名がつかまり、藤巻の腹にロープが巻かれ

その下に、燕・ゆり・日向・音無の順でぶら下がっている。

 

「俺と音無も落ちるか!?」

 

「ちょっと待て勝手に決めるな!」

 

日向は少しでも軽くする為、自分と音無も落ちる事を提案するが

音無が頑なに拒否した。

 

「ここで戦力を失うのは得策ではないっ!」

 

椎名も日向の意見には反対のようだった。

 

「椎名の言う通りだ!ここで人数減ったら後に響くぞ!!」

 

燕も必死に藤巻の足を掴みながら反対する。

 

「分かってるわよ!早く登んなさいよ!」

 

ゆりは下に居る音無に呼びかける。

 

「音無、いけるか!?」

 

「やるしかないだろ!」

 

音無が力を込めて登ろうとすると、体重が掛かり上に居る燕とゆりが苦しむ

それでも音無には早く上に上って貰わないといけないので文句は言わない

 

「何してんの、休んでないで早くしなさいよ!!」

 

「何処掴めばいいんだよぉ!!」

 

「何処でもいいわよ!好きにしなさいよ!」

 

今はゆりの足元に居るみたいだが、さすがに女子の身体は掴み難いらしい

 

「今そんなこと気にしてる場合か!早く登れ!!」

 

肩が限界に近づいてきた燕も今は叫ばずにはいられなかった。

 

その後音無は何とか上まで辿り着いたが

 

「きゃあぁぁ!そんなとこ持てる訳ないでっしょっ!!」

 

「うぉあ、うわぁぁああああバカぁぁぁあああああああああ!!!」

 

ゆりのどこを掴んだのかは知らないが、戦力がいるこの状況で日向は蹴り落とされてしまった。

 

そして何事も無かったかのようにゆりが登り、続けて燕も登る。

 

「ふぅ……ついに五人になっちゃったわね……」

 

「へっ、よくもまぁ、新入りのテメェらが生き残ってるもんだな」

 

「……まぁな」

 

「流石に次は死ぬかも知れないがな」

 

「その通りだ、次はテメェらの番だぜ……」

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――――ギルド連絡通路 B13――――

 

「…………」

 

部屋の中には大量の水が流れ込んでおり、藤巻は先程溺れ死んだところだ

 

「水攻めね……」

 

「コイツ、カナヅチだったのか…」

 

「さっきのセリフはまさに死亡フラグだったからな」

 

椎名は藤巻が落ちる少し前に水の中を先行して様子を見に行ってもらっている。

 

「プハァ、…出口はコッチだ、来い!」

 

椎名が出口を見つけたようなので、潜水してついていく。

ちなみに藤巻はその場に放置したままで

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――――ギルド連絡通路 B15――――

 

水から上がると同時に、新鮮な空気を思いっきり吸い込んだ。

 

「ハァ、ハァ、ったく長ぇっての」

 

水路は思いのほか長かったらしく、息切れを起こすには十分過ぎる程だった。

 

音無は既に対岸へと上がっており、ゆりの手を引いていた。

 

「ほら、月斑君」

 

上がったばかりのゆりも、燕へ手を差し伸べる。

 

「あぁサンキュー」

 

燕はその手を取り岸へと上がる。

 

「ゆり、こっちだ!」

 

椎名が先に進む道を見つけたようだが、そこは川を挟んだ反対側にあった。

 

椎名を除く三人は、椎名のいる場所へ向かおうとするが

川上から子犬のぬいぐるみが入った小さな段ボールが流れてくるのが目に入った。

 

「ん? 何であんなもんが?」

 

「あれは……!」

 

それを見たゆりは何かを察したらしいが、床抜けトラップの時同様に遅かった。

 

「あああぁ!子犬が流されているうぅぅぅ!!トウッ!!」

 

椎名は全速力で川へ近づきそのままジャンプ

 

「えええぇ!!?」

 

「椎名さん駄目ぇ!!!!」

 

「よく見ろ椎名ぁ!!!!」

 

燕とゆりの叫び虚しく、椎名は子犬のぬいぐるみ手にし

 

「不覚! ぬいぐるみだったああぁ……」

 

そのままぬいぐるみを腕に抱きながら滝壺へと落ちて行った。

 

「くっ…! 椎名さんまでもトラップの犠牲にっ!」

 

「あれも天使用のトラップかよッ!? ……つか、一目で気づけよ」

 

「なんであんなもん考えたんだよ。ピンポイントで椎名を狙ったろ」

 

「可愛いものに対する誤認は、彼女の弱点よ……」

 

ゆりは悔しそうに握り拳をつくっている。

 

三人になってしまったが、ゆりは先へ歩いて行く

それを見た燕と音無も後に続いて行った。

 

 





流石にトラップ全部書くのは疲れた……

燕「そのおかげで過去最高文字数を記録したけどな」

入「月斑先輩も大変でしたね」

燕「あぁ、最初は原作に無いオリジナルトラップもあったからな、アレは辛かった」

入「最初はって、なんで無くなったんですか?」

燕「書き終わる寸前にPCがフリーズ、電源を落とす羽目になったんだと」

正直スランプに落ちかけましたね。

燕「しかも自動保存の存在に気が付いたのは手直しし始めて暫くたった後だからな」

入「あ、あははは」

もうここまで書いてしまったし、オリジナルトラップもどちらかと言えば微妙だったんで復元はしなかったんですけどね。

燕「しかしまぁ、よく回復したな。電源落として再起動かけた後そのまま電源落として、布団に潜り込んで半泣きで携帯小説読み漁ってたのに」

自分でも不思議なんですよね。 なんというか今日こそは書くぞ!って気になって
一週間は寝込むかと持ってたのに

入「失踪しなくて安心しました!」

燕「なんかうれしそうだな、気のせいか?」

入「え!?そんなことありませんよ!
(まだ月斑先輩とあんまり絡んでないからとは言えないよぅ)」

まぁまぁ裏話はこのあたりにして、そろそろ締めますよ。

入「あ、はい!それでは皆さん」

『また次回もお楽しみに~』

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