現代人のお気楽極楽転生ライフ(修正版)   作:Amber bird

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新章第7話

謀略教皇VS謀略教祖!趣味と趣味の闘い・第7話

 

 

 ヴァリエール公爵家の応接室で夫妻と向き合う。

 

 教皇ヴィットーリオが、ルイズを虚無の使い手としてロマリアに引き渡しを求めて来た……

 そして彼女が虚無で有る事を知っていた僕に、何故知っているのかを訊ねてきたんだ。

 だから僕は、彼女が伝説の虚無の使い手で有る事に気が付いた理由を説明をしている。

 筈だったが、何故か途中から僕がブリミル教徒として罪を犯した懺悔の話しをする展開に……

 

 本音は、ブリミル教など何とも思っていません!

 

 現代日本人に、純粋な宗教観を持っている人は少ないから。

 大半の人々は死ねば坊さんに通夜・告別式をしてもらい仏式の墓に入る。

 

 それは広い意味で、仏教徒なのだろう……

 

 しかし日本人って、バレンタインもクリスマスもハロウィンも、他の宗教の儀式でも何でも楽しんじゃう民族だから。

 お正月には神社に詣でるし……真摯な仏教徒や、他の宗教関係者から見れば不思議な民族ですよ。

 だからレコン・キスタと対峙していた時でも、そんなに深刻な顔をしなかった。

 

 そんな僕が如何にもな感じて俯いている……

 

 僕の様子を見詰めるヴァリエール夫妻は、不安の色をその瞳に浮かべていた。

 僕は、カリーヌ様が淹れてくれた紅茶を一口飲んでから話し始める……

 

「始祖ブリミルの時代から伝わる秘宝……

数少ない始祖の時代からの至宝です。例えばトリステイン王国に伝わる、水の指輪に始祖の祈祷書。

アルビオン王国には、風の指輪と始祖のオルゴール。

ガリア王国にも、土の指輪と始祖の香炉……ロマリアは火の指輪と、何だったかな?

3王家とロマリアには始祖に関係する品々が伝わっています。

それの他に、始祖ブリミルの時代に彼の使い魔が実際に使用していた武具が有ったとしたら……どう思いますか?」

 

 お姉ちゃんを虚無の使い魔と断定した人物の話から、今度は始祖に関係する秘宝の話……脈絡も無く、内容が飛びまくっています。

 そして今度は、今まで聞いた事もないブリミル時代の武具の話だ。ヴァリエール夫妻は戸惑っている様な、何とも言えない顔をしている。

 

「そんな武具が実在すれば、それは大変貴重な物だろうな。しかし、ブリミル時代の品物で現存する物は王家の宝物庫でも、そうは無いぞ」

 

 至極マトモな回答です。

 

「証明出来なければ、眉唾な代物として……とても誰も信用しないでしょうね」

 

 まぁ、そうですよね。

 準王家として、トリステイン王国の中枢に位置するヴァリエール公爵家ですら、始祖の関連の物は所持していないのだから……

 原作では、アンリエッタ姫が気前良くルイズにお友達だからと、水の指輪を渡してたけどさ。

 

 アレって凄いヤバい事じゃないのかな?始祖から伝わる国宝を売って路銀にしろとか、さ。

 

 不敬どころの騒ぎじゃないし、伝統と格式を守っている王家の存続の危機だ!

 

 流石はアンリエッタ姫と言う所かな。ソレはソレとして……そんな物が発見されれば、ロマリアだって黙っていないだろう。

 四大元素の指輪に、祈祷書・香炉・オルゴール……あと何だっけ?虚無の魔法に目覚めるキーアイテムは?

 

「僕はお姉ちゃんがマジック・アイテムを収集し、且つソレを使いこなしているのを知って、噂で珍しいインテリジェンスソードの存在を知り求めました。

お姉ちゃんにプレゼントする為に……そして、彼とはデルフリンガーの事ですが。

彼は、お姉ちゃんに持たれた瞬間に、彼女が神の頭脳ミョズニトニルンで有る事を指摘したのです。

お姉ちゃんも、自身が虚無の使い魔で有る事を認めました……」

 

 ここで一旦、話を止めて一息入れる。

 

 虚無の使い魔を知覚出来るインテリジェンスソードが、ルイズも虚無の使い魔の可能性が有りと認めた。

 これなら辻褄が合う筈だ。カップの紅茶を飲み干してから、ヴァリエール夫妻を見る。

 

 アレ?何だろう、胡散臭い物を見る目だけど?6000年前のブリミル時代のインテリジェンスソードだよ!大変な物ですよ!

 

「ツアイツ殿……あー何だ。君が良くウチに忘れていく、あの駄剣の事か?」

 

「全く、あのオッパイ・オッパイ騒ぐ駄剣ですか?アレが秘宝?錆だらけの汚い剣ですよ。とても始祖の秘宝とは思えません」

 

 なっ?全否定されましたよ!

 

「いえ、ちゃんと本来の姿は輝く剣です。

ちゃんと6000年前の記憶も有るし、何と魔法を吸収する能力も有るんですよ!彼は初代ガンダールヴが使用していた……」

 

 カリーヌ様が、両肩に手を置いてから優しく抱き締めてくれた。そして背中をポンポンと優しく叩いてくれる……

 

「あっあの?」

 

「ツアイツ……最近忙しかったのね?ごめんなさいね。気付いてあげられなくて……

今日はもう、ゆっくりとお休みなさいな。貴方の部屋は昔のまま残して有りますから……」

 

 ヴァリエール公爵も、僕の肩を優しく叩いて

 

「ツアイツよ。少し急ぎ過ぎたみたいだな。あのエロ剣が秘宝とは……良くカトレアの胸を見て騒いでいるんだぞ。アレはダメダメな駄剣だ」

 

 伝説の剣であるデルフリンガーが、全く要らない子になってる?

 

「ちっ違います!デルフリンガーは本当に始祖の時代の剣なんです!

僕やワルド殿、カステルモール殿の心の震え(酷い妄想)を感じると立派な剣になります。

ただ、我らの心の震えが……その、想定外の威力の為に、その、少しだけ変な剣になってしまっただけです。デルフは、本当に……」

 

 僕は一生懸命に説明した。まさか、彼の素晴らしさを僕が周りに説明する日がくるなんて!自分でもビックリだよ。

 

 でも原作のデルフリンガーは……

 

 ルイズの使い魔として召喚されるガンダールヴであるサイトを相棒と認め、真の力を発揮する伝説のインテリジェンスソードなんだ!

 素人の彼をヒーローにしたのは、間違い無くデルフリンガーのお陰だ。

 しかしヴァリエール夫妻は自業自得だが、彼の扱いが悪かった僕のせいで半信半疑……

 

 いや全く信じていません!


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