現代人のお気楽極楽転生ライフ(修正版) 作:Amber bird
シェフィーとジョゼフ甘々日記(出逢い編)
ツアイツから、我が主との愛の記録を捏造し……
いえ、腐れホモ野郎の汚らわしい記憶を消し去る為の治療としての正しい(都合の良い)記憶を上書きする。
そう素晴らしい提案を聞いてから、少しずつ考えて来た甘い甘い物語……
私とジョゼフ様は、使い魔法召喚の儀式により初めて会った。
急に呼び出され、キスによる契約を強制的に結ばされた……しかし、私はジョゼフ様を愛してしまった。
逞しい体、素敵なお髭……型に嵌らない行動、子供の様に純真で残酷。それでいて誰にも負けない知謀の持ち主
でも周りは愚鈍でツマラナい連中……そんな孤独の主従だが、大きな転機を迎える。
先ずは、この出会いの記憶から修正する!
私達の出会いは、想いは……契約などと言う無粋な物では無いのです!
そう私達の理想の出逢いは……
捏造編・私と主様の出逢い(ハート)
◇◇◇◇◇◇
あれは有る晴れた普通のどれかの日……私は綺麗な花が沢山咲くと言う山の麓の一寸したオアシスに居た。
私の周りには摘んだ花で作ったお花の首飾り等が並んでおり、そこはまるで私という淑女を際立たせる花のステージと化していた!
そのステージの中心で物思いに耽る……美女に惹かれて小鳥達が集まり、肩や膝にのり囀っている私を祝福する音楽の様に。
しかし、たおやかな花には虫が寄ってくるもの。薄汚い乱暴者三人に絡まれる私……
「ようよう!姉ちゃん、遊んでくれよ」
「こんな所で花に埋もれてないでよぉ!俺達とイイ事しようぜ」
「ほら、こっち来いよ!」
薄汚い男達は、私の手を掴んで森の中に連れ込もうとする。抵抗する私……嗚呼、無惨にも花が散らされようとする時に
「待て待て待てぇ!下郎共、その美しき御婦人から離れろ。臭くなるだろうがぁ」
早速と駆けつけるジョゼフ様……
「何だとぉ?お前ら、あの貴族様をやっちまえ」
汚い言葉を叫びながら襲い掛かるゴミをバッサバッサと撫で斬りにするジョゼフ様……残りは兄貴分のゴミだけ!
「きっ貴様、何者だぁ?」
「黙れ!喋ると臭いだろう」
そう言って最後の乱暴者を袈裟懸けに斬る!そして刀を一振りして付いた血を払うと、カチッと鞘におさめた。
◇◇◇◇◇◇
あっ!白馬の用意を忘れたわ……まぁ良いか。それにジョゼフ様は一般的な魔法が苦手。
記憶の中で魔法を使っては、辻褄が合わないから刀にしたけど……意外と刀も良いわね。でもジョゼフ様って刀は使えたかしら?
まぁ良いか、普通に振る程度は使える事にしておきましょう。ツアイツだって、エロ剣をそれなりに使えてたし……
さて次は初めての会話ね、ここはジョゼフ様が私に一目惚れしたって事が良いわよね。
◇◇◇◇◇◇
「レディ、怪我は無いですか?」
刀を鞘におさめながら近付いてくる。
「はい……大丈夫です。その、有難う御座いました」
両手で体をかき抱きながら、弱々しくお礼を言う。そんな私を凝視するジョゼフ様……
「そっそんなに怯えなくても大丈夫だ。俺は何もしない。その、なんだ……家まで送ろう。また襲われるかも知れないからな」
そう言って私の手を掴み立たせようとする。その力強さに、思わず彼の胸に引き寄せられる……
「あっ……すみません」
恥ずかしくて離れようとしても先程の恐怖で腰が抜けてしまい、彼に縋りつく。
「おい!大丈夫か?どこか怪我をしたか?」
「いえ、その腰が……」
そう言いうと「なに?腰をどうしたのだ?」心配してくれたのだろう、その逞しい手で私の腰から尻を撫で回す。
「あっあの……大丈夫ですから……ただ腰が抜けただけで……」
遠慮なく触り捲るジョゼフ様の手を押さえて、腰と尻を撫で回すのを止める。
「むっそうか……しかし、お前の手は柔らかいな」
今度は手をニギニギするジョゼフ様。
「よし!決めたぞ。お前は今日から俺の物だ。俺の名はジョゼフ。このガリアの王だ!」
◇◇◇◇◇◇
ヨシ!出逢い編は、これで良いわね。
恩人なのだが、見初められて拉致される。これならジョゼフ様が私に一目惚れな訳よね。
しかもジョゼフ様を少しエッチィ様に変えるわ!
そして次は、お城に連れてこられた私に襲い掛かるジョゼフ様ね……
「うふふふふ、あははははぁ!ここからはツアイツの男の浪漫本の出番!激しいのを……いや最初だし甘々なのが良いわね」
◇◇◇◇◇◇
ジョゼフ様に連れ去られ、王宮の一室に押し込められた。呆然とする私をメイド達が風呂に入れようとする。
「あっあの?」
突然の成り行きに付いていけない私。
「ジョゼフ様のご命令です。貴女を綺麗に着飾らせろと……
先ずはお風呂にて肌を磨き髪を整え、ドレスに着替えて頂きます」
テキパキと私を磨いていくメイド達。私はなすがまま……気がつけば、豪華な部屋のドレッサーの前に座らされて髪を梳いて貰っている。
「綺麗な髪ですね。まるで黒曜石みたいに艶やかですわ」
お世辞でも嬉しい。しかし、私は一体どうなってしまうの?
「あっあの……私はどうなってしまうのですか?私は……」
櫛を持つ手を止めて、申し訳なさそうに
「貴女はジョゼフ王が見初めて連れてきたお方。私達では分かりません。
どうかジョゼフ王にお聞きになって下さい……では終わりましたので、大食堂までご案内致します」
そう言うと、扉が開いて別のメイドさんが2人並んで立っている。
「では、ご案内致します」
そう言うと、また私を何処かへ連れて行く。
広い廊下……床は見た事も無い絨毯が敷き詰められている。踏むのが恐ろしい位にフカフカだ。
それに壁には絵画が、天井には精巧な硝子のシャンデリアが連なっている。
所々に置かれている壺も像も高価な感じだ。案内をしてくれたメイドさん達が、一際大きな扉の前で
「此方でジョゼフ様がお待ちです」と、私を部屋に案内する。
中に入れば……30m位の長いテーブルの先に、先程の方が座っている。
「わっ私、どうすれば……」
思わずオロオロしてしまうが、室内に待機していた別のメイドさんが椅子まで誘導してくれる。
案内された椅子を前に、ジョゼフ王を見れば……王様って感じの衣装を着ているが、借り物の私と違い良く似合っている。
「おお!見違える程、美しいなお前は。その様な髪の色をした女は初めて見たぞ」
社交辞令でも嬉しいと思った。
「あっありがとうございます」
それから私達は初めての食事を共にした。
シェフィーとジョゼフ甘々日記(薔薇色の未来編)
初めての王族の食卓に戸惑う私をジョゼフ様は、ただ笑って見ているだけ。只でさえ広い部屋に長い机。
そして手の届かない所にまで並べられた料理……壁際に並ぶ使用人の方々。
まさに別世界……
私、宮廷マナーなんて殆ど知らないのに。料理人の方が、ワインをグラスに注いでくれる……食前酒だろうけど、何やら甘口の飲みやすいお酒。
次に前菜の器が運ばれるが、マナーばかり気になって味が全然分からない。
スープが出てサラダ、主菜はお肉……
気が付けば、食後の紅茶が目の前に有るし。
「上の空だったが、料理は全て食べたな。どうだったかな?」
「はっ、はい!とても美味しかったです」
いきなり話し掛けられて、テンパってしまう。見上げれば、口をナプキンで拭いているジョゼフ様……
庶民の食卓と違い話ながら食べるなんて事は無いと思い無言だったけど、違ったのかな?
「そうか。では後でな……」
後で?ナニを?そう言うなり立ち去ってしまう……1人大食堂に残されるが、直ぐにメイドさん達が客間に誘導してくれる。
そしてまたお風呂と着替え……
流石にのぼせる、バスローブのままで部屋の方に移動。そこにも複数のメイドさんが手に色々な衣服を……
「なっ何ですか?そのフリフリな服やスケスケの下着は?」
ついさっき入ったお風呂にもう一度入らされ、肌を丹念に磨かれて、のぼせた体を拭いて貰い……いざ着替えと言う時に、トンデモナイ服?が!
「夜伽用の衣装ですわ」
「さぁさぁジョゼフ様がお待ちですわ」
「早くお召し替えを……」
急かされて着替えはしたが、トンでもなく恥ずかしい。スケスケだけど肌触りの良い下着。何だか簡単に脱げてしまいそうなフリフリなドレス。
流石にアクセサリーは付けないが、香水を軽く吹き掛けられた。
「「「お似合いですわ!では此方へ」」」
そう言って奥の部屋に押し込まれた……
「あっあの?」
目の前には巨大な天蓋付きのベッド!何故かを聞こうとメイドさん達に声を掛けるも、お辞儀をしながら扉を閉める途中だった。
「えっ?あのっ?」
私、ジョゼフ様の夜伽をしなければならないの?今日会って、これから直ぐなの?
部屋の真ん中で立ち尽くしていると、扉が開いてジョゼフ様が入って来た……随分とラフな格好だ。
「おお!我がミューズよ。先程とはまた違った魅力だな。さぁ此方に来い」
そう言うなり私の腕を掴み、力強く自分の方に引き寄せた!当然の様にジョゼフ様の腕の中に抱かれる……
「あっあの、その……」
突然の事に私は抵抗出来ずに、ベッドに押し倒されてしまう。嗚呼、私の運命や如何に?
◇◇◇◇◇◇
よっしゃー!これで私達の初めての夜が始まるわ。
この流れはジョゼフ様が私を見初めて城に連れ帰り、強引にモノにした……これからが本番よ。
次は私の虜となったジョゼフ様が、恐縮し断る私を強引に後妻にと話を進めるの……これで、出会いから初めての夜。
そして結婚へ……
「うふっ……うふふふふふ、あーっはっはははっはー!私達の幸せは直ぐそこよー!」
◇◇◇◇◇◇
嵐の様な官能の世界が終わった……豪奢なベッドでジョゼフ様に腕枕をされながら、並んで寝ている。何故か目から涙が……
「お前、泣いているのか?何故だ?俺はお前が気に入ったのだぞ」
私の涙を見て、何故か焦った感じで聞いてくる。
「いえ……これは、その……」
しかし何故かを説明する言葉は出なかった。
「お前、そう言えば名前を聞いていなかったな。何と言うのだ?」
そうだった!まだ名前も伝えてないのに、こんな関係になるなんて……
「シェフィールドです」
名乗ると腕枕をしている手で器用に髪を梳いてくれる。
「シェフィールドか……良い名前だな。
俺は自分の弟を手に掛けた。王位簒奪を企てた取り巻き達と共にな。それからは空虚感だけが心を占めていたよ。
血の繋がった相手が欲望に身を任せて襲って来たのだ……しかし俺は禍根を残さぬ為に捕らえた奴を殺した。
血塗られた王。
そんな俺が今日はどうだ?お前に一目惚れをして強引にモノにした。お前を俺を恨むか?」
いきなり身の上話を聞かせられた。普通なら兄弟とは助け合うものだ。それが欲望の為に牙をむく……
この人は誰も、誰にも信じる事が出来ないのだろうか?
「私は……今はまだ自分の気持ちも分かりません。しかしジョゼフ様を恨んではいません。
本当に嫌だったら、こうなる前に命を絶っていますから……」
その言葉に一瞬だけピクッと反応したが……彼は深い安堵の様な溜め息をした。
「そうか……
そんな正直な言葉を聞いたのは久し振りだ。でも俺は短気でな。
お前が自分の気持ちを分かる前に、俺の気持ちを知って欲しいんだ」
そう言うなり腕枕をしてくれていた手を使い、私を抱き寄せた。顔と顔が近い……
「シェフィールド……
お前は俺のモノだ!俺はお前を後妻に、このガリアの王妃に迎える。この気持ちは変わらない。お前の気持ちを変えるだけだ……」
そう言って、私が返事を言う前に唇を奪われた。力強い口づけ……しかし彼の優しい気持ちが伝わってくる。
息継ぎの合間に自分の素性を話した。
「私は東方の出身です。
ハルケギニアの貴族でも、何でもない只の娘。王妃など恐れ多い事ですわ。どうか考え直して下さい。でも、お側にはいさせて下さい」
彼を独りにする事は出来ないから……
「そう言って何時でも俺から離れられる様にか?ガリアの王妃は嫌なのか?」
ああ、彼は裏切られたくないから楔が欲しいのね……
「私は貴方の側に居るわ……別に王妃なんかじゃなくても。
それが信じられないならば……使い魔の契約をしましょう。
人間にした事は聞いた事がないけれども、使い魔と主人は一心同体。これほど確かな絆は無いはずですわ」
考え込むジョゼフ様……
「俺はな……魔法が苦手なのだ。だから成功するか失敗するかも分からん。そもそも召喚すらしていないミューズに使い魔の契約など効くとも思わない」
ジョゼフ様は無能王と蔑まれているのは私でも聞いた事が有る。
「それで……どうなろうとも私は構いません。さぁ使い魔契約の儀式を……」
そう言って私達は使い魔契約の儀式を行った……そして私の額には、ルーンが刻まれる。
「ジョゼフ様……成功ですわ。私達は一心同体!これからずっと一緒です。もう離れる事など有りませんわ」
この契約を切欠にジョゼフ様は虚無に目覚められ、簡単なコモンマジックは使える様になる……
◇◇◇◇◇◇
ヨシ!この流れなら私が使い魔でジョゼフ様が虚無使いになるわ。序でにシャルルは抹殺し、家族の愛情も全て私に向けられる。
身を挺して愛情を示した私にジョゼフ様はゾッコンね……
最初はコレ位かしら?
ツアイツも一度に沢山の書き換えは脳に負担が掛かるって言っていたし……先ずはコレ位で、暫くしたら辻褄を少しずつ合わせていく記憶操作ね!
「ジョゼフ様……私の全てを貴方に!ですから、貴方の全ても私だけに下さいませ」
何故かシェフィールドの脳裏に変な赤白の玉を構えて「ジョゼフ王、ゲットだぜ!」と決めセリフを言うツアイツが思い浮かんだ。
ヤンデレさんに捕まってしまうジョゼフ王の未来は……きっと薔薇色だと思いたい。