現代人のお気楽極楽転生ライフ(修正版)   作:Amber bird

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第191話から第193話

第191話

 

 おはようございます、ツアイツです!

 

 今朝は漸くトリステイン王国に居る婚約者達を説得し終わりガリアに出発する予定です。

 流石にシェフィールドさんの我慢も限界でしょう。

 

 遂にガリア王ジョゼフの年貢の納め時!

 

 僕の安全の為にもヤンデレさんとストロベリる甘々性活を送って下さい。

 ヴァリエール夫妻に挨拶をしてルイズ達とも暫しのお別れ……新学期の始まる少し前にガリアで落ち合う約束をした。

 僕はガリアでジョゼフ王の洗脳と言う治療の立ち会いをしてから、一度ゲルマニアの実家に戻ります。

 テファとマチルダさんを説得し、皆でガリアに行く。当然、エーファ達メイドズも同行させますよ。

 

 何て濃密な夏休みなのだろうか……

 

 挨拶の時に、カトレア様とエレオノール様のねっとりとした笑顔が気になりましたが、流石にガリアの王女と良い仲になってしまったのだから追撃は無い筈だよね?

 ヴァリエール公爵邸を辞して恒例の馬ゴーレムでシェフィールドさんと二人乗りをしてガリア勢との合流場所まで向かう。

 既に内々で、僕とイザベラ様の件はジョゼフ王の許しを得ているから……それなりの護衛が付いてます。

 

 具体的に言うと、ジャネットさん……

 

 覗きに特化?した彼女は、僕では何処にいるのか不明なんですが、護衛してくれているそうです。

 パカパカとゴーレムは整備された街道を歩く。

 

 行きと同様に、長閑な田園風景だ……

 

 修行時代から通い慣れたヴァリエール邸。同然周りの農家の方も、僕を見知っている。

 作業の手を休めて僕達にお辞儀をしてくれる彼らに片手で挨拶していく……

 今思えば、素質はチートでも開花させてくれたのは間違い無くカリーヌ様の拷問(特訓)だった。

 

 無茶振りするし、我が儘で強引で……

 

 色々大変だったけど、感謝し足りないだろう。

 

「お姉ちゃん、ジョゼフ王との記憶変換ストーリーは出来ているの?」

 

 毎回後ろに乗り、抱きついているシェフィールドさんに尋ねる。

 

「完璧よ!ソフィアやジェシカにも手伝って貰ったから……幼少の頃から現在に至る迄の半世紀以上に渡る愛の遍歴。

シナリオで言えばvol.40かしらね?」

 

 シナリオ?vol.40って40冊分?

 

「お姉ちゃん……僕も人間の脳については詳しくないけどさ。そんなに大容量の記憶操作をしたら、ジョゼフ王の脳が焼き切れないかな?」

 

 シェフィールドさんの体が強張るのを感じる。

 

「脳?焼き切れる?どうかしら……誰かで実験した方が良いかしら?」

 

 何とも物騒な解決策をボソリと言いましたね?

 

「余りに大量の記憶操作は危険な気がするよ。枝葉の部分は後回しにして根幹の部分だけにしてみたらどうかな?」

 

「根幹?どんな?」

 

 ジョゼフ王が発狂したら大変だからね、安全策で行こうよ。

 

「出会いから大きなイベントを幾つか……そのジョゼフ王と結ばれた記憶や彼から告白された事。

結婚の約束をしたとか……その辺のイベントを掻い摘んで操作してみたら?

細かいのは何時でも書き換えられるでしょ。あとシャルルの記憶は綺麗に消してね。トラウマ治療を忘れたら本末転倒だよ?

でも、そうすると安定する迄はワルド殿とアンドバリの指輪が必要か……」

 

 ワルド殿をガリアに監禁するか?しかし、何かお礼を用意しないと駄目だよね。

 などと対策を練りながら話していると待ち合わせの場所に着きました。

 

「ツアイツ殿、お待ちしておりました」

 

「ツアイツ様遅いですよ、早くガリアに向かいましょう!」

 

 カステルモール殿とジャネット殿だ、ブリュンヒルデも居る。それと何人かの竜騎士団達……

 

「お出迎え有難う御座います。ではガリアに向かいましょう」

 

 そう言った途端にブリュンヒルデが僕をくわえて背中に放り投げると、カステルモール殿を掴んで飛び立った!

 

 アレか?

 

 ヤンデレ状態のシェフィールドさんを乗せた事が、そうとう嫌だったのかな?トップスピードと爆走?爆飛行?している。

 僕は彼女の首にしがみ付くだけで一杯一杯だし、カステルモール殿は何かを叫んでいる……この分なら待機している空中船につくのは直ぐだろう。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 突然、ブリュンヒルデが乱入するとツアイツ様を強制的に背中に乗せると主人を掴んで飛び立ったわ……

 

「あの……自分の主人は序でに足で捕まえて飛んで行ったわよ?アレ?……私達も追いましょう!」

 

 慌ててブリュンヒルデを追う……様に竜騎士団にお願いする。

 彼らはジャンケンで私とシェフィールド殿を誰が乗せるかで争っている。美少女だから誰でも乗せたがるのね?

 

 美しさは罪!

 

 何故かしら「まだ白黒の方がマシ!」とか「ヤバい相棒の制御がきかねぇ」とか聞こえたけど……心の安寧の為にスルーする事にした。

 

 本当に竜騎士団達は私の扱いが悪い!

 

 いくら私でも、乙女なんだから泣きたくなる……今度ツアイツ様に泣きながら相談しよう。

 きっと女の涙に弱いから力になってくれるハズ。そして誰が乗せるか決まったのは、それから十五分後だった……

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 ブリュンヒルデの猛ダッシュで空中船に着いてから、床にへたり込んで一休みする。

 来た方の空を見れば……アレ?誰も追ってこないよ?

 

 幾らブリュンヒルデでも視界から居なくなる程のスピード差は無い筈なのに……振り向けば、カステルモール殿がブリュンヒルデに説教をしていた。

 ブリュンヒルデは欠伸をしたり首を振ったりして反抗している。彼女からすれば、ヤンデレさんを乗せる事自体が有り得ないんだろう!

 

 目が合うと、自慢気に胸を張っているし。きっと「どうだっ!」って感じなんだろう。

 

 軽く手を振って彼女の健闘を称える。そして船長に挨拶する為に船内に歩いて行く。

 

 でもね、ブリュンヒルデ……神の頭脳ミョズニトニルンの不条理とは、アイテム次第でどうにでもなるんだよ。

 

「お姉ちゃん、船長に挨拶に行こうか?」

 

 ゆらりと空間が歪み、シェフィールドさんが現れる。

 

「そうね、急ぐようにお願いしないといけないわね」

 

 にっこりと微笑まれた。

 

「お姉ちゃん、本当に転移魔法教えて欲しいな」

 

 主に緊急脱出用に……

 

「いいわよ。でもマーカーの設定箇所が限られるから、ツアイツでも使える物だと……常にお姉ちゃんの所に転移だけど構わないわね?」

 

 えっ?何その不条理設定!はははははっと笑って誤魔化した。

 

 つまり僕には、シェフィールドさんはマーカーを設定してるんだね?呼べば応える秘密を知ってしまいました……

 

 さて、気を取り直して!

 

 次はいよいよジョゼフ王の記憶操作だ!

 

 

 

第192話

 

 

 遂にガリアのジョゼフ王の記憶改竄まで漕ぎ着けました!

 

 こんにちは!ツアイツです。

 

 ガリアまで来る途中でゴタゴタが有りましたが、遂に此処まで来ました!

 現在グラントロアの一角、シェフィールドさんの私室?に招かれています。

 ここには大量のジョゼフ改造計画の書類が山積みです!メモ書きから、製本された物まで色々有りますね。

 

「シェフィールドさん、ラブストーリー決まった?」

 

 彼女は膨大な手書きの原稿に埋もれています。

 

「ツアイツ、助けて……お姉ちゃんじゃ上手く纏まらないの」

 

 確かにvol.40も書き溜めたらイベントも選び辛いよね?

 

「纏めるって……コレ全部読むの?僕が、今から?」

 

 ちょちょっと今から全部って、どれだけ時間掛かるの?

 

「お願いツアイツ!」

 

 ウルウルと上目使いで祈るポーズをされたら、読むしか有るまい。覚悟を決めて、この甘々な恋愛ストーリーを読む。

 

「ああ、コレとコレは読まなくて良いわ。あっこれもダメよ」

 

 途中幾つかの製本をお姉ちゃんが回収していく。

 

 何か表紙に……「愛、そして3人」とか「夫と義弟と花嫁と」てか危険な単語が!

 

 お姉ちゃんはにっこりと微笑んでいる。

 

「……あの、それは?」

 

「ん?」

 

 表情は変わらない。諦めて本を読み始める。手始めにvol1から手に取りページをめくる。

 

 

………………読んでる。

 

 

…………読み続ける。

 

 

………読み耐える。

 

 

……もう無理、砂糖を吐きそうだ。

 

 

「お姉ちゃん、しょっぱい物持ってきて」

 

 せめて塩気を補充したいです。

 

「ツアイツ?本を読みながら物を食べちゃ駄目よ」

 

 至極真っ当に切り替えされました!半日以上を費やし、飛ばし読みでイベントをピックアップ。

 それをお姉ちゃんに更に絞って貰い決めました!

 

「これで良いわね。完璧よ、ツアイツ有難う」

 

 お姉ちゃんは、とてもご機嫌だ!

 

「でもお姉ちゃん、全部覚えてる?コレを持ち込むとジョゼフ王も警戒するよ……」

 

「…………そうね。今晩中に覚えるわ。明日実践しましょう」

 

 胸焼けがする程の甘々ストーリーだ!

 

 これを読んだら、大抵の男は躊躇するだろう……それ位の強制的拘束力がアリアリな物語。その主人公になれるお話だから……

 

 

 そして、いよいよジョゼフ王の治療(洗脳)を開始する。

 

 

 

 

 ジョゼフ王執務室

 

 

 

 謁見の間の奥に設えられた歴代ガリア王の執務室、窓は無く分厚い石に四方を囲まれた完全防備な部屋。

 中は魔法の灯りて照らされている。

 ジョゼフ王は応接セットのソファーに座りシェフィールドさんの説明を聞いている。

 

「何人かの先行実験の結果から推察するに、記憶の削除・上書きにはそれなりの時間と痛みを伴います。

出来れば魔法で眠りについて頂いた方が効率的かと……私も主の苦痛の表情には耐えられません。ですからお願いします」

 

 そう説明し、深々と頭を下げている。つまり眠っている内に全てを書き換えたい訳だ。

 vol.40からvol.3まで内容を圧縮したけど、オルレアン夫人の時の何倍になるのかな?

 ジョゼフ王が僕を見たので、頷いた。

 

「分かった。ミューズを信じよう。起きたら新しい俺になっている訳だな」

 

 そう言って目を瞑る。

 

 僕は杖を取り出し一言断りを入れてから、ジョゼフ王にスリープクラウドの呪文を唱える。

 魔法の雲を吸ったジョゼフ王がソファーに前屈みになるのをシェフィールドさんが抱きとめた。

 

 いよいよだ……因みに部屋の外には、カステルモール殿とジャネット殿が護衛の為に居る。

 

 何となく覗き見してそうだが……そして、僕達の知らない直属の護衛も見張っている筈だ。

 

 僕はスリープクラウドを唱えたら、不審に思われない用に杖をしまい離れた席に座る。

 

「嗚呼、主様……いよいよですわ。うふふふふふ……あは、あはは、あはははは……」

 

 お姉ちゃんのテンションはマックスだ!そして不審者そのもの……隠れている直属護衛の方々が不審に思うかも!

 

「おっお姉ちゃん、落ち着いて……ほら、深呼吸してね。ほらほら……ひっひっふー・ひっひっふー」

 

 既に瞳は黒目のみでグルグルだし、不思議なオーラが立ち上っている。僕なら仕える主人に、この様な人物が近付いたら僕なら止める……

 

「ツアイツ……大丈夫よ、少し待っていてね。私達三人の幸せの為に……では、いくわよ」

 

 そう言って目を瞑り、長い精神集中に入った。もはや邪魔にならない様に見守るしかない。

 

 シェフィールドさんの集中は30分近い……

 

 全身に汗をかいている様だし、表情も苦しそうだ。しかし止められない。

 

 更に10分後……

 

「キタキタキター!ジョゼフ様、私の気持ちを受け止めて下さい!」

 

 そう呟くと、眩い光を放ち指輪が砕け散った!

 

 今までで一番の輝きだ。ジョゼフ王を胸にかき抱いたシェフィールドさんは、満足そうに彼の頭を撫でている……成功したのだろう。

 

「お姉ちゃん平気?」

 

 シェフィールドさんは……穏やかな表情だ、アレ?ヤンデレ化が治っているよ?

 

「ツアイツ、ジョゼフ様はどれ位で目を覚ますかしら?」

 

 今回は治療時間がオルレアン夫人より掛かっているから……

 

「あと一時間位だと思うよ……成功したみたいだね?」

 

「ええ、成功したわ。有難うツアイツ。ジョゼフ様が目覚めたら私達は愛欲あふれ捲りの家族よ。さぁでも今は、2人だけにしてちょうだい」

 

 アレ?不穏な台詞が聞こえたよ?

 

「じっじゃあ何か有れば呼んで下さい。客室に居ますから……」

 

 そう言って執務室を辞す。部屋の外に出るとカステルモール殿とジャネット殿が直立して待機していた。

 

「ツアイツ殿、成功したみたいですね?」

 

「ツアイツ様、上手くいきましたね?」

 

 何故か語尾が疑問系なんだけど……覗き見していたんだろうな。

 

「ええ……不穏な台詞は有りましたが成功だと思います。では客室に戻りませんか?」

 

 ガリア王の執務室前で立ち話も何だから……これで、ミッションはオールクリアーだ!

 長かったガリア編も終わってみれば大団円かな?2人を伴い客室に歩いて行く。

 

 多分、イザベラ様とお付きのメイドさん達も居るだろうけどね。

 

 

 

第193話

 

 

 おはようございます、ツアイツです。

 

 現在ガリアに軟禁されています、諸問題が解決する迄は国外移動不可だそうです。

 ジョゼフ王の洗脳は驚く位に順調でした。国内及び各国にシェフィールドさんを王妃に迎える事が通達されました。

 

 身元も不明な女性を公式に王妃に迎える……

 

 普通なら難しい事ですが、王宮内でシェフィールドさんとジョゼフ王の仲は周知の事実。

 この馬鹿ップル振りに正面から物申せば……権力で粉砕される事が明らかです。

 

 国が割れる?治世が乱れる?

 

 公式に政務については、イザベラ様が一任されました。そしてツンデレアイドルの派閥は最大!

 中央では半ばこの結婚については黙認されています。当然ですが、反対派も居ます。

 地方領主や中央から追放された貴族連中等は不満を募らせていますね。

 まだまだシャルル派閥だって生き残っている。

 しかし御輿たるオルレアン夫人やシャルロット様は公式に死亡扱い。軍関係者は僕とイザベラ様が押さえている。

 

 時間は掛かるけど、国家統一は難しくはない。ジョゼフ王はシャルル派閥の粛正の時も強権を発動した!

 

 民衆からは恐ろしい人物と、狂った王と思われている。しかし今回は、惚れた女性と一緒になりイザベラ様に国を徐々に譲る考えが有るんだ……

 そう言う噂を僕が民衆に意図的に流した。

 

 彼らはイザベラ様の善政を知っている。

 

 彼女の力が強くなり、ジョゼフが第一線から退くなら万々歳だ!そんな風に誘導した……中央の貴族が説得を諦め民衆は支持をしている。

 

 他国は色々と……特にロマリアが聖なるブリミルに連なる一族に不浄の血をナンタラ……とか言っていたが、袂を分かつ予定なのでジョゼフ王も聞き流している。

 

「純血の後継者ならイザベラとその子供が継ぐ。今更、俺の子が新たに産まれても権力争いの、災いの元だろう。だから血統が悪い方が良いんだ!」

 

 そう言って煙に巻いた。

 シェフィールドさんも我が子にガリアを継がせたいなんて思ってないから、これは理由としては一応筋が通るのかな?

 

 アルビオン王国は国交は順調です。

 

 帝政ゲルマニアはイザベラ様が主体で交渉を進めている為、こちらも問題無し!

 

 トリステイン王国は……

 

 アンリエッタ姫が騒いでいますが、王宮としては国内の有力貴族の娘が僕に嫁ぐ事になるから、そんなに反対雰囲気ではないみたいです。

 しかし先のレコンキスタの乱で民衆の支持を集めた彼女が何か仕出かさない様に注意が必要です。

 

 ロマリア……

 

 うん、表に裏にと反対されてます。結婚式にはブリミル教の司祭が必要だから揉めるでしょう。

 ジョゼフ王は後妻で有り第一線を退くから司祭は必要無し!そう公言した。

 

 もうロマリアと徹底抗戦の構えです……

 

 僕らの時は、体面を整える為に反教皇派閥から最上位の司祭を呼ぶ考えです。

 その頃には、ロマリア国内で対立させる予定だから何とかなるか……現実逃避は此処までにして、今抱えている問題に向き合う。

 

 

「ツアイツ、長々と現状説明ご苦労様だね。さて私達の問題はコレからだよ!

どうするんだい?あの気持ち悪いお父様を……まだ前の方がマシだよ」

 

 イザベラ様がご立腹です。非常に怒っていらっしゃいますね。バンバンと机を叩きながら力説しています。

 

「僕にはどうにも……

しかしイザベラ様は、お姉ちゃんと同盟を結んでいますよね?知ってますよ。結果がアレです……受け入れて下さい」

 

 彼女の目を見ずに、そう言い訳をする。

 

 ジョゼフ王……まさに馬鹿ップル的な存在です。リアルなロミオとジュリエット。又は宝塚的なオスカルとアンドレ。

 

 宣言通り政務放棄状態で、毎日が甘くて切なく頭が痛い状態だ!

 

「……知っていたのかい?確かにお母様と呼んでやるとは言ったよ。しかしあんなに魔改造するなら言っとくれ!恥ずかしいんだよ……」

 

 そう言って、真っ赤になりながら俯く。思わず「可愛いなぁ」と言って抱き付いた!

 

「ばか……私達まで馬鹿ップルにならなくても良いんだよ」

 

 僕の胸に顔を埋めながらボソッと呟く……此方も端から見れば馬鹿ップルだ!

 

「お父様、本当にあの女にメロメロだよ。危険だね、洗脳技術は……本当に封印出来たのかい?」

 

 確かに人格が変わる程に洗脳されちゃ堪らない。しかし、基本的な部分は変わらなかった。

 主に世界を自分の玩具的に思っている事。シャルルの悪夢は消えてもホモ教皇は大嫌いな事。

 

 そして悪魔的に有能だ……

 

 ただ、その思いがシェフィールドさんに向いている事で他の事を考える暇が無いだけだ……

 

「洗脳には2つの指輪が必要なんだ。

一つはラグドリアン湖の水の精霊に返したし。もう一つはテファが持ってるから。テファは兎も角、水の精霊にはちゃんと管理しろって念を押してあるよ」

 

 実際に湖の最深部に分身と言うか見張りを付けて守っているそうだ。

 

「毛色の違う単なる者……感謝しよう。願いが有れば叶えよう」

 

 返した時にそう言っていたので、しっかり管理しろって念を押した!だから平気だと思う。

 

「ツアイツはやっとゲルマニアに帰れるんだろ?

アルブレヒト閣下と交渉が終わるまではガリアから出さなかったけど、既に正式な外交を結んだから問題ないからね。

流石に2人共国を離れられないから私は残るけどさ。いや全く、今までは1人で切り盛りしていたけど2人だと楽だね。

じゃ無事に帰って来てね」

 

 暫し抱き合ってから、離れる。

 

「なるべく早く帰って来ますから……」

 

 こうしてレコンキスタ反乱終結から2ヶ月後に、漸く実家に帰る事が出来た。勿論、両用艦隊旗艦プリンセス・イザベラ号に乗ってだ!

 レコンキスタとの戦いで、この戦艦は第一線で戦った。後日、イザベラ様と僕がガリア王国の先発隊として増援に向かったと捏造した発表をしたんだ。

 お留守番の替え玉シャルロット様は大変だったらしい。

 

 彼女のトラウマは成人男子の奇態……そして通常イザベラ様の周りには変態だけ!

 

 幾ら母親の治療の為とは言え、辛かったらしい……ちゃんとオルレアン夫人が治療出来て良かった。

 因みにオルレアン夫人は、僕とシャルロット様の仲を誤解していたみたいだ。後日、僕とイザベラ様の仲を知って軽くパニクったみたいですよ?

 

 では、ゲルマニアへ……

 

 テファとマチルダさん、そしてエーファ達を迎えに行きますか!

 


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