現代人のお気楽極楽転生ライフ(修正版)   作:Amber bird

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トリステイン編アンリエッタルート第4話から第6話・おまけ

トリステイン編アンリエッタルート第4話

 

 トリステイン王国のアンリエッタ姫。

 

 ウェールズ皇太子狙いの筈の彼女が何故、僕とキスなんて……

 流石に一国の姫君を無理やり引き剥がす事も出来ず、ゆっくりと体を離す……事が出来ずに、突然のキスの後に更に抱擁された。

 外野の歓声が五月蝿い。

 

「あの……アンリエッタ姫?これは、どういう訳なんですか。僕達は、ウェールズ皇太子を籠絡する為の仲間……」

 

 彼女は、ギュッと力を込めて僕を抱き締める。出来る事なら力ずくで振り解きたい。

 

「ツアイツ様。

私、決めました!貴方の無償の愛を……受け入れますわ。そして、ウェールズ様も一緒に。3人で幸せになりましょう!」

 

 そう言って、僕の胸板に顔を擦り付ける。

 

「なっ?何を言っているのですか!僕には、そんな気持ちは有りません!それにアンリエッタ姫は、ウェールズ皇太子一筋の筈ではないのですか?」

 

 彼女の腰を掴んで引き離そうとするが!

 

「いや、離しません!ツアイツ様の無償の愛に応える迄は……私は2人共欲しいのです」

 

 何を馬鹿な事を!心底困って、周りを見渡せば……ヴァリエール公爵はアチャーと、手を額に当てている。

 イザベラ隊は殺気を漲らせ、カステルモール殿は……ああ、表情が無い。

 しかも掌を握り締め過ぎてか、血が滲んでいる……相当、頭にきてるな。

 

 しかし、その外の群集の盛り上がりは凄い。

 

 この二股女を支持するとは、どうなっているんだ?僕は呆然と立ち尽くしアンリエッタ姫は、ひたすらスリスリしている……

 周りの歓声が頭に響く。ああ、傷口が開いたかもしれないな。

 

 僕は其処で思考を放棄した……考えるのが、辛くなったから。

 暫くして漸く満足したアンリエッタ姫から解放され、一室を与えられると疲れたからと引きこもった。

 

 もう何も考えずに寝たい……しかし、ヴァリエール公爵とカステルモール殿がやって来た。

 

「ツアイツ殿、何故来たんだ!アンリエッタ姫は、君が無償の愛を捧げ続けているのを受け入れた!そう吹聴している。

デマでも嘘でも、もう走り出した噂は止められない。周りも、それが事実と思っているぞ。もうアンリエッタ姫も止まらないだろう」

 

 義父上が、何か言っているが思考が纏まらない。僕が、アレに愛を捧げている?フザケルナ!どんなデマなんだ。

 

「ツアイツ殿が呆然としている間に、王党派から使者が来たのだ。

どうしても増援が欲しいウェールズ皇太子は、アンリエッタ姫の捏造恋文を認めたぞ。今2人はアンリエッタ姫の愛を受け入れた事になっている」

 

 ウェールズ様……自分を犠牲にしてでも、勝利を掴むのですね?なら僕の為に、犠牲になって下さい。

 

「義父上、カステルモール殿……僕は、ガリアに逃げます。

レコンキスタの軍に突っ込んで……そのまま突き抜けてガリアに向かいます。

カステルモール殿、イザベラ隊を集めて下さい。タイミングは、総攻撃の時に……

ルイズには悪いと思いますが、アンリエッタ姫がウェールズ皇太子とヨロシクして落ち着いたら連絡を下さい」

 

 もはや、この地に留まれば既成事実に発展する。義父上には悪いが逃げる。

 

「それが宜しいですな。では準備をします。ヴァリエール公爵殿、ツアイツ殿はガリアで責任を持って預かります」

 

 苦虫を噛み潰した顔をしているヴァリエール公爵。しかし、アンリエッタ姫と結ばれてしまえば娘が……ルイズが、彼に嫁ぐ事は出来ない。無言で頷いた。

 

「レコンキスタよ。八つ当たりだと分かってはいるが……思いっ切りヤルぞ!」

 

 決意を新たにしていると、アニエス隊長とミシェル副隊長が訪ねて来た。

 

「ツアイツ殿……何て言うか、すまん。

アンリエッタ姫は、毎日ツアイツ殿とウェールズ皇太子との色々な妄想シュチュで一人芝居をしていたんだ。

現実と妄想が混じり合ってしまっている……しかし、そのお陰でこの状況を作り出せた。

ウェールズ皇太子が、使者をたててアンリエッタ姫の捏造恋文を受け入れたのだ。

当初の予定通り、彼だけで良いだろう……犠牲者は。お前は逃げろ!手引きはしてやる」

 

 そう言って頭を下げて立ち去った。

 

 黙って後ろに控えていたミシェル副隊長が去り際に「アニエス隊長、愛の逃避行ですか?駆け落ちするんですね?」と嬉しそうに話していたが、気にしない事にする。

 

 その後アンリエッタ姫から、再三の呼び出しやお誘いが有った。しかし、戦時中で有りウェールズ皇太子に悪いのでと断り続けた!

 勘違いされる様なシュチュは極力控えなければ危険だから……レコンキスタとの開戦が待ち遠しい。

 

 自分がこんなに好戦的だったとは。

 

 そして……憂さ晴らしに近い形で、ダータルネスは陥落した。

 元々、拠点防御の兵しか居らず傭兵は弾除けに全てサウスゴータに出払っている。

 戦勝ムードでお祭り騒ぎだが、住民も全て退去済みで散々略奪され尽くした街など居る意味が無い。

 被害も軽微だった為に直ぐ様軍を再編し、一泊してからサウスゴータを取り囲んでいるレコンキスタに進軍する。

 アイツ等を蹴散らし、義理を果たしたらガリアに逃げる!

 

 気付かれない様に慎重に行動しよう……

 

 しかしブリミルを信じていない僕に、この世界の神様は冷たかった。宛てがわれた部屋で火傷の治療をしていると、誰かがドアをノックした。

 聞き逃すような小さな音だ……「誰か居るの?」そう返事をすると、フードを被った怪しい女……

 

 昔、トリステイン魔法学院で深夜にルイズと部屋に訪ねて来た時を思い出す。

 人の部屋でキャットファイトをかました問題児、暴走特急アンリエッタ姫がそこに居ましたよ。

 

「今晩は、ツアイツ様。少しお話がしたくて来ちゃいました」

 

 舌をペロッと出して微笑む彼女は、コケティッシュで確かに可愛いのだが……僕には悪魔の微笑みに見えてしまった。

 

「アンリエッタ様。淑女が深夜に出歩くのは良くは有りませんよ。お部屋までお戻り下さい」

 

 彼女は、ニッコリ笑ってから「今夜は帰るつもりは有りませんから……構いませんわ」と、宣った!

 

 背中に冷たい汗を感じる。長い夜になりそうだ……

 

 

 

トリステイン編アンリエッタルート第5話

 

 

 深夜に部屋で美少女と二人きり……普通なら感激物の状況だが、全然嬉しくない。

 見た目は美少女でも、手を出す=人生の破綻だ。

 彼女を物に出来た事と、それに付随する厄介事を比べれば分かるだろう……

 

「ツアイツ様……まだ傷が治って無かったのですね?さぁ私が治療を。

こう見えても水のトライアングルなのですよ。さぁさぁお座りになって下さい」

 

 この女、押しが強くなってないか?

 

「いえいえ!未婚の女性が見る物では有りません。人がくる前に……って聞いてますか?」

 

 脇をかい潜って部屋の中に入ってしまった。扉を開けて騒いでいたら危険だ。

 最悪、スリープを掛けて部屋に放り込んでしまおう。

 タイミングを見計らうが、テキパキと治療の準備をしている……こうして見れば美少女なんだが。

 

 何故、暴走すると僕に被害が来るんだ?

 

「さぁ此方にお座りになって下さいませ」

 

 ポンポンとソファーを叩いている。大人しく従おう。

 

「こんなに酷い火傷……痛くはないのですか?」

 

 水の秘薬を触媒に治療魔法を掛けてくれる。中々の効果だ……でも、こんなに魔力を注ぎ込んで!これじゃ精神力が保たない筈だぞ。

 

「アンリエッタ姫。これ以上は、精神力が空に……」

 

 案の定、フラフラだが。儚げな笑顔をして……何故、五歩も下がって僕のベッドに倒れ込むんですか!

 

「アンリエッタ姫?お疲れならば、部屋へ運びますか?アンリエッタ姫?」

 

 幸せそうに寝てる……彼女なりの優しさなのか、全ては計画なのか?

 精神力を使い果たすまで治療してくれた恩は感じるが、この状況はマズい。

 そっと彼女をお姫様抱っこをして……してから思った。

 

 何処に運べば良いんだ?

 

 取り敢えず隣の部屋のベッドに寝かせ、アニエス隊長を探す。銃士隊の誰でも良い。アニエス隊長を呼んで貰おう。

 廊下を彷徨(うろつ)いていると、ミシェル副隊長を見つけた。

 

「ミシェルさん!アニエス殿は何処に居るのでしょうか?」

 

 ミシェルさんはニヤニヤしている。

 

「今は自室で休憩中ですが……女性の部屋を深夜に訪ねるのは、関心しませんよ」

 

 話している内容は理解出来るが、表情が全てを台無しにしてます!そのニヤニヤ笑いが!

 

「いえ、火急の要件なので取り次ぎをお願いしたいのですが……」

 

「はいはい。逢い引きの片棒を担がされるとは……知ってますか?

アニエス隊長はガチレズでも有るんですが、ショタでも有ったんです。

ツアイツ様だけが、彼女と普通に接する事が出来るんですよ。

片っ端から隊員に声を掛け捲る困った隊長を更生させる為に、銃士隊の風紀を改善させる為にも……

頑張って下さい!銃士隊一同、応援しています。では寝室に案内しますね」

 

 こっちはアンリエッタ姫だけで、いっぱいいっぱいなんだ!

 

「大変申し訳有りませんが……お断りします。

それと、アンリエッタ姫が彷徨(うろつ)いて疲れて倒れてます。それの対処をして欲しいのですが」

 

 ミシェルさんは驚いた顔をして「ならば、急いで隊長と相談を……さぁさぁ此方です」そう言って無理矢理連行して部屋に押し込んだ!

 

 薄暗い部屋に甘い女性の匂いが籠もっている。ベッドが膨らんでいるので、彼女が寝ているのだろう。

 

「アニエス隊長、起きて下さい。相談が有るのですが?アニエス隊長?」

 

 呼び声に反応してくれたのか、ムクリと起き上がった!彼女は全裸で寝る派なのか、掛けていたシーツがパサりと膝まで下がった。

 形の良いオッパイが露わになる。何てこったい!Cの87は有るぞ。

 

 登場当初は、Bの74位の貧乳だったのに。

 

 原作でもレズ疑惑発覚から、どんどん胸がデカくなっていった彼女だが……普段は鎧で隠れていたのか。

 彼女が寝ぼけている内に、ガン見して堪能する。

 

「いやー眼福眼福……アニエス隊長、起きてください。アンリエッタ姫の事で相談が!」

 

 後ろを向いて話し掛ける。

 

「ん……ツアイツ殿か?って、えー!お前、何故此処に居る?しかも私は裸だし……まさか夜這いか?駄目だぞ私は!」

 

 1人でテンパっている。

 

「違います。ミシェルさんに強引に部屋に押し込まれたのです。アンリエッタ姫の事で相談が……振り向いても良い?」

 

「まだ見るな!振り向いたら殺すぞ」

 

 ガサガサと着替える音がする。しかし振り向けば、シンプルなシャツにスラックス姿のラフな服装の彼女が此方を睨んでいた!

 

「良いぞ!しかし貴様、私の寝込みを襲うとは何を考えているんだ?ああ?私は男はお断りだぞ」

 

 裸を見られたせいか、薄っすらと頬を染めた彼女も可愛いと思った。ガチレズだけど……

 

「実は……困った事に、アンリエッタ姫が怪我の治療に来てくれたのですが……

精神力を使い果たして眠られているのです。空き部屋に寝かせましたがどうしたら良いか」

 

「何だと!貴様は、何もされてないな?どうするか……アンリエッタ姫の部屋に運び込むしかないだろう。

夜に居なくなったなど、バレたら警備をしていた我々も大問題だ!行くぞ」

 

 僕は投げっ放しにして、行きたくないのだが……アニエス隊長は、僕の腕を握り締め引っ張って行く。

 

 部屋を出たら、ミシェルさんが「頑張って!」とか、謎の言葉を投げかけてきやがった。

 

 アンリエッタ姫を寝かせた部屋に案内する。しかし、其処には驚きの光景が!

 何とアンリエッタ姫は、服を脱ぎ散らかして寝ている。

 

「きっ貴様、まさか最後の一線は越えてないよな?よな?」

 

 首を掴まれガクガクと揺さぶられながら詰問されるが、そんな無謀な事はしていません!

 しかし騒いでしまったせいか、アンリエッタ姫が起きてしまった。

 

 当然スッポンポンなので、オッパイが丸出しだ。Dの84か……ウエストが細い為に、胸のメリハリが強調されている。

 誰彼構わず発動してしまうバストスカウターには困ってしまうな。

 

「ツアイツ様……早くいらして。あら、アニエス隊長?ツアイツ様がお呼びになったのですか?

私の初めてを3Pで頂こうなんて……ツアイツ様が望まれるなら構いませんわ。さぁアニエス隊長もいらして」

 

 アニエス隊長が、フラフラとアンリエッタ姫に吸い寄せられていく。

 

「ちょ、待って下さい!アニエス隊長?」

 

「ツアイツ殿……すまん!私はアンリエッタ姫が好きなのだ。このチャンスを物にする為に、私の礎(いしずえ)となれ!」

 

 そう言うや否や、当て身を喰らわせやがった。

 

 しまった……此処で意識を失うのは危険なのに。膝を付いた僕に、ゆっくりと近付いてくる彼女達を見ながら意識を失った……

 

 

 

 トリステイン編アンリエッタルート最終話

 

 おはようございます、ツアイツです。

 

 現実を受け入れたくない気分で有ります。僕は全裸に上半身が包帯だらけの格好ですが……左右に、これも全裸の美女と美少女がいます。

 お察しの通り、アニエス殿とアンリエッタ姫です。

 

 あの後、当て身を喰らい気を失っていたのですが……意識が戻ると、アニエス殿のテクニックで翻弄されているアンリエッタ姫を見てしまい……

 こうモヤモヤとムラムラが抑えられず、仕返しの気持ちも混じってしまいアニエス殿を押し倒しました。

 

 そして、散々攻められていたアンリエッタ姫も仕返しとばかりにアニエス殿に襲いかかり。2人掛かりで、イカせた後に共犯者の心理と言うか……

 共に協力して、ガチレズをノーマルに戻すと言う難関に立ち向かう戦友の心理と言うか……仲間意識というか……

 

 何故かアンリエッタ姫を可愛いと思ってしまい、彼女も頂いてしまいました。

 

 その後は明け方迄3人で楽しんでしまった。僕と言う奴は、どうして分かっていたのに目先の快楽に溺れるなんて……

 反省はしているが、後悔はもっとしています。

 

「終わった……僕のお気楽極楽転生ライフが……後は精神的、肉体的苦労の山が待っているだろう」

 

 悟りを開いた修験者の様な気持ちで起き上がる。

 

「もう、なる様にしかならないだろう。アニエス殿、起きて下さい」

 

 そう言って、アニエス殿の形の良いお尻をペシペシと叩く。

 

「んー、姫様もうお許し下さい……あっきっ貴様!夕べは良くも良い様に弄んでくれたな」

 

 やり過ぎたかな?えらい警戒されてるが……

 

「アニエス殿、僕達はもう一蓮托生です。アンリエッタ姫を色んな意味で頂いてしまった。バレたら絞首刑か、公開処刑です」

 

 未婚の王族を弄んだんだ。ただでは済まない。

 

「どっどうするんだ?確かにこのままでは問題有るな。どうしたら良いんだ?」

 

「この状況を誤魔化したら、僕はガリアに逃げる。一緒に来ますか?」

 

 共犯者だし誘っておく。

 

「きっ貴様とか?しかし……このままでは縛り首か。分かった、地獄の底まで一緒に行くぞ」

 

「では、アンリエッタ姫を着替えさせて部屋の方に。僕は、ガリア勢の所に行って準備します。

レコンキスタに攻めいる時に、奴らにダメージを与え義理を果たしたら、突き抜けてそのまま……良いですね?

必ず銃士隊の配置は近くにして下さい」

 

 そう言って、間男宜しくコソコソと部屋を出て行く。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 くっ……アンリエッタ様を色んな意味で美味しく頂いてしまった。

 しかし、アイツの言う通り純潔が尊まれるトリステインで……しかも、その国の王女といたしてしまったとなれば、バレたら口封じか。

 

 全く、あの腹黒は頼りになるな。

 

 アンリエッタ姫の貞操を頂くと言う本懐も遂げた。ならば、まだ見ぬ美女・美少女の為にも生き残るのが大切。

 幸いアンリエッタ姫とウェールズ皇太子は、この後直ぐに結ばれるのだ。

 

 だから、昨夜の事は公に出来ない。早く、アンリエッタ姫を部屋へ移動させよう。でも、もう一回位は愛を確かめておくか……

 

「姫様、頂きます!」

 

 そう断って襲い掛かる。姫様も、キャ!とか言われたが、全く嫌がってはいないし……

 これだけの美少女を手放すのは勿体無いけど、命には代えられん。

 

 

 

 

 明日への逃避と言う名の旅立ち……

 

 

 ツアイツ&アニエス

 

 2人はレコンキスタ本隊が、野営する陣地を見下ろしている。

 

「アニエス殿……朝からお盛んでしたね?何故、危険だと知っていながら」

 

「ふん!

アンリエッタ姫とニャンニャン出来るのも今日が最後だったからな。それに私に注意が向いた方がツアイツもやりやすいだろ?

それに足腰立たない様に激しくしたのだ。暫くはベッドから起きられない。だから私達も、こうして自由に動ける」

 

 何かを達成した様な男臭い笑みを向けられても……

 

「突破口は僕が切り開きます。アニエス殿の移動の足は何ですか?」

 

 馬や徒歩は足手まとい。誰かの竜に乗せて貰うしかないかな?

 

「私は馬だ。ツアイツはどうなのだ」

 

 銃士隊だからな。馬しかないか……

 

「僕も馬です。しかし、敵陣に突入し敵を蹴散らしたらカステルモール殿のブリュンヒルデに捕まえて貰います。

そして空中船に乗り込み逃走……アニエス殿は、僕の側から離れずに。ブリュンヒルデなら2人をくわえても飛べるでしょう」

 

 アニエス殿は、カラカラと笑っている。プレッシャーで頭をヤラレタカ?

 

「ふふふ……すまんすまん。まさか、ツアイツと2人で逃避行とか最初は考えられんかったぞ」

 

「僕だってアンリエッタ姫と、あーなるとは思ってませんでした!」

 

 全く、どうしてこんな事に……

 

「「では生き残る為に!」」

 

 互いの掌をハイタッチで軽く合わせる!

 

 

 

 

 

 そしてレコンキスタ襲撃へ!

 

 

 レコンキスタ本隊の野営陣地に突貫する!

 

「クリエイトゴーレム!」

 

 全長18メートルの鋼鉄の巨人を錬成する。

 

「錬金!黒色火薬アックス」

 

 ゴーレム専用の全長4メートルの黒色火薬アックスを錬成しては、次々とブン投げる!

 これが僕の、対軍用の切り札だ。近代兵器の砲には劣るが、中々の威力だろう。

 着弾と共に、爆発が起こり傭兵達が右往左往している様子を確認。

 

「イサベラ隊、突撃!アニエス殿!突っ込む、はぐれないで下さい」

 

 彼女に声を掛けて馬を走らせる。その前を鋼鉄製のゴーレムを、ただ全力で走らせる。

 露払いには、これで十分。低空で火竜と風竜を駆るイサベラ隊が、片っ端から攻撃魔法を撃ち込む。

 

 奇襲は成功だ!

 

 トリステイン王国軍が、乱れた陣形に突撃を開始した。

 

「アニエス殿、手を……逃げますよ!」

 

「何処までも着いて行ってやる!」

 

 カステルモール殿がブリュンヒルデを低空で侵入させ、僕とアニエス殿を足で掴んで飛び立っていく。

 近くに居たミシェル達が、今の会話を聞いて盛り上がっている!

 

 

「アニエス隊長……本当にツアイツ殿と出来ていたんですね。恋の逃避行ですか。お幸せに……」

 

 あれだけ、アンリエッタ姫と噂されていたツアイツが、戦場で恋の逃避行。

 しかも相手は、アンリエッタ姫自らが取り立てたガチレズと噂の銃士隊の隊長。

 

 流石は、オッパイ教祖!

 

 一国の王女を振って、ガチレズを矯正して駆け落ちとは。

 

 

 

 

 半年後……

 

 

 アルビオン大陸で起こったレコンキスタの反乱は、王党派が勝利した。ダータルネス方面から進軍するトリステイン王国軍。

 別方向から進軍してきた帝政ゲルマニア軍に袋叩きに合いオリヴァー・クロムウェルは逃走するも、最後はウェールズ皇太子が率いる追撃軍に討ち取られた。

 三国は同盟を結び、アンリエッタ姫とウェールズ皇太子の正式な婚姻が発表された。

 

 その子供が、ゲルマニアの帝室に嫁ぐ約束もなされた。

 

 この遠征中に噂になったゲルマニア貴族、ツアイツ・フォン・ハーナウとのロマンスは……

 すっかり、オッパイ教祖がガチレズを口説き落としガリアに逃亡!と言う訳の分からない伝説となった。

 

 アンリエッタ姫は未練タラタラだったが、2人の婚姻の後にジョゼフ王もシェフィールドと再婚。

 何故か、シェフィールドの義弟としてツアイツもガリア王家の末席に名を連ねた……

 

 流石にアンリエッタ姫も大国ガリアとは事を構える事は出来ず、ウェールズと末永く幸せに暮らしたそうだ……

 アンリエッタ姫は、ファーストをツアイツ&アニエスで体験してしまった。

 

 しかし、当初の念願叶ってウェールズ皇太子と結ばれた。

 アルビオン王国・トリステイン王国・帝政ゲルマニアが同盟を結んだ。

 ロマリア連合皇国も、結束した三国には手を出し辛かった。

 

 ツアイツは、ガリアの王族として嫌々ながら宰相の地位に就いた。

 ジョゼフ王が、シェフィールドさんに洗脳され甘々な性活をおくり政務が滞ってしまいがちとなり、イザベラ様と共に苦労を強いられている。

 しかし、ガリアの政務に携われたお陰で、シャルロットの実家オルレアン家の復興に成功。

 

 ジョゼットは残念ながら彼女らの元には行かず、ハーナウ家の養女となりワルド子爵と結ばれた。

 

 幸せワルド計画は此処に完結。

 

 彼の喜びっぷりは凄まじく、魔法衛士隊隊長の地位を放棄、ゲルマニアに移住する。

 しかしサムエルと共に実行していた光源氏計画はバレて頓挫。

 アデーレとジョゼットは仲良くその夫をお仕置きする日々を楽しんでいる。

 其処の孤児院に集められた美少女・美幼女達は幸せに巣立っていった。

 

 キュルケ・ルイズ・モンモランシそしてテファをガリアに呼んで合同結婚式を執り行った。

 これによりガリア王国も3国同盟に参加し始祖の血を継ぐ国家はより結束を固めた。

 

 オッパイ教祖ツアイツ!

 

 大国ガリアの表の実力者で有り、ゲルマニア・トリステイン・アルビオンに太いパイプを持つ。

 彼の教義はゆっくりと、しかし確実に信者を増やしていった。

 

 

 

 ハルケギニアで現代オタク文化を広めた、性の伝道者ツアイツ!

 

 

 彼のオッパイ物語は此処から始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 トリステイン編アンリエッタルート完

 

 

 

 

 

 トリステイン編アンリエッタルート(オマケ)

 

 このバットエンドは、闇の皇子様からの結構前に募集したアンケート回答によるアイデアを元に書いたものです。

 お話の流れ的に随分経ってからの掲載ですが、何とか書けました。

 これは、アンリエッタ姫ファンの方は見ない方が良いかも知れません。

 リクエスト自体が、ツアイツとウェールズに振られてヤケになる話を希望されましたので……

 多少はアレンジを加えて、まろやかにしています。

 

 では……

 

 

 

 トリステイン王国の王女アンリエッタ姫!

 

 最終決戦時に、あれだけ周りに言いふらしていた

 

「無償の愛をアンリエッタ姫に捧げ続けていたツアイツ様」が、自ら取り立てて重用していた銃士隊のアニエス隊長と駆け落ちした!

 

 これは周りに居た銃士隊員達の話でも明らかだ。

 

「アニエス殿、手を……逃げますよ!」

 

「何処までも着いて行ってやる!」

 

 彼らは、手に手を取って風竜に掴まれて飛んでいった!文字通りの逃飛行……この台詞を大勢の者が聞いている。

 

 彼らは計画的にガリアへ逃げ延びた……つまり(アンリエッタ姫的には)信頼していた2人に裏切られた訳だ。

 しかも周りには話してないが、実は前の夜には3人で愛し合っていたのだ。

 まさか、あれだけ激しく愛を交わした翌日に捨てられるとは……アンリエッタ姫の落ち込みっぷりは酷い物だった。

 

 しかし持ち前のポディシブシンキングで、取り敢えず2人の事は頭の隅に追いやった!

 

「私には、まだウェールズ皇太子が残っていますわ!彼が、彼こそが本命。ツアイツ様は火遊びだったのです!アニエスの事など、私が野良犬に噛まれた被害者よ」

 

 気持ちを切り替え、ウェールズ皇太子の獲得へと進む。

 先ずは今回の功績を全面に押し出し、増援の件でアルビオン王党派と交渉のテーブルにつく。

 両国の安全の為に、婚姻外交を認めさせる。まだまだ諦めていないアンリエッタ姫だった。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 ツアイツ殿と銃士隊の隊長がガリアに逃げ出した!

 

 調べてみれば、ガチレズのアニエス隊長と手に手を取って風竜で逃避行。

 しかし、敵前逃亡では無く敵軍に先陣切って突っ込み大混乱を引き起こしてから突き抜けたのだ。

 言わば一番槍の功績だし、彼のゴーレムの働きは目覚ましかった!

 敵の切り札の空中船三隻と傭兵部隊数千を爆発する投擲兵器で倒したのだ。

 

 しかも正規のトリステイン王国軍でも何でもない。

 

 あくまでも王党派の為に、僅かな手勢を引き連れて個人参戦してくれたのだ……そして、この戦果。

 トリステイン王国軍は、ツアイツが駆け抜けた後の混乱する敵軍を倒したに過ぎない。

 

「ウェールズ様、ツアイツ殿より鷹便が……」

 

 バリーが、残敵掃討で忙しい最中に心の友からの手紙を持ってきてくれた。

 

「有難うバリー。早速読んでみよう……」

 

 ウェールズにとって、ツアイツの謎の行動が明らかになる。

 

 

『ウェールズ様。

急ぎ筆を取ったので乱調乱文をお許し下さい。

アンリエッタ姫についてですが、ガチレズと噂の合った銃士隊のアニエス隊長を口説き落として聞いた所、私とウェールズ様とのハーレムを夢見ています。

あの御方は危険だ!とても我らが、どうこう出来る女性ではないのです。私はガリアのジョゼフ王を頼って逃げます。

彼には借りが出来るから……逆に暫くはゲルマニアには寄り付きません。

アンリエッタ姫の人気はトリステイン王国では絶大!

そんな彼女が、閣下にどんなトンデモ話を持ち掛けるか分からない。いくらアンリエッタ姫でも、大国ガリアには楯突けない筈です。

ウェールズ様も気を付けて下さい。何か有れば、この鷹で手紙のやり取りをしましょう!

状況的に、トリステイン王国には立場が弱いかも知れませんが御武運を』

 

 

 手紙を読み終わり、丁寧に畳んでしまいバリーと向き合う。

 

「やはり私のカンは正しかったのだ。アンリエッタ姫は地雷女!

踏んでしまえば折角勝ち取った勝利と、この国の未来が露と消える……バリー、どうすれば?」

 

 流石の覚醒ウェールズも頭を抱え込んだ。

 

「いやはやツアイツ殿には、返しきれない恩が出来ましたな。トリステイン王国との交渉の前に、この事実を知らせてくれるとは。

相手の思惑が分かれば簡単です。先に相手から文句の出ないお礼をすれば良いのですよウェールズ様。つまりお金を沢山払いましょう」

 

 流石は老獪なバリー!

 

 どちらにも角の立たない案を考え付く。

 

「おお!礼を先に尽くして、それ以上の要求を突っぱねるのだな?復興にお金は必要だが、国その物が傾くよりはマシだな。分かった、それで行こう」

 

 方向が決まれば、覚醒ウェールズの行動は早い。バリーを交渉役に任命し、国庫から出来うる限りの予算を捻出する。

 

 先ずトリステイン王国には、礼金として兵1人に対し10エキュー。1万人なので、10万エキュー。

 

 それに参戦してくれた貴族や王族の礼金に上乗せで50万エキュー。合計で60万エキューだ。

 

 これに特産品の風石を大量に付けて、その日にバリーが届けた。

 出迎えの貴族達の前で彼らの功績を称え、エキュー金貨や風石を積んだ船ごと渡した。

 その際に、トリステイン・ゲルマニアの両国には感謝しきれない。

 

 しかしゲルマニアにはウェールズ皇太子が、心の友と言って身分を超えて友誼を結んだツアイツ殿が、僅かな手勢を率いてレコンキスタ本隊に突貫!

 多大な被害を与え、残りの連中を信頼するトリステイン王国軍に任せ引き揚げていった。

 彼の功績を称え、ゲルマニアと事前に交渉を進めていたウェールズ皇太子とアルブレヒト閣下の御息女との婚姻を結ぶ。

 金銭的なお礼はトリステイン王国を最優先にした為に、あちらには負担をしいるがご容赦願いたい。そう言って頭を下げた。

 

 これだけ持ち上げられ、財政厳しいトリステイン王国に優先して礼金をくれるのだ。

 それに男の友情とは、素晴らしい物ではないか!いち早く、ヴァリエール公爵やマザリーニ枢機卿が賛同し条約を締結した。

 何か騒いでいたアンリエッタ姫は、カリンが実力行使で物理的に黙らせた。

 

 これにてレコンキスタ騒動は幕を閉じた。結局アンリエッタ姫は、名声を得れた。

 

 稀代の謀略王女と……

 

 しかし、その後は気の抜けた様にポヤポヤが酷くなる一方だった!

 

 これでは国が傾く。

 

 ヴァリエール公爵は、軍事クーデターを実行。3日でトリステイン王国を平定し、ヴァリエール王朝を興した。

 

 初代エレオノール女王!

 

 彼女は、国の為にガリアにて暮らしているツアイツとの婚姻外交をジョゼフ王に持ち掛ける。

 その条件は、ハルケギニアを統一しブリミル教を駆逐する事……果たしてジョゼフ王は、この条件を飲むのか?

 

 時代は急激に様変わりをしようとしている!

 

 

※エレオノール女王のハルケギニア統一物語は……続きませんから。

 


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