現代人のお気楽極楽転生ライフ(修正版)   作:Amber bird

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幸せワルド計画第1話から第3話

幸せワルド計画 第一部

 

「幸せワルド計画」

 

 この壮大な計画を実行するのは、たった三人の……いや1人は遍在だから、正確には2人+αだ!

 

 難問だよ、これは……

 

 あの後、仮病で引き篭もりなツアイツを残して旅立っていった。何通りものシミュレーションをこなした。

 

 多分大丈夫だと思いたい……

 

 ワルドの相棒のグリフォンと、レンタルグリフォンの二匹にてガリアの孤島、セント・マルガリタ修道院に居るミス・ジョゼットに会いに……

 騙くらかしてワルドとくっ付ける為だけに。

 

「ねぇワルド!もう1人のワルドを何て呼べば良いんだい?」

 

「「ワルド・ダッシュで頼む!」」

 

「……何でユニゾン?」

 

 本体に迷惑を掛けられ続けても遍在は本体に忠実だった。

 

「しかし、ツアイツ殿が大変な時に出掛けてよかったのかね?」

 

「「大丈夫だ!直ぐに解決して戻ろう」」

 

 アンタ(本体)が不安だから言っているんだよ。ロングビルは既に、このミッションを引き受けた事を後悔していた……

 大体、私だってツアイツ様に手を出して貰ってないし……テファの後にと我慢してるんだよ。何でマダオが先に恋愛成就するんだよ。

 

 何だか、ムカムカしてきたよ……

 

「ツアイツ様のバッキャロー!何で適齢期の美女に手を出さないんだよー!ワルドのアホタレー!ロリコンのペドヤロー!」

 

 レンタルグリフォンの上で暴れ出したロングビルを宥め賺して、何とか飛行を続けた……幸先が悪い一団だった。

 ゲルマニアからセント・マルガリタ修道院までは、グリフォンに乗っても2〜3日は掛かる。

 途中で、中規模な街を見繕い宿屋に泊まりながら漸く目前にセント・マルガリタ修道院が見えた時には感動したものだ!

 

「んじゃ先ずは調査から開始だね。アンタらは見つかると作戦自体が失敗するから……私だけで行くよ。大人しくしてなよ」

 

 そう言って、慣れない手綱捌きでグリフォンを操って島に向かった。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 マシな遍在とマダオを置いて偵察にでる。先ずは情報だ!この作戦の成功率は、情報とマダオの扱い方が鍵だ。

 面倒臭くなったら、遍在を替え玉にと思ったが、それはツアイツ殿に止められている。

 レンタルグリフォンを何とか操って島に上陸。そのまま修道院まで気配を消して接近。

 

 ガリア貴族の問題有る子らを集めているにしては……警備なんて無いねぇ。

 

 確かマジックアイテムでフェイスチェンジしてるけど、名前はジョゼットのままなんだっけ……何たる中途半端!

 蒼い髪を銀髪に変えて……誰か出てきたね。

 

「ジョゼット、水くみを頼みます」

 

 桶を持った少女が出てきた。銀髪に名前がジョゼット……彼女に間違いないかね?

 念の為、距離を置いて尾行する。全然、気付かないのか?普通の小娘だねぇ……

 

 あっ?水の入った桶ごと転んだよ……ドジっ子ってヤツかな?ツアイツ様の男の浪漫本で有ったね。

 

 確か、マルチ……か。

 

 あの子の攻略は近くで見守り支えてやる、か。マダオには難易度が高いかな?

 

 あれ?桶を蹴って文句を言ってるよ……桶を指差して。これは何てタイプだい?ツンデレ?

 

 いや違うね……

 

 一旦帰って遍在と相談しよう。その前に、修道院の間取りや中に居る連中も調べとくか……全く世話が焼けるねぇ。

 再度ジョゼットを見れば、慎重に水の入った桶を運んでいた。

 

 修道院には5人のシスターと22人の子供達が居た。シスター2人はメイジだね。しかも、所作に鍛えていた感じがするよ。

 しかし、使い手かと言われればそうでは無いね。まぁこんな辺鄙な場所に居る位だから。でも彼女らが監視役だね。

 再度、夜に調査に来よう。

 

 そっと修道院を離れた……

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 焚き火をして、昼食の準備をする。風のスクエアたる我らの着火方法は…「ライトニングクラウド!」紫電纏いし無駄に高威力な魔法を枯れ木にぶち込む。

 

 ヨシ!火がついたぞ……手早くダッシュが、細かい枝を足し火を強めていく。何故か手慣れている。

 途中で仕入れた干し肉を炙り、パンをかざして温める……既に空腹を覚え始めた。

 

「手慣れてないか、ダッシュよ」

 

「アルビオンに潜伏中の家事は全て私がやった。ミス・ロングビルは食べるだけだ」

 

「あの女、私には色々言うのに自分は家事が出来ないのかよ。嫁に行くつもりはないのかね?」

 

 溜め息をつく……適齢期ギリギリで花嫁修行なしか。私の後はあの女だな。

 焚き火を囲み座りながら、ヤレヤレだぜ!と言っておく。

 

「ただいま!良い匂いだね、私は牛肉が好きだよ」

 

「駄目だ、この亭主関白振りは……」

 

 ダッシュと共に掌を上に向けて首を左右に振る。

 

「何故私を可哀想な娘を見る目で見るんだよ?それに何だい、そのポーズはさ?」

 

 ダッシュが、沸かしたお湯で紅茶をいれ始めた。辺りに紅茶の芳醇な香りが漂う……

 

「ダッシュは良い嫁さんになるよねぇ。本体はマダオなのに」

 

 ダッシュのいれた紅茶のカップを受け取りながら、溜め息をつかれたぞ。

 

「ダッシュよ……お前が甘やかしたせいで、この女が亭主関白になったのだぞ。少しは自重しろ」

 

 ダッシュから紅茶を受け取り、この主婦みたいな遍在を窘める。

 

「まぁ良いや……それで、ジョゼットは確認出来たよ。ツアイツ様の言う通り、銀髪だったね。フェイスチェンジか……でも少し変な娘だよ。桶に説教してたし」

 

「「桶に?なんでさ?」」

 

 見事にハモってしまった。

 

「いや、自分で転んで水を零したのを桶のせいにして叱ってたのかな?」

 

「「…………?」」

 

「ツアイツ様の男の浪漫本によれば、あのタイプはなんだろうね?ツンデレとも違う気がしてるんだよ」

 

「「それは想定外だ!ツアイツ殿、どうしたら良いのですか?」」

 

 あれだけシミュレーションしたのがだ、ジョゼットはどのタイプにも当てはまらない。

 

 既に作戦は破綻傾向に有った……

 

 

 

 幸せワルド計画挿話17・第二部

 

 

 焚き火を囲み、これからの事を相談する。すっかり世話役になっているダッシュ……食器を片付け、食後のお茶を用意しお茶請けまで並べている。

 

「「ダッシュ、コイツを甘やかすんじゃないよ!」」

 

 本体ワルドとロングビルが、互いを指差しながらわめいた。

 

「お茶のお代わり有るが……」

 

 無言でカップを差し出す2人。因みにダッシュはお金持ちで有る。アルビオン貴族工作時に、ロングビルが盗んだ金の三割を貰っているから。

 流石の彼女もただ働きはさせられなかった。

 本来ツアイツに半分渡すつもりが、要らないと言われたので独り占めでも良かったのだが……

 

 独身適齢期ギリギリの彼女には持参金がついてます!トリステイン郊外に庭付きの屋敷が買えるくらい。

 

「それで、今夜も忍び込むのか?いつ、私はミス・ジョゼットに会えるのだ」

 

 落ち着きなく、お茶請けの乾燥果実を食べるワルド……

 

「落ち着きな。もう少し、彼女の性格なりを調べないと……実際、桶と会話する不思議ちゃんなど対応が難しくないかい?」

 

 黙り込むワルドズ……

 

「今度は私が行こう」

 

 ダッシュが提案する。

 

「まぁアンタは、散々アルビオン貴族の屋敷に潜入したから慣れてるか……んじゃ頼もうかね」

 

 本体より信頼している、アルビオン以来の相棒に頼むロングビル。本体は無言だ……

 

「では、暫く休憩しようかね」

 

 各々体を休ませる為に楽な体勢を取る。

 

「全く、妙齢の美女が野郎2人と野宿なのにさ。貞操の心配をしなくて良いってのも納得出来ないね……」

 

 ブツブツ言っているロングビルを訝しい目で見るワルドズ。

 

「「育ち過ぎだよ。乳も年齢も!」」

 

 良く出来たダッシュも性癖は本体基準だった。

 

 

 

 

 夕暮れ時に、ダッシュは起き出した。音もなくグリフォンを操り修道院に向かう。狙いは夕食後の彼女の行動だ。

 腹も満ちて寝るまでの自由時間こそ、最も人間の本性が出ると睨んだ。

 昼間、ロングビルが修道院の間取りを調査していた為、狙いを付けた場所を目指す。

 運良く?修道院の子供達は、夕食を終えて沐浴の時間だった。

 

「ふっ……計算通り」

 

 ニヒルな表情をしているが、やってる事は覗きだ!彼の視界では、ショタにはモザイクがかかり、ロリは輝いていた!

 何故、修道院に男の子が居るのかは分からないが、子供だから小さいうちなら良いのかとスルーした。

 

「中々の眺めだな……あの銀髪のロングの娘がジョゼットか?なる程、本体の好みだが、アレはフェイスチェンジの力によるもの。

つまり紛い物で仮初めの姿!故に私が見ても問題はないだろう。それに見事にストンな体型だな。フムフム……お尻に黒子が有るのか」

 

 無駄に性能の高い変態を本体を持つ遍在も、やはり無駄に変態だった。

 

「しかし、ボディチェックは済んだが問題は性格だな……おっ!彼方のレディも中々の逸材だぞ」

 

 ダッシュの覗きは続く……

 

 

 

 

「いかん、いかん。ロリボディを堪能してしまったか……では寝室に向かうか」

 

 風を読み、気配を風と同化出来る彼にとって、女子供しかいない修道院内を彷徨く事は無人の野を行くが如し。さくさくと、子供らの寝室へ向かう。

 

「ふっふっふ……此方から美少女の匂いがするな。ふむ、ここか」

 

 ダッシュ、的確にターゲットを追い詰めていく。ドア越しに中の様子を伺う。どうやら四人部屋みたいだ。

 

「ねぇジョゼット。最近あの格好良い人来ないね?」

 

「ジュリオ兄様の事?」

 

「そう。竜に乗って颯爽と来る人!格好良いよね」

 

「…………」

 

「どうしたの、変な顔してるよ?」

 

「私達の知っているジュリオ兄様は死んだわ。兄様は……教皇様を受け入れたの。だから、もう」

 

「教皇様って?ロマリアのヴィットーリオ様の事?」

 

「そうよ。あんなヒラヒラした服を着せるなんて……もう兄様は居ないの。姉様?」

 

「そっか……残念だね」

 

「良いの。諦めたわ、どうせ私達は外の世界には出れないのだから……それに変態なんて死んじまえ!」

 

 そっとドアから離れて修道院を後にする。どう言う事だ?ミス・ジョゼットは、ジュリオが「男の娘」化した事を理解している……

 

 何故だ?

 

 ロマリアの魔の手が既に、この修道院に及んでいるのか?そして、彼女はジュリオを「男の娘」にした教皇に隔意を持っている……

 しかし、特殊な性癖に対して嫌悪感が有るのか。これはカリスマな変態で有る我らには、荷が重いやもしれん。

 

 どうする、本体?

 

 どうしたら良いのですか、ツアイツ殿。でも得られた情報は多い。

 我ら3人で良い知恵が出なければ、遍在を増やして協議すれば良いか……2人の待つアジトまで帰るとしよう。

 

 この世界のジョゼットは、慕っていたジュリオを特殊な性癖に巻き込んだロマリアが嫌いだ!

 

 しかも変態として、一括りに嫌っていた。これは、変態と言う紳士の頂点に居る我らは……不倶戴天の敵ではなかろうか。

 ジュリオはジョゼットに男の娘の姿で会いに来たのだろうか?

 

 謎は深まるばかり……

 

 

 

 

 さほど時間も掛からずに、本体と合流する。

 

「お帰りダッシュ。どうだったんだい?」

 

「ダッシュ、彼女の情報を掴んだか?」

 

 矢継ぎ早に質問する2人に先程の件と、自分の推測を話す。

 

「…………………」

 

「ツアイツ様の情報では、ロマリアの介入には時間が掛かるって話だったけど?」

 

「彼女は教皇と確かに言った。それに姉様とも」

 

「駄目じゃん!頭の天辺からつま先まで変態なアンタらじゃ無理だよ」

 

「「失礼な女だな!我らは変態ではない、ツアイツ殿に認められし紳士なのだ。勘違いも甚だしいぞ」」

 

 ユニゾンして、己の正当性を主張するが……

 

「じゃあ、どうするんだよ?紳士さん達ならさ」

 

 考え込むワルドズ……

 

「本体よ。出せるだけ遍在を出せ!知恵が無ければ、皆で考えれば良い。3人で駄目なら5人。5人で駄目なら10人だ」

 

「任せろ、ダッシュ!ユビキダス・デル・ウインデ……風は遍在する」

 

「いや、本体基準だから1人脳内会議と同じ……」

 

 本体、ダッシュ……そしてワルドA・B・Cが現れた!

 

「我らワルダー5人衆」

 

 ポージングをキメた瞬間、後ろの地面が爆発し、5色の煙が舞い上がる!

 

「ツアイツ様、帰りたいです……」

 

 ロングビル、涙目だ!

 

 

 

 幸せワルド計画 第三部

 

 

 昔、ツアイツが行った、脳内会議。それをグレードアップし、遍在として5人の紳士が降臨した。

 

 議長ワルド。ダッシュ、そしてワルドA・B・C。そして監査役のロングビル……

 

 ガリアの僻地で、史上初のカリスマ上級会員ズ?の会談が始まる。

 

 

 議長ワルド

 

「皆に集まって貰ったのは他でもない。ミス・ジョゼットとニャンニャンしたいのだ。力を貸して欲しい」

 

 初っ端から、煩悩全開だが皆自分だから遠慮無い。

 

 

 ダッシュ

 

「しかし彼女は、紳士(変態)に対して隔意が有る。だが確認したロリボディは極上だ!それを踏まえた意見を頼む」

 

 

 ワルドA

 

「ならば、紳士たる事を隠せば問題無いのでは?」

 

 

ワルドB

 

「貴様には、ツアイツ殿に認められし絆を隠して口説けと?やり捨てなら構わないが、そうではないのだろ?」

 

 

ワルドC

 

「まてまて諸兄よ。ツアイツ殿は全てのオッパイを愛でよ!と言われてるのだ。

鬼畜路線は捨てろ。……そうだな。ここは唯一の女性の意見を参考にするか」

 

 そう言って、全員が彼女を見詰める。いきなり意見を聞かれて、動揺を隠せないロングビル……

 

 

「わっ私かい?やはり自然な出会いを演出した方が良くないかい?ちょっと変な娘だから、どう接したら良いか悩むんだけどさ」

 

 

 ダッシュ

 

「確認した彼女は水くみで転んだ際に、照れ隠しで桶を指差して説教をする不思議ちゃん……と補足させてもらう」

 

 

 ワルドA

 

「なんとも可愛いではないか!ならば水くみ時に接触しよう。

その時は、彼女は1人になるのだろう?他の連中には、なるべく会わない様にするべきだ」

 

 

 ワルドB

 

「なる程……出会いのタイミングは、それで良いだろう。次は、どうアプローチするかだな」

 

 割と淡々と進む会議に、ロングビルは不思議な物を見ている錯覚に陥る。コイツらって、本当に人間なのか?

 

 嗚呼……テファとツアイツ様と3Pでも良いから、早く女の幸せを掴んでコイツらとオサラバしたい。

 

 彼女は会議を放棄し、自分の妄想の海へと旅立った。ロングビル、ここでリタイア。

 

 

 ワルドC

 

「定番なら口にパンを加えて、遅刻だー!かな」

 

 

 ダッシュ

 

「それは、都市部での話だ。こんな秘境みたいな島だったら……遭難者を演じるか?」

 

 

 ワルドA

 

「しかし海岸部分なら分かるが、内部の泉までふらついて歩くのは……」

 

 

 ワルドB

 

「てか、遭難者って格好悪くないか?」

 

 

 ワルドC

 

「ならばどうする?彼女の前で、襲撃に合ってやられてみるか?」

 

 

 本体ワルド

 

「何故やられる前提?暴漢に扮したオマエ等を私が格好良く倒しても良いのではないか?」

 

 

 ダッシュ

 

「女性は弱みを見せた方が良い。ナイチンゲール症候群と言って男の浪漫本に……」

 

 

 ワルドA

 

「それは記憶の引き継ぎに有るな。確かに看病とか内緒で匿われてとか、されたいな」

 

 

 ワルドB

 

「それは良いな!しかし、わざわざこの島で襲われる理由がないぞ」

 

 

ワルドC

 

「不遇な扱いを受ける我らが、本体をシバくでは駄目か?」

 

 

本体ワルド

 

「ちょっと待て!てか、ミス・ジョゼットの前で私が襲われているのを見せて、彼女に助けて貰う流れは分かったが……襲撃の理由は問題だ!」

 

 

 ダッシュ

 

「皆、本音は自重しろ。本体の前だぞ」

 

 

 ワルドABC

 

「「「了解だ!」」」

 

 

 本体ワルド

 

「了解だ!じゃねーよ。もっと本体を敬え」

 

 

 ダッシュ

 

「敬っているから、離反しないのだよ本体!理解してくれ」

 

 

 本体ワルド

 

「……会議を進めよう」

 

 

 ダッシュ

 

「本体が、駄目っぷりを理解した所で話を進めるが……折角だし、ロマリアに泥をかぶせよう」

 

 

 ワルドA

 

「賛成だ。腐れ坊主達など滅んでヨシ!」

 

 

 ワルドB

 

「するとアレか?

ミス・ジョゼットを拉致る所を(仕方ないから)本体が助けるが、我らが(腹いせに)返り討ちにして、彼女を守るが負傷する……どうだ?」

 

 

 ワルドC

 

「返り討ち(楽しいな)は仕方ないが良いだろう。それで、本体がこの島に居る理由はどうする?偶然居合わせる場所じゃないだろ」

 

 

 ダッシュ

 

「我ら襲撃犯を追ってきたで良いだろう?応援を頼むが間に合わずで(我らのストレス発散で)返り討ち。迎えは、ミス・ロングビルにしてもらおうか」

 

 

 ワルドABC

 

「「「異議なし!」」」

 

 

 本体ワルド

 

「なぁ……返り討ちの部分に、力入ってないか?」

 

 黙り込む遍在ズ……

 

 

 ダッシュ

 

「作戦の決行は明日だ。各々、ロマリア密偵団に扮する準備を頼む。では解散!」

 

 フライで四方に飛んでいく遍在達を見て思わず零す……

 

「ツアイツ殿……本気で我が遍在達に重傷を負わされそうです。最悪の事を考えて治療準備をお願いします」

 

 本体ワルドは、ツアイツに手紙を送る事にする。あの遍在ズ……まさか、本体を亡き者に?したら自分らも消えるから、それは無いか。

 昔、ツアイツ殿もミス・ロングビルに怪我を負わされたと聞く。しかし、それでも女性を責めてはいけないと説かれた。

 では、自分の遍在達に怪我を負わされたら?あの様子では、遍在達は止まらないだろう……勿論止める気も無い。

 要は、私がミス・ジョゼットを掴まえれば、怪我をしてもお釣りがくるのだ!

 

 見ていろカステルモールよ。貴様より可愛いロリっ子を掴まえてみせるわ!遂に私の時代がくるのだよ。

 

「アーッハッハッハー!ツアイツ殿、待っていて下さい。貴方の期待に必ず応えてみせますからー!

サムエル殿、私の妻を紹介出来るのも直ぐですからー!イエス・ロリータ・ゴー・タァーッチ!ゴフッ……」

 

「ドアホー!人気が無いとは言え、潜伏中だろーが。大人しくしてろ」

 

 ミス・ロングビル……幾らスクエアとは言え、ゴーレムで殴られれば怪我をするのだぞ……

 

 ツアイツ殿は、これを耐えたのか。何て凄いのだ……グフッ。

 

 ヤバい、意識が遠のいていくぞ……

 


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