現代人のお気楽極楽転生ライフ(修正版)   作:Amber bird

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第102話から第104話

第102話

 

 ベアトリス姫殿下が退場した頃、アンリエッタ姫は念願叶ってウェールズ皇太子と同じテーブルに座っていた。

 

「ウェールズ様、お久し振りで御座います。今日は私の国の為に有難う御座いますわ」

 

「いや、水の精霊には興味が有ってね。素晴らしい物だったよ。これでトリステインも安泰だね」

 

 向かいに座っていたアンリエッタ姫が、一気に隣の椅子に移動し、にじり寄った。

 

「トリステインの安泰は、アルビオンとの連携が必要不可欠ですわ!両国の絆をもっともっと深める為には……」

 

「あーっと、そう言えばツアイツ殿は何処かな?」

 

 身を乗り出してにじり寄るアンリエッタ姫を言葉で牽制するウェールズ皇太子は真剣だ。

 

「ツアイツ殿ですか?参加はしてますが……それでウェールズ様、演劇に興味がお有りとか?実は私、ツアイツ殿に脚本を書いて貰いまして……」

 

 しっかりとウェールズの手を握り締める。

 

「アンリエッタ姫!近付き過ぎですよ。周りを見て見て」

 

 アンリエッタ姫とウェールズ皇太子の攻防は続く!

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 何人目だろうか?男の浪漫本にサインして渡したのは……

 調子に乗って増刷し捲った為か、何冊もの本を持った男達に挨拶をされ、握手しサインをする。

 未だに料理にありつけない……目線の先にのし掛かる様な体勢のアンリエッタ姫が見えた。

 

「あれは……アンリエッタ姫と、あのイケメンがウェールズ皇太子かな?」

 

 目が合ったイケメンが、物凄いお願い顔で僕を見ている。

 アンリエッタ姫に何かを言われたアニエス隊長がダッシュで、近づいて来て僕の手を握り強制連行する。

 

「ちょ、いきなり何ですか?」

 

「頼む!姫様が暴走する前に来てくれ。私ではお止め出来ん!」

 

 アニエス隊長に手を引かれ問題のテーブルに案内された!遂に、ウェールズ皇太子とご対面だ!

 

「これは、ミスタ・ツアイツ!さぁさぁ、どうぞ私の隣にお座り下さい。ウェールズ様。彼が、ツアイツ・フォン・ハーナウ殿ですわ」

 

 仮にも彼等は王族だ!此方から名乗る事にする。

 

「アンリエッタ姫、お招き有難う御座います。これはこれは!アルビオンのウェールズ皇太子ですね。お初にお目に掛かります。

ゲルマニアのサムエル・フォン・ハーナウが長子。ツアイツ・フォン・ハーナウです。お見知りおきを……」

 

 貴族的作法で挨拶をする。

 

「アンリエッタ姫と積もる話も有りましょう。野暮な私は気を利かせますので……お二人の時間をお楽しみ下さい」

 

 一礼して去ろうとするが……

 

「まぁ!嫌ですわツアイツ殿。まだ早いですわ」

 

「ちょ一寸待ってくれ!2人にしないで……」

 

「まっ待ってくれ!これ以上は、お止め出来ないのだ。頼む……」

 

 真っ赤になってイヤイヤをするアンリエッタ姫。しかし、他の2人に引き止められた。

 

 チッ……脱出失敗か。大人しくテーブルに戻る。

 

「ミスタ・ツアイツに書いて頂いた脚本。真夏の夜の夢ですが、先ほど正式に我が国の劇団に依頼しましたわ。芸術の季節、秋には観たいですわ」

 

 オイオイ……夏期休暇も半ばだぞ。秋って、もう日にちが無いぞ。哀れ、トリステイン王立劇場……

 

「そうですか……時間も厳しいと思いますが、歴史有るトリステイン王立劇場ですから平気ですね」

 

「是非、ウェールズ様とミスタ・ツアイツもご招待しますわ。そうだわ!公開初日にお二人共ご一緒に観ませんか?」

 

 益々哀れな……ふとウェールズ皇太子を見れば、真剣な表情で僕らを見ている。

 

「ウェールズ様?アンリエッタ姫の顔を真剣に見詰めてますが……愛されているのですね。

やはりお邪魔でしたか?すみません。空気が読めなくて……」

 

「まぁ!ウェールズ様ったら。さっきは周りを見て気を使えと仰られたのに……もう、はっ恥ずかしいですわ」

 

 アンリエッタ姫は、感極まって恥ずかしそうに両手で顔を隠して走り去って行った。

 

「アンリエッタ姫!」

 

 慌てて、アニエス隊長が追いかける。僕は、ウェールズ皇太子に向き合って話掛ける。

 

「ウェールズ様は、僕に何かお話が有るのですか?この園遊会にてアンリエッタ姫から引き合わせたいと依頼が有りましたが……」

 

「漸く君と2人で話が出来るね。僕は君に、このハルケギニアをどうしたいのか……

教えて欲しいんだ。勿論、一貴族として又巨乳派の教祖として」

 

 近くの使用人を呼び、飲み物を用意させる。当然お酒だ!

 

「どうにも抽象的な質問ですね?どうしたい……僕の大切な人達と幸せに暮らしたいですかね」

 

 ウェールズ皇太子は、グラスを一気に空けると代わりを頼む。

 

「他の人達は?自分の周りだけが幸せなら良いのかい?」

 

「アルビオンの次代を担うウェールズ皇太子なら、国民全てを幸せにする考えでなければならないでしょうね?」

 

「…………それは、理想論だが確かに努力はするよ」

 

「僕は、ウェールズ様より権力も財力も無いですが……自分を慕ってくれる人達の為なら他に犠牲を強いても守るつもりです。

全てを幸せにとか、理想を唱えるより今大切な人達の事を考えるので……手段、選びませんよ。それで罵られようが、敵対されようが覚悟は出来てますから……」

 

 ウェールズ皇太子は黙り込んでしまった。大切な人達の為なら、悪い事でも何でもやる!そう聞こえただろう……

 

「悪役になれる覚悟か……建て前とプライドを尊重する我々には、言えない言葉だね。だから君の周りの人達は、幸せ者ばかりなのか……」

 

「言うだけなら簡単です。実が無ければ、力が無ければ、ただの戯れ言ですよ」

 

「有難う。覚悟と言う意味を考えさせられたよ……僕はまだまだ甘かった。アンリエッタ姫も手紙に書いていた。

決意と覚悟……君は、アンリエッタ姫も守るべき者なんだね」

 

 そう言って穏やかに笑いかけるイケメン!ばっ馬鹿言うな!アレは僕と僕の周りの幸せの為に、アンタに押し付けるんだよ。

 

 変な誤解するなー!

 

「…………違います。彼女の望みを叶える為に、(一方的な)協力関係に有りますが……彼女を守るのは適任者が居ますから」

 

 そう言ってから、ウェールズ皇太子を見詰める。

 

「僕かい?いや僕は……ほら、アレだよ?その立場が何だから、難しいかなーって……」

 

 笑顔でトドメを刺す。

 

「僕は、手段を選ぶつもりは有りませんから……アンリエッタ姫を宜しくお願いします。彼女は一途な女性ですよ。それと、巨乳派教祖としてお約束しましょう。

彼女の豊胸……お望みでしたね?確実に希望通りに仕上げてみせます。では、失礼します」

 

 席を立ち貴族的作法に則り、一礼してテーブルを離れる。

 

 ウェールズ皇太子よ……変な誤解をせずに安心して暴走特急アンリエッタ号の尻に敷かれるが良い!

 

 

 

第103話

 

 ウェールズ皇太子とアンリエッタ姫。

 

 両国のネクストキング&クィーンが集まるテーブルは、周りから注目を浴びていた。そこへ呼ばれたツアイツ、周りは色々と考え始める。

 一部のトリステイン貴族は、常日頃アンリエッタ姫が誉め千切るゲルマニアのいけ好かない貴族と。

 ロマリアから来たバリベリニ助祭枢機卿は、ツアイツの事を教皇に報告しようと考えていた。

 

 遂にロマリアに目を付けられたツアイツ!その他、男の浪漫本を読んでいる連中は……

 

「流石はツアイツ殿!両国の正当後継者に呼ばれるとは!我々では、あのテーブルには近づき難い」等と、注目を集めているが概ね好評価だ。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「ねえ?あの金髪のイケメンは誰なのかしら?あのテーブルに呼ばれるなんて……」

 

 護衛の空中装甲騎士団に尋ねる。

 

「ベアトリス様、彼がツアイツ・フォン・ハーナウ殿です」

 

 はぁ?ウチにも居るあの妖しい本のファンと違うわよ?

 

「あの、小太りな油ギッシュじゃないわよ?」

 

「会報でも見ましたし、先程挨拶しに伺いサインも貰いました。彼は間違い無くツアイツ殿です」

 

 何時挨拶に行ったのよ?

 

「アンタ?私の護衛を放って挨拶なんて何時行ったのよ?」

 

「…………」

 

「何故黙ってるの?」

 

「いえ、その交替しながら行ってました」

 

「あなた達ねぇ?」

 

「姫様、ほら何を話しているか気になりませんか?」

 

 言われてテーブルに意識を向ける。

 

「僕は、手段を選ぶつもりは有りませんから……アンリエッタ姫を宜しくお願いします。

彼女は一途な女性ですよ。それと、巨乳派教祖としてお約束しましょう。

彼女の豊胸……お望みでしたね?確実に希望通りに仕上げてみせます。では、失礼します」

 

 何?何なの、今の会話?ウェールズ皇太子の望みってアンリエッタ姫の豊胸なの?それに仕上げるって……

 

 都市伝説みたいな噂!伝説のバストアッパーって実在したのね?

 

 それにアンリエッタ姫をお願いしますって……それ程、彼はトリステインと関係が深いのかしら?

 帰ったらお父様に報告しなければ……

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 思わず嬉しくて走り出してしまったわ。ミスタ・ツアイツ、援護射撃グッジョブですわ!流石は私の師です。

 

「アニエス隊長戻りましょう」

 

 恥ずかしいけど、ミスタ・ツアイツと連携して……いえ、ツアイツ様と連携してウェールズ皇太子を今日墜としますわ!

 

 決めました!

 

 あら?何を話してるのかしら?

 

「僕は、手段を選ぶつもりは有りませんから……アンリエッタ姫を宜しくお願いします。

彼女は一途な女性ですよ。それと、巨乳派教祖としてお約束しましょう。

彼女の豊胸……お望みでしたね?確実に希望通りに仕上げてみせます。では、失礼します」

 

 思わず聞こえた台詞に、近くの椅子に座り込んでしまう……

 

 ツアイツ様!

 

 そこまで、そこまで私とウェールズ様の為に、手段を選ばずに動いてくれるなんて……

 嗚呼、こんなに殿方から大切にして頂いた事なんてないわ。駄目よアンリエッタ!ツアイツ様の気持ちを裏切っては。

 ウェールズ様一筋!彼も一途と言ってくれたのですから。

 

 揺れる乙女心……2人の殿方に挟まれて揺れているわ。

 

「ひっ姫様。アンリエッタ姫、正気に戻って下さい」

 

 アニエス隊長が何か言っているけど、何を騒いでいるの?今、女の幸せに浸っているのに……五月蠅いわね!

  身悶えるアンリエッタ姫に周囲は目を逸らした。アンリエッタ姫の評価に、妄想姫が追加された。

 

 しかし、トリステイン貴族の中では姫様ちょー可愛い!なんて思う若手貴族が数多く居た。

 

 見目麗しいレディが、真っ赤になってイヤイヤしてるから、まぁ可愛いのか?

 

 そして、本日の最大のイベント!イザベラ姫との会談が始まる。

 

 

 

 ウェールズ皇太子に啖呵を切って退席した後、直ぐ近くに待機していたイザベラ隊員に気が付いた。

 少し離れた場所でイザベラ様が待っているので案内すると……

 周りを護衛騎士団に囲まれ、人目の少ない場所にイザベラ姫御一行は陣取っていた。

 ニヤニヤしたイザベラ様が手招きしている。

 

 仕方なく近付いていく……

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 やっと終わったかい?女を待たせるなんて、紳士を気取る割にはなってないよツアイツ。

 少しからかってやるかね。仕返ししないと気が済まないからねぇ…… 

 全くウチの護衛もアイツには警戒心0だよ。

 

 何で敬礼するわ道を空けるわ……

 

「イザベラ様、ご無沙汰しております」

 

 くっくっく……呑気にしてられるのも今のウチだよツアイツ?

 

「本当に、お久しぶりですわね。毎週贈り物を下さるのに手紙の一つも寄越なさいなんて……冷たいお方ですわ。私など、もう飽きてしまわれましたか?」

 

 ほーら?鳩が豆喰った顔だね。その顔が見たかったんだよ!

 

 ザマァ!

 

 私だって王族だから、これ位の演技は出来るんだ。さぁ仕上げだよ。

 

「イザベラ様……何を言ってらっしゃ?」

 

 ツアイツに駆け寄って、その胸に飛び込む!周りから歓声が上がったね……

 

「「「うぉー!イザベラ様、デレデレだー!」」」

 

 ヨシ!今だよ。

 

「酷い人……えぃ!」

 

 強烈な右をツアイツの腹にぶち込む!

 

「うっ……」

 

 私に溜まらず寄り掛かって来た所を受け止めて……

 

「寂しかったんだから。えぃえぃえぃ!」

 

 右を三発連打!トドメだよ!

 

「もう知らないから!ツアイツのばかー」

 

 フルスイングで鳩尾に一撃を入れる。溜まらず私にしがみ付きながら、崩れ落ちるツアイツ!

 

「「「うぉー!今日はデレデレだー!バイオレンスデレー!そしてナイスボディーブロー」」」

 

「あーっはっはっは!思い知ったかいツアイツ?

私を勝手に商品化した罰だからね。安心しな、別にアンタにお嫁に貰って欲しいとか思ってないからさ。

さぁもう起きな!ほらほら手を貸してやるから。でも次は許さないからね。アレ?ツアイツ平気かい?」

 

 ヤバイ、やり過ぎたかね?何か泡をふいて痙攣してるけど……

 

「イザベラ様。ツアイツ殿を此方へ。治療いたしますから……」

 

「そっそうだね。ツアイツ悪かったね?大丈夫かい?今治療させるからね?」

 

 お腹を擦りながら謝るが、ツアイツは唸っているだけだ。ガリアのツンデレプリンセスの新しい伝説が、ここに生まれた!

 

 バイオレンスデレ!

 

 普段勝気な彼女が、甘えながら暴力を振るう様を見たファンの忠誠心は天を突くばかり……

 

 

 

第104話

 

 イザベラ姫に抱きつかれた!

 

 まさか、そんな感情を抱かれていたのか?と、一瞬思考が止まった後に腹に来た暴力的な衝撃……

 イザベラ姫に縋り付きながらズルズルと膝を付く。その時に、彼女の巨乳に顔を擦り付けながら倒れ込んだのは僕だけの秘密。

 

 ロイヤルおっぱい御馳走様でした!

 

 結構なお手前で……意識を失い目覚めたのは、暫く経ってからだった。誰かが頭の上で話し合っているみたいだ。

 

 目を開けずに、会話に集中する……

 

 

「イザベラ姫は、この変態と良い仲なのですか?」

 

「良い仲?男女のかい?まさか違うよ。それに王族には恋愛に自由など無いよ。私らの旦那は国の為に選ばれるんだ」

 

「でも、とても嬉しそうな顔でしたわ」

 

「こいつは……ツアイツは、最初から私を無能姫と嫌われ者と見下してなかったよ。

何時も何時も困らせられるけど、悪い事ばかりじゃないし嫌じゃない。

最初はね……

私はコイツに刺客を差し向けたんだよ。そんな私にも普通に接してくれたね。命を狙った私にだよ」

 

「それは……随分と変わってますわね」

 

 サワサワと頭がくすぐったい……多分、イザベラ姫が髪を梳いてくれてるのだろう。

 暖かい掌の感触だ……唸って目覚め様としているみたいに演技する。

 

「気付いたみたいですわ!」

 

 目を覚ますとイザベラ姫とベアトリス姫が、僕を見下ろしている……

 ニヤリと笑うイザベラ姫の笑顔は、悪戯っ子の顔だし、ベアトリス姫は何故か半信半疑と言うか疑いの眼差しだ……

 

「漸く目覚めたかい?可愛い彼女のコブシ位、平然と受け止めな」

 

「彼女って……イザベラ様、お戯れを言わないで下さい。他に聞かれたら問題有りですよ?」

 

 イザベラ姫の、ニヤニヤが止まらない。周りを見渡して……

 

「アンタの作り込んだ、この変態包囲網をかいくぐってかい?私を勝手に商品化してプロデュースまでしといて、その言い草とは……ヤレヤレだね」

 

「凄い人気出ましたよね?これでイザベラ姫の人気と地位は安泰ですよ」

 

 彼女は、少しだけ困った顔をした。

 

「それは……微妙に嬉しいし感謝はしてるよ。それに、毎週の贈り物も嬉しかった。

でもアンタだって、私にガリアでの立場を固めて欲しかったんだろ。アンタの為にさ……違うかい?」

 

 流石は、知り合いの王族の中でも一番マトモ。ちゃんと、気付いてるのかな?

 

「ええ、ジョゼフ王と揉めたら力になってくれると嬉しいなー!って思いまして」

 

 うわっ!鼻で笑われたぞ。

 

「やっぱりアンタって面白い男だね!しかし、フィギュアや男の浪漫本……私関連はもう少し自重しな!

それと、裏切り者のエレーヌをもっと商品化しな。序でに、そこのベアトリス姫殿下がアイドルになりたいってさ」

 

 凄い威厳有るニヤニヤなんだが……これが王族の血か。アンリエッタ姫も見習って欲しい。

 これ位、自分の置かれた立場を把握出来れば僕らの被害が少ないのに……

 

「イザベラ姫、私は無理です。考えさせて下さい。

お父様から預かっている空中装甲騎士団をあの様な変態集団にするのはチョット……申し訳ありませんが、嫌です!」

 

 初めて見た!凄い長い金髪のツインテール……我が儘で勝ち気そうな少女だけど?

 

 これがベアトリス・イヴォンヌ・フォン・クルデンホルフ姫殿下か。

 原作ルイズの変わりにロリでチッパイなツンデレとして人気が出そうだぞ。

 エレオノール様もチッパイでツンデレだけどロリじゃない。この違いは大きい。

 それにツンデレプリンセスでは、イザベラ様ともキャラが被る。

 プロデュースするならロリでチッパイだけでは弱い。妹属性を強調すれば、或いは……でも何故イザベラ様と?

 

「ほら?何を値踏みしてんだい?この娘なら、アンタが力を貸せば人気は直ぐに上がるんだろ?」

 

「これは、不躾な視線を……申し訳有りません。私はゲルマニアの貴族。

サムエル・フォン・ハーナウが長子、ツアイツ・フォン・ハーナウです。以後、お見知りおきを」

 

 貴族的礼儀を以て一礼をする。

 

「アンタね……私の時と扱いが違くないかい?」

 

 ベアトリス姫殿下は……何故だか分からないけど、距離を置かれている感じです。分かります。

 潔癖症っぽいし、変態巨乳教祖を目の前にして嫌な思いをさせているのかな?

 

「わっ私は、ベアトリス・イヴォンヌ・フォン・クルデンホルフですわ」

 

 少し慌てたが、優雅にスカートを裾を持って一礼してくれた。

 

「イザベラ様とは、仲が良ろしいのですね」

 

 イザベラ様は珍しく自然に笑っている。

 

「お前が洗脳した会員達にガン付けられててね……助けたら、ね」

 

「ええ、怖い程の忠誠心でしたわ」

 

「そうですか……それは済みません」

 

「で、この娘売れそうかい?」

 

「ツンデレプリンセスではイザベラ様とキャラが被りますし。

寧ろ妹キャラを強調し、チッパイでロリっ子でお兄ちゃん子にすれば或いは……一大ブームになりえる素材をお持ちかと」

 

「いっいえ、私の事は良いですわ。嫌です。困りますわ」

 

 やはり、遠慮された……何だか凄く警戒されてるし、距離を取られたぞ。

 

「では、その気になりましたらその時に……イザベラ様、僕はこれで失礼します」

 

 ベアトリスちゃんか……中々の素質を持った娘だね。

 

「お兄ちゃん!」とか、言わせればあの容姿でチッパイロリだ。必ず人気は出ると思う。でも無理かな。

 随分警戒されてるし、クルデンホルフも商業に力を入れる国。フィギュアとか売ったら版権問題とかになりそうだよね。

 

 しかし、シェフィールドさんが居なくて良かった。彼女が居たら、イザベラ姫が大変な事になっていたかもしれない。

 

 僕を殴って気絶させた!なんて知られては問題が有ると思う。

 

 

 

 その頃のジョゼフ王!

 

 

 

「まぁまぁジョゼフ様、お似合いですわ!ほら、近衛や侍従の皆さんもそう思ってますわ!ねぇ皆さん?」

 

 近衛や侍従は曖昧な笑みや困惑を浮かべておる。ミューズの迫力に押されて拍手してしまったから、何とも言えないか……

 

「ふぅ……ミューズよ。ツアイツに取り込まれたのか?」

 

 情報では、姉弟の様に仲が良いそうだ。

 

「ミスタ・ツアイツにですか?彼は我が主に必要不可欠な御方。

取り込まれてなどいませんが、協力体制を円滑にする為に友誼を結んでおりますわ」

 

 ミューズは余の使い魔だ。ルーンの影響下では余に逆らえない。故に余の不利になる行動も取らない。

 ならば、アヤツの変態の影響で積極的にアタックを始めたと言う事か?

 兎に角、ナニが起たねばミューズの気持ちにも応えられん。話にならぬのだ!

 

 ツアイツよ。早く、レコンキスタを叩きのめして余の前に来るのだ!

 


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