現代人のお気楽極楽転生ライフ(修正版)   作:Amber bird

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第60話から第62話

第60話

 

 自室に戻り、タバサは思考に耽る。ベッドにうつ伏せに寝っ転がりながら、先ほどのシーンを思い出す。

 二人とも真剣な顔で、話し合っていた。きっと、これからの件なんだろう。

 ジョゼフの試練について、対応の詳細迄は聞いてないが、状況は厳しいのかも知れない。私に、彼らを手伝う事が出来るのだろうか?

 

 仰向けになって、天井を見詰める……

 

 ミスタ・ツアイツのお陰で、イザベラとは仲直り出来た。竜騎士団という、余計な変態連中の助力も得られた。

 しかしお母様については、洗脳本でも効果が出ない。やはり一度薬で壊された心は、治らないのだろうか?

 

「タバサ居るぅ?帰ってるんでしょ?」

 

 ビクッとしたが、ルイズの声と分かり、鍵を開けようと扉に近づいたが「アンロック!」と、キュルケの声が聞こえて扉が開き、部屋の中に入ってきた。

 

 キュルケ・ルイズそしてモンモランシー、最近出来た私の友達……何故か、手にお酒やら、お摘み類を持っている。

 

「……何?」

 

「「「何って?パジャマパーティーに決まっているでしょ」」」

 

 それからは、カオスだった。

 彼女達は……様は、ミスタ・ツアイツとの婚姻が決まった事や、モンモランシーの実家の復興に目処がついた事。

 それらを何時もとは違うメンバーに、自慢したかったのだ。

 

 ……正直ウザイ。

 

 キュルケは私を膝の上に乗せて、頭をグリグリしたり、抱き付いて巨大な肉の間に埋めてみたり。

 嫌なのだが嫌でなく、何故かお母様の匂いがした。散々飲み食いして、部屋を汚した後、彼女らは私のベッドを占領して寝てしまった。

 私はキュルケに両腕で腰を抱えられており、どうにも脱出不可能だ。イザベラが来るのは明日の夜だから、今日はこのまま寝てしまおう。

 

 ……何時からだろう?独りで寝始めたのは。

 

 ……何時以来だろう?人肌を身近に感じたのは。

 

 頭の後ろの、二つ山の肉マクラが鬱陶しいと感じながらも、気持ちよい睡魔が襲ってきた。

 

 久しぶりにこの言葉を紡ぐ。「……おやすみなさい」

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 結局、ワルド殿のド・ゲ・ザに根負けして情報を教える事になった。

 しかし、会いに行くのはジョゼフの試練を乗り越えてからと約束させて……

 近衛の隊長が、一介の学生に土下座なんて見られたら大問題なのに、全然気にしてない素振りだ。

 

 父上の再教育は失敗だったんだろう。

 

 あとの確認事項はアルビオンに潜入しているロングビルさんだが、護衛の遍在は無事だそうだ。

 まだ時間も経ってないのでそれほどの成果はないのだが、無事を確認できて良かった。

 サイレントを解いて、ソフィアにお茶のお代わりを頼んで一息付く。最近は、紅茶ばかりだ。

 

 昔は炭酸系が好きだったのだが、この世界に来てからはワインか紅茶ばかり。しかし、エルザをどうやって引き合わせるかな?

 そろそろ村長に引き取られている時期だけど、一面識もないのに吸血鬼だよね?とか話すのは……無理だ。

 

 保護を全面に出す?この辺は要検討だね。

 

 ワルド殿はご機嫌で帰っていった。気付けば、そろそろ就寝時間だ。

 今夜は、シェフィールドさんの転移襲撃も無かったしゆっくり寝よう。

 

 色々有ったが、静に夜が更けていく……

 

 

 

 アンリエッタ姫滞在用の貴賓室にて

 

 

 

 其処にはナイトガウンに着替えたアンリエッタ姫と、相変わらずの軽装鎧をきっちりと着込み帯剣しているアニエス隊長が直立している。

 

「アニエス隊長、私はそろそろ寝ますので、貴女もお休みなさい」

 

「はっ!有難う御座います。しかし魔法学院とは言え、注意が必要です。特に此処には、ゲルマニアの悪の教祖がいますから」

 

「ミスタ・ツアイツは、私に危害を加えません。落ち着きなさい」

 

「しかし……想像を超えた変態です。安心も油断も出来ません」

 

「ふう。兎に角、明後日までは滞在するのです。初日に気張っては最後まで持ちませんよ」

 

「大丈夫です」

 

「ワルド隊長以下、グリフォン隊も護衛に当ってます、何か有った時の為に今はお休みなさい」

 

「……はい」

 

 全く融通が利かないのですが、真面目で忠誠心も有りますから良い隊長なのですけど。

 こうもツアイツ殿に敵愾心を剥き出しにするのは、何故なのかしら?彼は私の協力者なのに……

 

 まぁ良いわ。

 

 今日はミスタ・グラモンやミスタ・ロレーヌなどの男子生徒ばかりの有力貴族の子弟等とお話が出来ました。

 明日はルイズやミス・モンモランシーなどの女生徒達とお話しましょう。

 ミスタ・ツアイツともお話したいのですが、無理に接触してトリステイン貴族達から不満を持たれても仕方が無いわね。

 

 さて、寝る前に日課をこなしましょう。

 

 入念にディテクトマジックとロックを掛ける。ルイズに習った豊胸体操を始める……

 一国の王女が、両手を振り回したり胸を持ち上げたり……30分ほど実施して終らせ、サイドテープルに置いてあるミルクを飲んで一息つく。

 この体操のお陰か、まだ数週間ですけど、バストサイズが0.5cm程大きくなりました。そしてウェストが引き締まった気がします。

 これだけの効果を発揮する画期的な体操なのに何故、出し惜しみするのかしら?

 

 いえ……効果が有るからこそ、例えトリステインと戦争になっても守ったのね。

 

 成る程、確かにアカデミーで研究させたら多くの貴族婦人から問い合わせが殺到するし、お金に糸目をつけない方も居るわね。

 これを無断で研究と言うのは、確かに不味かったわ。

 ルイズは他にも食事療法も教えてくれたけど、こちらの実践は無理でした。王宮料理人にもメニューの問題や、プライドが有るのでしょう。

 

 但し、欠かさず乳製品は飲んでいます。

 

 これで巨乳化の見通しは立った!あとは努力次第だが、必ず数ヶ月で一端の巨乳になってみせるわ!

 

 でも、これで安心しては駄目ね。ウェールズ様を射止める為には、更なる一手が欲しいのだけれども……

 こればかりは、直ぐには思い浮かばないわね。ルイズに相談してみようかしら?

 既に大人になってしまった彼女なら、良い知恵を考えてくれるかもしれないわ。

 それに恋愛については、やはり年頃の女性達に意見を聞きたいし。

 恋バナとは、どんなに身分に違いが有れど、基本は一緒ですから。

 

 明日は楽しくなりそうね。さて、お肌に悪いからそろそろ寝ましょう。

 

 

 

第62話

 

 オリヴァークロムウェル暗躍中!

 

 アルビオン北部のブリミル教会の一室で、クロムウェルは一人ニヤけていた。

 周りには金貨の詰まった皮袋が幾つも置いてある、シェフィールドが宛がったものだ。

 

 30万エキュー!

 

 強欲なブリミル教の司教で有る彼でさえ、見たことも無い大金だ。

 平民出身の彼は魔法が使えないが、魔法絶対主義のハルケギニアにおいても、ブリミル教の権威は絶大だ。

 弱小貴族などは問題も無く、ある程度の力有る貴族でも異端をチラつかせれば黙り込む。

 

 まさに、ブリミル様々だ。

 

 欲しい物が有れば、それと無く言えば寄進してくれる。しかし大半の善意の金は、私が上に登る為に消えていく……

 上には上の悪党が居るのが、ブリミル教で有りロマリアなのだ。

 自分自身、司教まで登り詰めたがそれ以上となると、更に莫大な金を使わなければならないだろう。

 そんな、向上心が衰えた時に、あの女が自分の前に現われた。

 

 隠してはいたが、無類の女好きの自分は戒律では宜しくない淫行を秘密裏に楽しんでいた。

 

 ブリミル信者の女性を強引に口説いていたのがバレたのだろう。

 シェフィールドと言う女は、お金は幾らでも用意するのからと、アルビオン転覆の話を持ちかけてきた。ブリミル教の権威と、潤沢な資金。

 それと、美乳派という最近流行の貧乳や巨乳に対抗すべく教義も考えた!

 

 諦めるな、全ての乳は美しくなる可能性がある!大きさに囚われない美しさを磨こう!

 

 などと、根拠も無いけど、語呂が良い事を優先して。

 現アルビオンのジェームズ王は、自他共に認める巨乳派で有り、その他の乳を認めない!

 そのような、不条理な王家など打倒して、自由な乳を楽しめる世界を作ろう。

 スローガンは、それなりに掲げるが、実際は金と利権、アルビオン征服後の、役職の空手形で釣った貴族達だ。彼らには、存分に働いてもらう。

 私が、神聖アルビオン王国の盟主となる為に、美乳派教祖となり貧から巨の美しい娘達を侍らすのだ!

 アルビオン全土の美女・美少女は全て私の物だ。

 

 あーっはっはっはー!

 

 笑いが止まらぬとは、この事よ。既に北部の伯爵に狙いを定めている。

 彼は、中央に疎まれて僻地の飛ばされた、言わば無能と出世レースに敗れた負け犬だ。

 

 甘い言葉と、金……あとは、美人信者を宛がう。

 

 そして宮廷貴族に返り咲く事を約束すれば、ホイホイと付いてくるだろう。

 コイツの取り込みに成功すれば、これからの取り込みにも見通しがたち、楽になるだろう。

 アルビオンを征服したら、次はトリステインだ!

 

 彼の心の中で、黒い妄想が広がっていく……

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 おはようございます。ツアイツです。

 

 今朝のアルヴィーズの食堂も、盛り上がっています。

 何と言ってもトリステインの華である、アンリエッタ姫と食事を共にしている訳ですし、昨日の会合で話す事の出来た者。

 

 今日こそは!と、決意を燃やす者など、色々な連中の思惑が渦巻いています。

 

 そして、今日は珍しくミス・タバサが僕たちのテーブルについています。

 マリコルヌと競うように、朝食をほお張る姿は小動物の様に可愛らしいのですが、何故か僕の料理にも手を出してきます。

 僕のオムレツに二人でフォークを突きつけ様とし、お互い火花を散らしています。

 マリコルヌも男なんだから、ミス・タバサに譲ってあげれば好感度が上がるのに……

 

「二人して僕の食事を宛てにしないてくれ!」

 

 そう言いつつも、二人の皿に料理を分けてよそってあげる。

 見かねたメイドさんがマルトーさんに連絡したのか、新しいオムレツとベーコンが追加されました。

 メイドさんが、「お父さんみたいですよ」と笑いながら新しいお皿を置いてくれた。

 こんな大食いが、子供達だったら我が家のエンゲル係数はどうなるんだ?

 

 因みにワルド殿は、ハムハムタバサ殿の愛らしい姿に釘付けになってますが、マリコルヌに対しては、敵愾心は無さそう。

 アレの本質を見抜き、Sじゃなければ安心と理解しているのか?

 食事が終わり、アンリエッタ姫も退出したせいか、食堂に残っている人数は少なくなってきた……

 散々、食べ散らかした後で、この子は爆弾を投下してくれました。

 

「ミスタ・ツアイツ。今晩、国境近くの森でイザベラが会いたがっている」

 

「……はぁ?何故?」

 

 一国の王女が、夜中に他国の貴族と会いたいなんて……彼女もアンリエッタ級の困ったチャンなの?

 

「……文句と、真意が知りたいって」

 

「えーと、それって拒否権は?」

 

「……お願い」

 

 気が付けなかったのだが、お願いするミス・タバサの後ろにお願いと言う脅迫の篭った目をした、ワルド殿が立っていた。何時の間に?

 

「ツアイツ殿、良いではないですか。私とシェフィールドが護衛に付きますから、お願いします」

 

「……分かりました。同行しましょう」

 

 了解すると、ミス・タバサは安心した様に、小さく息を吐くと

 

「……では、今晩部屋に迎えに行く」と、言って離れて行った。

 

 ルイズ達は、アンリエッタ姫の会合に呼ばれていた為に、聞かれなかった。

 モテナイーズ連中も、アンリエッタ姫の取り巻きの様に行動を共にしていたので問題ないだろう。

 

 しかし、文句とは……

 

 アニエス隊長に続き、イザベラ王女にまで嫌われているのかな?

 心当たりが有り過ぎて正直凹んだが、自業自得な当たり前なので諦めた。なるようになるさ!

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 アンリエッタ姫、恋バナが炸裂す!

 

 こちらは、場所をテラス席に移し、食後のお茶とお話を楽しむべく女生徒を集めたお茶会が始まっていた。

 ルイズにモンモランシーや、名の知れぬモブな女生徒達がアンリエッタと恋について語り合っている。

 

「私は、例え話ですが……良いですか!例え話ですよ。天空に住まう、高貴なお方に恋をしている地上の姫が居ます。

しかし、そのお方には……大きい(オッパイが良い)望みが有りました。

その彼の望んだ事(巨乳化)を実践し、漸く成果も出てきた地上の姫は、それだけでは駄目だと気付いたのです。

更なる高みへの一手が欲しいのです。皆さんなら、その場合どうしますか?」

 

 アンリエッタは真剣な表情で、周りの女生徒に問いかけた。

 

「ルイズ、ヤバくね?これってウェールズ皇太子とアンリエッタ姫の事だよね?」

 

 モンモランシーがルイズに、周りに聞こえないように小さな声で話し掛けた。

 

「てか、巨乳化に成功しつつあるから、ダメ押しが欲しいって事ね」

 

 ルイズもコソコソと答える。

 

「「国家的な婚姻を恋バナで暴露しやがったよ、この女!」」

 

 このバレバレな恋バナで、アンリエッタ姫がウェールズ皇太子狙いと言う事が、トリステイン全土に広がるのは時間の問題だ!

 そして、アンリエッタ姫は着々と既成事実と外堀を埋める作戦を進行していった。

 

 

第62話

 

 

 アンリエッタ姫のお茶会!

 

 参加した貴族の女生徒達はアンリエッタ姫が、ウェールズ皇太子狙いだと理解した。

 現状、トリステインはトップが空位だ。マリアンヌ様は、喪に服すと政治は放り投げっぱなしだ。

 なので、嫌われ者のマザリーニ枢機卿が取り仕切っている!それがトリステイン貴族の共通認識……

 

 哀れ、マザリーニ枢機卿。

 

 そして、現状一番王女に近いのはアンリエッタ姫。

 その国のトップに一番近い彼女が、アルビオン王国と婚姻を望んでいる。

 

 例えとは言え、バレバレな話をしてだ!

 

 これは、実家に報告しなければ……この情報は、アンリエッタ姫に取り入るには最高のネタだ!

 実家を有利にする情報を掴んだ為、女生徒達はソワソワしだした。

 

「それで、先程の質問に対して皆様はどう考えますか?」

 

 これはナイスアイデアを答えれば、アンリエッタ姫の心証が良くなる。皆、真剣に考える。

 しかし……悲しいかな、貞淑を重んじるトリステイン貴族の子女達に、殿方を篭絡する手立ては考えつかない。

 しかし、何かを言わなければ……勇気の有る1人のモブ女生徒が、おずおずと発言する。

 

「何か、その殿方に贈り物をしてみては?」

 

「贈り物ですか?具体的にはどの様な物を?」

 

 女生徒は黙り込んでしまった。アルビオンの皇太子が喜ぶ贈り物など、想像もつかない……

 

「てっ手紙で気持ちを伝えてみては?」

 

「手紙ですか?」

 

「そうです!愛を込めた手紙を書いては?」

 

 それは……愛を……誓う?私が……私達が……誰に……誰が良い?始祖ブリミル様なら?いける!

 

 対外的に、その様な手紙が有ると広まれば……王家故に、始祖ブリミルは絶対だ。

 一方的だろうと、呑まねばららぬ状況に、追い込めるのではないでしょうか?後は、その手紙が何処に流れるかですね。

 

 ロマリア?ブリミル教の高位聖者?はたまた他国の王家。

 

「くっくっくっくっく……良いアイデアですね。貴女のお名前は?」

 

 苦し紛れなアイデアだったが、アンリエッタ姫はいたく気に入ったみたいだ。

 黒化したアンリエッタ姫に怯えながらも、女生徒は慌てて名乗った!

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「アンリエッタ姫……絶対、良くない事を考えているわよ」

 

「でもルイズ。手紙だけでしょ?どうにもならないんじゃないの?」

 

 2人は考え込んだ。只の手紙で、どうやってウェールズ皇太子の心を射止めるのか?

 そんな文面が有るなら、こっちがダメ押しに欲しいくらいだ!

 

 2人が考え込んでいる間も、アンリエッタ姫と他の女生徒との話は進んでいる。そしてお茶会も一段落し、意見も出尽くした頃に

 

「少し疲れましたので、一旦休憩にしましょう」と、アンリエッタの一声で一旦お開きとなり、休憩に入る。

 

 アンリエッタ姫は、あてがわれた部屋へ。他の女生徒達は、それぞれの実家に連絡する為に別れていった。

 

 

 部屋に入り「考え事が有るから!暫く1人にさせて下さい」と、人払いする。

 

 アンリエッタは、先程考えついた謀略を考え直す。

 

 先ずはウェールズ皇太子に、信用の出来る人物が手紙(恋文)を届ける!

 そしてアンリエッタ姫の内緒のプランとは……用心の為にと、幾つかのルートで手紙を届けさせる事。

 しかし、本命以外は全て他へと流れてしまう。

 

 ゲルマニア皇帝の手に渡れば、かの国との婚姻外交などブチ折れる!

 ロマリアの聖職者関連なら、欲望深い糞坊主が礼金欲しさに結婚式を仕切りに乗り出す!

 

 アルビオン王国のジェームズ現王なら……息子のロマンスを応援する筈だ!

 又は醜聞にならない様に、まとめに入るだろう。

 

 トリステイン国内に流れたら……別に困らないわね。私が、ウェールズ皇太子狙いだと知られるだけ。

 

 内容の方も考えましょう。そうです!

 ラグドリアン湖の遊園会で、私が水浴びをしているのをウェールズ様が目撃して……そしてウェールズ様が、男のケジメとして責任を取ると言ってくれた。

 私は、その男らしさに打たれ始祖に2人で永遠の愛を誓う……と、センセーショナルな内容にしましょう。

 実際は水浴びを盗み見した上に、もう少し乳が大きければ……などと、暴言を吐いたのだが、恋する乙女の寛容さで許して差し上げますわ。

 

 嗚呼、ウェールズ様!

 

 貴方の望み通りの胸を手に入れます。なので、貴方を頂きます!

 そこから暫くは妄想タイムとなり、姫はベッドで1人クネクネと悶えていた。

 漸く、ウェールズ皇太子成分を補給する為の妄想を完了した。

 

 さてと、それで……アルビオンへの使者達は、誰にしましょうか?

 

 そうだ!

 

 私のお友達のルイズに、本命を託しましょう。

 こちらの方が大切なのですが、他に流れてしまう手紙は銃士隊のみんなね!

 

 くっくっくっくっく……

 

 ツアイツ殿に教えて貰った、覚悟と決意!素晴らしいわ!彼にも、手紙が流れてしまう様に手配しましょう。

 ヴァリエール公爵や、ツェルプストー辺境伯辺りに、情報が流れたら楽しいわね。

 

 ウェールズ様……

 

 後3ヶ月以内には、巨乳化してみせます!ですから、作戦実行は3ヶ月後ですわ。

 

 アンリエッタ姫は黒姫と化した!

 

 しかも今回は慎重に事を運ぶ為に、自分の考えたプランを他の誰かに検討して貰うつもりだ。

 自分の考えだけでは、穴が有るかもしれない。けど、謀略を共に考えられる相手など……誰か居ないだろうか?

 

 ルイズは、お馬鹿そうだから無理。

 

 ワルド隊長は厳しい人だし、国に忠誠が篤いから逆に止められてしまうわ。

 

 有象無象の宮廷貴族は論外。

 

 マザリーニ枢機卿……も、無理ね。

 

 残りはアニエス隊長か……そうね!銃士隊には手紙を横流しさせる役目が有るから、全てを話して協力をしてもらいましょう。

 

「誰か!アニエス隊長を呼んで下さい」

 

 悪巧みは、佳境に入る……暫くして、アニエス隊長が部屋にやって来た。

 

「アニエス隊長。貴女にしか相談出来ない事が有るのです」

 

 ソファーを勧め、向かい合って座ったら直ぐに話を切り出す……

 

「私は、アンリエッタ姫直属の部下です。何なりと申し付け下さい」

 

 真剣な表情で、アニエス隊長は答えてくれた。掴みはオーケーね!

 

「嗚呼……この愚かな女を見捨てないで下さいね」

 

 俯き加減で、小声で話す。

 

「見捨てるなどと!その様な事はありません。私の全てを賭けてアンリエッタ姫にお仕えしますので……」

 

 くっくっくっ……これなら信用しても大丈夫ね。アニエス隊長の両手を握って、上目使いで見上げる……

 

「アニエス隊長……貴女にしか、頼れる相手はいないの。実は……」

 

 考え付いた作戦を話す。そして、何処か不備が有るかもしれないと、問題点を考えてもらった……

 アニエス隊長は終始難しい顔をしていたが、私が彼女の膝の上に泣き崩れる様に倒れ込んだら……

 

 一瞬ビクッとしたけど、背中を撫でてくれて「分かりました。微力ですが全面協力をします!」 と、言ってくれた。

 

 作戦の内容については、まだ時間も有るので良く考えます。と、持ち帰りとなってしまったが。

 

 何故か真っ赤になっているアニエス隊長ですが、こんな秘密の謀略話を持ち掛けられたので動揺してるのでしょう。

 

 これで、協力者も確保したわ!この願い、必ず成功させてみせるわ!

 

 完全にアンリエッタは色ボケしていた。しかし、内容はアレだが決意を新たにキリリとした表情だ!

 そんな彼女をヨダレが出そうな顔でアニエスは眺めていた。

 

 姫さま、柔らかくて良い匂いだったなー、と。


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