現代人のお気楽極楽転生ライフ(修正版)   作:Amber bird

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 この作品は今は無き某サイトにて掲載していた自分の初めての二次創作であり思い入れの作品です。
 其方が閉鎖される時に「〇〇を応援・支持するHP」様に掲載させて頂いてますが一部修正して投稿させて頂きます。
 4年以上も前の作品ですが、当時の情熱というかお馬鹿さ加減を思い知る為に公開させて頂きます。


幼年期編
第1話から第3話


第1話

 

 それはテンプレと言うには、あまりにもあまりな展開だった。

 不慮の事故死によって神が不手際を無かった事にする為に、転生をさせてくれるという。

 無宗教で敬虔な信者でも無い自分に、そんなサプライズが有る訳が無いだろうと思う、普通なら。

 理解出来ない状況だが着々と事態は進んでいる、殆ど強制的に……

 

 

 

『早く決めろ、時間が惜しい。無ければ輪廻の輪に組み込むだけだ』

 

 

 

 直接頭に響くように聞こえる声の主の無機質で僕に全く興味の無い感じに恐怖を覚える。

 こんな重力を感じない自分の体も見えない真っ白な空間で、テレパシーみたいな一方的な会話をしてるだけでも、もう俺の体も長くないのだろう。

 最後の記憶は建設現場の足場から足を滑らせ地面に落下する直前の映像、6階の高さから下の駐車場に頭から落ちたのだ。

 

 妄想や願望が走馬灯の如く巡っているのだろう。短い一生だったな、脱童貞も出来なかったし。

 いや、童貞30年越えの魔法使いに成らなかっただけ良かったのかな。

 

 

 

『自分の状況が信じられないなら強制的に適当な条件で転生させる』

 

 

 

 おいおい現実逃避もさせてくれないのか、そもそも現実か?夢や妄想の類じゃないのか?

 

 

 

『今までいた世界に近い所で中産階級の長男として能力・容姿は十人並みで記憶を無くしての転生でよいな?では……』

 

 

 

 今の人格を形成している経験や記憶が全く無いなんて、俺が俺でなくなってしまうんじゃないのか?

 

「それはそれで平凡な幸せかも知れないが、今の自分を形成してる記憶が無いなら別人じゃないのかな?」

 

 

 

『そうだ、やり直し人生なら同じ環境で良かろう?』

 

 

 

 これは自分で希望を言わないと本当に事務的に同条件のやり直し人生を迎える事になるぞ、神様転生ってもっと色々と優しくないかな?

 

 

「この読み漁った転生SSのような展開と少し違う事が自分の身に起こっているのは死に掛け傷ついた脳が見せる刹那の幻想なのか。

又は集中治療室で植物人間の様になっている自分が見ている夢かは知らないが、希望を言わせて下さい」

 

 

『良いだろう、早く望みを思うが良い』

 

 

「小説の世界でも可能ですか?出来れば「ゼロの使い魔」の貴族として転生をお願いします。

 出来れば原作組と同じ年齢で国はゲルマニアの伯爵家の長男を希望したいです」

 

 原作に介入する・しないどちらもメリット・デメリットが有るけど、原作の動きを把握した方が動きやすいだろう。少し引いた位置から原作組を見つめ必要ならば接触する。

 

「ああ、後は土と水の系統で努力すればスクエアになれる素質有りで良いでしょうか?」

 

 

 

『ふむ、空想の世界で第二の人生を謳歌したいか……良かろう、5歳の誕生日に記憶が戻るだろう。精々足掻け』

 

 

 

 一方的な会話と最後に嫌な「精々足掻け」ってお言葉を貰ったぞ……

 

 

 果たして神様転生だったのか他の何かなのか分からないが、その何かのの厳しい言葉を最後に意識が薄れていった。

 流行の転生SSの主人公になるのか。それとも集中治療室で見る妄想という夢なのか、僕のセカンドライフが始まった……と思う。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 5歳の誕生日に日付が変更した途端に激しい頭痛に襲われた、転生してからの5年間の記憶が頭の中に流れてくる。

 早送りのビデオを見ている様な、どこか自分なのに自分でない人生を見せられている変な気分。

 時間にすれば5分位か、それとも1時間位だろうか?自分の置かれている状況を理解する事かできた。

 

 僕はゲルマニアの伯爵ハーナウ家の長男、ツアイツ・フォン・ハーナウ。

 

 母親はアデーレ、父親はサムエル、新興貴族として一族の傑物と言われた曽祖父が、商売に成功。

 金で爵位と領地を買い繁栄させ凡庸な祖父が領地を維持、両親の結婚を期に爵位と領地の殆どを譲り隠居した。

 ご意見番みたいな感じで、自身の館に引き篭もっている。

 この祖父も凡庸と言われているが急に拡張した領地を無難に治めていた手腕を考えれば、有能だったのではないのか。

 

 僕はこの祖父には、かなり可愛がられている記憶が有る。

 父親については子供の前では領地経営の話題が上がらないのか5歳までの僕に興味が無かったのか良く分からない、追い追い調べていく事としよう。

 

 母親は良くも悪くも貴族の深窓のお嬢様であり政略結婚だったらしいが夫婦仲は悪くはない、そしてかなりのスレンダー美人である。

 腰とか凄い細いし、まだ20歳前と思われる儚げな人である。

 

 父親は……

 

 少しお腹が出てきた事を気にし始めたが体格のガッシリした美丈夫の中年のロリコンである、だって妻との年齢差が一回り以上は有る感じたし。

 

 勝ち組だな父上。

 

 そして、僕ことツアイツ・フォン・ハーナウであるが……何というか、我侭に育てられた典型的な内弁慶の泣き虫の餓鬼である。

 しかも一人では夜も寝れない。しかし貴族とは親子であっても一緒には寝ないので、現在進行形で一緒に寝ているこの女性は……

 

 乳母の娘のメイド見習いのナディーネ12歳!結構、いやかなり可愛いロリ巨乳の女の子だ。

 

 どうやら僕は、我侭で乳の大きい若い女性としか一緒に寝れないらしい。しかも何人かのお気に入り添い寝部隊がいるらしい。

 

 

 貴族様万歳!もう既に勝ち組!

 

 

 しかし、しっかりと頭を胸の谷間に押さえ込まれているこの状況でも、マイサンは反応してくれない。

 精神はこんなに興奮しているのに、体が無反応とはEDじゃないのかと心配になってしまう。

 しかし巨乳好きとは母親に喧嘩売ってないか?自分ながら恐ろしい子供だ。

 

 などと考えれいたら、ナディーネちゃんが「う〜ん」とか寝返りをしながら布団を蹴って序に拘束も解いてくれた。

 風邪をひかない様に布団を掛けてあげて窓際の椅子に座り外を見る。そこには生前読んだライトノベルの内容通り双子の月が優しく世界を照らしていた。

 

 しかし、これからどうしようか?

 

 記憶が蘇ったとしても現状からいきなり性格が変わったり、賢くなったりすれば怪しいどころじゃない。

 それにもう少しすれば朝になり、他の使用人や両親達とも会わなければならない。 対応を考えておかなければボロが出て直ぐに怪しまれてしまう。

 

 この時僕は子供の体を舐めていた。

 

 しっかり対策を考えるどころか、夜更かしなんかした事も無い子供の体力か性能のせいか……すっかり椅子で寝てしまっていた。

 目が覚めたのはナディーネが叱責されている声でだった。メイド長が僕を起こしにきたら、若様が椅子で寝ていて使用人がベットで寝ている。

 

 たいした事では無いと思うのだが、貴族絶対主義のこのハルゲニアでは大変な失態らしい。

 

「僕の前じゃない処で厳しく処罰するので、お許し下さい」

 

 とか言ってナディーネを連れ出そうとしている。

 

 

 ヤバイヤバイヤバイ……

 

 

 このままでは(僕主観では)無実の女の子が酷い目にあってしまう。しかし昨日の自分と違う対応をしては怪しまれて、最悪両親に報告とかされれば問題だ!

 この危機回避の秘策は……子供らしく恥ずかしい位に泣こう、大声で!

 

「ナディーネを虐めちゃ駄目ー連れていっちゃ駄目ーわーんわーん」

 

 恥ずかしい魂のレベルで恥ずかしい。メイド長も若様に泣かれては何も言えずナディーネに次からは気を付けなさいと、一言いった後で外に待機していた他のメイドを呼び寄せ、洗顔やら着替えやらという羞恥プレイを敢行し退室して行った。

 

 僕の羞恥プレイの最中、ずっと下を向いていたナディーネがいきなり「若様すいませんでした。どの様な処罰も受けますので許して下さい」と、頭を下げて恐怖を滲ませた顔で、僕の言葉を待っている。

 

 

 これが貴族と平民の壁か……

 

 

 いくら幼くても、貴族には絶対服従が刷り込まれているのか。一瞬固まってしまったが、なにか言わなければ収まらないだろう。

 他の使用人にも示しがつかないのだろう。なによりナディーネの気持ちを回復してあげないと可哀想だ。

 

 僕は少しばかり気取った口調で

 

「では罰としてナディーネには、僕の恋人1号になって貰う。これから他の男に言い寄られても若様の売約済み!と断るように」

 

 と無駄に格好良くいってみた。

 

 違うー!失敗ーつい願望が口から駄々漏れだー!激しく後悔をしていると当のナディーネは

 

「了解いたしました。その申し出、謹んでお受けいたします」と5歳児の戯言を真剣な顔で了承した。

 

「ささ、朝食に遅れますので早く食堂に行きましょう」と扉を開けて促してくる。

 

 僕は精通もまだなのにイヤラシイ餓鬼と思われてしまったかと、内心ドキドキしながらナディーネの横顔を盗み見たがその表情の無い顔からは、何の感情も読み取れなかった。

 食堂に向かいながらもう既にグダグダになってきた僕の転生人生に、不安が隠せなくなってきた。

 

「それては失礼します」と一礼して食堂の扉の前でナディーネは下がっていった。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 朝起きてから食堂に辿り着くだけなのに、既に今日一人分の精神力を使ってしまい疲労困憊だ!

 しかし前日の記憶通りにテーブルに着き、両親に朝の挨拶をした。

 

「おはようございます。父上、母上」

 

「おはようツアイツ。良く眠れましたか?」

 

 自分的には今日から母上が儚げな微笑でおはようの返事を返してくれた。

 

「はい母上。夜中に月が見たくなりついナディーネに我侭を言ってしまいましたが、双子の月の明りが母上のように優しく照らしてくれたので安心して眠れました」

 

「おやおやアインツ今朝は詩人だな。5歳ともなれば女性を口説く台詞が自然に出で来る様になるとは、誰に似たのかな?」

 

 父上から、からかい口調で言われたので真っ赤になって俯いてしまう、アレを聞かれていたのか羞恥心で死にそうだ。

 

「あらあら。あなたツアイツを苛めないで食事にしましょう」

 

 母上が助け舟を出してくれた。ちなみに父上には何人かのお妾さん兼メイドがいるが、全員がスレンダー美女である。

 つまりチッパイ派であり、巨乳派の僕とは住み分けが出来ると思う。

 

 因みに今日の朝食のメニューは、サラダにパンにスープである。

 

 スープに野菜や肉等の具材が多く入っているが小説でルイズ達が食べている(自称)ささやかな食事とは随分と違うな。

 しかしマナーを学ぶ場で無い日常的に食べる食事とはこういう物で、毎朝あんなフルコースなんて食べれない。

 勿論、来客等で見栄を張る必要が有る時は侯爵家の格に有った食事が出る。

 

「ツアイツ、今日はお前の5歳の誕生日だ。来客が夕方から集まり夕食のパーティにて、お前の正式なお披露目をする」

 

 父上から急に言われたので思わずスープを零しそうになったが、何とか零さずに堪える事が出来た。

 

「分かりました。今から緊張してます」

 

 出来るだけ子供らしく答えたが、元の記憶と比較すると随分と印象が変わってしまったかもしれない。

 だが貴族のイベントなら何かスピーチをしければならなだろうかと思い考えておく事にした。

 

 朝食後はマナーの勉強と自由時間というお遊びタイムだが、所詮中世なので伯爵家の御曹司とは言え玩具は絵本や積木、それに馬や兵士の人形とか…

 PSPやDSで遊んでいた事を考えると、どうして良いか分からない。

 

 情報収集の為に誰かと話したいと思っても午後のパーティの準備で、使用人の方々は忙しい。

 邪魔は出来ずに両親とは、転生したばかりでボロを出さない様に今は、未だなるべく接触は控えようと思う。

 仕方なく一人で積木遊びをする事にした、せめてレ○ブロックが欲しい。

 

 定期的に様子を見に来てくれるメイドさん達も、大人しく積木をしている僕を微笑ましい?生ぬるい?目で見ているのに気づいた。

 後で聞いたのだがナディーネが他の使用人達に恋人(妾)宣言された事を話しており、流石は貴族のエロ坊ちゃんと様子を見にきたが積木で遊ぶ僕を見ておませさんね。位に思って見ていたのだろう。

 

 この時、僕は軽く考えていたが娯楽の少ない職場で格好の面白い話として爆発的に広がっていき、既に両親の耳にも入っている事を知らなかった。

 

 

第2話

 

 僕の5歳の誕生日会は盛大だった、父上の簡単な紹介の後に簡単なスピーチと言うか挨拶をする事になった。

 来客の貴族達も幾ら主役とは言え子供の挨拶などには期待はしてないであっただろう、しかし僕は前世で建設現場の朝礼で、多くの人の前で話す事に慣れていた。

 これから少しずつでは有るが内政チートに進む予定で有るので、それなりに賢い子供を演出する事にした。

 

「本日は私、ツアイツ・フォン・ハーナウの誕生日にご足労頂き有難う御座います。

まだまだ5歳と若輩ではありますが、これから魔法の勉強と領地経営について学び、良き貴族として皆様の仲間入りをしたい所存であります」

 

 貴族としては正直どうかな?と思う所は有ったが、5歳児としては概ね好評で合格ラインで有ったらしい。

 実は主役である僕の存在は余り重要でなく、我がハーナウ家の隆盛を近隣の領主や派閥貴族に知らしめる事に重点を置いているパーティだ。

 

 しかし思いがけず利発そうな世継ぎに、来客の貴族は一様に感心した様だった。

 先ほどから僕にご機嫌伺いにくる貴族のおべっかに、一々答えてはいるが既に10組目からは、顔も名前もスルーしている。

 但し周りの大人たちからすれば、5歳児が愚図りもせずに大人たちの挨拶に答え続けるのは優秀な子供だと思ったらしい。

 僕に挨拶後に両親と雑談しているがべた褒めである。

 

 正直、元日本人としては褒め殺しの様で落ち着かない。

 

 流石に招待客の殆どと顔見せが終る頃には1時間以上が経過し、既に時刻は9時に近かった。

 

 アデーレが優しく頭を撫でながら「ツアイツお疲れ様」と僕を労ってくれる。

 

「母上、流石に疲れました。もう眠いです」

 

 ギュっとアデーレの細い腰に抱きついて子供らしく甘えてみた、母上はとても柔らかく良い匂いがした。

 ひとしきり母上の匂いと柔らかさを堪能していたら、父上が高い高いをした後にジョリジョリした髭面を押し付けてきた。

 

「父上痛いです」

 

 むさい親父に懐かれるのは精神に多大なダメージを被るのだな、本能が父上を拒絶した。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 正直な所、名前と年齢を言えば後はフォローするつもりでいた。しかし実際は少し内容は貴族らしくない部分もあるが、中々に立派な内容だった。

 しかもその後に個別に挨拶にくる者達にも、そつなく対応している。とても昨日までの息子ではない。

 子供特有の我侭さと視野の狭さや飽きっぽさがなく、来客一人々に対応に舌っ足らずなりにも言葉を返している。

 

 直ぐに飽きてしまい泣き出すかと思ったが、最後まで来客に対応した態度に妻が労いの言葉を掛けると素直に抱きついて甘えている。

 こうして見ると普通の5歳児にしか見えないが、普段なら自由時間も使用人の手を煩わしているのに今日に限り、大人しく聞き分け良く一人遊びをしていたらしい。

 

 息子になにが有ったのか分からないが我が髭を引っ張った力は本気だった、少し様子をみた方が良いだろうか。

 

 

 朝食後にメイド長よりの報告が気になった。

 

 何でも粗相をしたメイド見習いを泣きながら庇い、その後そのメイド見習いの娘を励ます様に恋人(妾)宣言をし、主人や他の貴族に迫られたら自分の名前を出して断る様にまで指示したらしい。

 浮気性の主人にでも入れ知恵されたのかとも考えたが、先ほどの来客への対応等は幾ら教わったとしても子供には実行し辛いのではないでょうか。

 

 何故か巨乳好きな子供に育ち母よりもお気に入りの巨乳メイド達と寝る様になってしまったが、それでも可愛い息子。

 だが先ほどの労いの後に抱きついて甘えてくる様子は、年相応の子供にしか見えない。

 

 しかし……時々見せる大人びた表情が気になります、少し注意して見ていましょう。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 両人に伴われ自室に戻ってきた。

 

「ツアイツ今日は見違える様に立派だったぞ。他の同世代の貴族の子供に比べても遜色は無いであろう」

 

「泣き虫で甘えん坊のツアイツが、まるで別人のように立派でしたよ。来賓の方々も褒めてました、我がハーナウ家も安泰だろうと」

 

 僕は内心汗がダラダラだった。

 

 記憶が戻ったとは言え、精神が肉体に引かれるのか当初の考えと違い、場当り的な対応をしてしまったり年齢に合わない行動をしてしまった。

 

 これは怪しまれているだろうか?恐る恐る両親を見上げると特に疑がってる様な感じはしない。

 僕は子供らしくしかし真剣な表情でフォローする事にした。

 

「もう僕も5歳ですし、貴族としての責務を果したいと考えています。

出来れば魔法も学びたいと思いますし、父上の仕事の手伝いも始めたいと思います。

まだまだ子供ですから殆どお役には立てないでしょうが、頑張りますのでお願いします」

 

 

「誰かに何か言われたのかい?」

 

 父上が優しい顔で、しかし探る様にと言ってきた。 なる程、子供が一人で辿り着ける答えじゃないよなー。

 

 そうだ!曽祖父をダシに使おう。

 

「実はおじい様から、曾おじい様は幼少の頃から偉大であった。お前も曾おじい様を見習って、立派な貴族になるようにと言われましたので」

 

 そうおじい様に、心の中で謝罪しつつ責任転嫁した。

 

 両親は微妙な顔をしつつも納得したが、慌てる事は無いゆっくり進めばいいと言って寝かしつけてくれた。

 両親が「おやすみツアイツ」と部屋を出ようとした時、本日の添い寝番の巨乳メイドのエーファ嬢が控えていた。

 

 母が物凄く微妙な目を僕に向けてきたので、死にたくなった。

 

「若様、もう何時ものお休みの時間を過ぎています」とメイド服を脱ぎながら、話しかけてきた。

 

 嗚呼……リアルメイド生脱ぎに、心は興奮しているのにマイサンは微動だにしてくれない。

 エーファ嬢はメイド服を綺麗に畳むと、僕を誘ってベットに二人で入った。

 ちらりと彼女の下着姿をみたが流石に中世ですからシャツに半ズボンみたいな下着だった、しかし生地は薄く、滑らかな素材で出来ていた。

 後に添い寝の為の特別な生地と衣装だと説明してくれました。当然?子供らしく彼女の谷間に顔を埋め、胸の感触を楽しみつつ深い眠りについていった。

 

 

 貴族様万歳!僕は勝ち組。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 今日の若様はご立派でした。先ほどのスピーチや来客の貴族様達への対応など、既に御当主の貫禄が御座いました。

 現当主の旦那様は隠していらっしゃいますがロリコンでチィパイ好きの変態でいらっしゃいます。

 それで我々巨乳メイド及び見習い達は地位が低く、奥様を筆頭にスレンダー派が大きな顔をしていらっしゃいます。

 

 職場環境改善の為にも若様には、幼少の頃から巨乳好きになる様に仕向けてきました。

 そして早くも成果が有り、恋人(妾)宣言をされてしまいました。嬉しいです。

 

 これからも他の巨乳派構成員と共に、若様巨乳ハーレムを実現する為に邁進するつもりです。

 今日からはエーファ先輩に若様添い寝用専用下着を着てもらい、添い寝を実行して頂いてます。若様も早く巨乳の良さに篭絡されて下さい。

 

 

 諸悪(巨乳好き化)の根源はここに居た!

 

 

 

第3話

 

 

 僕は精神年齢30歳前に魔法使いになる!

 

 

 おはようございます、ツアイツです。今朝も幸せなぱぷぱぷ状態から気持ちよく目覚め朝の挨拶をしています。

 このエーファ嬢は、覚醒前の僕の一番のお気に入りの娘だったりします。

 黒髪ロングのおっとりお姉さん系が転生前の僕の理想だったので、無意識下で惹かれたのかな?

 

 良くやった覚醒前の僕。

 

 昨日の失敗を繰り返さない為にも、少し早いのだろうが彼女を起こす為に顔をふくよかな双子山に擦りつけた。

 

「あん。あらお早う御座います若様。今朝はお早いですね」

 

 おっとりと朝の挨拶をしてくれた。

 

「おはようエーファ」

 

 子供らしい笑顔で挨拶を返し起き上がる序に彼女の胸に軽くタッチした。

 エーファは僕の無礼にも微笑みを向けるだけで手早く自分のメイド服を着る、メイドの生着替えとは眼福だ。

 

「では洗顔とお着替えの準備をしてきます」

 

 綺麗に一礼して部屋を出て行った。

 

 嗚呼……マイサン!今日も微動だにしてくれないので心に一抹の不安が、若年性EDじゃないとね?

 

 今の目覚めのシチュエーションなど転生前ならご飯3杯は逝けるだろうに所詮は幼児ボディ。

 

 はぁ精通って大体何歳位でくるのかな?

 

 さて今日から魔法使いになる為に修行を開始するぞ。前世あわせて既に29歳、30歳迄には真っ当な手段で魔法使いに、ハルケギニア風にはメイジとならねば!

 このままでは童貞を30年貫いて童帝となり、究極の魔法使いに成ってしまう気がする……

 

 

 結論として僕は、累積年数30年童貞を貫いてしまったが、メイジとしてはギリギリ29歳でドットになれた。

 

 

 父上が誕生日の翌日から僕の為に、契約を結ぶ杖の作成を許可してくれ2ヵ月後には手元に届いた。

 専属の家庭教師がついて先ずは、コモンマジックの習得に励む。

 家庭教師の先生はリッテンさんと言い、水のトライアングルで32歳の学者肌な方です。

 感じとしては、普段のコルベール先生をフサフサにした感じかな。

 

 流石に貴族の子弟の家庭教師をするだけは有り、教え方も丁寧で分かりやすく礼儀正しい人です。

 ふっと思ったが、この時代には家庭教師斡旋組合とか有るのかな?

 

 彼は父が探してきたのだが、他の貴族からの口コミで聞いて家臣に直接交渉に行ったらしい。

 生活に余裕の無い貴族なら両親が教えるらしいので、恵まれているんだろうな。

 それにムキムキマッチョ軍曹の、スパルタ教育よりは全然ましだし。

 

 美しいお姉さまに手取り足取り個人授業も夢みたが、いくら伯爵家の御曹司相手とは言え現実としては有り得んわな。

 

「さて、若様始めまして。今日から貴方の魔法について教える、リッテンです」

 

「先ずは基本であるコモンマジックの中でレビテーションとフライを習得して頂きます」

 

 連載4話目にして始めて魔法が出てきました、ハルゲニアの魔法とはイメージと精神力が最も重要なファクターだ。

 幸い精神力は見た目5歳だが中身は29歳なので、現時点でも問題は無いだろう。

 

 先ずはレビテーション!

 

 3m先の小石に向かって教えてもらったスペルを唱え意識を集中する、因みにイメージは漫画で読んだサイコキネキスの要領で行った。

 

 結果、小石は問題なく地上1.5m位の高さでふよふよと浮いている。

 

「お見事ですぞ若様」

 

 リッテンさんが、拍手をしながら褒めてくれた。

 

「始めてで成功させるなど、若様の年齢を考えても素晴らしいですよ」

 

 父上に用意して頂いたこのタクト型の杖との相性も良いみたいだし、イメージは前世で読んだり見たりした超能力や魔法をテーマにした漫画やアニメが役にたった。

 

 砲撃とかしてみたいですNさんみたいに!

 

 続いてフライを自身に唱えてみる。イメージの元は竜の玉の舞○術だ!

 

 ふわりと体が浮き上がるのを感じる。

 取り敢えず3m位まで浮かび上がってから下を向いたら、急に心臓を鷲掴みされたように苦しくなって精神が乱れフライの制御が乱れてしまい落下してしまった。

 

「若様危ない!」

 

 とっさにリッテンさんがレビテーションを唱え、地面に激突する寸前で助けてくれた。

 

「ありがとうございますリッテン先生。高い所から見下ろしたら急に怖くなっちゃいました」

 

 

 てへ!って感じに舌をだしてあやまってみたが、まだ心臓はバクバクしっぱなしだ。

 多分前世の死亡原因の転落が関係して高所恐怖症……トラウマになってしまったのかもしれない。

 近くで様子を伺っていたのかナディーネとエーファが駆け寄ってきて介抱してくれた、みっともない所を見せてしまったかな。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 最初にハーナウ家の使者から若様の魔法指導の話を聞いた時は、断ろうかと思いました。

 両親も早く他界し独身で領地も無い名ばかりの子爵、生活に困るほど困窮はしていませんし国から頂く禄だけでも十分生活出来る。

 暇の全てを好きな研究の時間に当てられますから。

 

 何度か貴族の子弟の魔法の手ほどきをした事がありますが、私の様な没落一歩手前の貴族に対しあからさまに蔑む様な態度を取る子供が多い。

 それも親が大貴族になるほど、手の付けられない糞餓鬼達です。

 丁度、話を貰った時にどうしても欲しい魔道書が有り、高くて我慢していたのですが前金の金額で購入出来るのでつい請けてしまいました。

 

 ハーナウ家は新興ながらこの50年位で急に勢力範囲を伸ばしてきた一族。

 急に裕福になり甘やかされた子供だろうと思ってましたが、最初に会った時に随分と大人しいでなく落着いた子供だと感じました。

 

 まだ5歳ながら礼儀正しく、始めての魔法授業だと言うのに冷静に逆にこちらを観察している様な目をする事も有り、違う意味で やり難い子供だとも思いました。

 いざ授業が始まってみれは優秀な生徒でこちらの説明を正しく理解し、逆に次のステップで教えようと思った事を質問してきたりします。

 

 理解力が高いと言うか不思議と、同世代と会話している気持ちになります。

 

 先ずは基礎のコモンマジックのレビテーションを唱えさせてみました。

 初めての魔法を一度目で成功させる事も驚きましたが、魔法自体も安定しています。よほど確かなイメージが有るのでしょう。

 

 実際、両親や家臣達の魔法を直に見ていたのかもしれません。殆ど精神力の消耗も見られませんし続いてフライも実践させてみます。

 小石とは違い自身の体を浮かす訳ですし、重量も桁違いに重いので僅かに浮く位かと思えば一気に3m位まで浮かび、その後直ぐに苦しそうな顔になり制御を失い落下していきました。

 

 咄嗟にレビテーションが間に合いましたが、何故かれはあんな恐怖に歪む顔をしたのか……

 

 確かに子供があれだけの高さに上がれば恐怖するとは思いますが、もっと深い恐怖心が有る様に感じました。

 それより急に駆け寄ってきて介抱している2人のメイドと、何をいちゃついているのか。

 

 しかも両方、巨乳の美女・美少女じゃないですか。

 

 普通、使用人を名前で呼んだりする事は少ないのだが、随分と仲が良さそうなんですけどー。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 今日から若様が魔法の勉強をなさります、正直に言うと我々平民からすれば魔法は恐怖でしか有りません。

 お優しい若様の事ですから魔法を覚えても私たちに使う事はないと思いますが、やはり恐ろしいものです。

 先生の話を真剣な表情で聞いていらっしゃる若様は、凛々しいですね……えへへ。

 

 しかし突然フライでしょうか?

 

 若様の体が高く飛び上がったと思ったら、急に落下していきました。

 先生が魔法でお助けしたみたいですが、まだ初日だと言うのになんて危ない授業をするのでしょうか。

 この人は良さそうですが、頼りなさそうな方が先生で大丈夫なのでしょうか?心配です。

 

 今後は巨乳同盟のメンバーで授業を監視しないと、いけないかも知れません。

 それとこの先生、何故か我々の胸を凝視してますが……イヤラシイ。

 

 この身は既に若様の物と決まってますのに言い寄ってきたら、はっきりと伝えなくては……若様からも言われてますので。

 

 こうして見ると若様の恋人(妾)宣言は悪い虫が付かない様に、私たちの事を心配して言ってくれたのだと思います。

 次の添い寝の時には、うんとサービスをしないといけませんね。

 


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