「死者の念を喰って自分の念に出来るようにしてくれ!」
「ほう。中々、悪趣味な特典にしたのぉ」
「いやぁ、どうせハンターハンターの世界に転生するならこんくらいエグいのもありかなぁって」
「ま、確かにそんくらいでなけりゃ生き残れん世界じゃからな。あい、分かった。じゃあ早速、転生させるぞ?」
「はーい」
「それじゃあよい来世を。ポチッとな」
「あ〜れ〜」
ピュ〜〜……
「ふぅ。しかし神を前に肝の座ったやつじゃったのぅ。よし! オマケにとびきり可愛らしい容姿にしといちゃろ♪ あ、そ〜れ、チンカラホ〜イホ〜イ♪っとな」
こうして転生者•前田努は、可愛らしい顔して死者の念を吸い取る美少女として生まれ変わったのだった。
(うん? あ、転生終わった? 終わったね? よっしゃ! いっちょはしゃいどこ!)
「あ〜う〜(ひゃっほーーーッ‼︎って喋れてねぇじゃねぇか‼︎)」
不思議に思った努は、懸命に首を動かして自分が今どんな状態なのか見てみようとしたが、なぜか全く首に力が入らず無理だった。
とはいえ実はこの時点で大体の事情を察していた努は、内心かなり動揺していた。
(マズイよ! マズイよ‼︎ マズイよ‼︎! 俺、今確実にアカン坊だよぉ…赤ん坊じゃなくてアカン坊だよぉ……)
ハンター世界において長期間無防備であることは、冨樫が過労死するくらいあり得ないことなのだ。
絶望的な未来の展望にパニクりまくる努。するとそこへおもむろに一つの巨大な影が指した。
「ほう。赤子か」
(へ……?)
努はそっと瞼を開けて瞳を凝らす。そして愕然とした。
「お前も独り、俺も独り。だけど大丈夫。強がりじゃない。少しだけ嬉しい。これで同じになれた」
(へ…? は? なんで? なんでアンタがいるわけ⁈)
「来いよ。建物(アジト)は壊したくない。こっちだ。ついて来い『FOLLOW ME THIS WAY』」
(ゴンさんだーーーーーーーーッ‼︎‼︎‼︎)
こうして努は無事(?)、ゴンさんに拾われることとなった。
どうも。前田努改めイブ=フリークスです。
ゴンさんに攫わ…ゲフンゲフンッ! 拾われて早いもので5年が経過しました。
今、俺…じゃなかった私は、ゴンさんの家(と言う名の掘っ建て小屋)で一緒に暮らしています。
ハッキリ申しますと毎日生きた心地がしません。常に死と隣り合わせなのです。
朝、日の出前に目が覚めていないとゴンさんが起こしにやって来て、目覚めが悪いと遠〜くの方から「最初はグー……」の声が聞こえてくるのです。
起きた後も大変です。
顔を洗うためには小屋からだいぶ奥まった所に位置する湖のほとりまで向かわなくてはいけないのですが、迷うといけないからとゴンさんはおもむろに私を肩に担いで全身が軋む程のスピードで森の中を疾走するのです。
他にも朝食時にはーーー
とまぁ、とりあえずイブはこの5年間、ただの一度も森の外へ出ることなくゴンさんと常に二人きりで過ごしてきたのだった。
因みに念に関しては一切、触れていない。
体術なども鍛えていないので未だ無防備のままだ。
(このままじゃヤバイよなぁ…)
「はぁ…」
「どうした? イブ」
「あ、うぅん。ちょっとね…はぁ……」
「ふむ……そろそろ頃合いか」
「ん? 何か言った?」
「イブよ。お前もしかして強くなりたいんじゃないか?」
「‼︎ なんでそのことを…ハッ!」
しまった、と思い慌てて口を押さえるイブ。
ゴンさんはそんなイブを見て小さく笑みを漏らすと(実はこれ自体かなり珍しいこと)優しく頭を撫でながら言った。
「大丈夫。俺もイブくらいの頃はそうだったから」
「えっ、じゃあもしかして……」
「いいぜ」
ゴンさんの素敵なサムズアップ!
「や…ッ! やったーーーーッ‼︎」
イブは飛び跳ねて喜んだ。
「ただしッ‼︎」
「ひっ…!」
「建物(アジト)は壊したくない。ついて来い。『FOLLOW ME THIS WAY』」
「やっぱりゴンさんだったーーーーーーーーッ‼︎‼︎‼︎」
本当の地獄が幕を開ける………
どうも。あずき@です。
またまた思い付きで書いてしまいました(汗
どうしようもない駄作ですが、今後ともお付き合い頂けたら幸いです!