明久とは中学から知り合った仲で、天然なロイド達に突っ込む数少ない常識人的立場の子供。「ロイド達がまた変な騒ぎを起こさないか心配でFクラスに来た」と口では言うものの、本音はロイド達と同じクラスになりたかったからである。プレセアが明久に好意を抱いているのは気づいてはいるが、彼女の笑顔等を見るたびに顔を真っ赤にして気絶する。
得意科目:理数系全般
苦手科目:なし(強いて言うなら保健体育)
趣味・特技:剣玉
将来の目標:最年少で東大卒業
姉の料理について:科学でも証明出来ない何か
リフィル・セイジ
ジーニアスの姉。両親は既に他界していて代わりにジーニアスの面倒を見ている。授業になるとかなり厳しく、少しでもサボっている人を見つけると容赦のないお仕置きをする。また、遺跡マニアでもあり、遺跡の話になると休み時間になってもそのまま続行する事がある。
担当クラス:Fクラス
担当科目:日本史、世界史
趣味・特技:チョーク投げ、尻叩き等お仕置き関連のもの、料理(という名の兵器らしきもの)作り
目指している事:世界にある遺跡を全て調べ尽くす
今でも気になっている事:自分が料理をしようとするとジーニアス等が全力で止めようとする
最近思いついた新しいお仕置き:ジャーマンスープレックス(男子生徒のみ)、デコペン
「ねぇ雄二。ちょっと良いかな?」
事の全ては明久君のこの台詞から始まった。
「ん?何だ?」
「ここじゃ話し難いから廊下で。」
「別に構わんが。」
「僕達も良いかな?」
「良いよ。」
明久君がミイラ男(雄二君)に声をかけ、廊下に移動する。それが気になり僕とマルタもついて行く。
「んで、話って何だ?」
廊下は今はHR中なのか人影が全くない。中だと話しづらい事ってなんだろうか。
「改めて見るけどこの教室ってかなり酷いよね。」
「想像以上に酷いよな。」
「一瞬別の世界に来てしまったと思っちゃったよ。」
「寺子屋って感じ。」
「皆もそう思うでしょ?」
「そりゃそうだ。それに比べてAクラスは」
「ノートパソコン、個人エアコン、冷蔵庫、リクライニングシートとか・・・」
「どれも普通の教室ではあり得ない豪華な設備ばかり・・・。」
向こうがプラズマディスプレイに対し、こちらはチョークすらなく今にも外れそうに傾いている黒板。これに不満を抱かない生徒は多分・・・いや、間違いなくいない。
「そこで僕の提案。『試召戦争』をしたいと思うんだけど。」
「ほう・・・。」
「試召戦争って、テストの点数を使って勝負するという・・・」
「うん。もちろんAクラス相手に。」
この文月学園には科学とオカルトと偶然によって作られた「召喚システム」という物がある。これはテストの点数に応じた強さをもつ召喚獣を呼び出し、戦う事が出来るシステムで、教師の立会いの下で行使出来るという。学力低下が嘆かれる昨今、僕達生徒のモチベーションを上げるために提案された、召喚獣を使ったクラス単位の戦争、それが試験召喚戦争略して試召戦争である。
「でも何で急にそんな提案するの?新学期早々何もせずに挑むなんて誰が見ても分かるものでしょ。私はエミルがいるからどっちでも良いけど。」
とマルタが疑問に思うが、前半はともかく後半のそれは個人個人で。
「大方、姫路のためとでも言いたいんだろ?」
「ギクッ」
図星だったのか、明久君の背筋が一瞬伸びたように見えた。
「・・・はは~ん。そういう事ね。体が弱い瑞希のためにそれに相応しい設備を手に入れるために起こそうって訳?」
何かを察したかのようにマルタが悪戯な笑みを浮かべながら明久君をからかう。
「ち、違うよ!別にそういう理由じゃなくて」
「はいはい。今更言い訳しなくて良いんだよ。」
「だから違うって!」
明久君が何かを考えている時は表情に出ているのかマルタや雄二君にバレやすい。1年の頃もそうだった。
「まぁ気にすんな。俺も試召戦争をやろうと思っていた所なんだ。」
「雄二も?」
「あぁ。世の中、学力だけが全てじゃないって証明したくてね。それに良い作戦を思いついた。・・・おっと。先生が戻ってきたみたいだな。教室に戻るぞ。」
どういう事か分からず雄二君に促されるまま、僕等は教室に戻った。この時一瞬リフィル先生の顔に何か赤い液体が付いていたように見えた。あれはきっとトマトジュースかケチャップだ、そう信じながら。
☆
先生が帰ってきて教卓も新しい物に替わり自己紹介が続行された。特にこれといった事はなく、最後に未だ完全ミイラ男のまんまの雄二君の番が来た。
「では坂本君、よろしく。」
「了解。」
そんな事も先生は気にせず雄二君を呼ぶ。雄二君は先生に呼ばれ、堂々としていて自信に満ちた表情で教壇に立つ。
「Fクラス代表の坂本雄二だ。代表でも坂本でも好きに呼んでくれ。」
と言われたので明久君から
「じゃあリアルミイラ男。」
と悪口っぽく呼ばれた。
「殺す「「あぁ?」」・・・すまん。何でもない。」
殺すぞ、と言おうとしたがやめた。僕自身見てはいないものの声の主からすると恐らくしいなとプレセアの2人に睨まれたのだろう。
「それは置いといて、お前等に1つ聞きたい事がある。俺等が今いるこの教室の設備はというと、古く汚れて綿がほとんどない座布団、薄汚れて今にも壊れそうな卓袱台、ボロボロのロッカー。対するAクラスは冷暖房完備の上に椅子はリクライニングシートらしいが・・・」
一呼吸し、静かに告げる。
「不満はないか?」
『『『大有りじゃあぁぁーーー!!!』』』
皆の溜まったストレスが一気に爆発した瞬間であった。
「そうだろう?俺だって大いに不満だ。」
『当たり前だろうが!』
『学費が安いのは良いとしてこの設備はあんまりだろうが!改善を要求する!』
『Aクラスだって同じなのにこの待遇の差は酷すぎるぞ!』
次々と不満の声を上げるクラスメイト達。
「皆の意見は最もだ。そこで俺からこんな提案をしたい。」
クラスメイトの反応に満足したのか、雄二君は不敵な笑みを浮かびながら
「FクラスはAクラスに試験召喚戦争を申し込もうと思う。」
試召戦争の引き金を引いたのである。
”蒼龍”さんリクエストその2
マルタと美波の『ツンデレについて』
「ねぇ美波。「ツンデレ」って知ってる?」
「「つんでれ」・・・?何それ?」
「普段は敵対的な態度を取るツンツンと過度に好意的な態度を取るデレデレの両面を持つ事らしいんだ。簡単に言うと、好意を抱いているけど素直になれない人の事だと思うんだ。」
「?・・・えっと・・・、例えばどんな感じ?」
「そうねぇ・・・例えば、好きな人がお弁当を忘れたとすると。」
「うん。」
「お弁当を渡しながら「か、勘違いしないでよねっ。ただおかずが余ってて捨てるの勿体無かっただけなんだから!」のツンと「残したら承知しないんだから・・・。・・・察しなさいよ鈍感。」のデレという感じかな。」
「う~ん・・・。複雑すぎてよく分かんないな。」
「じゃあ、今日私の家に来て調べを兼ねて練習してみる?それで今度お互いの好きな人にそれをやってみようよ。」
「そうね。面白そうだからやってみよう!」
「・・・何の話をしてるんだろう、島田さんとマルタ。」
「さ、さぁ・・・。とりあえず今のあの2人に関わらない方が良いんじゃないかな?」
「そう、だね・・・。」