エミル・キャスタニエ
マルタの幼馴染で、小学校の終わり頃から付き合っていて、中学時代から同棲している(両親公認済み)。明久達とは1年の頃に知り合った。鉄人(西村宗一)を恐れない数少ない生徒で、相談相手になってくれた事もあり尊敬している。
得意科目:日本史、世界史
苦手科目:保健体育
趣味・特技:細工菓子作り
目標としている事:マルタに頼らず自分1人でも何とか出来る様にしたい
最近気になる事:マルタが近くに来る度にクラスメイトから凄い殺気を貰われる
マルタ・ルアルディ
エミルの幼馴染で、小さい頃から彼に好意を抱いている。小学校の終わり頃に告白し、中学時代から同棲している。喧嘩が強くエミルを傷付ける者には容赦なく懲らしめる。それが原因で彼女に対して苦手意識している人は数知れない(雄二もその1人)が本人は気にしていない。
得意科目:全て(特に文系)
苦手科目:なし
今目指している事:料理の腕を上げる
ライバル視している人物:藤林しいな、姫路瑞希
生きていて一番ビックリした事:自分ってこんなに喧嘩強いんだ
キーンコーンカーンコーン・・・
HRのチャイムが鳴り、皆は自分の席に着いた。雄二君から聞いた話じゃ、このクラスでは席は特に決まっていないそうだ。なので空いている一番後ろの席にした(マルタは迷う事無く僕の隣に)。
「皆さん、おはようございます。今日からこのクラスの担任の・・・・・・と、その前に忘れ物をしてきたのでちょっと職員室行ってきます。」
自分の自己紹介をする前に僕等に一言言って教室を出て行った。
「ねえマルタ。リフィル先生どうしたんだろう?」
「多分・・・チョークが無かったんじゃない?」
チョークがないと黒板に文字が書けないし授業が進まないのにそれが無いって、授業をさせる気があるのかな?この学校。
1年の頃は噂を聞いて知ったんだけどまさかここまで酷いと思うと言葉が中々出ない。
『おい見たか?あの先生。』
『あぁ。すっごく綺麗だったな。高橋女史より好みかも・・・。』
『それオレも思った。あんな綺麗な人がオレ達の担任だなんて、Fクラスになって正解だったかもな。』
一方、クラスの皆(9割くらい男子)はリフィル先生の事で何か色々言っている。何て言うか・・・その・・・、
「このクラスって皆バカばっか?」
言った!僕が言おうかどうか迷っている所をマルタが呆れながら平気で言った!と思っている所でちょうどリフィル先生が帰ってきた。
☆
「では改めて、このクラスの担任となりました、リフィル・セイジです。よろしくお願いします。皆さんに卓袱台と座布団を1つずつ支給されていると思いますが、不備がありましたら申し出てください。」
「先生、オレの座布団に綿が殆ど入ってません。」
「オレのもです。」
と、クラスの何人かが早速不備を申し出た。
「分かりました。新しいのと取り替えるよう手配しておきますから今は我慢してください。」
「先生、オレの卓袱台の足が折れてます。」
「・・・それも手配しておきます。それまでは木工用ボンドを渡しますのでそれで直してください。」
「先生、窓が割れていてそこから入る風が寒いんですが。」
「後で新しい窓ガラスに変えておきますから我慢してください。」
リフィル先生・・・、体が小刻みに震えています。先生もここがこんなに酷いのは知らなかったのかな。
「では、皆さんの自己紹介をしたいと思います。廊下側の人からお願いします。」
先生からの指名を受け、廊下側の1番前に立っている生徒が立つ・・・て、あれは
「木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる。よろしく頼むぞい。」
明久君、雄二君と同じく去年のクラスメイトの秀吉君だ。古風な喋り方が特徴の・・・
「それと、皆誤解をしてると思うから言うぞ。ワシは男じゃ。」
うん、だよ・・・
『『『何ぃぃぃ!!!?』』』
ね~えぇぇぇ!?皆女だと思ってたの?確かにぱっと見だと女の子のような顔だと思うけどそこまで反応する事なの?
「・・・・・・土屋康太。趣味は盗さ・・・何でもない。」
彼も去年一緒だった土屋君。相変わらず無口で大人しい。目立つのはあまり好きじゃないって感じだ。何か言おうとしてたけど聞こえないフリでもしとこう。
「島田美波です。海外育ちなので日本語での会話は出来ますが読み書きはあまり得意ではありません。趣味は料理です。」
またもや同じクラスだった人だ。去年はよく暴力を振ってた(主に明久君に)みたいだけど最近になってそんな光景は見られなくなった。
「え?島田さん?」
「はろはろ~吉井。今年もよろしくね。」
「うん、こちらこそよろしくね。」
島田さんが笑顔で挨拶するのを明久君は笑顔で返す。今はこんな感じで仲が良いそうだ。まるで僕とマルタみたいだ。
「---です。よろしくお願いします。」
そしてその後は自分の名前だけを告げ、僕の番が来た。
「エ・・・エミル・キャスタニエ・・・です。その・・・よろしくお願いします。」
知っている人もいるとはいえ、やっぱり緊張はする。
「もう!そんな風にいちいち他人の顔を窺ってたら相手に気を遣わせちゃうでしょ!男ならはっきりする!」
「ご・・・ごめん。」
そしてマルタに叱られる。しょうがないし分かってはいるんだけどね。
僕の番が終わり、次はマルタが立つ。
「マルタ・ルアルディです。エミルとは幼馴染で彼氏です。好きな人もエミルです。」
自慢したい気持ちは分かるけどいきなりそれを言われると恥ずかしいん・・・
ヒュッ
カッ
・・・・・・え?マルタの方を見ていた僕を飛んできたカッターが横切り、壁に突き刺さった。僕はそれを確認し、恐る恐る飛んできた方を向くと・・・
『『『エミル・キャスタニエぶっ殺す!!』』』
えーーー!?皆からとてつもない殺気が僕に向いてきてるんだけど!?
「それと、エミルに手を出した奴全員・・・覚悟しなさい?良いわね?」
『『『サー!イエッサー!』』』
マルタが今まで聞いた事のない低い声と同時に指をポキポキ鳴らし、全員が恐れをなして敬礼する。そりゃあんなに殺気立たれちゃそうするしかないよね。
「マルタさん。この場であまりそういう物騒な発言は控えなさい。皆もカッターしまいなさい。」
「「「はーい。」」」
リフィル先生に注意されまだカッターを飛ばしていない人達はカッターをしまい、引き続き自己紹介をする。次は
「プレセア・コンバティール・・・です。趣味はありません。よろしくお願いします。」
土屋君と同じ、相変わらず無口無表情なプレセアの番だ。明久君の幼馴染らしいけど言わなかった。さっきみたいな光景にならないようにしたんだろう。
「藤林しいなです。家は武術の道場をしています。よろしくお願いします。」
彼女も明久君の幼馴染のしいな。昔マルタと喧嘩(というか勝負)して負けた過去があるらしく、マルタにライバル意識をしている。マルタもそのようでその理由を聞こうとしたが「乙女の秘密よ!」とか言って教えてくれなかった。
次は明久君の番か。さっきの似合わなさそうな挨拶みたいなのをしないと良いけど。
「えーっと、吉井明久です。気軽に「ダーリン」って呼んでくださいね♪」
・・・・・・うん。軽いジョークのつもりだよね?そうだよね?本気だったら流石に引くよ。それに皆がそんな呼び方する訳が・・・
『『『ダァーーリィーーン!!!』』』
あったー!まさか本当に言うなんてこのクラス意外とノリ良くない?
「(な、何を言わせようとしてるんだい明久!?)」
「・・・ダーリン(ボソッ)」
よく見てみると、顔を真っ赤にしているしいなとボソッと表情を変えず何か呟いているプレセアの姿があった。
「・・・失礼。忘れてください。とにかくよろしくお願いします。」
明久君は笑顔のまま席に着いた。そしてそのまま自己紹介が続く。
「明久君。今の・・・軽いジョークのつもりなんだよね?」
「当たり前じゃないか。だけど、まさか本当に呼ばれるなんて思わなかったよ。うぷっ、吐き気が止まらない。」
やる訳ない、と思う事を普通にやるとは。Fクラス、恐るべし。
自己紹介がそろそろ終盤になろうとしたその時だった。
「すいま、せん・・・。遅れて、しまい、ました。」
教室のドアが開き、胸に手を当てて息を切らしながら喋る女の子が現れた。
ロイド達の自己紹介?もう終わってるよ?
「今回のは随分と長いんだね。いつもは2000も行かないのに。」
ロイド達を除くメンバーの自己紹介をさせようとしていたらこんなになっちゃってね。
「どうせならエミルを襲おうとする奴等を私が倒すシーンとか書けば良かったじゃない?」
後でリフィル先生にお仕置きされるとしても?
「すいません。調子に乗ってました。」
あのマルタがここまでするなんて・・・。
「前に1度リフィルさんのお仕置きを食らった事があって、それがトラウマになってるみたいなんだよ・・・。」
リフィル先生も恐るべし。