バカと弱気な少年と強気な少女   作:HAZAMA

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序章 試験<熱とかで休んでる人って実際いるのかな?

文月学園高等部。それは科学と偶然とオカルトによって開発された「試験召喚システム」を試験的に採用し、学力低下が嘆かれる昨今に新風を巻き起こした試験校である。

今日はその文月学園にてクラスを決める振り分け試験が行われる。この振り分け試験の結果に応じて自分達のクラスや待遇が変わるのだ。クラスはA、B、C、D、E、Fと6クラスに分かれており最高がAクラス、最低がFクラスである。

僕吉井明久は1年の頃からの知り合いである悪友坂本雄二等と共に試験会場に向かっている所である。

 

「明久。『三権分立』とは「司法」と「立法」ともう1つは何で成り立つか分かるか?」

 

テスト前の小手調べという事で、雄二は僕に問題を出してきた。

 

「ちょっとちょっと。バカにしないでよ雄二?ちゃんと答えは分かってる。」

「ほう?じゃあ答えてみろ。」

 

1年の頃に習った授業だ。この程度などどうって事はない。

 

「「行政」でしょ?」

「へぇ、意外だな。こんなバカでもちゃんと解けるんだな。」

 

さっきバカにしないでよと言ったのに失礼な奴だ。僕はこの日のためにちゃんと勉強したんだぞ。

 

「それよりも明久。あの2人はまだ来てないのか?3人で来る予定だったっだろ?」

 

問題を鞄の中にしまった雄二が僕に聞いてきた。あの2人とは雄二達と同じく1年の頃に知り合ったエミル・キャスタニエとマルタ・ルアルディの事である。

 

「あぁ、それの事なんだけどちょうど出掛けようとした時にエミル君からメールが来てね。」

 

僕はポケットの中に入ってる携帯を取り出し、受信ボックスに入っているメールを開いた。そこには

『Fromエミル

ごめん明久君。マルタが急に熱を出しちゃったらしくって。自分の事は良いから試験に行ってと言われたけどやっぱり放っておけないから看病する事にしたんだ。だから君だけでも上のクラスに行けるよう頑張ってね。』

 

という内容が書かれていた。

 

「なるほどな。だとすればあの2人はFクラス行き確定だな。」

「どうしよう。僕だけ頑張ったって2人と同じクラスにはなれないし。」

「だったらお前もFクラスに入るのか?そうすればあいつ等と同じクラスになれるだろうからな。」

 

雄二の言ってる事は最もだ。確かに名前未記入とか問題を1問も解かなかったりすれば彼等と同じクラスになれる。そりゃ僕だってそう思ってはいたんだけど・・・。

 

「せっかく応援してくれてるのにそれはちょっと勿体無い気がするんだよね。」

「そうか。ま、どうするかはお前が決める事だ。そこら辺は精々頑張るこった。」

 

エミル君の応援に応えて上のクラスに行けるよう頑張るか、2人と同じクラスになるためにFクラスへ行くか、僕の頭はその2つの選択肢の事でいっぱいだ。そんな事を考えながら試験会場に入っていった。

 

 

                     ☆

 

 

カリカリカリ・・・

 

試験が始まり、僕の周りにいる皆はお喋りを止め、目の前に出された問題に集中している。その皆の中にはただ問題とにらみ合いをしていて答えを書いていない人や鉛筆を転がしてもう諦めたような雰囲気を出している人もいた。諦めんなよ!と言いたい所だがそこはあえて無視しておこう。しかし、これが難しいと噂されている振り分け試験か。噂どおりかなり難しい。でもエミル君達と勉強した甲斐があったか、ある程度の問題は解ける。頑張ろうと思えば精々BかC辺り、酷くてもDぐらいは行けるかな?なんて考えていた時に事件は起きた。

 

ガタッ

 

僕が音をした方へ向いた先には小さい頃からの知り合いで僕の憧れである姫路さんが倒れていた。

 

「姫路さんっ!?」

 

席を離れ姫路さんの様子がおかしいと思った僕は額に手を置いてみた。かなりの高熱だ。どうしようかと思っていると気づいた男の先生がこっちに来た。

 

「先生!大変です!姫路さんが熱で!すぐに保健室に行かないと!」

 

すると

 

「分かりました。ですが姫路さん。試験途中での退席は無得点扱いになりますが、それでも宜しいですか?」

 

先生から無慈悲な言葉が発せられた。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!退席しただけで無得点扱いなんてそんなの酷いじゃないですか!」

 

と僕は反論しようとするが

 

「・・・はい。」

 

姫路さんは了承してしまい、僕は反論出来なくなった。

 

「それで、吉井君はどうしますか?貴方が保健室に同行するのでしたら、貴方も無得点扱いになりますよ。」

 

突っ立っていた僕にも先生はそう言った。あんな事言われて可哀想と思った姫路さんを僕は放っておけず、

 

「・・・同行します。」

 

退席する事にした。

 

「やれやれ。」

 

これでFクラス行きは確定したものの、後悔はしていない。

 

 

                     ☆

 

 

一方その頃

 

「これで良し、と。一緒のクラスにはなれないかもしれないけど会えなくなる訳ではないし良いか。」

 

メールを送信し終え、携帯を閉じた少年エミルは幼馴染であり彼女でもある少女マルタの看病をしだした。

 

「もうっ、私の事は良いから振り分け試験に行ってって言ったのに。」

 

と膨れっ面になるマルタ。エミルは少しおどおどしながらも

 

「ごめん。でももし仮に試験に行ったとして帰ってきた時に悪化してたらどうするの?そう思うと気が気でならないしとても試験に集中出来ないからそれで・・・。」

 

と言った。

 

「エミルったら・・・。」

 

と少々呆れつつも自分の事を心配してくれて嬉しいと思ったマルタである。

 

 

 

 

 

・・・・・・あ、次の日風邪をうつされたなんてオチはないからね?

 




「そういえば作者さん。この作品を書いている所悪いんだけど、もう1つの方の更新はどうしたの?」

う~ん、何て言うかねぇ、内容がどうも良いのが思いつかないというか・・・。

「どうせ作者さんの事なんだから全然考えていないんじゃないの?」

「ちょ、ちょっとマルタ。それは言い過ぎなんじゃ・・・。」

良いって良いって。1割は当てはまってるから。

「1割なんだ・・・。」

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