タバサがまた戻ってきたのは2日後の夜だった。タバサは疲れていたのか、帰って来ると、すぐに眠りについた。着替えるのも億劫だったのか、帰ってきた格好のままだった。この次の日は虚無の曜日と言い、いわゆる休日である。のどかが起きると、もう既にベッドの上にちょこんと座り、本を読んでいた。のどかは昨日タバサがすぐに眠ってしまったのを知っていたので、昨日と服が変わっていないことに気づき、タバサにある提案をした。
「タバサさん、シャワーでも浴びたらどうですかー? 少し身体を温めたほうがきっと本も集中して読めると思いますよー」
「必要ない」
あっさりと断られてしまった。のどかはガクリと肩を落としたが、まだ諦めてはいないようだった。
うーん、やっぱり外国人みたいな感じなのかなー。あまりお風呂には入らないみたいだしー……せっかくだからお風呂の良さを知ってほしいかも。
「タバサさん、実はお風呂の用意できてるんですー。一緒に入りませんかー?」
「必要ない」
ううー、頑固だよー。あ、そうだ。もしかしたら……
「タバサさん、実はお風呂って日本の文化の一つなんですけどー、それでもダメですかー?」
「入る。早く言ってほしい」
「あ、あはは。ごめんなさい」
のどかはタバサの変わり身の速さと自分のアイディアがこんなにも上手くいくとは思っていなかったので、驚きを通り越して呆れを覚えていた。タバサは自分の着替えを持って、お風呂に行くために、外へ出ようとしていた。
「どこに行くんですかー?」
「浴場」
「よ、浴場なんてあったんですか?」
「当然」
「そ、そうですよね、よく考えたら貴族の方たちが自分でお風呂掃除とかするわけないですもんね」
のどかはどこに行くのか聞いて驚いた。のどかはどうしてその可能性を考えなかったのかと少し落ち込んでいた。とりあえず、タバサが外に出ようとすることを制止すると、お風呂場に連れて行った。2人の部屋のお風呂には浴槽があるが、貴族のタバサにとっては小さいと感じてしまうものだろうとのどかは予想していた(それでも、一般家庭のものよりは大きいのだが……)。のどかは、初めて来た日から貴族たちが使う大浴場ではなく、備え付けの浴槽を使用していた(単に、大浴場の存在を知らなかっただけだが)。脱衣所で服を脱ぎ終えた2人は扉を開けて、お風呂場に入っていった。
「少し狭い」
「そんなことないですよー。これでも日本の一般家庭よりは大きいんですよー」
「そう……浴槽に蓋がある。どういうこと?」
「開けてみればわかりますよー」
のどかはタバサの疑問を解消する方法を提示した。タバサも気になっていたのか、浴槽に近づき、蓋を開けた。すると、湯気が立ち込めてきた。立ち上る湯気を見たタバサは更に疑問を浮かべた。
「蓋の意味を知りたい」
「それはですねー、お風呂場がカビやすくなっちゃうからです」
「大浴場は蓋がないが、カビがない」
「それは、きっとメイドさんたちが一生懸命お掃除してくれているからだと思いますよ。それに蓋をするとお湯が冷めにくいんです。」
「……なるほど」
タバサは少し考えて自分の中で結論を出したようだった。
「お湯が多い、なぜ?」
「これが日本式のお風呂なんです。警戒しなくていいですから入ってみてください」
タバサは、それでも多少警戒しているようだったが、のどかに勧められたので、浴槽のお湯に身を沈めた。すると、大浴場では絶対に起こらないことが起きた。それは、はぁーっと大きく息を吐いたことだった。タバサは普段絶対に起こらないことが起きたので、ほんの少し顔を赤くさせた。しかし、のどかもお湯に浸かるとタバサと同じように大きく息を吐いた。タバサはこれを不思議に思って、のどかに聞いた。
「あなたも、私も大きく息を吐いた。これは?」
「あー、これはですねー。肺に溜まっていた空気が温められて、その空気を吐き出しちゃうからだそうですよー。やっぱり大浴場だと半身浴なんですねー」
「確かに体の半分しか浸からない」
「日本のお風呂はここがいいんですよー。全身がポカポカしてきませんかー?」
「する。心地が良い」
「これが日本式のお風呂です。外国の方もこの感じが好きなようで、結構気に入ってくれるんですよー」
「納得。私も嫌いじゃない」
「ありがとうございますー」
タバサはお風呂が嫌いじゃない、と言ったのに、のどかがお礼を言った理由がわからず、小首をかしげた。
「なんだか私の国が褒められている気がして、嬉しいんです。タバサさんも自分の国の文化が褒められると嬉しくなったりしませんかー?」
「私にはわからない」
「そうですか……これから見つけていきましょう。自分の好きなところとか……」
タバサが暑いと言い始めるまで、2人はお風呂の中で談笑していた。タバサが湯船からあがると、のどかも一緒に湯船からあがり、タバサに浴場に置いてあった椅子に座るように促した。タバサはのどかの言うとおりにして、椅子に座った。のどかはタバサの髪をシャワーで濡らすと、シャンプーを自分の手に出した。そして、手のひらをこすり合わせ、泡立てると、そのままタバサの髪を洗い始めた。ワシャワシャと乱暴にするのではなく、丁寧に洗った。タバサも気持ちが良いらしく、目を細めて、されるがままになっていた。
「流すので目を閉じてくださいねー」
「わかった」
「じゃあいきますよー」
お湯をタバサの頭から流した。それをタバサの髪についているシャンプーの泡が完全に流れ落ちるまで繰り返した。今度はタバサが、のどかの髪をお礼に洗いたいと言い始めた。のどかも笑顔でお願いした。タバサの洗い方はぎこちなかったが、のどかもタバサと同じようにしていたので、恐らく気持ちが良かったのだろう。
「流す。目を瞑って」
「はい、わかりましたー」
タバサはのどかが目を瞑ったのを確認してからお湯をかけた。当然、シャンプーの泡が流れ落ちるまでそれを繰り返した。その後は身体を洗おうと思ったのだが、タバサがのぼせ気味だったこともあって、仕方なく浴場から出た。
「タバサさん、大丈夫ですか? すいません、全身浴が初めてなのにのぼせるまで一緒に付き合ってもらっちゃって……」
「構わない。これならまた入りたい」
「そう言ってくれると嬉しいです。あ、これで体と髪を拭いてください。ドライヤーとかないので、髪は乾くまで時間かかると思いますけどー」
「ドライヤー?」
「髪を乾かす道具です。もしかして似たようなものってありますか?」
「ある」
そういうとタバサは、のどかから受け取ったタオルで体を拭きつつ、ドライヤーの代わりのモノを取り出した。それは当然だが、コンセントがなく、スイッチ1つで動くようだった。
「わぁ、ありがとうございますー」
「気にしないで」
2人は髪を乾かし、着替えを終えると、ベッドの上で本を読み始めた。2人とも本の虫だけあって、お互いが本を読んでいる間は静かなもので、タバサが『サイレント』の魔法を使う必要などなかった。その無音の空間は恐らく、学院の図書館よりも静かなものだろう。人が歩く音もなく、ただ本のページがめくられる乾いた音だけがある、そんな空間だった。タバサは1人で本を読んでいる時しかこの空気を感じたことはなかった。のどかはタバサとは違い、親友である夕映とならばこの空間を築くことができたので、特別には感じていなかった。しかし、タバサは違った。のどかのいる空間で本を読むことはあっても、一緒に本を読むことはなかった。なぜなら、今週タバサはいろいろと学院を開けることになってしまったり、のどかに言葉の読み書きを教えたり、教えられたりしていたので、ゆっくり本を読む時間はなかったからである。のどかと一緒の空間で別々の本を読むことはなかったのだ(お互いの国の本を2人で一緒に読むことはあったが)。タバサにとって読書中の他人は例外の人物であろうと、煩わしく思ってしまう。
「(私はこの人のことを気に入っているみたい。キュルケと同じくらいかそれ以上に大切なのかもしれない。また辛くなるだけなのにどうして……)」
のどかは読書中のタバサでも、煩わしく思うことない稀有な人物のようだった。タバサはその考えをすぐに打ち切り、本に没頭した。
昼前になり、2人の部屋のドアが激しくノックされた。タバサは気づいたようだったが、無視していたのに対し、のどかは本を読み始めると、周りの音が聞こえなくなるので、本当に聞こえないようだった。すると、ドアが突然開いた。鍵をかかっていたのにも関わらず、だ。タバサはドアが開けられた瞬間に『サイレント』の魔法を使った。入ってきた人の正体はキュルケであった。キュルケは何か言っているようだが、タバサには当然聞こえない。仕方なく、のどかに話を振った。のどかはキュルケが入ってきたことに、声をかけられてからようやく気づいた。
「ど、どうしてキュルケさんがここにいるんですか!? 時間的にはお昼のお誘いですかー?」
「そうね、一緒にお昼もいいわね……って違うわよ! タバサに用事があるのに、タバサが『サイレント』を使っているせいで、聞いてくれないのよー」
タバサはキュルケがのどかに話しかけた時点で『サイレント』は解いていた。そのことに気づいたキュルケはタバサに泣きついた。理由も説明しつつ、である。そうやって、ようやくタバサは頷いた。窓を開けて、指笛を吹くと、タバサの使い魔であるシルフィードが飛んできた。
「ねえ、タバサ。ノドカも一緒でいいかしら?」
「当然」
「本当ですかー? 竜種の背中に乗るなんて初めてですー。タバサさんありがとうございます」
「構わない」
「なにー? タバサとノドカやけに仲良くなってるじゃない。何かあったの?」
「えーっと、一緒にお勉強したりですとか、特訓したりですとかー……」
「へー、いいわねー。でも、あたしは勉強は嫌だわー。特訓もだけどねー」
「全くいいって思ってないじゃないですかー」
「内容はともかく仲良くなれて良かったわね」
「あ、はいー」
「どっち?」
タバサはのどかとキュルケが喋っているのが少し気に入らないのか少々声に苛立ちが含まれていた。
「なに、タバサあなたもしかして嫉妬してるの? あたしとノドカが仲いいから」
「違う。本が途中になった。それでどっち?」
「そういうことにしておくわ。…………ゴメン、どっちかわかんない」
「馬2頭。食べちゃダメ」
タバサがそういうと、シルフィードはかなりのスピードで飛び始めた。そして、シルフィードが自分の仕事を始めたのを確認すると、キュルケの豊満な胸を背もたれに本を読み始めた。のどかは初めて竜種に乗って、興奮していた。
えへへー、帰ったら夕映に自慢しないとー……竜種の背中に乗ったんだよーって。ふふ、楽しみだなー。でも、もし、帰ることになったらタバサさんたちとはもう二度と会えないんだよね……それはイヤだなー。せっかく仲良くなれたのに……
しばらくして、シルフィードはトリステインの近くに降り立ち、3人は街の中へ入っていった。ちなみに、トリステインとはハルケギニアの西方にある国である。のどかの通う魔法学院もこの国にある。
「何よ、ルイズたちったら王都に来たかったの? まあいいわ、いくわよ。タバサ、ノドカ」
キュルケは2人を引っ張ってルイズたちを探し始めた。いろいろなところを見て回った。魔道書店、食べ物屋、露天商、ランジェリーショップなどなど。それでもルイズたちを見つけることは叶わなかった。キュルケが半ば諦めかけていたとき、のどかが1つ思いついたように言った。
「あの、キュルケさん。もしかしたら武器屋かもしれないですよ。才人さんは私の持っていた武器を持ったら強くなったので、ルイズさんがそのことを覚えていたなら、剣を買ってあげようと思うはずですからー」
「なるほど……でもねノドカ、そういうのは先に言いなさい! 無駄に歩き回っちゃたじゃないのよ!」
「ご、ゴメンなさいー」
「とにかく行くわよ」
魔道書店にずっと留まっていたタバサを回収して、3人は武器屋へと向かった。路地裏を入って、更にまだ奥へと続く道を行った先にようやく武器屋があった。3人が武器屋を見つけた時に、ちょうどルイズと才人が武器屋から出てきたところだった。キュルケは普通に声をかけようとしたのどかの口を抑えて、物陰に引っ張り込んだ。のどかは苦しそうにもがいていた。タバサはキュルケの手を引き剥がした。
「大丈夫?」
「は、はい。大丈夫ですー。でも、キュルケさん。どうして挨拶しちゃダメなんですかー?」
「決まってるでしょ、ルイズを悔しがらせてやるためよ」
「なんだか悪役っぽいですー」
3人は武器屋のドアを開けて、入った。そうすると、胡散臭い店主がいた。店主は意外そうな顔をして、こう言った。
「こりゃ、驚いた。1日に二回も客が来るとは! へへ、それで何をご所望で? と言ってもウチには剣の類しか置いていないんですがね」
キュルケはそれを無視すると、カウンターに置いてあった金で出来た剣に目を付けた。
「これいくらかしら?」
「(こいつはなかなか金持ってそうだなあ。甘ちゃんの貴族を騙してやるぜ)へへ、3000エキューでさあ」
「高いわねぇ、もっと安くならないの?」
キュルケは胸元を店主に見せつけた。店主の目はキュルケの谷間にクギ付けになった。キュルケは薄く笑うと、交渉を始めようとした。その時だった。
「あ、あのー。非常に申し上げにくいんですけど、これ偽物ですよ」
「「へ(は)?」」
のどかがこう言うと、店主とキュルケは同時に固まった。店主はいち早く我に返り、のどかに激昂した。
「なんだとぉ!? これはかの有名なゲルマニアの……」
店主が何かを言いかけたところで、のどかが遮った。
「本物ならそうだと思います。でも、これはあなたが軽々と持ち上げていました。男の人とは言え持ち上げたんです。純金製と言われるこの剣を。もし、純金ならば重くてとても使うことができないと思います。恐らくメッキでもしたんでしょう」
「(バレてるだと……!? この俺が本物を模倣して作ったというのに……クソッ!どうすりゃいいんだ)」
「その様子ですと、もしかして偽物を掴まされた可能性も否定できないですね」
「マジかよ……ウソだろ(へへっ、ラッキー。お前の話に合わせればいいだけだぜ。これだから貴族ってのはバカなんだよ。自分が騙されているとは思わねーんだからなー)」
「そうですか、じゃあ仕方ないですね。あ、そうでした。あなたのお名前教えてくれませんかー?」
「へ?(何言ってやがるんだ、この
「ありがとうございます、ロックさんですね。そうですね、そんなところです」
「なーに? 平民のくせに姓まで持ってるわけぇ?」
「(あっ、しまった! 怪しまれちまう! こいつがおっとりしていやがるからつい口が滑っちまった)え、えーっとそれは……」
「まあいるのよねー。貴族に憧れて、自分に姓を付けちゃう痛い人」
「へ、へへ。いやーお恥ずかしい限りです(つくづくバカで助かるぜ)」
のどかは後ろを向き、ポケットからカードを取り出した。そして、ある呪文を唱えた。
「
今回は服装は変えずに、そのままの服装であるが、本が突然現れた。更に、耳には羽の形をしたイヤリングのようなものが付いていた。それを確認できたのはタバサだけだった。タバサは目を見開いていた。突然何もないところから本が出てきたのだから当然である。そして、のどかが衛士隊を呼んで来てほしいとタバサにお願いした。タバサは店を出て、のどかに言われて通りにした。のどかは店を出る寸前のところで、踵を返し、店主――ロックに近づいた。先程出現した本が開いている。ロックは本が開いていることなど、気にも留めず頭に疑問符を浮かべた。
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なんだこの
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「ほとんどの刀剣が贋作、偽物ですね? そして、あなたは元貴族の土メイジ。一番得意なことは、他社の作品の模倣、そうですね?」
「きゅ、急に何をおっしゃっているんですか!? そんなわけがないでしょう!」
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その通りだぜ。俺の魔法は他人の作った剣や、ツボ、盾、他にもいろいろ見た目をコピーできるぜ。俺のことがわかるんだ! くそ、ありえねえ! 待て、カマをかけられていると見るべきだ。あいつが衛士から雇われていたとしたら……いや、ありえねえ。じゃあなんでわかるんだ!
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「そうよ、ノドカ。急にどうしちゃったのよ。だいたいそんなことあるわけないわ!」
「キュルケさんも疑問に思っていたじゃないですか。なぜ彼が姓を持っていたのか。彼が貴族だとするならば、辻褄が合うんです」
「確かにそうだけど……」
キュルケがイマイチ納得できない様子でのどかを見て、困っていると、のどかはロックにまた質問をした。
「ロックさん。あなたがこれまでに稼いできた金額とこの武器屋にある贋作を全て教えてください」
「は?」
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は? 稼いだ金額は4000エキューだな。こいつが売れればもっと稼げるんだがな。そして、贋作は良と最良と書いてあるやつ全部だぜ。それにしてもなんだこの質問。さっきからこいつは何をして……はっ! まさか俺の心を……ありえねえ! ありえねえ! ありえねえ! そんなバカなことがあってたまるかよ! もしかしたら今考えていることもバレてんのか!? だとしたら……やべえ! そういえばあの青い髪のチビはどこいった!? まさか……衛士を!?
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のどかが武器屋の良、最良と書かれたものすべてを引き出し終わると、衛士が到着した。衛士はカウンターに置いてある刀剣類を全て確認し始めた。ディテクトマジックで、だ。ロックは言い逃れすることはできなくなっていた。そして、刀剣がほぼ全て、偽物だったため、ロックは御用となった。タバサとキュルケがのどかに駆け寄ってきた。
「タバサさん、ありがとうございました」
のどかがお礼を言うと、タバサは知りたいことあった。それはのどかが何をしたのか、だ。それはキュルケも同じようで、のどかを問いただした。
「何をしたの?」
「そうよ、何したの? のどかが質問して、あの店主が焦っていくだけだったじゃない。まさか、カマをかけたの?」
「いえ、私の力です。タバサさんは見ていましたけど、この本を取り出して、使いました」
「本? そういえばずっと開いてたわね」
「どんな能力?」
「私のこの本は
「心を……読む」
「ウソ……めちゃくちゃ強いじゃない。じゃあのどかはあたしやタバサの心も読むことができるってこと?」
「はい、偽名さえ使っていなければ、ですけどね」
のどかの力を聞いた2人は驚きを隠せないようだった。
「(彼女の力は恐ろしい。でも、彼女の性格からは大事なことにしか使わないはず。だから彼女の力になったのかもしれない。私が恐れてはダメ、私が恐れなければいけないのは、彼女があいつの手に落ちること。絶対に渡さない)」
タバサはシルフィードの背中の上で、そのことを固く誓ったのであった。
学院に帰ったあと、才人にプレゼントを買い損ねたことに気づいたキュルケは帰ってから悔しそうにしていた。仕方なく、才人を無理やり抱きしめて胸に埋もれさせて楽しんでいたようだった。ルイズはそれを見て当然顔を真っ赤にして怒っていた。そして、魔法の勝負だ、ということになり才人が的になってしまったのであった。そして、ルイズの放った『ファイヤーボール』が宝物庫の壁に少し穴を開け、どこからか現れたゴーレムが壁を破壊し、あるものが奪われ、1つの手紙を残して去っていった。
【破壊の杖、確かに領収いたしました。 土くれのフーケ】
今回はいどのえにっきお披露目です。そしてすまない武器屋の店主……勝手にメイジにしたうえに、逮捕までされてしまった……
次はVSフーケです!
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