魔神相剋者の夢   作:名無しのごんべい

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間が開いてしまった。

まぁ亀更新だし仕方ないね!

ちょっと長めにもしたしいいよね!


第3話 「模擬戦とファーストアラート」

 

 

 

 きっかけは何だっただろう?

 

 あの時、僕にははやてしか見えていなかった。

 はやてがいればそれでよかったし、守護騎士のみんなやなのはたちもはやての付属品程度にしか見ていなかった。

 僕がアースラで目覚めてからあの時まで、はやてが僕の全てだった。

 

 

 

 

 

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 休憩しているなのはと新人たちから離れてシグナムに引きずられてシュミレーターの方へ行く。

 ずるずると引きずられ続けて正直お尻が痛い。

 

「面倒だな……。お前を引きずるのにも飽きてきたし……飛ぶか」

 

「やめて!! 自分で歩くから!!」

 

 シグナムの手を振り払い、自分の足で立つ。

 

「相変わらず高所恐怖症か……」

 

「仕方ないだろ!! 怖いものは怖いんだから!! むしろあんなにすいすい飛べるあんたたちの方がどうかしてる!!」

 

 幼いころに一度だけみんなをまねて飛んだことがあるけど……あれはだめだ。

 自分の体がどんどん地面から離れて行くと同時に、恐怖心がせりあがってくる。

 体が五メートルほど浮いたところで限界になり、パニックを起こした僕はその場で飛行魔法を解きはやてに抱き付いたという過去がある。

 

 なぜこれほどまでに高いところが駄目なのかは僕自身にもわからない。

 だけど、パニックになった視界の端に燃え盛る巨大な鉄の塊と凍り付いた大地が見えたような気がした。

 シャマルに相談してみたら、「封印されている昔の記憶が原因かもしれない」と言われた。

 

「とにかく! 僕は歩いてシュミレーターのところまで行くから、シグナムは先に行っててよ」

 

「……」

 

「そんなに睨まなくても逃げないから!」

 

 そこまで言ってやっと信じてくれたのか、シグナムは一度頷いてシュミレーターの方へ飛んでいった。

 溜息を吐きながらシュミレーターへと続く階段を降りる。

 正直、この階段から見える景色だけでも身がすくむ思いだが、地に足がついているだけまだましだと自分を無理やり納得させる。

 いつの間にかペルセフォネはいないし、これは本格的にシグナムにボコボコにされる未来が見えてきた。

 

「そもそも魔導士としての地力が違い過ぎるのになんで僕ばっかり模擬戦に誘うんだよ……」

 

 僕が魔導士としてシグナムに勝っているところなんて、この無駄に多い魔力量しかない。

 管理局の本部にある最新の測定機器をもってしても測定不可能というバカみたいな話だけど、逆に言うと僕にはそれしかない。

 剣をつかえるけどそれだって近づかなければ意味がないし、その近付くための手段が僕には圧倒的に不足している。

 サノバ・ジンは対人戦では絶対に使えないし、何より管理局の人間が見ている前では絶対に使いたくない。

 

「なんだかなぁ……」

 

 高所の怖さから逃れるために自虐ばかりしていると、いつの間にか階段を降り切ってシュミレーターの中に入っていた。

 

「来たか」

 

 そこには満面の笑みで待つシグナム。

 

(帰りたい…!)

 

 その笑顔を見た瞬間、これから訪れるであろう未来を想像して地球にあったはやての実家に猛烈に帰りたくなった。

 

「お前に合わせて、地上で剣を交えよう。行くぞ、レヴァンティン」

 

 シグナムの言葉に応えるようにレヴァンティンが一度光る。

 それと同時にシグナムの服装が六課の制服からいつもの騎士甲冑になる。

 僕も戦闘態勢に移るべく、冬櫻の待機状態である白い十字架の形を模したペンダントを握りこむ。

 

「来い! 冬櫻!!」

 

 その僕の声と同時にペンダントは真っ白な日本刀へと姿を変える。

 刀身は日本刀そのままだが、柄はカートリッジシステムを組み込むためにかなりメカメカしくなっている。

 本体と同じく真っ白な鞘は背中に背負っている。

 服装も制服からバリアジャケットに変わる。

 なのはがいつも着る真っ白なジャケットとは対照的な真っ黒なロングコート。

 完全に体全体を覆い隠すようなその黒いコートは、見た目に反して動きの邪魔にならないように軽くできている。

 

「相変わらず悪役のような格好だな」

 

「そう? 結構気に入ってるんだけど……」

 

 このコートを着るたびに何か懐かしい気持ちになる。

 というか、黒っぽい服装が好きなだけなんだけどね。

 

「まあいい。

 準備できたようだな。ではいくぞ?」

 

 瞬間、シグナムの姿が消える。

 咄嗟に身をかがめてその場から前転する。

 僕の頭の上、髪の毛をギリギリ掠る位置にレヴァンティンが通り過ぎる。

 

「ちょ!? 今本気で斬りかかってきただろ!?」

 

「否殺傷設定だ。安心しろ」

 

「ちっとも安心できない!!」

 

 振り下ろされる剣を冬櫻を盾にして受け止める。

 鍔迫り合いになるが、僕は片膝をついた状態でシグナムを見上げる姿勢。対するシグナムは僕に向かって剣を振り下ろす体制だから圧倒的に僕が不利だ。

 

(不味い!)

 

 じりじりと押されていく。

 このままでは僕が押し負けるのは時間の問題だ。

 

(なら……)

 

 僕の背中、シグナムからは死角になって見えない位置に魔力弾を形成。

 そのままシグナムの足を狙って発射。

 

「…む!?」

 

 一瞬で察知して足を上げて避ける反応速度は見事だが、これでシグナムの体制も崩れた。

 冬櫻をそらし、シグナムの剣を受け流しながら立ち上がる。

 バランスを崩しているシグナムに向けてそのまま蹴りを放つ。

 すんでのところで鞘で受け止められるが、身体強化の魔法で強化された蹴りでそのまま力任せに蹴り飛ばし距離を開ける。

 これで仕切り直し。

 

 今度はさっきのような奇襲を食らわないように全神経を張りつめる。

 冬櫻を持つ右腕をだらりと下げ、リラックスした姿勢でシグナムに集中する。

 

 シグナムが満面の笑みで僕を見ている。

 逃げ出したい衝動を抑えながら、カートリッジをロード。刀身を魔力が覆う。

 それを見たシグナムも同様にカートリッジをロードする。

 僕の黒い魔力で覆われた刀身と、シグナムの魔力による炎に覆われた刀身。どちらも剣を上段に構える。

 

 そして、お互い正面から激突する。

 

「「紫電一閃!!」」

 

 黒と赤、二つの魔力がせめぎ合い、

 

(って本家本元に勝てるわけないじゃん)

 

 一瞬の均衡の後僕が押し切られ、爆炎の直撃を食らい意識を失った。

 

 

 

 

 

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「ふむ、やはりお前は剣の才能があるようだ」

 

 シグナムが目の前で訓練用のダミーに向かって剣を振るう智春に対して言う

 きっかけは昨夜のこと

 今まではやてのやることにしか興味を持たなかった智春が、日課の剣の鍛錬をするシグナムを見て始めてはやて抜きで興味を持ったのだ

 そんな智春に剣の振り方を教え、訓練ということでダミーを使った模擬戦をさせると智春はその才能を開花させ始めた

 

「……む?」

 

 そんな智春の剣の振り方を見て、違和感を持つシグナム

 見れば智春は剣をほとんど右腕一本で振るっており、空いた左手が時折所在なさげに握られていた

 

「トモハル、ちゃんと剣を両手で握らんと危ないぞ」

 

「……」

 

 そんな智春は何度が左手を開閉した後シグナムに向かって左手を振るう

 それがどういう意図からくる動きなのかシグナムは思案し、

 

「……もう一本ほしいのか?」

 

 そう言うと、智春は小さくうなずいた

 

「二刀流か……待っていろ、今用意する」

 

 正直気は進まなかったが、同じ剣を扱う弟子が生まれようとしているのだ

 

(トモハルが成長するればいずれ私と肩を並べて戦える剣士になるだろうし、そうなれば私にとっても剣士同士の待ちに待った戦いができるそれなら私が一から十を教えるよりも一だけを教えて後はトモハル自身の成長に任せればいい)

 

 その方が楽しみも増えるしな、と考えながらシグナムはもう一本の剣を用意した

 

 智春の二刀流剣技を見たシグナムが、近い将来を想像して興奮しその夜眠れなかったのは言うまでもない

 

 

 

 

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 模擬戦が終わって、一日も終わる。

 守護騎士のみんなと同じテーブルでご飯を食べていると、はやてが帰ってきた。

 

「はやて!」

 

 ヴィータの声が食堂に響く。

 と言っても今食堂にいるのは僕らだけだから誰にも咎められるようなことはない。

 

 ヴィータの声で気づいたみんなもはやての方へ向かっていく。

 因みに僕はさっきの模擬戦のダメージが抜けきっていないので座ったままだ。

 だってシグナムが手加減一切なしでぶっ放すから……。

 

「ヴィータ! みんなでお食事か?」

 

「はい! いろいろ打ち合わせがてら…」

 

 はやての問いにシャマルが答える。

 そのままはやてはザフィーラの頭をなでる。

 

「はやて、ご飯食べた?」

 

「お昼抜きやったから、もうお腹ぺこぺこや……」

 

「それは大変です! 急いで注文してきましょう!」

 

 そう言ってシグナムが料理を注文しに行く。

 そのやさしさの一割でも僕に向けてくれても罰は当たらないと思うんだ……。

 まぁそんなこと言っても今更だけど。

 

「お茶、貰って来まーす!」

 

 にっこり微笑んでシャマルがお茶をもらいに行く。

 シャマルが「お茶」と言った瞬間に僕の体がびくりと跳ねてしまったのは仕方ないと思う。

 シャマルに何か作らせてはいけない……その被害は主に僕に集中するからだ!

 

 はやてがお礼を言いつつ、バックを椅子に置き上着を脱ぐ。

 姿が見えないリィンについてヴィータが訪ねると、はやては微笑みながらバックを開いた。

 そこにはバックの中を自分の部屋にして眠るリィンの姿があった。

 

「相変わらずよく寝るな……こいつは」

 

「まぁ、一生懸命働いてくれるからなぁ……」

 

 そんな会話をしながらヴィータはそっとバックを閉じる。

 

「おかえり、はやて」

 

「ただいま。ちゃんとお仕置きは受けたんか?」

 

「そりゃもう! そのおかげで今歩くのもつらい状態だよ……」

 

「よろしい。そのくらいや無いとお仕置きにならへんからな!」

 

「そりゃないよ……」

 

 今回のはほとんど不可抗力だと思うんだけどなぁ……。

 

「見てたけど、ちゃんとシグナムにボコボコにされてたぞ。お前の戦闘見てるといっつも思うんだけど、もうちょっと頑張れるんじゃないのか? 模擬戦とかシグナムに負けっぱで悔しくないのか?」

 

「全然? むしろ頑張りすぎるとシグナムがどんどん本気になって手が付けられなくなるからやだ」

 

 これは事実だ。

 一度シグナム相手にどれだけ戦えるのか気になってサノバ・ジンを使わない状態での本気で戦ったことがある。

 結果だけを見れば僕の負けだけど、その過程が重要だった。

 魔法も何も使わない純粋な剣と剣だけの勝負。

 そのさなか、僕は何度か勝利を確信しつつ剣を振り、その悉くをシグナムのカウンターでやられると言うのが続いた。

 これは敵わないと悟った僕は早々に降参した。

 

 だけど、シグナムはそれを許さなかった。

 

『お前の力はそんなものじゃないだろう? 本気で来い!』

 

『降参? 馬鹿を言うな、今からが本番だろう?』

 

『寝たふりで私の油断を誘おうとしているのか? 早く起きないとレヴァンティンがお前を真っ二つにするぞ?』

 

『もっとだ! もっと本気で来い!』

 

 などなど、終わりの見えない模擬戦に付き合わされた結果次の日は筋肉痛で丸一日動けなくなった。

 それ以来、シグナムとの模擬戦を僕は可能な限り避け続けているのである。

 

「なんというか……あんたのめんどくさがり? は治らへんのかなぁ?」

 

「めんどくさいんじゃなくて命を大事にしてるんだよ……」

 

 そんな話をしていると、料理とお茶を取りに行ったシグナムとシャマルが帰ってきたので僕たちは食事を再開した。

 テーブルを二つくっつけて僕とはやてとシグナムが同じテーブル。

 はやての横にヴィータ、シグナムの横にシャマルが座る。

 そしてザフィーラはテーブルの下で……!?

 

(ごめんザフィーラ……君のその姿に一瞬でも違和感を感じなかった僕を赦してほしい!)

 

 最近八神家でのザフォーラの扱いがほとんどペットのそれになっていた。

 最近人型でいる時間よりも狼でいる時間の方が長いらしいし、下手をすると一日中狼の姿の日も少なくないそうだ。

 ご飯を食べる時もいつも犬のえさ用のお皿を使って床で食べている。

 そして真に恐ろしいのは八神家のみんながそのことに何も違和感を感じていないことだった。

 僕が八神家に居候を始めた時はザフィーラも確かに人間形態で食事をしていた筈なのに……!

 

 みんな今回はやてが行った中央での話をしているようだったが、僕の耳にはちっとも入ってこなかった。

 

《よいのだ智春よ……お前が来る前に戻っただけだ》

 

(ザフィーラ……!)

 

 なんと僕が来る前は今と同じように犬扱いだったと言う。

 八神家って意外と黒いのかもしれない……。

 

「……春! 智春!」

 

「ふぁい!」

 

 急に呼ばれて変な声が出る。

 

「な、なんだ? どうしたはやて?」

 

「どうしたはこっちのセリフや……話聞いとったか?」

 

「あー……何の話だっけ?」

 

「もう……局入りして十年、念願の部隊も持ったことやし、これからも一緒にがんばろなって話や」

 

「そうか……もう十年なのか……。思えばあっという間だった気がするな」

 

 十年。

 人の一生で考えれば短いとは言えない年月だ。

 遺跡で僕が救出されてから今までいろんなことがあったけど、全て僕には新鮮だった。

 ただでさえ得体のしれなかった僕を家族として迎え入れてくれたみんなには頭が上がらないな。

 

「そうだね……これからもよろしく、はやて」

 

「うん! よろしゅうな!」

 

 そんな話をしているとリィンが料理の匂いにつられて起きてきた。

 そこで難しい話は終わり。

 

 小さな体で自分と同じくらいの大きさがあるトマトを抱えて口いっぱいに頬ばるリィンを見ながら、僕たちは再び談笑しながら食事を再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 機動六課所属になってから二週間。

 事務仕事をこなしたり、シグナムに訓練場に引っ張られていったり、たまに新人の訓練に混ざったりとそれなりに急がし日々を送っていた。

 

(今日もあの四人組はドロドロになってるんだろうなぁ……。なのはって……案外容赦ないからなぁ……)

 

 事務をこなしている最中メールが届く。

 

(? シャーリー? ということは……)

 

 目を通すと予想通りの内容だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シャーリーの下へ行くと、新人の四人組がシャーリとリィンから新デバイスの説明を受けているところだった。

 はやてやなのは達ににかけられた出力リミッターの説明をしている最中のようだ。

 僕? もともとAランクなのにつけてどうするのさ。

 

「あれ? あの奥にあるデバイスは何ですか?」

 

 スバルの質問が聞こえてくる。

 奥にあるデバイスか……ということは、

 

「ああ、あれ? あれは八神准尉のデバイスだよ」

 

「八神准尉の?」

 

「いつも使っているのは白いデバイスだったような……」

 

「僕は二本持ってるんだよ。もともと二刀流だからね」

 

 いい加減覗きみたいなことをやめて中に入る。

 部屋を見渡すと奥に真黒な刀が浮かんでいた。

 

「シャーリー、『秋楓』直ったってホント?」

 

「はい! もうばっちりですよ! これまで一本だけで無理させちゃってすいません……」

 

「元はと言えば僕のせいだからね。シャーリーのせいじゃないよ」

 

 そう言いながら秋楓を受け取る。

 感触を確かめるように左手で何度か振り、刀身と同じく真黒な鞘を出してそこに収める。

 

「二刀流って……デバイスを二個扱うんですか!?」

 

「そんな驚かなくても……並列思考ができる人ならだれでもできるさ」

 

「いっつも言ってるけど普通はできないからね? 八神准尉のデバイスは最初から二基同時で使うことが前提になってるから使えるんだ」

 

「そうだったんですね……」

 

「じゃあ今まで二基同時で使うことが前提だったデバイスを無理やり一基だけで使ってきたんですか!?」

 

「そう言うことになるかな」

 

 実際きついなんてもんじゃなかった。

 シグナムとの模擬戦だって二刀そろっていればあんなにボコボコにされることだってなかった。

 

「でも、どうして今まで一基だけで?」

 

「あ~……ごめん、それはちょっと企業秘密ということで」

 

 あまり僕にとっても思い出したくない話だしね。

 

 その瞬間、部屋にあるモニター全てが『ALERT』の文字に染まる。

 隊舎全体に轟く警報。

 

「このアラートって!」

 

「一級警戒態勢!?」

 

「グリフィス君!」

 

 モニターにはやての副官であるグリフィスが映る。

 

『はい! 教会本部から出動要請です!』

 

『なのは隊長! フェイト隊長! グリフィス君! こちらはやて!』

 

「うん!」

 

 今度は別のモニターにはやてが映る。

 

『状況は?』

 

『教会騎士団の調査部で追ってた、レリックらしきものが見つかった! 場所は、エイリム山岳丘陵地区。対象は、山岳リニアレールで移動中!』

 

『移動中って!』

 

「「まさか…」」

 

 僕となのはの声が重なる。

 

『そのまさかや……。内部に侵入したガジェットのせいで、車両の制御が奪われてる! リニアレール車内のガジェットは、最低でも三十体! 大型や飛行型の、未確認タイプも出てるかもしれへん!』

 

 はやての口から初めて聞く単語が飛び出す。

 ガジェットの大型と飛行型。

 僕たちはまだ大丈夫だろうけど、新人たちは……。

 

『いきなりハードな初出動や。なのはちゃん、フェイトちゃん、智春! 行けるか?』

 

『うん。私はいつでも!』

 

「私も!」

 

「僕も大丈夫」

 

 ちょうど秋楓も戻ってきたことだし、ガジェットにはちょっと試し切りの相手になってもらおうかな。

 そしてはやては新人四人組にも確認を取り、それにしっかりとした返事を返す四人。

 それに満足したようにうなずくはやては、すぐに指示を飛ばす。

 

『機動六課フォワード部隊、出動!!』

 

「「「「「「「はい!!」」」」」」」

 

「了解!」

 

『了解! みんなは先行して、私もすぐに追いかける!』

 

「うん!」

 

 そう言うとはやてとフェイトとの通信が切れる。

 

「さぁみんな! すぐに向かうよ!」

 

「「「「はい!!」」」」

 

「了解!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この時僕は気付くべきだった。

 現場に向かうための移動手段が何なのかを。

 

 

 




というわけで皆さんおひさしぶりです。
前話から二週間ほど時間が空いてしまいました。
名無しのごんべいです!

この作品の7割は智春君の不幸成分でできています。

にしても気の赴くままに書いてたらこんなに長くなってしまった……。
次はもうちょっと短くまとめよう。

では本編の補足でも。
まず高所恐怖症の場面。
「燃え盛る巨大な鉄の塊と凍り付いた大地」
これ多分原作読んでる人ならわかると思います。
まぁ高所恐怖症でのトラウマって言ったら大体この二つだと思うんですよね。
前者はある意味全ての元凶でしょうか?
後者は智春君的にも読者的にもショッキングな出来事でしたね。

そして智春君VSシグナム。
本作のシグナムはバトルジャンキーです。
あれ?原作でもそうだっけ?
まぁ原作でも剣対剣の勝負ってなかったですからこっちでは思う存分できて楽しいんでしょう。
やけにあっさり負けたのは後で説明しているようにシグナムを本気にさせると手が付けられないからです。
「もう一戦やろうぜ!」って感じです。

そしてザフィーラ。
正直作者もこの作品書くために原作見なおしたんですがザフィーラのあまりにあんまりな扱いに作者もかなり吹き出しました!
この時の智春君の心の声は作者の心の声でもあります!

そして智春君の二本目のデバイス「秋楓」デス!
冬櫻を白、秋楓を黒にした理由は特にありません。
にしてもバリアジャケットが黒いコートで背中に白い剣と黒い剣を背負った二刀流……あれ?これ別のラノベの主人公じゃね?

智春君の思い出したくない事件はそのうち語ります。
原作にもないオリジナルエピソードになります。

では次回!しょっぱなから智春君に迫る不幸!

乞うご期待!

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