完全な見切り発車+原作知識忘れかけだから更新には時間かかると思います。
*7/20日
結構重大な誤字が見つかったので修正。
夢を見よう。
幸せだったあの頃の夢を。
何も知らずにいれたあのころの夢を。
誰も失わなかったあの頃の夢を。
そう……ここはまさに……。
はるか遠い夢の中。
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「バルムンク!!」
形成された魔力刃が展開され、射出。
複雑な軌道を取りながら放たれた魔力刃は全て目の前の巨人の防御決壊を破り、突き刺さった。
「ディバインバスター!」
掛け声とともに放たれた魔力の塊がひしめく蟹のようなロボットを飲み込んでゆく。
後に残ったのはバラバラになった破片だけだった。
「はぁぁぁああ!!」
気合とともに黒い少女が巨人の懐に潜り込む。
振るわれた鎌は巨人の四肢を切断した。
管理外世界 地球。
この場所で発見された未知の遺跡の調査に、高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやての三名が調査に来ていた。
三か月前に起こった「闇の書」事件の事後調査を行っている際に見つけた遺跡である。
外から見ても高度な技術が使われていることがわかり、中に入ってみると奥から強力な魔力反応が検知された。
リンディ・ハラオウン提督は奥の魔力反応をロストロギアと仮定して調査を開始。
クロノ・ハラオウンとユーノ・スクライアの二名は無限書庫でこの遺跡の調査をしているため不在。
アルフやヴォルケンリッターの三人と一匹は同じ遺跡の別ルートを捜索している。
「そっちはどうや? シグナム」
『おそらく主たちと同じ、蟹のような起動兵器と巨人がいます。主は大丈夫ですか?』
「こっちは心配あらへんよ。なのはちゃんとフェイトちゃんもおるしな」
『分かりました。ではご武運を』
『無理すんなよ、はやて』
「うん」
大事な家族との念話を切り、正面を見据える。
脇道のない一本道。
先は闇に覆われて見えない。
「いこか、なのはちゃん、フェイトちゃん」
「うん!」
「わかった」
三人の少女たちは迫りくる巨人をなぎ倒しつつ、先へと進んでいった。
「何体くらい倒した?」
「もう数えてないの……」
「流石に、疲れたかな」
迫りくる巨人と蟹のような起動兵器を次々と倒していき、やっとの思いでたどりついた魔力反応がある部屋の扉の手前。
息を整えてから中に入る。
「また巨人さんなの……」
「でも今回はかなり違うみたいだね」
「槍もっとるしな」
扉を開けた先にいたのは槍を構えた巨人。
今まで襲ってきた巨人とは違う形状をしており、暗蒼色の装甲はさながら甲冑を着こんだ騎士のようにも見える。
そしてはやての眼は巨人の後ろにある筒状のガラスで覆われたものに釘付けになった。
「なのはちゃん! フェイトちゃん! あの巨人の後ろ! あれって人とちゃう!?」
「!! 助けるの!」
「行こう!!」
巨人に向かって距離を詰めるフェイトとその後ろで魔法を使うなのはとはやて。
「アクセルシューター!!」
「ブリューナク!!」
フェイトの後ろから飛来した魔法弾を、巨人は持っていた槍の穂先を回転させて切り払う。
槍に当たった魔法弾はすべて消滅し、巨人に当たるはずだった弾も不可視の障壁によって阻まれる。
「魔法が!!」
「気を付けて、フェイトちゃん!」
魔力で形成された鎌を振るうフェイト。
障壁を破り、巨人に傷をつけることができたがそれは浅く、装甲の表面に傷をつけるだけだった。
『――――――――!!!!』
巨人が咆哮を上げ、槍を振るう。
咄嗟に受け止めようとした魔力の鎌が、槍に当たった瞬間にかき消される。
「!?」
間一髪、回避。
「あの槍……魔法を消せるの?」
「まずいなぁ…」
「でも、逃げるわけにはいかないの」
あの巨人の後ろには今なお少年が捕えられている。
ここで退くと言う選択肢は三人にはなかった。
「ディバインバスター!!」
なのはの砲撃が巨人を捉える。
だが、その砲撃も巨人は槍を振るうことによってかき消してしまう。
「なら槍の届かへん所はどうや!!」
はやての周りに魔力刃が形成され、射出される。
何本かは槍によって消されるが、ほとんどの刃は槍を躱して巨人の後ろから突き刺さる。
障壁によって阻まれるが、数本の刃を一点集中させる。
それによってついに障壁を突破。
「今だ!!」
魔力でできた大剣を構えたフェイトが持ち前の速さを生かし、巨人の背後に付く。
そのまま障壁が壊れ、無防備になった巨人の背中に大剣を突き刺した。
『――――――――!?!?!?』
胸の中心から突き出された大剣を巨人は引き抜こうと暴れまわるが、やがて巨人の眼から光が失われ動かなくなる。
後に残ったのは胸を貫かれて静かに膝をつく巨人だけだった。
『主! 巨人が動きを止めました! あとはあの蟹型の起動兵器だけです!』
「わかった! こっちもちょっと厄介なのみつけたから今からリンディさんに連絡とる。
きぃつけてな」
念話を切る。
目の前には黄緑色の液体の中に浮かぶ裸の少年。
同年代の男の子の裸を見るのは初めてだが、恥ずかしがっている場合ではないので少年を捉えているカプセルを調査していく。
「? ま……かみ? なのは、はやて。
これなんて読むの?」
そこでフェイトが何かを見つけ、なのはとはやてを呼ぶ。
そこには日本語の漢字で書かれた文字があった。
「う~ん? え~っと……前の二文字は多分「魔神」だと思うの。
後の三文字は……はやてちゃんわかる?」
「魔神……あかん。真ん中の「相」と最後の「者」しかわからん。
ん? 下にも何か書いとるよ?」
フェイトの見つけた文字の下にも日本語で何か書かれていた。
「え~っと? 「夏目智春 ここに眠る」……かな?
前の四文字は名前かな?」
「「なつめ ともはる」でええんかな?」
「やっぱり日本語って難しい」
とにかくリンディ提督に報告しようとフェイトが通信を入れようとし、何か空気の抜けるような音が聞こえるのは同時だった。
「「「!?」」」
突然響いた音に三人は驚いてカプセルを見る。
見れば少年が浮いていた黄緑色の液体がどんどん減っていく。
そして完全になくなるのとカプセルが開くのは同時だった。
どさりと音を立てて倒れる少年。
三人はすぐにリンディ提督に連絡を取った。
三日後。
アースラの医務室で寝かされている少年のお見舞いに来たはやて。
助けた時から少年のことが気になって仕方がなかった。
どうしてあんなところにいたのだろうか?
どうしてあの巨人に捕まっていたのだろうか?
あの名前は彼の名前なのだろうか?
気になって仕方がなかった。
あいにくあの遺跡は少年を運んでいる途中で崩壊が始まり、急いでシグナムたちと合流したはやてたちは崩れ落ちていく遺跡を眺めるしかできなかった。
幸い、ロストロギアらしき反応は消えていたようなので、はやてたちが破壊したと言う槍を持った巨人が反応の原因だろうと結論づけられた。
病室に入る。
少年はいまだに眠ったままだ。
どんな声をしているのだろうか?
どんな表情をするのだろうか?
学校にいる間も少年のことばかり考えてしまい、何度も先生に注意を受けた。
ふと魔が差して、少年の頭をなでる。
頭をなでられるのは気持ちいいと言うが、この少年の頭をなでるのは気持ちいい。
撫でる側が気持ちいいと言うのはどういうことだろうか?
そんなことを考えていると少年と目が合う。
目が合う?
よく見ると少年は目を覚ましていて、はやての方をじーっと見つめていた。
「!! な、ナースコール! ナースコール!」
だが、ナースこーロールのボタンはベッドの反対側にあり、車椅子に座ったはやてでは届かないところにあった。
(こんな事なら一緒に来たシャマルにいてもらうんやったー!)
少年の治療のことでリンディ提督と話すことがあったらしく、邪魔をするのは悪いと思い一人で病室に来たはやて。
それが完全に裏目に出た。
「あー…えーっと……大丈夫? 目は覚めた?」
仕方なく声をかける。
無反応。
少年はジーットはやてを見つめている。
「ああ……その……」
「……」
やがて少年ははやてから視線をそらし、辺りを見回す。
やがてもう一度はやてを見て、
そのまま布団のかぶった。
「ってねるんかい!!」
思わず突っ込むはやて。
そのツッコミに反応したのか、少年は布団から顔を出す。
「何で寝るんや!? ふつうそこは私にいろいろ聞くんちゃうん!? 「ここはどこ?」とか! 「君が助けてくれたの?」とか!」
「……うるさい」
「ええ!?」
無視された後にうるさいと言われてしまった。
だが、今は問答をしている場合ではない。
「ちょっと待っといてな! 今シャマル……お医者さん呼んでくるから!」
病室を出ようと車椅子を漕ぎ始めたはやて。
だが、いきなり車椅子が進まなくなる。
「へ?」
「自分で行く」
見れば少年はしっかりと二本の足で立っており、はやての車椅子の掴んでいた。
「お、起きて大丈夫なんか?」
「問題ない。頭がボーっとするだけだ」
「いや、それちょっと危ないんとちゃうの?」
しばらく少年に車椅子を押される。
(ってあれ!? なんで私病人に車椅子押されてるん!?)
自分がお見舞いに来たはずなのに、これではどちらが病人かわからない。
「な、なんで私を押してるん?」
「そのお医者さんのところに行かないといけないんだろ?僕は何も知らないから道案内」
「あ、ああ! そういうことな! それやったらあの角を右に曲がったところや」
はやての指示に従って進む少年。
ややあって少年が口を開いた。
「で、君誰?」
「いまさらかい!!」
「リンディ提督~? シャマル~? 入ってもええかな~」
「どうぞ! はやてさん!」
許可を得て室内に入る。
なぜか純和風の提督室。
そこではリンディとシャマルがそろってお茶を飲んでいた。
「あの~この子、目覚ましてんけど~」
「あら?」
「まあ」
二人に座るように促すリンディ。
シャマルはすぐにはやてを抱えて車椅子から降ろす。
少年はボーっとしつつもその場に座った。
「えーっと…こういう場合はおはようと言えばいいのかしら?」
「おはよう……ございます?」
「はい、おはよう」
少年のなぜか疑問形な挨拶にリンディが返す。
「さっそくだけど、あなたのことを教えてもらえないかしら?」
「?」
「お名前とか、どうしてあの場所にいたのかとか」
「なまえ? 名前は……智春」
「智春君ね。他は何かわかる?」
「?」
首をかしげる少年。
瞳はうつろで何かを見ているようで何も見ていない。
名前は智春。
きょろきょろと周りを見回して、隣ではやてが湯呑に入った緑茶を飲んでいるのを目にし、同じように湯呑を傾ける。
「!?!?!? うげぇ…」
「ちょ! リンディ提督! また緑茶に砂糖入れたん!? 初めての人にそれはあかんて!」
「え~おいしいのに」
「大丈夫?」
シャマルが少年の口周りを拭く。
少年はその後、緑茶には一切手を付けなかった。
「やっぱり何も覚えてないのね?」
「…?」
「診断した時に頭の記憶の部分をつかさどるところに魔法を使った跡がありました。
おそらく誰かに記憶に封印をかけられたのかも……」
「その封印は解ける?」
「ごめんなさい。あんな高度な封印は今までに見たことがなくって……解くにしても数年がかりになりそうです」
結論から言うと、少年……智春は記憶喪失だった。
それもただの記憶喪失ではなく、何らかの魔法によって記憶が封印されているのである。
術式も、魔法の種類も不明。
ミッド式でもベルカ式でもなく、解除するにも術式が複雑すぎて解読するのに数年単位の時間が必要。
ミッチルダの専門の医療施設に行けば時間は短縮できるであろうが、なぜか智春ははやてのそばから離れようとしなかった。
「…? ほっとけない…から?」
と智春は言っていった。
余談だがその言葉の後に「こっちのセリフや!」と言ったはやてのツッコミが入ったことをここに記しておく。
何はともあれ智春ははやてのそばを離れようとせず、はやてのすることを何でも真似していく。
その様はさながら親鳥の後をついていく雛のようだった。
物語はそれから十年後。
記憶喪失の少年、八神智春の物語は始まろうとしていた。
どうも!初めましての方は初めまして!
運命の翼の少女を見てくれている方たちはごめんなさい!
名無しのごんべいです。
うん。分かってる。
これ書くよりももっとやることがあるって言いたいんだろ?
運命の翼の少女を更新しろって言いたいんだろ?
うん。まじでごめんなさい。
あふれ出る妄想を抑えられなかった。
さて!本作はアスラクラインの主人公、夏目智春君の物語です。
この智春君ですが、作者のオリジナル設定てんこ盛りのため原作からかなりかけ離れてます。
具体的に言うと原作以上のチートになります。
そして中二病全開な設定もあります。
それでもよければどうか続きも見てやってください!
因みに設定紹介もすぐにあげます!
ではまた最新話で!