XXXHOLiC WiZARD story 作:1202155@
もともと別サイトで書いてたものをこっちに引っ張ってきました。よければ見てください!
指輪の魔法使い―The magician of a ring
真っ暗闇の中、白銀に輝く魔法使いが、竜をかたどる手斧と片刃の刃を持って立っていた。その前には、様々な生物を象った、異形の怪物が宙に浮いている。
「魔法使い……貴様はなぜ人のために闘う!」
怪物の問いに魔法使いは爽やかに言った。
「確かに人のためかもな……でも、俺が自分の意志で、自分の好き勝手にやってるんだ……誰にも文句は言わせないさ……なぜなら俺は……」
魔法使いは宣言する。
「人類最後の希望だからな!」
そういうと、魔法使いの指輪は、それに答えるように輝いた……
操真晴人。魔法使いである彼の一日は、魔力を持つ人間を絶望させ、仲間を作ろうとするファントムの探索で始まり、プレーンシュガードーナツを食べて終わる。
「…そんなにプレーンシュガーは食べないけどな」
地の文にツッコミを入れながら、晴人はプレーンシュガーを食べようとする。だが、問題なのは場所だった。そこは信号機の上なのだ。確かに高いところで食べる飯は美味しいが、いくらなんでも信号機の上で食べるのはやめていただきたい。
「やっぱプレーンシュガーだな………ん?」
ふと、晴人が視線を横に向けると一人の少年が必死の形相で逃げていた。女の子の手を引いて。その後ろからは、見たことない怪物が追いかけてきた。
「流石にヤバいか……」
指輪を手にはめた後、手の形をしたバックルに指輪をかざした。
〈コネクト!〉
〈プリ~ズ!〉
信号機の下の地面に魔法陣が現れると、そこからバイクが現れる。晴人は信号機から飛び降りると、そのバイクに股がり、少年の元に向かった。
四月一日君尋(わたぬききみひろ)は九軒ひまわりと一緒に帰宅していた。自分が好意を寄せている女の子と一緒に帰れることにウキウキしながらも、他愛ない話をしていたが、突然、地面から現れた怪物に追いかけられるはめになってしまった。
「ひまわりちゃん、ごめん!」
「ううん。大丈夫……私の方こそ」
何故かひまわりが誤っていた気がしたが、怪物の叫び声にかき消されてしまう。
「あ!」
ひまわりが躓いて、倒れてしまう。君尋は助け起こそうとするが、ひまわりは足を挫いたのか、痛そうにしていた。
「く…四月一日くん、私はいいから、逃げて!」
「そんな…ダメだ!」
「鬼ごっこは終わりか?」
怪物は手にした剣を握ると、四月一日に向けて降り下ろす。四月一日は思わず目を瞑った。
――すみません、侑子さん!
四月一日が心の中で誤ったその時、突然銃声が鳴り響いた。目を開けると、怪物は苦しそうにしていた。そして、二人の後ろから、一人の青年が歩いてきた。
「そこの鎧男。ファントムと違ってずいぶんとリアリティ要素満載だな」
そう声をかけながら青年は手にした銃を肩に担いだ。
駆けつけた晴人は二人に名前を聞いた。
「君たち、名前は?」
「わ、四月一日君尋です」
「九軒ひまわりです」
「ひまわりちゃんに君尋、下がっておけ」
〈ドライバーオン!〉
〈プリ~ズ!〉
バックルに指輪をかざすと、バックルは本来の姿である、ウィザードライバーに変化する。晴人は両サイドのレバーを操作し、手形のプレート『ハンドオーサー』を魔法を行使する『右手型』から、変身するための『左手型』に切り替えた。その瞬間、バックルから歌が流れ出した。
〈シャバドゥビタッチ!ヘンシ~ン!シャバドゥビタッチ!ヘンシ~ン!〉
大音量で流れた歌にひまわりと君尋は耳を塞いだ。というか、シリアスな空気をぶち壊しすぎである。しびれを切らした怪物が叫んだ。
「ええいっ!うるさい!うるさい!」
騒ぐベルトにイラつきながら、怪物は手にした剣で斬りかかろうと、こちらに向かってくる。晴人は指輪のバイザーを下ろしながら呟いた。
「変身!」
〈フレ~イム!〉
〈プリ~ズ!〉
〈ヒー!ヒー!ヒーヒーヒー!!〉
右手を重ねるようにハンドオーサーに触れ、指輪が読み込まれた瞬間、魔法陣が左手から体を通過して行く。魔法陣が彼の体を通過し終えたとき、その姿は別のものへと変わっていた。
体を纏う漆黒のローブ。それを彩る赤い宝石のボディ。
この姿こそ、『魔法使い』操真晴人が火を司るフレイムウィザードリングで変身した姿。仮面ライダーウィザード、フレイムスタイルである。
「さぁ!」
「ショータイムだ!」
ローブを翻しながら、ウィザードは宣戦布告した。