時空を駆ける大魔導士   作:月影2号機

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お初にお目にかかります。

最近、ダイの大冒険を一気読みして二次創作熱が再燃してきたので、十数年ぶりにSSを書いてみようと思い執筆してみました。

タイトルで分かる方が多数いると思いますが、ポップメインのお話です。

ブランクがかなりあるので文面や内容など至らない点が多々あると思いますが、頑張って完結目指しますのでよろしくお願いします。


第1話

勇者ダイとアバンの使徒達の活躍により、大魔王バーンが倒されてから早80年の歳月が経った。

死神キルバーンの人形に仕掛けられていた黒のコアから世界を守る為、

人形と共に大空へ飛び立ち爆発させたダイだったが、

爆炎が晴れた後、そこに彼の姿はなかった。

 

 

ダイの仲間達や、ダイと親交のあった国家の指導者達は必死にその行方を捜したが、

彼が見つかることはなく、1年が経ち、2年が経ち、3年も経つと1人、

また1人と捜索を諦める人は増えていった。

ダイと共に死線を潜り抜けた仲間や、国家の要人の中でも特にダイと親しかった

パプニカ女王レオナ、ロモス国王等は規模は縮小しても、最後まで諦めずにダイを探し続けた。

 

 

 

 

今もダイの行方は分からない。

 

 

 

 

「親父・・・・・・」

 

「お爺様・・・・・・」

 

 

パプニカから数十キロほど離れた森の中にある山小屋の中で、

今一つの命が火を消そうとしている。

かつてダイと共にいくつもの激闘を戦い抜き、

ダイがこの世から姿を消すその直前まで隣にあり続けたダイの無二の親友、

大魔導士ポップはベッドに体を横たえ、窓の外を力なく見つめていた。

 

 

ダイが消えてからの数十年、彼は仲間と共に彼の行方を捜し続けた。

その途中、同じアバンの使徒であるマァムと結婚し、2人の子供に恵まれた。

子供が生まれてから、ダイの捜索に充てる時間は減ってしまったが、

それでもポップは時間を見つけてはダイの行方を捜した。

 

 

レオナの伝手でパプニカで呪文の指南を時々請け負っていた事もあり、

家族を養いながら捜索ができる程度の収入は得ていたし、

パプニカの女王に即位し、国から自由に出ることのできなくなったレオナからも、

彼の捜索を頼まれていた。

 

 

クロコダイン、ヒュンケル、ラーハルト、メルル、レオナ、マァム。

共にダイを探し続けた仲間達は数年前にマァムが逝ってしまったのを最後に誰もいなくなった。

そして、自身もまた、子供と孫に看取られ、今日旅立とうとしている。

 

 

「・・・・・・この家にある物、財産は全てお前たちで分けろ。

と言っても、そんなに貯えがあるわけではないがな」

 

 

家族の方に顔を向け、口元に笑みを浮かべながら言う。

思えば、ダイの捜索ばかりして、子供たちにあまり親らしいことはしてやれなかった。

口ではああ言ったが、ポップが持っている財産は

かの大国ベンガーナや、パプニカに豪邸が建って尚お釣りが来るくらいにはあった。

無駄に浪費しなければ子供や孫達が食っていくには十分すぎる額だ。

逆に、そんな物くらいしか残してやれなかったとポップは少し後悔していた。

 

 

『こいつらに親らしいことも大してしてやれず、ついにダイも見つけることができなかった』

 

 

稀代の大魔導士と呼ばれ、かつて最強と言われていた師マトリフをも超えたポップだったが、

その人生には幾ばくかの後悔が残ってしまった。

あの時、なぜ自分は最後までダイの側にいてやることができなかったのだろう。

自分がもう少し上手く立ち回れていれば、もっと皆が幸せになれる世界……

 

 

 

 

ダイが幸せになれる世界が作れていたんじゃないだろうか

 

 

 

 

年を重ね、次第に外に出ることが難しくなってきた時、

ポップは別の方向からダイを救う術を考え始めていた。

かつて、大魔王バーンが己の肉体をいつまでも若く、

そして強く保とうとして使っていた秘術。

 

 

凍れる時の秘法

 

 

術をかけた相手の時間を止める秘術中の秘術。

また、マトリフが死んだ時に形見分けとして貰った様々な文献、古文書の知識から

遥か昔、時の砂と言う時間を少しだけ巻き戻すことのできる宝があったとされている。

ポップはこの2つの時を操る技法に目を付け、余生を過ごす間に研究した。

 

 

そして今から1年ほど前、ついにポップはこの時を操る秘術を会得することができた。

この秘術は自己の精神のみを違う時間に飛ばすことしかできなかったが、

もはや余命幾何もないポップにとってはむしろ都合がよかった。

 

 

既に秘術は自分にかけ終えてある。

後は、自分が死ねばその精神が肉体から離れ、自動的に過去へと渡る事ができる。

時の砂の技法と違い、数十年の時を遡る事になるため、

正確な時代調整は不可能だったが、

天才的な呪文や魔力のコントロール力を持つポップは

可能な限り自分の指定した時間軸へ戻れるように調整した。

 

 

『ダイ、今度は必ずお前を救ってやる。だから、もう少しだけ待っててくれよ』

 

 

そう思いながら、ポップは自分の意識が少しずつ遠のいていくのを感じた。

もうすぐ、自分の命が尽きるのだと分かった。

視界がぼやけて、もう子供たちの顔も見えなくなってきている。

家族たちが見守る中、ポップは眠りについた。




誤字、脱字は極力チェックしますが、もし見つけた場合お手数ですがご一報お願いします。

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