鎮守府の片隅で   作:ariel

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タイミング的には少し早いのですが、ちょっとした出来事で書きたくなった話があったため、外伝という形で投稿します。

先日、物凄く久しぶりに夜にカップラーメンを食べました。昔は時々夜に食べたのですが、最近ご無沙汰しておりまして…。久々のカップラーメンだったのですが、これがまた美味しくて…。昔と変わらない味だな…と嬉しくなったのと同時に、太るというのが分かっていても止められない不思議な味だな…と思いました。という事で、久々に食べたカップラーメンの味に感動して今回の話にw。…しかし、夜中のカップラーメンはとても危険な食事ですので、あまり食べない方が良いのでは…と、こんな物語を書いていて言っても説得力はありませんよね^^;

注意:この物語に出てくるカップラーメンは架空の会社の架空のカップラーメンです。よく似たカップラーメンがコンビニなどにあるかもしれませんが、CMをしている訳ではありませんのでご了承ください。


外伝8 初雪のカップラーメン講座(強制参加)

駆逐艦寮 初霜

 

 

はぁ…お腹が空いたわ…。大和さんや二水戦のみんなと一緒に訓練に出撃していたけど、夜遅い時間に鎮守府に戻ってきたから、本当にお腹が空いたわ。先日からずっと外洋で訓練していたから、しばらく戦闘食しか食べていないし…。それに折角鎮守府に戻ってきたのに、大和さんは『今日は疲れているので、先に休みますね。』と言って、すぐに戦艦寮に戻ってしまったから…。スポンサー無しで初霜一人では鳳翔さんのお店にも行けないわ…。それに…よりにもよって初霜のおやつ箱の中も空っぽ。同部屋の初春ちゃん、何か食べ物持っていないかしら…。

 

「あの…初春ちゃん?その…初霜、ちょっとお腹が空いてしまって…。もし何か食べ物を持っていたら、分けてもらえないかしら?」

 

「すまんのぉ、初霜。わらわも今は何も持っておらんのじゃ。たしかに初霜は厳しい訓練から帰ったばかりだから、お腹が空いておるのじゃろうな…。!そうじゃ、望月や初雪なら部屋にカップラーメンを貯め込んでおるのではないじゃろうか?一度行って、お願いしてみたらどうかのぉ。」

 

たしかにそうね。あの二人なら間違いなくカップラーメンくらいは持っているはずだわ。それに、初雪ちゃんなら凝り性だから、色々なカップラーメンを持っている気もするし…。それになんといっても、初雪ちゃんは初霜に借りがある筈だから、きっと一つくらいなら分けてくれると思うの。そうと決まれば、早速初雪ちゃんの部屋に行ってみようかしら。

 

「たしかにそうね、初春ちゃん。ちょっと初雪ちゃんの部屋に行ってみるわ。教えてくれてありがとう。」

 

「うむ、分かった。同部屋の深雪にもよろしく言っておいてくれ。あと不知火の巡視が来たら事情を話しておくから、安心して行ってくると良いぞ。」

 

 

「初雪ちゃん、ちょっといいかしら。あっ、深雪ちゃんもこんばんは。ちょっと初雪ちゃんに用事があったから来たのだけれど…夜遅くにごめんなさい。」

 

「おっ、初霜じゃん!どうしたのさ、こんな時間に。珍しいじゃん。」

 

「ん?初霜、私に何か用?」

 

初雪ちゃんの部屋には時々来るけど、何時来ても不思議な組み合わせよね。騒がしい深雪ちゃんに我関せずの初雪ちゃん。この二人普段はどんな風に生活しているのかしら。…と、そんな事よりも、初雪ちゃんにお願いしないと。

 

「あの…初雪ちゃん。申し訳ないのだけれど…その…もしカップラーメン持っていたら、初霜に一つ分けてもらえないかしら。その…今日はとてもお腹が空いちゃって…。」

 

(キラッ)(ガタッ)…えっ?私の言葉に、初雪ちゃんの目が光ったような…。それに深雪ちゃんが慌てて立ち上がったのだけど、一体どうしたのかしら。

 

「は…初霜。深雪様はちょっと用事があるから、席外すよ…。ま…またな~。」

 

えっ???深雪ちゃんが慌しく部屋から出て行ったわ。ひょっとして…初霜はピンチなのかしら?初雪ちゃんには申し訳ないけど、さっきのお願いは断って、私も退散した方が良いかしら…。『キャッ』…えっ?えっ?なんか初雪ちゃんが私の肩を掴んで離してくれないのだけど…どうしよう…。いつも少しボーッとしている初雪ちゃんの顔が凄く嬉しそうなのも気になるわ。これは本格的に拙い予感がするわ…なんとかして初霜も逃げないと…。これは機雷にぶつかってしまった予感がするわ。

 

「初霜…。初霜には色々と恩がある。だから私のカップラーメン…分けてあげてもいい。それとこの件で私にお願いに来たのは正解…。私のコレクションから好きなの…選んでいい。」

 

あら?凄く悪い予感がしたのだけれど、そんな事はないみたいね。初雪ちゃんが押入れからダンボール箱を…って、一体いくつダンボール箱を持っているの。まさか…中身は全部カップラーメン?す…凄いわ。これ全部中身がカップラーメンなのね。初霜はあまり詳しくないから分からないけれど、カップラーメンってこんなに種類があるのね。好きなカップラーメンを選んでいいと言われても…初霜にはどれが美味しいか分からないから、初雪ちゃんに選んでもらった方が良さそうね。

 

「あの…初雪ちゃん?こんなに凄いコレクションから選ばせてくれて本当にありがとう。…でも、初霜にはどれが美味しいか分からないから…初雪ちゃんに選んでもらえないかしら?」

 

「初霜…その考えは駄目…全然駄目。カップラーメンは奥が深い…。これから私が初霜に代表的なカップラーメンの説明をするから、しっかり聞く。…そこで正座。カップラーメンの事をあまり知らない初霜は、反省しないといけない…うん。」

 

しまった…。完全に機雷だったわ。私はそんな説明なんてどうでもいいから、早く何か食べたいだけなの…。たぶん同部屋の深雪ちゃんが脱兎のように部屋から逃げ出したのは、こうなる事を予想して巻き込まれるのを恐れたのね。でも、どうしよう…。初雪ちゃんは、何か完全にスイッチが入ってしまっているし…。初霜…ここは考えるのよ。なんとかこの危機を脱出しないと、大変な事になるわ。

 

!そうだわ。ここはとりあえず初雪ちゃんに気持ちよく話をしてもらって、途中で上手に切り上げさせれば…。そうと決まれば、最初は大人しく初雪ちゃんの話を聞くしかなさそうね…初霜…ここは我慢の時よ。

 

「わ…分かったわ。初雪ちゃん。それなら、少しだけ初雪ちゃんのお話を聞くから、その…手短に教えて頂戴。」

 

…ふぅ。とりあえず初霜の返事に満足したのか、初雪ちゃんの表情が少しだけ和らいだわ。初雪ちゃんがダンボールの中から幾つかカップラーメンを選ぶみたいね…。…同じようなカップラーメンを三つ選んだけど、流石にこのカップラーメンなら初霜だって分かるわ。ただ…ここでこれを選んだという事は、この三つのカップラーメンの説明をするのだと思うけど…上手に切り上げさせないと、何時になったらカップラーメンが食べられるか分からないわ。

 

「ん…説明の準備が出来た。初霜にはこれまで借りが一杯ある。…だから、今日は頑張って説明する。そして美味しいカップラーメン、選ばせてあげるから…初霜もしっかり私の説明を聞く…いい?」

 

そんなにしっかり説明しなくてもいいのに…。初雪ちゃんが選んだのは、月清の定番中の定番のカップラーメンね。初霜はあまり詳しくないし、普段は大和さんと一緒に鳳翔さんのお店で食事をしているからあまり食べないけど…たしか、普通のカップラーメンとカレー味とシーフード味だったと思うわ。

 

「まずはこのカップラーメン。これは月清の一番普通のカップラーメン。このカップラーメンは定番の味だけど…定番こそが一番。このカップラーメンの特徴は…チキンのエキスと豚肉のエキスがたっぷり入った、醤油ベースの落ち着いた味。他の二つのカップラーメンと違って、スープにピリッとした辛さがないから…落ち着いてスープの味を味わう事が出来る…。そしてスープを舌の上でゆっくり転がしていくと、肉のエキスが味わえて…旨味を楽しむことも出来てとても美味しい。」

 

ひ…酷いわ、初雪ちゃん。初霜はお腹が空いているのよ??そんなスープの味の説明はいいから、早く初霜に食べさせて頂戴。そんな話をされたら、どんどんお腹が空いてしまうじゃない。それに初雪ちゃん、こぶしを握り締めて力説し始めているし…どこかで止めさせようと思って聞いていたけど、これどうやって止めるのよ…。

 

「そしてこのカップラーメンは、具もまた秀逸。中身は豚肉と卵とネギ…それとエビが入っている。そしてどの具も、豚肉やチキンのエキスが入った醤油味のスープととても合っている…。そう、お湯を入れて丁度食べる頃には、このスープがしっかり具に染み込んでいて…とても美味しい。特に豚肉の具は、とても小さいブロックだけど、噛んだ瞬間に肉の旨味がグッと出てきて…とても良い。エビも小さいけど、歯応えがあって美味しいし、噛むとちゃんとエビの味が出てくる所もポイントが高い。最後に忘れていけないのは卵。これはシーフードにも入っている具だけど…少し柔らかい歯応えで、スープがしっかり染み込んだこの卵は…絶品。…うん、私が言うのだから間違いない。」

 

…も…もう止めて…初雪ちゃん。初霜はそんな話求めていないの。だから、早く何でもいいから初霜にカップラーメンを食べさせて頂戴。…でも、初雪ちゃん、説明を止めるどころか、ますます口調に熱が篭り始めているし…困ったわ。こんな調子で残りのカップラーメンの説明を始められたら、初霜だって耐えられないわ!

 

「次のカップラーメンの説明に移る…。次のカップラーメンは同じく月清のシーフードタイプ。これもとても美味しいカップラーメン。特にこのカップラーメンは、私が二番目に好きなイカが具に入っているのもポイントが高い…。だから本当は、これは誰かにあげたくないけど、他ならない初霜のお願いだから、これも選ばせてあげる。このカップラーメンもさっき説明した普通のタイプと同じようにチキンエキスと豚肉のエキスが入ったスープだけど、これはそれに魚介エキスが入っているから、シーフードの具とも味がとても合う。あと忘れてはいけないのは、このラーメンのスープは香辛料が利いているから、スープを飲むと胡椒のピリ辛も楽しめる…。…とてもお勧め。」

 

ピ…ピリ辛でもマイルドな味でもどっちでもいいの!初霜は早くラーメンが食べたいの!それに、自分の大好物で本当は私にも選ばせたくないのなら、わざわざ説明しなくてもいいの!こんな事なら、大人しく望月ちゃんの部屋に行くべきだったわ。望月ちゃんなら、初雪ちゃんのコレクションのように種類は持っていないと思うけど、こんな面倒な説明を聞かされる事も無かった筈よ…。やっぱり初霜は肝心な所で運が悪いわ…こんな大型機雷にぶつかってしまうなんて…。

 

「さらにこのシーフードタイプは具材も素晴らしい…うん。最初に説明したようにイカ…私が一番好きなタコ程ではないけど、このイカも少し固めの歯応えがとても良い。それとシーフードのスープととても合っている。それにこれ以外にもカニカマや貝柱、それにキャベツや卵まで入っている。その中でも貝柱は特に素晴らしい。これは貝の旨味がギュッと詰まっていて、噛むとちゃんと貝柱特有の歯応えもあるし…旨味が口の中に広がる…。そしてこれがスープと混じると、もう最高…。だから、私もこのカップラーメンは大好き。あとキャベツの具も捨て難い。インスタントだからどうしても本物には負ける…。でも…それでもそれなりの歯応えが楽しめるし、なんと言っても野菜の味を楽しむことが出来る一品。このカップラーメンは自信を持って初霜に勧めることが出来る…うん。」

 

初雪ちゃん…初霜に何か恨みでもあるの??風邪をひいた時は看病もしてあげたし、その他にも初雪ちゃんの事をあれだけいつも面倒を見てきた初霜にこの仕打ちはないわ。イカや貝柱やキャベツが美味しい事は分かったから、早く初霜に食べさせて頂戴。もう初霜のお腹はグゥグゥなっているのよ!!

 

「初霜…鼻息が荒い…。でも慌てたら駄目。まだ大事なカップラーメンの紹介が終わっていない。そのカップラーメンは…これ。カレー味のカップラーメン。これは私達艦娘が大好きなカレーとラーメンが一緒になっていて…箸が止まらなくなるから…とても危険なカップラーメン。まずこのカップラーメンは、蓋を開けた瞬間にカレーの良い香りが漂う…ここまで来たら、もう後戻りする事は出来ない。たぶん、あの不知火でも途中で止められないと思う…うん。そしてこのカップラーメンが危険な所はまだある。このカップラーメンは具材にジャガイモと人参、そして豚肉が入っている…。そしてこのジャガイモが危険。食感はちょっとポスッとした感じがするけど、味はちゃんとジャガイモ。そしてカレーの味がたっぷり染み込んでいるから…この具はとても美味しい。ついでに豚肉の具もカレーがたっぷり染み込んでいるから…お肉のエキスとカレーのスパイシーさが合わさって…箸が止まらなくなる…。だから、ダイエット中だったら絶対にお勧め出来ないカップラーメン。」

 

くぅぅぅ…もう嫌!もう無理。もう我慢出来ないわ。こうなったら初雪ちゃんには悪いけど、実力行使で初雪ちゃんを黙らせて急いで食べないと…もう初霜も我慢の限界よ!

 

「初雪ちゃん!なんでもいいから、もう食べさせて!もう初霜も我慢の限界よ。一番最初に説明してくれたノーマルタイプのカップラーメンを選ぶから、急いで食べさせて!」

 

「は…初霜…目が血走っていてとても怖い…。まだ他にも説明したいカップラーメンがあるのに…(いいから、早く食べさせて!)。…ん、分かった。それなら、私も初霜と一緒に同じ普通のカップラーメンを食べる。お湯の準備をするからちょっと待って…。」

 

はぁ…ようやく食べられるわ。初雪ちゃんがお湯を作るために、部屋にあるガス台を使ってお湯を沸かし始めたけど…この時間だって惜しいわ。もう初霜のお腹は限界よ…。とりあえず、お湯を入れるために蓋を開けておこうかしら。…はぁ…蓋を開けた瞬間に漂ってくるチキンスープのような香り。…は…早く食べたいわ…。

 

 

「初霜、お湯の準備が出来た。今から注ぐ。カップラーメンの器にお湯を入れるラインが書かれているけど…少しだけ味を濃くするために、線より少しだけ下までお湯を入れる。…うん…これでOK。後は…タイマーをセットして待つ…ひたすら待つ…。」

 

あと少し…あと少しの我慢よ。そうすれば、このカップラーメンが食べられるのだわ。あれ?たしかカップラーメンは3分待つと思ったけど…初雪ちゃんのタイマーは2分30秒だわ。ちゃんと待たなくても良いのかしら…。

 

「あの?初雪ちゃん?3分待つんじゃないの?」

 

「初霜…黙って待つ…。余計な事を考えずに、カップラーメンの事だけを考えて黙って待つ…。」

 

拘りがありすぎるのも考え物だわ。初雪ちゃんはさっきから、カップラーメンの前で正座して黙って目を瞑っているし…。これじゃまるで、宗教だわ…。さしずめカップラーメン教の教祖様と言ったところかしら…ウフフフ。

 

「初霜…変な笑い声を出さない。もう少し待つ…静かに待つ…。」

 

 

ピピピピピ

 

「初霜、直に蓋を開ける!ここからはスピードが大事。余計な事を考えずに、私の指示に従う!いい?」

 

な…なにか知らないけど、さっきまで目を瞑っていた初雪ちゃんが急に覚醒したわ。ここまで来て初雪ちゃんにへそを曲げられてカップラーメンにありつけなくなったら困るから、ここは大人しく従った方が良さそうね。とりあえず言われたとおり蓋を開けて…。はぁ…蓋を開けた瞬間にフワッとカップラーメンのスープの香りが初霜の鼻に入ってきたわ。ようやく食べられるのね。それに…蓋を開けた中身は、具材のお肉や卵、そしてエビが浮き上がるように表面に出ていて、その下には麺の姿が見えるわ。…美味しそうだわ…ここまで我慢した甲斐があったわね。それじゃ、早速いただこうかしら。

 

「初霜!まだ駄目。急いで表面に出ている具材を下に沈めて、麺が上に出てくるように素早く掻き混ぜる。まだ食べたら…駄目!」

 

し…仕方ないわ。とりあえず初雪ちゃんに言われた通り具材が下に沈むように急いで箸で掻き混ぜましょう。麺の姿が表面にしっかり出てきたわ。汁気は麺や具材がだいぶ吸い込んでいるから、見渡す限り表面には麺とちょっとだけ顔を出している具材。…ようやく…ようやく食べられるのね。

 

「初霜…もう食べても大丈夫。麺が伸びない内に素早く食べるべき…。余計なおしゃべりはしないで、一気に食べなければいけない…。私もいただきます。」

 

初雪ちゃんが、凄い勢いで麺をすすり始めたわ。それじゃ、初霜も一気に食べてしまおうかしら。まずは麺を箸で取り出して…ウン!…美味しいわ!普通のラーメンとは違って、麺はちょっとボソッとしているけど、このちょっと固めの食感も悪くないわ。それにチキンエキス、豚肉のエキス、そして醤油が混じった美味しいスープの味と香りが麺にしっかり絡まって…これは止まらないわ。初雪ちゃんが言っていたように、一気に食べないと…。

 

豚肉の具も噛むとクニュッとした感じで口の中でつぶれて…中からスープ以上の肉の旨味が飛び出てくるわ。それに卵も柔らかい食感でスープがしっかり染み込んでいて…いいわね…。そうそう…エビも食べないと…。小さなエビで少し固めの食感だけど、ちゃんとエビの香りや味がするのが嬉しいわ。

 

 

…ふぅ…美味しかったわ。あっという間にカップに入っていた麺と具を食べつくしちゃって…残りはスープだけね。あまり体には良くないだろうから、全部は飲めないと思うけど…少しくらいなら大丈夫よね?…うん…いいわ…少し塩気が強いけど、凝縮したような旨味があって…とても美味しいわ。最初はどうなるかと思ったけど…結果的にカップラーメンを美味しく食べる事が出来たから、初雪ちゃんには感謝しないといけないわね。

 

「初雪ちゃん…今日はありがとう。とても美味しかったわ。また機会があったら色々教えてね。」

 

そう…普段の初霜は大和さんに連れられて鳳翔さんの所で食事をするから、カップラーメンを食べる機会はまずないけれど、偶に…そう偶になら、こうやって初雪ちゃんの話を聞きながらカップラーメンを食べるのは悪くないわね。

 

「ん…初霜分かった。初霜に喜んでもらえて嬉しい。同部屋の深雪はすぐ逃げるから、なかなか説明する相手が居なかったから、私もうれしい。他にも美味しいカップラーメンは一杯ある。またいつでも来るといい…。」

 

深雪ちゃんが逃げ出したくなる気持ちは初霜もよく分かるわ。今回は結果的に美味しく初雪ちゃんのカップラーメンを食べる事が出来たけど…これが毎日では大変だという事はよく分かるわ。さて…お腹も一杯になった事だし、今日は部屋に帰りましょうか。

 

「初雪ちゃん。それじゃまた、『そのうち』来るわね。おやすみなさい。」

 

 

 

 

翌日の夜

 

 

ふぅ…今日も鳳翔さんのお店で色々食べられて美味しかったわ。やっぱりこの時期の鳳翔さんのお店で出てくる春の料理は素晴らしい物ばかり。初霜のようなしがない駆逐艦があんなに美味しい料理を食べられるのだから…本当に大和さんには感謝しないと。今日はちょっと食べ過ぎたから、お腹一杯でちょっと苦しいくらいだわ。あら?なんで初春ちゃんが部屋の前に居るのかしら。

 

「は…初霜。ようやく帰ってきたか。その…少し前に初雪が部屋に押しかけてきて…まだ居座って居るのじゃ。なんでも、初霜を待っていても来ないから、カップラーメンを持参して部屋に来たと言っておるのじゃが…。早くなんとかしてくれぬか…わらわではとても対処できぬゆえ…」

 

へ??…そ…そんなどうしよう。昨日はお腹が空いていたからカップラーメンを食べたかったけど、今日はもう満腹で、とてもではないけどカップラーメンなんて食べられないわ…。だからと言って、あの初雪ちゃんがそんなに簡単に引き下がるとは思えないし…。

 

「は…初春ちゃん…わ…私の代わりに初雪ちゃんとカップラーメン食べない?初霜は、もう少しどこかで時間をつぶしてくるから…」




最近あまり食べる機会がなかったのですが、このタイプのカップラーメンも色々な種類が出ているのですね。トムヤムクン味とかトマト味とか、チーズカレー味…色々見かけましたが、やはり定番のこの三種が一番良いのかな…と個人的には思っています。長い間味が変わらず売られているという事は、それだけ人気の味という事でしょうからね^^;。しかしこのカップラーメン…スープも少し飲んだのですが、思っていたよりも塩分は強いですね。まぁ、夜中にこれを楽しく食べていて、『健康が~』なんて馬鹿な事を言うつもりはありませんが、流石に私の年齢になるとスープを全部飲むという訳にはいきません^^;

このタイプのカップラーメン以外にも、定番の袋ラーメンやチキンラーメンなど…昔まだ学生だった頃に色々お世話になったな…という思い出があります。普通のラーメン屋で食べるラーメンとはたしかに麺の食感なども違うのですが、これはこれで癖になる食感と味なんですよね。

今回のお話は前回の話の続きになりますが、普段は贅沢をしている初霜が、大和が居ないために鳳翔さんのお店には行けない状態から始まります。そして駆逐艦寮でカップラーメンを大量にもっていそうな子という事で、おそらくは二大巨頭の望月と初雪のどちらかを頼る事になったのでしょうが、やはりここは初雪の一択なのだと思います。望月は面倒だからカップラーメンでいいや…なスタンスだと思いますが、初雪の方は今回の話のように色々とカップラーメンにも拘りを持っていそうなんですよね(完全に作者のイメージですがw)。

正直、自分でこの話を書いていて、不覚にもお腹が空いてしまい前夜に続いて二日連続でカップラーメンを食べる羽目に…。この年になって、まさに愚か者の所業をやっておりますw。家内にもカップラーメンを夜中に食べるな!と怒られますし…まさに踏んだりけったりですね^^;。という事でみなさん、カップラーメンを夜中に食べるのは止めましょうw

今回も読んでいただきありがとうございました。次回はまた少し時間が空くかと思いますが、気長に待っていただけたらと思います。


レシピ
カップラーメン:1個
お湯     :適量
初雪     :1人

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