ありがとうございます。
あと設定を少し修正しました。
「それでは・・・始め!」
100階に到着して少額のファイトマネーを受け取った後、早々に2試合目が始まりました。
今回の対戦相手は、男性でおそらくボクサーです。
今回の試合は、先程の教訓を生かして堅を使わず、纏のみで防御に徹し、相手の動きをぎりぎりまで見極め、相手の身のこなしを参考にしたいと考えています。
もちろん、先程の教訓を生かして硬を使わずに勝とうと思います。
試合中の事故として、人を殺すのはもったいないですからね。
今回の試合も対戦相手に先手を譲ります。
僅かの合間に相手は私に接近し、放ってきた左ジョブを纏をした右腕で防ぎ、すぐさま放たれた右ストレートをぎりぎりでかわしたのを横目で見っ―――!
左半身に強い衝撃を受けた瞬間、右に吹き飛ばされ、リングの上に転がります。
「クリーンヒット&ダウン!」
「「「おおおおおおおおおお」」」
「くっ・・・。」
上手くきめられたことに悔しさを感じながら、審判さんの声と観客の歓声を聞きすぐに立ち上がる。
纏で防御するには、かなり強い蹴りでした。
実はキックボクサー?だったらしき対戦相手の姿を見ると得意げな顔を浮かべて、こちらを見ています。
先ほどの私の試合が会場で再生されたせいか、私の方がオッズよかったですもんね・・・。
―――イラッ、としてもしかたないですよねぇ。
そうこう考えている間にも、相手の攻撃が絶え間なく続く。
全身を纏で覆い視力を強化して見極めながら相手のラッシュを防ぎ、躱して・・・。
しかし―――。
両腕のガードを掻い潜るようなアッパーを食らって、体がわずかに浮いたところを、踵落しを頭上に食らいリングに叩きつけられる。
「クリティカルヒット&ダウン!」
「いけぇぇぇえええ!」
「よけろぉぉおおお!」
とっさに立ち上がった時、左右のストレートによる追撃を食らい今度は、後方に吹き飛ばされる。
「クリティカルヒット&ダウン!」
「とどめだぁぁあああ!」
「しっかりしろぉぉおおお!」
すぐさま私は立ち上がり体勢を整える。
―――瞬く間に、8P採られました。
相手への声援や私への罵声を耳障りに思いつつ、先ほどまでの相手の動きを考察します。
―――うん。よくわかりません!
前世から特に、格闘技に詳しかったわけではないですから、しかたないですよね。
いやまぁ、凄いなぁとは思いますよ?でも、それだけですよ?
どう防いだらいいとか、どう躱したらいいとか、全くわかりません!
そう考えているといくらやっても倒せないどころか、かすり傷ひとつつかない私に、いら立ちを覚えているのか、それとも得体の知れなさを感じているのか、遠目にボクサーさんが顔を歪めてこちらを見ています。
―――こんな小娘よりオッズが悪い上、倒しきれないその気持ち、分かりますよ?
―――でも。
「私もサンドバックにされてムカついてるんですよ?」
そう可愛らしくというより、憎たらしく相手に見えるよう小首を傾げてニッコリと笑いながら呟き、両足に硬をしてリングを強く蹴り、はるか高くに跳躍します。
一瞬驚いた表情をしたものの、挑発にも乗らず、ボクサーさんは私の初めての攻勢に冷静に右ストレートで迎撃しようとしてきます。
「あっははははははははははは!」
それに対し、私は流を使い組んだ両手に硬をして、爆笑しながらボクサーさん目掛け、力いっぱい振り下ろしました。
轟音。
それとともに、会場が少し揺れ、リングの上に埃が舞い審判と観客の視界を覆う。
ようやく審判と観客の視界が晴れた時、その目に映ったのは、リングにできたクレーターとその中の肉片漂う血だまりを、スッキリとした笑顔を浮かべて眺めるアーデルハイトの姿だった。
「しょっ・・・勝者アーデルハイト選手!」
「「「ぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお」」」
審判の勝利宣言とともに悲鳴にも似た歓声が再び会場を揺らした。
???「手が滑った(´・ω・`)殺すつもりはなかった。」